マジカル ルシィ ゆうきまさみ初期作品集

マジカル ルシィ ゆうきまさみ初期作品集

人間の世界に研修に出された悪魔の娘・ルシィと、研修先として選ばれたアパート「加猥荘」に住む大学生・山岡孝之介の日常を描いたファンタジー作品。「アニメック」1982年6月1日号と1982年10月1日号にに読み切りとして掲載された後、1982年12月1日号から1983年12月1日号にかけて同誌で連載された他、連載終了後、「スティ」1985年4月5日号に外伝が掲載されている。これらの雑誌掲載分と、近い時期に「まんがアニメック」に掲載されたゆうきまさみの複数の作品を加え、「初期作品集」の副題を付けてコミックスにまとめられた。

正式名称
マジカル ルシィ ゆうきまさみ初期作品集
ふりがな
まじかる るしぃ ゆうきまさみしょきさくひんしゅう
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

ある日、魔界に住む悪魔の娘・ルシィは、悪魔としての査定を受けていた。悪魔にもかかわらず、人助けをしてしまったために成績はひどく、ルシィは1年間を期限として人間研究の研修に出ることを命じられてしまう。研修先に選ばれたネリマのアパート「加猥荘」にやって来たルシィは、たまたま部屋の外にいた山岡孝之介を気に入り、一方的に部屋に潜り込んで同居を始めた。

こうして、ルシィと孝之介のにぎやかな生活が始まる。

登場人物・キャラクター

ルシィ

ボーイッシュで可愛らしい少女。魔界に住む悪魔・ルシフェルの娘。悪魔にもかかわらず人助けをしてしまったことで、魔界での査定により、良くない成績を取ってしまう。そのため、1年の期限付きで人間の世界に研修に出されてしまう。初対面で山岡孝之介を気に入り、孝之介の部屋に同居することになる。人間世界でのあいさつの方法を誤解していたルシィは、初対面で孝之介にいきなりキスをしてしまう。 孝之介の友人たちには、彼の妹として認識されている様子。

山岡 孝之介 (やまおか こうのすけ)

ネリマにあるアパート「加猥荘」に住む男子大学生。ある朝、部屋の外で、隣の部屋に住む志田と立ち話をしていたところ、加猥荘にやって来たルシィに気に入られて同居人に選ばれた。当初は予想外の出来事に呆然としていたものの、好意を寄せる友人の埴科が出席する飲み会への参加と、実家への帰省のどちらも選べずに、板挟みで情緒不安定になったところを、突然ルシィに魅入られてしまう。 ルシィの正体を知っても、恐怖心や疑問を抱かず、自然に彼女を受け入れている。

志田 (しだ)

ネリマにあるアパート「加猥荘」で、山岡孝之介の隣の部屋に住む男性。いつもヘアバンドとタバコを手放さない。孝之介とは、お互いの部屋を行き来したり、年越しパーティーをしたりと親しく交流している。マイペースな性格で、淡々と物事に接し、身の回りに多少不思議なことがあっても動じない。孝之介からルシィの正体を明かされた時も、そのことを信じずに笑い飛ばした。

埴科 (はにしな)

山岡孝之介の友人の女子大学生。黒髪でボブスタイルの髪型をした、物腰の柔らかい女性。孝之介が体調を崩した時には、斎藤曜子とともに孝之介の部屋に見舞いに訪れ、りんごを食べさせてあげるなど、とても優しい。孝之介に好意を寄せられているが、当の埴科自身は孝之介をあくまでも友人として見ている。

斎藤 曜子 (さいとう ようこ)

山岡孝之介の友人の女子大学生。孝之介が体調を崩した時に、埴科とともに孝之介の部屋に見舞いに訪れた。普段は眼鏡をかけているため、表情がわかりにくく地味に見えるが、眼鏡を外すと可愛らしい顔立ちの美人。ルシィが作った魔界の風邪薬の意図しない効果により、斎藤曜子の素顔に孝之介が一目惚れしてしまい、孝之介に映画に誘われることとなる。

ルシフェル

魔界に住む悪魔。ルシィの父親。孝之介の友人たちに「おやじさん」と呼ばれて親しまれる、人当たりの良い紳士。悪魔としてのルシィの将来に期待し、人間の世界にもたびたび訪ねて来ては、娘の世話を焼き、研修の手助けをしている。ルシフェル自身は出世は諦めていると語っているが、実は次期サタンの候補。娘想いの優しい男性で、娘のためなら変装して身分を偽り、長時間張り込みをすることもいとわない。

サタン

魔界の最高位に君臨する悪魔のリーダー。魔界と悪魔たちを取りまとめている。西洋風の整った容姿の、威厳のある男性。ちなみに「サタン」は役職名であり、本名は不明。当代のサタンはいつも顔に影がかかっているため、その風貌のすべては明らかではない。

人事部長 (じんじぶちょう)

魔界の人事を取り仕切る悪魔の男性。1年間の期限を付けて、ルシィに人間研究の研修に出ることを命じた。ちなみに「人事部長」は役職名であり、本名は不明。悪魔の中では、人事部長のみが常に頭に角を生やしている。

メフィスト

魔界のリーダーであるサタンのもとで幹部をしている悪魔の男性。娘であるルシィの不出来を恥じるルシフェルに代わり、ルシィの査定の成績が良くなかったことをサタンに報告した。これによりメフィストは、ルシィに対して「親の七光りだけではやっていけない」との評価を下した。

天使 (てんし)

「幸福を運んでくる」とされている存在。対象となった人物の望みをかなえるために行動する。悪魔が人間の世界に降りて来たことを聞きつけ、アパート「加猥荘」を訪ねて来た。山岡孝之介が、本当に天使なのかと疑問を持つほどに口の悪い少年で、ルシィと力比べの手合わせをし、孝之介の部屋の壁を吹き飛ばした。天使の活動により、結果的に周囲に不幸な人間を増やしている。 それにも関わらず、幸運の象徴のように呼ばれているため、ルシィにはいけすかなく思われている。

山岡孝之介の狼 (やまおかこうのすけのおおかみ)

山岡孝之介の心の中にいる狼。狼とは、誰もが心の中に持つとされる欲望の象徴である。日常のささやかな満足感や幸福感に安住する山岡孝之介を危惧したルシフェルが、ルシィに孝之介の中に育てるよう勧めたもの。悪魔術によって召喚し、実体化が可能。孝之介の心の中には狼の100倍はあるという大きな羊がいたため、狼はしいたげられ、肩身の狭い思いをしていた。 やせっぽちで柄の悪い話し方をする。

ケルベロス

3つの頭部を持つ、たくましい犬の姿をした獣。山岡孝之介とルシィが海水浴場を訪れた時に、山岡孝之介の狼を捕獲するために、ルシフェルが召喚した。大きな遠吠えとともに現れ、ワンワンとよく吠えてやかましい。その威嚇効果は抜群で、狼が泣きながら逃げ出すほど。ケルベロスの出現は他の海水浴客をも驚かせ、騒動を招いてしまう。

出門 兇三郎 (でもん きょうざぶろう)

家庭マージャン中にルシィを召喚してしまった老人。マージャンの役を口に出しながらプレイしていた時に、偶然、悪魔召喚の呪文を唱えてしまった。ルシィを呼び出したのは意図したことではない。マージャンで12万6200円も負けており、ようやく上がれそうだったところを、ルシィに盤面を崩されてしまったため、下河辺良平のせいにして怒りをぶつけた。

下河辺 良平 (しもかわべ りょうへい)

家庭マージャンのプレイヤーの1人。いたずら好きな老人。マージャンプレイ中に怒り出した出門兇三郎に、顔面が破裂したように見せるいたずらで応えた。このいたずらが大変リアルだったため、一緒にプレイしていた者たちを驚かせた。兇三郎がマージャンに勝つために悪魔を召喚したと主張し、あさましいと責める。

下河辺良平の孫娘 (しもかわべりょうへいのまごむすめ)

家庭マージャンのプレイヤーの1人。下河辺良平の孫で、黒髪をロングヘアにしている可愛らしい女性。出門兇三郎に良平が、顔面が破裂したように見せるいたずらをした際に、本当に破裂したと勘違いして思わず悲鳴を上げた。人間と見た目の変わらないルシィを見て、悪魔らしくないと冷静に指摘する。

原田先生 (はらだせんせい)

家庭マージャンのプレイヤーの1人。大きなサングラスをかけた男性。職業は医師。悪魔の身体構造に興味を持ち、ルシフェルが悪魔の説明をしている間に、ルシィの身体を調べ始める。調査は次第にエスカレートし、ルシィを板に張り付け、解剖の準備をするまでに及んだ。その結果、ルシィの父親のルシフェルを激怒させ、悪魔の本気を見せつけられる羽目になる。

ゆうきセンセー

いつも漫画を描いている漫画家の男性。漫画のコマの外に登場し、展開に注釈を入れたりする役回りで、本編のストーリーには直接関わらない。外からコメントをした声がたまに登場人物にまで届くこともあるが、よくあることだとして特に気に留められていない様子。作者のゆうきまさみ本人がモデル。

担当さん (たんとうさん)

ゆうきセンセーの担当編集者の男性。漫画のコマの外に登場し、ゆうきセンセーに喝を入れたり、漫画の作業進行のダメ出しをする。本編のストーリーには直接関わらない。ゆうきセンセーとは違って、漫画の登場人物に声が伝わることはなく、完全に裏方の立場に立つ。

st.ミカエル号の男 (せんとみかえるごうのおとこ)

小型宇宙船「st.ミカエル号」の乗組員。st.ミカエル号の女の夫。宇宙空間を航行中、原因不明の病気に苦しむ妻を前にして悩んでいた。治療の対策として大コンに召喚されたルシィを見て驚いて腰を抜かすが、妻のためにと仕方なく悪魔術の契約を結ぶ。

st.ミカエル号の女 (せんとみかえるごうのおんな)

小型宇宙船「st.ミカエル号」の乗組員。st.ミカエル号の男の妻。宇宙空間を航行中、原因不明の病気に苦しめられることとなった。夫が悪魔術の契約をしたルシィの治療を受けて病気は快復する。自身はその間眠っていたため、ルシィの出現に気づいていない。

大コン (だいこん)

小型宇宙船・st.ミカエル号に搭載されたコンピュータ。st.ミカエル号の乗組員の情報源となり、航行中に起こるさまざまな事態の対応策を提示する。原因不明の病気の治療法を検索した結果、プログラムに組み込まれていた悪魔大全の召喚呪文を詠唱してしまい、ルシィを呼び出した。

山岡 清十郎 (やまおか せいじゅうろう)

江戸時代の青年。仇討ちのために故郷を離れ、日本中を歩き回っている。仇討ちの相手を6年間にわたって探しているが、見つからないために疲れ切ってしまっている。じいさんに呼び出されながら、彼と悪魔術契約ができずに困り果てていたルシィと出会い、代わりに自分が契約すると申し出る。

じいさん

江戸時代の老人。ルシィを召喚したものの、身体が弱って生死の境をさまよっていたため、悪魔術契約ができなかった。身体が快復した後に、ルシィを召還したのは親の仇を討つのが目的だったことと、その仇を追って70年も経っていることが判明する。

場所

ネリマ

山岡孝之介が暮らすアパート「加猥荘」のある街。加猥荘の周辺は住宅が多く建ち並ぶが、少し足を延ばせば、山道のような舗装されていない場所もあり、古い時代の風景も残している。見晴らしの良い場所では、山並みが間近に見える。

加猥荘 (かわいそう)

ネリマにある木造2階建てのアパート。山岡孝之介と志田が住んでいる。学生、社会人、自由業など、雑多な背景を持つ人々が集まっていて、人間研究にはもってこいだという判断から、ルシィの研修先に選ばれた。一人暮らし向きの最低限の間取りで、広くはない。

魔界 (まかい)

悪魔が住む世界。ルシィやルシフェルの故郷。魔界では人間世界の企業で行われるような査定があり、悪魔にふさわしいかどうかを、定期的に審査される決まりがある。通常は人間の世界とは繋がりはなく、人間は悪魔や魔界の実在を意識していない。しかし、魔界側からは、審査の結果が良くなかった者を人間の世界に研修に出すことがあり、研修の関係者が頻繁に行き来している。 これらの人間に対する干渉は、魔界ではごく当たり前に行われる。

st.ミカエル号 (せんとみかえるごう)

宇宙空間を旅する小型宇宙船。st.ミカエル号の男とst.ミカエル号の女が乗務する。情報システムとして大コンと称するコンピュータを搭載し、航行中に起きたさまざまな事態に随時対応する仕組みとなっている。どのような目的で、どこに向かって旅をしているのかは不明。

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