「君を愛することはないだろう」の一言から始まった結婚生活
本作は、元魔王でド天然なヒロインのアビゲイルと、彼女の規格外な能力と奇怪な行動に振り回されるジェラルドの結婚生活を描いたほのぼのラブストーリー。将軍から半ば押しつけられる形でアビゲイルと結婚させられた公爵家次男のジェラルドは、結婚初夜に「君を愛することはないだろう」と宣言する。しかし、アビゲイルのかわいらしさに庇護欲を刺激されながら絆(ほだ)され、まるで餌付けをするかのように溺愛するようになっていく。また無表情ながら、アビゲイルが魔王のチート能力を発揮し、次々に問題を解決していく痛快なストーリーも見どころとなっている。
元魔王で天然なヒロインの餌付けを満喫
公爵家次男の生まれながら、軍の功績で子爵位を賜ったジェラルドは、将軍から遠縁であるロングハースト伯爵家の訳あり令嬢、アビゲイルと半ば押しつけられる形で結婚することになる。実はアビゲイルは、この世界で忌み嫌われる黄金の瞳を持つことから、食事もままならないほど迫害されて育ったものの、前世が異形の魔王だった記憶を残しており、領地経営から災害予知までこなす規格外の能力の持ち主だった。結婚は冷え切った関係から始まるが、純真無垢に食べ物の美味しさに感動するアビゲイルの様子を見るにつれ、ジェラルドは態度を軟化させていく。そして、幼少期に飼っていた小鳥のピヨちゃんへの餌付けと、アビゲイルに食事を与える感覚が似ていることに気づいたジェラルドは、自分だけの小鳥として彼女を溺愛するようになる。
困難を乗り越えて絆を深めていく
ジェラルドとアビゲイルの結婚生活はさまざまなトラブルに見舞われる。それにはアビゲイルの魔王の記憶による価値観の違いや、アビゲイルを実家で虐げていた義姉による陰謀、ジェラルドとの結婚を画策する令嬢の存在などが挙げられる。さらに、ドリューウェット公爵家の家族問題など、数多な試練が二人を襲う。だが、ジェラルドはアビゲイルの魅力を知り、最初は小動物を愛でる系の溺愛だったが、だんだんと夫婦らしい関係を築いていき、彼女を思いやる心で試練を乗り越えて絆(きずな)を深めていく。
登場人物・キャラクター
アビゲイル・ノエル
前世が魔王だった少女。赤い髪色のロングヘアにしている。ロングハースト伯爵家の生まれながら、継母と義姉に虐げられ食事もほとんど与えられない環境で育つ。その後、「血まみれ中尉(ブラッディ・ルーテナント)」の異名で怖れられるジェラルドと結婚させられる。前世の魔王だった時の記憶が残っており、金色の瞳に身体が耐えきれないほどの膨大な魔力素養を持つ。また、学習能力も卓越しており、過去の領地経営の資料と魔王時代の記憶を照合するだけで、広大なロングハースト領で安定した収益を生み出す手腕を見せた。一方で幼い頃からぞんざいな扱いを受けてきたことから、常識が欠落した考え方と価値観を持っており、喜怒哀楽が乏しく、基本的にいつも無表情。ジェラルドと夫婦として過ごすようになってからは、特に食事に楽しみを見出し、笑顔を浮かべることも多くなった。ジェラルドからはその様子を、幼い頃に飼っていた小鳥のピヨちゃんの姿に重ね合わせ、「小鳥」や「ピヨちゃん」と呼ばれることがある。
ジェラルド・ノエル・ドリューウェット
ドリューウェット公爵家の次男。軍務に就いている。その功績によって子爵位を賜ったことで、ノエル子爵家として初代当主となった。また、卓越した魔法剣士として知られており、社交界では「血まみれ中尉(ブラッディ・ルーテナント)」、あるいは「血まみれ少佐(ブラッディ・メイジャー)」として恐れられる存在。上司である将軍から、遠縁の娘で「嫁入り前に男遊びが絶えないふしだらな女」と悪名高きロングハースト伯爵家のアビゲイルを紹介され、半ば押しつけられる形で結婚させられる。妻となったアビゲイルに対して初夜に「君を愛することはないだろう」と告げるなど、当初は噂を信じて冷酷な態度を取っていたが、アビゲイルの悲惨な環境と彼女の才覚や愛らしさを知るにつれ、態度を軟化させて次第に溺愛するようになる。特に食事をねだる際の愛らしさを幼い頃に飼っていた小鳥のピヨちゃんと重ね合わせており、「小鳥」や「ピヨちゃん」と呼んでいる。
クレジット
- 原作
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豆田 麦
- キャラクター原案
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花染 なぎさ
書誌情報
愛さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる~ 4巻 双葉社〈モンスターコミックスf〉
第1巻
(2023-05-10発行、 978-4575416374)
第2巻
(2023-11-10発行、 978-4575417593)
第3巻
(2024-05-10発行、 978-4575418767)
第4巻
(2024-11-09発行、 978-4575420104)