概要・あらすじ
津組倫子は高校3年生。人と交わることが苦手で、高校ではいつも1人でいる。夏になって彼女は美大を目指し、予備校の金沢美術学院に通い出す。そのきっかけは、好きな1人音楽ユニットイグルーのインタビュー記事を読んだことだった。金沢美術学院の講師矢口海は、同僚から頼まれて津組倫子に話しかける。しかし攻撃的に話しかけてくる上に実技はほとんど素人。
しかも、人と会話をしようとしない。戸惑いながらも彼女に対応し続けるうちに、自然と目が向くようになる。一方津組倫子は早川マリや浅野祐一と少しずつ話すようになり、少しずつ変わり始める。やがて受験を迎え、津組倫子はどうにか宇野美大に合格。一人暮らしを始め、アパートの窓を開けると、隣の部屋から顔を出したのは矢口海だった。
登場人物・キャラクター
津組 倫子 (つぐみ りんこ)
おかっぱ頭の女子。心に壁を作って、なかなか周囲になじもうとしない。初登場時は西祥高校3年生。美術大学を目指して夏から美術予備校金沢美術学院に通い始める。美術製作は素人だが、学科の成績は予備校内トップ。 森木カズヒトの1人音楽ユニットイグルーのファンで、彼のインタビュー記事を読んで影響され大学を目指すようになった。 金沢美術学院では、はじめは講師の矢口海に攻撃的な態度を取るが、その後度々声をかけられ指導を受けるうちに戸惑いを感じるようになる。また予備校の同級生早川マリから強引に「仲良くなった」と言われたり、浅野祐一がイグルーのファンだと知って良く話すようになったりと、困惑しながらも少しずつ人と交わり出す。 宇野美大に合格後は一人暮らしを始めるが、偶然矢口海の隣の部屋に住むことになる。
矢口 海 (やぐち うみ)
美術予備校金沢美術学院の講師。宇野美大の現役学生でもあり写真を専攻している。同僚講師の白石から頼まれ津組倫子に声をかけるが、当初はその攻撃的な態度に戸惑ったが、いつも一人でいる津組倫子が気にかかり、自然と彼女に目が行くようになる。宇野美大に合格した津組倫子が偶然自分の部屋の隣に住み出した事を知り、ベランダ越しに話すようになる。
講師
長髪で髭を生やした男性。美術予備校・金沢美術学院の講師で、矢口海の同僚。津組倫子から目が離せない矢口海をからかっている。
みどり
津組倫子の小学校・中学校の同級生。小学2年生の時は津組倫子を「てんさい」だと言ったが、小学校4年生の時には態度が急変。中学2年の時に転校するが津組倫子の心に深く傷を残し、現在も彼女の夢を見て涙ぐむことがある。
早川 マリ (はやかわ まり)
染めたロングヘアの女子。美術予備校金沢美術学院に通っている。学科成績がトップだった津組倫子に話しかけ、その後は強引に「仲良く」なる。金沢美術学院講師の矢口海に好意を持ち、積極的にアタックしている。後に宇野美大に進学。
白石 (しらいし)
口髭を生やした男性。美術予備校金沢美術学院の講師。講師の矢口海に津組倫子の面倒を見るよう頼む。
浅野 祐一 (あさの ゆういち)
眼鏡をかけた男子。美術予備校金沢美術学院に通っている。いつも一人で黙々と絵を描いている。土岐美大を目指している。森本カズヒトの1人音楽ユニットイグルーのファン。 津組倫子がイグルーのファンと知り、話をするようになる。卒業後は志望通り土岐美大に合格し、進学する。
甲斐 真吾 (かい しんご)
短髪の積極的な男子。宇野美大1年生。佐々木美桜とは同じ予備校の浪人同士。津組倫子に積極的に話しかけてくる。
佐々木 美桜 (ささき みお)
宇野美大1年生。 甲斐真吾とは同じ予備校の浪人同士で、彼に好意を持っている。津組倫子には時々冷たく接するようになる。
須藤 (すどう)
浅野祐一の土岐美大での同級生。浅野祐一と津組倫子の電話での会話に登場する。
森木 カズヒト
1人音楽ユニットイグルーとして活動している。宇野美大の卒業生。津組倫子は、彼のインタビュー記事を読んで、大学を目指すようになった。津組倫子の金沢美術学院での同級生浅野祐一も彼のファン。
ユカリ
美術予備校金沢美術学院に通う女子高生。早川マリと仲が良い。早川マリがと無愛想な津組倫子が仲良くなったと聞いて不思議に思っている。
集団・組織
金沢美術学院 (かなざわびじゅつがくいん)
『マスタード・チョコレート』に登場する学校。美大受験生のための予備校。津組倫子は高3の夏から通い出し、講師の矢口海や、同い年の早川マリ、浅野祐一と出会う。
宇野美大 (うのびだい)
『マスタード・チョコレート』に登場する大学。美術予備校金沢美術学院の講師・矢口海が在学している。後に彼の教え子津組倫子、早川マリも入学する。津組倫子や浅野祐一が好きな音楽ユニットイグルーの森木カズヒトの母校でもある。