概要・あらすじ
100年を生きた不老不死の魔法使いであるティトォたちが、女神陣営との最終決戦に向かってから3ヵ月。メモリア王国に残ったバレットたちは音信不通に陥ってしまったティトォらの情報を求めて奔走していた。そんな時、禁断魔法の反動でいつ目覚めるとも知れない眠りについていたグリンの精神に語りかける者が現れ、「世界は救われていない」と告げる。
絶望的な発言を受けて、決戦の舞台であるパキ島で一体何が起こったのか、その真実を見届けるためにグリンの精神は過去へと旅立つ。
登場人物・キャラクター
ティトォ
ドーマローラ国の生き残りにして、100年以上の時を生きる不老不死の魔法使い。外見は17歳の少年で、尖った黒髪と作り物めいた眼が特徴。アクア、プリセラとは身体を共有しているため同時に存在できず、彼女たちとは夢の樹と呼ばれる精神世界でコミュニケーションを取っている。性格は穏やかで優しさと厳しさを持ち合わせるが、キレると口調が荒っぽくなる。 好奇心旺盛で記憶力に優れ、頭のキレも抜群。一を聞いて十を知る能力の極みとして「仙里算総眼図(せんりざんそうがんず)」という特技を使用する。これは相手を観察してデータを集め、一定時間内の行動を完全に先読みする戦略眼の一種。応用すれば、断片的な情報から欠けた部分を推理し、全体像を把握することも可能である。 長い修行の果てに習得した魔法は支援型の「ホワイトホワイトフレア」で、変換した炎を身にまとわせることで傷を癒し、身体能力を飛躍的に向上させる。これは人間以外の生物にも有効で、クモを強化して強靭な糸を出す、樹木を強化してしなりを利用するなど幅広い戦術を披露した。また、相手に染み込ませてから普通の炎に戻すことで、体内から焼き尽くすことも可能。 御風の訪問をきっかけに冒険を始めると、アダラパタによって集められた女神の三十指を次々と打ち破り、時には離叛させて第二の故郷であるメモリア王国へと帰還。その後もアダラパタの放つ刺客との死闘を乗り越え、最終決戦の舞台であるパキ島へ向う。
アクア
ドーマローラ国の生き残りにして、100年以上の時を生きる不老不死の魔法使い。外見は13歳の少女で、カールした長いツインテールと作り物めいた眼が特徴。ティトォ、プリセラと身体を共有しているため同時に存在できず、彼らとは夢の樹と呼ばれる精神世界でコミュニケーションを取っている。性格は強気でサディスティックだが、本当は強がっているだけで、ティトォ、プリセラと比べると最も精神的に弱い。 魔法を操る天賦の才があり、すべてを壊してしまいたいという衝動から魔法「スパイシードロップ」を編み出した。これはアメ玉を破壊のエネルギーに変換する魔法で、その威力は大岩を容易に粉砕するほど。アメ玉を投擲して攻撃することも可能だが、スティックを持って直接叩きつける方法が最も強力。 また、複数のアメ玉を円運動させて弾き飛ばす「スパイシードロップマーブル」、10個以上のアメ玉で構築する破壊エネルギーの槍「ブラックブラックジャベリンズ」などの発展技も存在する。御風の来訪をきっかけに旅に出ると、女神の三十指を返り討ちにしつつ進撃を続ける。死に別れたはずであった妹のアロアとの再会を通じて自らの宿命と向き合い、100年の戦いに決着を付ける覚悟を決めて最終決戦に挑む。
プリセラ
ドーマローラ国の生き残りにして、100年以上の時を生きる不老不死の格闘家。外見は19歳の女性で、ピンク色の長髪と腹部の「檻」という文字、作り物めいた眼が特徴。ティトォ、アクアと身体を共有しているため同時に存在できず、彼らとは夢の樹と呼ばれる精神世界でコミュニケーションを取っている。性格は気っ風の良い姉御肌だが、やや天然。 大雑把なわりに潔癖なところもある。魔法の才能がまったくなかったプリセラは若いままの身体を100年以上も鍛え続け、体術、戦術、技術、気功術、呼吸術など、肉弾戦に必要なあらゆる術を体得し、最強の格闘家となった。元々は踊り娘だったため、ダンスのような体捌きで敵の攻撃を回避することも得意。その戦闘力は魔法使いを含めても物語中で最強クラスであり、突出した実力を持つとされる五本の指と真正面から打ち合って圧倒するほど。 しかし、物理攻撃に頼りきりなので、特殊な防御能力を持つ相手には無力。ドーマローラ国の崩壊時に死んだ恋人、マギの子を宿す妊婦でもあり、元の身体に戻って無事に出産することを目的としている。腹部に結界を張ることで胎児を衝撃から守っているが、結界の影響でプリセラ自身の戦力も半分程度まで制限されている。 パキ島の決戦ではタイマンを望むブライクブロイドと対峙。禁断魔法の洗礼を受けることになる。
御風 (みかぜ)
田舎者にすらド田舎と蔑まれるミルホット村出身の10代半ばの少年。巨大キノコに寄生された故郷を救うため、辺境に隠れ住む伝説の魔法使いのアクアを訪問し、彼女に旅立ちのきっかけを与えた。顔の傷跡と後ろで雑に結んだ黒髪が特徴で、自慢の脚力を活かした肉弾戦が得意。人間離れした身体能力は御風に秘められたマテリアル・パワーの高さゆえのものである。 冒険中はティトォの支援を受けて戦うことが多かったが、メモリア王国で魔獣の思念体であるシシメに弟子入りすると、対攻撃魔法奥義「万象の杖」を会得。単独で魔法使いを撃破できるまでに成長し、戦闘儀式「メモリア魔法陣」を経て新たな力を手に入れた。長期に渡って狐のお面を被せられていたが、本作『マテリアル・パズル ~彩光少年~』には素顔で登場。 ティトォたちと共にグノキングへ搭乗し、パキ島へ向かった。
グリン
メモリア王国の王子。緑色の髪と時計を模したピアス、時計の付いた靴が特徴。実年齢は還暦を迎えているが、肉体と精神の年齢は10代半ばで止まっている。これはグリンに生まれつき備わる禁断五大魔「ゴッドマシン」を使った代償として、老化を伴わない時の眠りにたびたび陥っていたからである。また、ハンマー型の魔法器具を装備することで雷の魔法「穿印(うがちのいん)」を使用できる。 王子という立場でありながら、一時的にティトォ陣営の戦力として活躍した。時の眠りについていた影響でパキ島決戦には参加していないが、後日夢の中に現れたメモリアの導きによって精神のみが時を遡り、決戦の行方を見届けることになる。
バレット
メモリア王国の国王にしてグリンの父親。若い頃にティトォらと出会って無二の親友となり、彼らの魔法習得を手伝った。また、プリセラの腹部に魔法の筆で封印を施したのも彼である。バレット自身も強力な魔法使いとされているが、その能力は明らかにされていない。前述の魔法の筆に関してもバレット自身の能力なのか、魔法器具の能力なのか、詳細は不明である。 現在はかなりの高齢で総白髪。オールバックにした長髪と縁の垂れ下がった眉毛、口髭が特徴。加齢の影響でボケていたが、ティトォたちとの再会を経て往年の気力を取り戻しつつある。最終決戦に関しては老いた自分は足手まといになると判断し、ティトォらを見送った。
メモリア
メモリア王国の初代女王。王族の血統に禁断五大魔「ゴッドマシン」、戦闘儀式「メモリア魔法陣」に禁断五大魔「命七乱月(いのちななつみだれづき)」を封じるなどして、やがて来るであろう戦いに備えていた。既に故人で魂すら存在していないが、残留思念という形で意識を止めている。グリンの夢の中に現れ、最終決戦の模様を見届けるように促す。
サン
石に宿る精霊と会話する能力を持つ三十路の男性。あちこちに宝石の付いた派手な燕尾服に蝶ネクタイ、星マークをあしらったシルクハットが特徴。酒や葉巻を嗜む、損得勘定で動くなど、ティトォの仲間の中でも際立って人間臭い。ティトォ、アクア、プリセラとは旧知の仲で、20歳そこそこの頃に弟子入りを志願。アクアにこき使われているうちに能力に目覚めたという過去を持つ。 戦闘では精霊の力を借りて攻撃や回復など幅広い活躍をする。特に五大石の力を得てからはティトォたちのM・Pを安定させる役割を担い、一行に欠かせない存在となった。基本的にヘタレで敵前逃亡を図ることもあったが、死線を乗り越えたことで恐怖感が麻痺。最終決戦への同行を決意する。
リュシカ
女神の三十指の一員。パン作りに情熱を傾ける10代半ばの少女で、緑色の髪の毛が特徴。性格は天然そのものだが、パン作りの腕前は一流。元々は港町でパン屋を切り盛りしていたが、アダラパタに操られてティトォと対戦。洗脳が解けるとティトォの旅に同行し、共にメモリア王国へ向かうことになった。使用する魔法は風を羽に変換する「エンゼルフェザー」で、装飾の施された羽飾りのような魔法器具を用いて発動する。 戦闘では仲間のサポートに回ることが多いが、羽を飲み込んで体内で圧縮、くしゃみと共に竜巻を発生させる「リュシカ=ヘル=ストーム」という大技も持つ。また、パン神と呼ばれる存在の導きを受けて、パン生地を捏ねるかのように風を圧縮する技を会得し、パンの名前を冠した数々の応用技を開発した。 一度は無力感に悩みメモリア王国に残ろうと考えたこともあったが、戦いの中で決意を新たにし、最終決戦への参戦を決意する。
ジール・ボーイ (じーるぼーい)
女神の三十指の一員で五本の指にも含まれる実力者。パワーならジャンクーアに次ぐ組織内ナンバー2とされている。年齢は30代前半で、トゲが生えたようなヘアースタイルとあちこちにトゲの付いた服が特徴。ムリアに魔法を与えられた立場でありながらムリアを疑って動向を探るなど、自身の正義に基づいて行動する人物である。 アルカナ特別捜査隊という軍の秘密部隊を率いて治安維持に当たっていたが、アダラパタの奸計によってアクア、次いでプリセラと激突。死闘の果てに仲間となったが、右腕の魂を失ったことで戦闘能力は大きく削がれてしまった。しかし、戦闘を重ねることで徐々に力を取り戻しつつあり、最終決戦の地であるパキ島まで同行する。 拳の魔法「三獅村祭」の使い手で、魔法器具は右手の甲に埋め込まれた3つの宝石。近距離攻撃の士熊(しぐま)、遠距離攻撃の飛燕(ひえん)、5発同時攻撃の午輪(ごりん)という3つの拳を使いこなし、それぞれを組み合わせた合成魔法拳「彗龍一本髪(すいりゅういっぽんがみ)」(士熊+飛燕)、「八ツ首卍龍(やつくびまんじりゅう)」(飛燕+午輪)、「華龍三ツ眼(かりゅうみつまなこ)」(午輪+士熊)を切り札としている。 完全合成魔法拳「神薙神無」(かんなかんな)という最強技の存在も仄めかされているが未完成。女神の三十指に所属する実の兄のエル・ボーイに対して強いコンプレックスを抱いている。
ネクバーパ
海賊のお頭。傷だらけの顔と腕に取り付けた大バサミが特徴。当初は右腕のみだったが、いつの間にか両腕とも大バサミに変貌した。水の生き物と会話する力を持っており、巨大甲殻竜グノキングの殻を改造し、海賊船として利用している。珍奇なものを求めて世界の海を冒険している最中に御風と出会い、知己となった。メモリア王国に着いてからは専らギャグ要員として活躍していたが、ティトォたちを決戦の舞台であるパキ島まで送り届ける大役を担うことになる。 腕っ節もそれなりに強く、シシメから修行を受ける前の御風を軽くあしらったこともある。
ムリア
伝説の女神を名乗る女性。ずんぐりむっくりした体型とパーマが特徴で、趣味はお菓子作り。その正体は高度な文明を誇った星の生き残りで、ムリア自身も優れた科学者である。およそ100年前、ドーマローラ国でかつて滅んだ自分の故郷を復活させる研究を行っていたが失敗し、国土の崩壊を招いた。年月を重ねるうちに野望の火が消えかけたこともあったが、アダラパタが焚き付けたことで本格的に行動を再開。 手足として働く部隊、女神の三十指を結成し、世間の評価を高めるためのパフォーマンス的な善行などを通して女神の偶像を創り上げた。
クゥ
三大神器の一角にしてドーマローラ国の生き残り。仮面で素顔を隠した最強の魔法使いで、禁断五大魔のひとつである空間歪曲魔法「マザー」を外部からのサポートなしで使いこなすことができる。自由奔放に振舞っている舞響大天やブライクブロイドとは違い、ムリアの忠実な下僕として行動する。ティトォはドーマローラ国の崩壊をデュデュマではなくクゥに依るものと考え、倒すべき最大の敵として認識している。
ブライクブロイド
三大神器の一角にしてドーマローラ国の生き残り。筋骨隆々の大男で、自らが生きている理由を知りたいと願っている。禁断五大魔のひとつ、血を操る無限増殖魔法「真紅虎龍牙」を使えるが、最大の力を引き出すためには五大石の補助を必要とする。アダラパタの上官として報告を受けてはいるものの、基本的に放任しており、自ら命令を下すことはない。 卓越した身体能力と格闘技術を兼ね備えたプリセラを強く意識しており、パキ島にてタイマン勝負を挑む。
舞響大天 (ぶきょうたいてん)
三大神器の一角にしてドーマローラ国の生き残り。妙齢の女性で、豊かな髪の毛と和服、頭に被った大きな鐘が特徴。その正体はアクアが溺愛していた妹のアロアだが、ドーマローラ国の崩壊時に心が壊れてしまい、アクアの殺害を望むようになった。アクアより10年ほど遅れて不老不死になったので、肉体的にはアクアよりも年上になっている。 禁断五大魔のひとつ、歌を操る自己破壊魔法「ヘルキルデスベル」を使えるが、最大の力を引き出すためには五大石の補助を必要とする。パキ島の決戦ではブライクブロイドとプリセラの一騎打ちを実現させるべく、サポート役に徹する。
アダラパタ
女神の三十指の一員。20代後半の男性で、額の刺青とやや尖った耳、長い銀髪が特徴。およそ20年前、野望を捨てようとしていたムリアの背中をまだ幼かったアダラパタが押したことで、本格的な活動が始まった。アダラパタ自身は女神の三十指の構成員でありながら司令官の役割を担い、位の高い三大神器や女神すら手駒として扱う。 任務に失敗した者は容赦なく切り捨てるなど、その性格は残虐非道で、人の心の隙間につけ込むのが得意。使用する魔法は魂を操作する「極楽連鞭(ごくらくれんべん)」。携帯電話に似た魔法器具を用いて発動し、魔力の探知やテレパシーのような遠方からの会話、魔力耐性の弱い者に対しては魂の破壊や洗脳までが可能である。冒険の過程で女神の三十指を次々と撃破、離叛させていくティトォを警戒し、メモリア王国で謀略戦を仕掛けるも、結果は痛み分け。 最終決戦を決断すると、ティトォたちをパキ島へと誘き寄せた。
コルクマリー
女神の三十指の一員で五本の指にも含まれる実力者。中性的な顔立ちの美青年で、数年に渡ってメモリア王国に潜伏していた。剣の魔法「四閃三獄」を使って剣仙十二客と呼ばれる12人の達人から太刀筋を奪い、己の技としている。技をコピーするごとに気に入った女性で試し斬りする趣味があり、これを完遂することで太刀筋を安定させている。 この儀式めいた行為は国民を恐怖のどん底に陥れ、「斬り裂き魔」としてその名を知らしめることとなった。魔法器具は小型のナイフ型だが、武器として使われたことはない。魔法を使わなくともかなりの戦闘力を有しており、「懐刀(ふところがたな)」と呼ぶ手刀は人体を切り裂くほどの威力を誇る。メモリア王国を去ると独断でジャンクーアを解放し、パキ島に上陸。 ある目的を果たすため、独自に行動を開始する。
ジャンクーア
女神の三十指の一員で五本の指にも含まれる実力者。喰の魔法「エッグ」の使い手で、不老不死の存在を除けば最強の人間であると明言されている。組織のトップであるムリアへの反逆罪で絶海の孤島に5年間に渡って囚われていたが、コルクマリーの訪問を契機に脱出。パキ島の決戦に乱入する。ちなみに職業は医者で子持ち。 息子と娘はシリーズ第4章となるエピソード「神無」で登場することが予告されている。
ダークアイ・Q (だーくあいきゅー)
女神の三十指の一員。人の踏み入れぬ場所でひっそりと暮らす水棲生物、ダークアイ一族の突然変異体。「ひょうたんまんじゅう」と表現される奇天烈な外見をしており、跳ねるように移動する。性格は高慢ちきで、そのIQは800。ティトォよりも賢く、作中のおまけページでは「仙里算総眼図(せんりざんそうがんず)」が通用しない最強キャラとも解説されている。 ダークアイ一族だけの楽園を築くために女神の三十指に加入したが、真の目的は女神を名乗るムリアの正体を突き止めること。嘘をついた相手を爆破する魔法「暗黒魔眼球」を利用してティトォから真相を聞き出すと、女神の三十指を離脱。以降はおまけページのナビゲーターとして活躍している。
リゼル
雪国クリスタベース出身の少年。見た目は小・中学生程度だが、実年齢は18歳である。胎児の頃に父親に薬物を投与され、人造の魔法使いとなった。リゼル本人は魔法の力を気に入り、人体実験の対象にされたことを恨んでいない。性格は自信過剰で好戦的。国外でも耳当て、マフラー、コート、ミトンという寒冷地ファッションに身を包み、ポケットには好物のアイスを忍ばせている。 リゼルの周囲は常に冷気が漂っているため、アイスが溶けることはない。魔法「アイスランランス」は速度を冷気に変換する能力で、氷の槍を地面に突き刺すことで素早いものほどよく凍らせるフィールドを展開する。メモリア王国からクリスタベースに帰国する船に乗るつもりが誤ってグノキングに搭乗し、本人の意思とは無関係にパキ島に辿り着いてしまった。 番外編「リゼルくんとリーザさんと」では6歳当時の日常が描かれる。
リーザ
リゼルの妹。2つ年上のリゼルよりも背が高くて大人っぽい容姿をしているが、リゼル曰くケバいだけ。魔法使いだと明言はされていないが、詳細は不明。本作『マテリアル・パズル ~彩光少年~』ではリゼルの過去を描いた番外編「リゼルくんとリーザさんと」にのみ登場する。
月丸 (つきまる)
女神の三十指の一員。舞響大天の子飼いの魔法使い。弟の太陽丸と組んで主に暗殺を担当している。年齢は10代後半。月を模した耳飾りと左頬の三日月マークが特徴。舞響大天と太陽丸を溺愛しているが、他の人間に対しては非常に冷酷。おまけページにて精神が完全に壊れていると解説されている。能力は炎を氷に変換する魔法「夜叉水晶」。 氷の刃を相手に突き刺した状態で魔法を解除すると相手を瞬時に焼き尽くすことも可能である。本作『マテリアル・パズル ~彩光少年~』では月丸と太陽丸の休暇を描いた番外編「月丸さんと太陽丸くんと」にのみ登場する。
太陽丸 (たいようまる)
女神の三十指の一員。舞響大天の子飼いの魔法使いで、姉の月丸と組んで主に暗殺を担当している。年齢は10代後半。太陽を模した耳飾りと両頬のマークが特徴。どんな時でも姉の月丸を第一優先として行動する。魔法「修羅万華鏡」の使い手で、鏡やガラスなどに幻影を映し出して惑わす戦法が得意。月丸が魔法で氷を作り出し、そこに太陽丸が幻影を映すというコンビネーション技も強力。 本作『マテリアル・パズル ~彩光少年~』では月丸と太陽丸の休暇を描いた番外編「月丸さんと太陽丸くんと」にのみ登場する。
集団・組織
女神の三十指 (めがみのさんじっし)
ムリアの手足として動く30人の魔法使い。その多くは生きる気力を失った空っぽの人間であり、アダラパタによって魔法器具と存在理由を与えられた。名目上は女神に選ばれた正義の使者だが、実際には女神陣営の活動資金調達、五大石の収集、禁断五大魔「命七乱月(いのちななつみだれづき)」の発見、星のたまごの回収を主な目的としている。 また構成員にも隠されているが、大地から魔法の力を取り上げて部下に授けることで、大地の守護神であるデュデュマの力を削ぎつつ自分たちの戦力を高めるという一石二鳥の狙いもある。
五本の指 (ごほんのゆび)
女神の三十指の中でも突出した実力を持つ鬼人ジール・ボーイ、死神ヨマ、切り裂き魔コルクマリー、守護騎士ナトラレーゼ、魔人ジャンクーアのこと。三大神器に次ぐ実力を持つとされているが性格に難のある者が多く、指揮を執るアダラパタは扱いづらいと評している。
三大神器 (さんだいしんき)
クゥ、舞響大天、ブライクブロイドのこと。それぞれが禁断魔法を所有しており、女神の三十指の上に立つ者として「設定」されている。指揮系統としてはムリアの配下という扱いだが、実際には協力者という立場なので、あまり忠実ではない。星のたまごの欠片を利用して不老不死となっているが、定期的なメンテナンスを行わなければ維持できないなど、ティトォ、アクア、プリセラの不老不死とは違って不完全な部分がある。 また、根幹のエネルギーが尽きると効力を失う命とも説明されている。
場所
メモリア王国 (めもりあおうこく)
世界の中心と呼ばれる大国。文明の発達が著しく、城下町にはレールと呼ばれる路面電車のような乗り物、ビジョンと呼ばれる街頭テレビのような機械が設置されている。魔法研究の分野においてもトップクラスで、魔法王国メモリアの異名で知られている。王家の人間は魔法の力を宿しており、国王のバレット、王子のグリンは生まれついての魔法使い。 不老不死になったティトォ、アクア、プリセラが長い時を過ごした第二の故郷でもある。決戦の舞台であるパキ島に向かうグノキングに搭乗しなかった仲間たちはこの地でティトォらの帰りを待っている。
パキ島 (ぱきとう)
最終決戦の舞台としてアダラパタが指定したすり鉢状の島。半径3キロ程度の小さな島で、岩に覆われており、草木はまったく生えていない。女神陣営が所有する五大石を用いた場(フィールド)が展開されており、島内に限っては禁断魔法を無制限に発動することが可能となっている。
ドーマローラ国 (どーまろーらこく)
100年以上前に滅びた小さな島国。ティトォ、アクア、プリセラの故郷であり、ムリアと三大神器もこの国の生き残りである。ドーマローラ国の地表には星の樹と呼ばれる貴重な植物が現出しており、星のたまごが実を結ぶ可能性を秘めていた。それを手に入れようとしたムリアの行動が崩壊のきっかけを招いたが、その真相を知る人間は少ない。
その他キーワード
星のたまご (ほしのたまご)
ティトォ、アクア、プリセラが魂を宿すエネルギーの結晶体。人間の頭部ほどの大きさで、木の実のような外見をしている。気の遠くなるような年月をかけて星が蓄えたエネルギーが凝縮されており、その力を利用すればあらゆるモノを存在変換することが可能とされている。ムリアは自らの野望のために星のたまごを我が物にせんと、ティトォたちを執拗に狙っている。
五大石 (ごたいせき)
星のたまごの欠片のなかでも特に大きな5つの石。強大なエネルギーを秘めており、すべて集めれば大魔王デュデュマですら抑え付けることができる。魔力の制御にも重宝することから、メモリア王国の魔法研究所でも活用されていた。また、サンによって呼び出された五大石の精霊はM・Pの発動を補助するという重要な役割を担っている。
存在変換 (そんざいへんかん)
身体を共有しているティトォ、アクア、プリセラは死ぬと魂が入れ替わり、その肉体も魂に合った姿へと分解・再構築される。この存在変換によって事実上の不死を獲得しているが、存在変換が発動するのは物理的な要因で死亡した場合に限られる。魔法によって殺されてしまうと不死の鎖が断ち切られ、二度と復活することはない。
M・P
星のたまごに同居するティトォ、アクア、プリセラの魂が同時に表に出た状態。外見こそティトォだが髪が赤く、3人の個性が一緒くたになったような性格をしている。ティトォの頭脳と回復・強化の力、アクアの強大な魔力、プリセラの身体能力というそれぞれの強みを一身に宿して戦うことが可能で、その力は三大神器にも匹敵する。 しかし制御が難しく、魂と肉体(星のたまご)に多大な負荷がかかってしまうという弱点もある。
魔法 (まほう)
生物が持つ霊気(オーラ)や自然界に存在するエネルギーを分解、再構築して新たな法則を生み出す能力を魔法という。エネルギーの最小単位であるマテリアル・パワーを再構築することは非常に困難とされ、その修得難度は1000人に一人の才能の持ち主が20年の指導を受けてようやくなれるかどうかと言われている。
魔法使い (まほうつかい)
魔法の力を行使できる者のこと。ティトォやアクアのように修行の末に魔法を修得した者、バレットやグリンのように生まれついて魔法を使える者、女神の三十指のように魔法器具を装備することで魔法を使う者など、いくつかのタイプが存在している。なお、サンやネクバーパの特殊能力は魔法ではない。 これらの能力は本人のマテリアル・パワーの高さに由来しており、彼らのように魔法未満の超能力めいた能力を持つ者を「マテリアル使い」と呼んで区別する。また、特殊能力こそ持っていないが、御風のようにマテリアル・パワーが高く、人間離れした身体能力を持つ者も「マテリアル使い」に含まれる。
禁断五大魔 (きんだんごたいま)
あらゆる魔法の中で最も強力とされる5つの禁断魔法のこと。仔の魔法「マザー」、血の魔法「真紅虎龍牙(しんくこりゅうが)」、歌の魔法「ヘルキルデスベル」、時の魔法「ゴッドマシン」、命の魔法「命七乱月(いのちななつみだれづき)」の5つが該当する。制御の難しさゆえに戦闘で使われることは稀である。
デュデュマ
1000年前に伝説の女神と魔法使いたちによって倒されたと伝わる大魔王。進みすぎた文明を滅ぼす存在という立ち位置から戒めの一種だと考えられていたが、その正体は星の防衛システム。星のたまごを悪用しようとする人間を滅ぼし、星のたまごを再び大地へ返還することを目的として作動する。ティトォはおよそ100年前、ドーマローラ国の崩壊時にデュデュマの姿を目撃している。