マラソンマン

マラソンマン

井上正治の代表作。平成初期の日本を舞台に、高木一馬のマラソン人生を描いたスポ根ヒューマンドラマ。人間が持ち得る不撓(ふとう)不屈の精神を礼賛するようなストーリー展開が特徴となっている。特に物語の序盤においては、一馬の父親である高木勝馬が主人公として扱われており、彼が酒浸りの生活から脱却し、マラソンを通して親子の絆(きずな)を深めていく様子が見どころとなっている。スポ根的な熱量を持った作品でありながら、風向きを利用した攻防、給水所でのアクシデントなど、マラソンで起こり得る詳細な描写は見応えがある。講談社「週刊少年マガジン」1993年第26号から連載の作品で、1997年に完結している。

正式名称
マラソンマン
ふりがな
まらそんまん
作者
ジャンル
家族
 
陸上競技
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概要・あらすじ

登場人物・キャラクター

高木 一馬 (たかぎ かずま)

かつて日本長距離界の新星ランナーと注目された高木勝馬の息子。市立香住台小学校に通う3年生。小柄な体型で、キャップを逆向きにかぶり、フード付きトレーナーにオーバーオールを身につけている。父子家庭で育ち、勝馬から母親は死んだと聞かされている。授業参観をすっぽかされたことで勝馬に愛想を尽かしているが、勝馬を侮辱した級友に食って掛かるなど、本心では父親を慕っている。ある日、母親の面影を求めて古いアルバムを手に取り、勝馬がマラソン界で有名な選手だったことを知る。そして勝馬が早朝ランニングを再開すると、その姿に感動して朝食を作ったり、練習メニューを考案して特訓に付き合ったりと、勝馬を支えるようになる。体育は苦手だったが、父親の姿に魅了され、いつしかマラソン選手になりたいと考えるようになる。なお、高木一馬が考案した練習メニューは女性教師の五十嵐の協力のもと、近代スポーツ科学トレーニング、スポーツ栄養学などの専門書を参考にしており、勝馬の再起に大いに貢献した。

高木 勝馬 (たかぎ かつま)

高木一馬の父親。タクシー運転手として働いている。年齢は36歳、身長180センチで、体重76キロ。ボサボサの髪にヒゲをショートボックスに整えている。幼少期に東京オリンピックで見たアベベ・ビキラに魅了され、マラソンを始めた。13年前、福岡国際マラソンを日本歴代3位の好タイムで走り優勝を飾った。マラソン界の新星と称賛されるも、その後は精神力の弱さから優勝できないと判断すると棄権する悪癖により、完走できないレースが続いてマラソン界を去ることとなった。現在は酒と賭博に明け暮れる典型的なダメ親父ながら、7年前に男を作って逃げ出した元妻の美也子が一馬の親権を取り戻そうとしていることを知って一念発起。マラソンレースで自らの立派な姿を見せて、裁判を有利に進めようと画策する。交通事故でタクシー会社をクビになるという不運に見舞われながらも、身体を全盛時と同様に60キロまで絞り、4200ccまで低下していた肺活量を6000ccに引き上げることに成功する。優勝すれば将来的にコーチとして生計を立てていけると己を奮い立たせ、人生を賭けた大勝負に挑む。

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