さよならの朝に約束の花をかざろう

さよならの朝に約束の花をかざろう

劇場用アニメ『さよならの朝に約束の花をかざろう』のコミカライズ作品。いつまでも見た目が変わらない不老長寿の少女のマキアと、彼女に育てられた男の子のエリアルが、数奇な運命をたどる姿を描いたファンタジー作品。母親として成長していく少女の姿と、少年から大人へと成長していくにつれて変化する人の葛藤を、緻密に表現している。「サイコミ」で2018年4月から連載の作品。

正式名称
さよならの朝に約束の花をかざろう
ふりがな
さよならのあさにやくそくのはなをかざろう
原作者
Iorph
漫画
ジャンル
家族
 
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

不老長寿の一族「イオルフ」の少女のマキアは、穏やかな日々を過ごしていた。しかしある日、イオルフの住む里はメザーテの侵攻に遭い、壊滅してしまう。古の獣「レナト」を擁するメザーテに成す術もなく蹂躙されるイオルフの里だったが、その中でマキアは突如、赤目病を発症したレナトにさらわれてしまう。理性を失って暴れまわるレナトは空の彼方に飛び去り、その最中に命を燃やし尽くす。レナトにさらわれたマキアは、奇跡的にもイオルフの織る「ヒビオル」の布に包まれた事で九死に一生を得て、里を襲った者たちの手からも逃れる事に成功するのだった。孤独な逃避行に絶望するマキアだったが、たどり着いた集落跡地で赤ん坊とバロウに出会う。マキアはバロウに忠告されつつも、赤ん坊を育てる事を決意。そしてマキアは、行き着いた農家の女性、ミドの助けを借り、赤ん坊にエリアルと名付け、平穏な日々を送り始める。

第2巻

農村で暮らし始めてから数年後、持ち込まれた「ヒビオル」を見てレイリアの現状を知ったマキアは、その事実を確かめるためにメザーテへと旅立つ。道中、クリムと再会したマキアは、自らのもとにもたらされた「ヒビオル」が彼の手によるものだと知り、レイリアの救出に手を貸す。しかし当のレイリアは、子供を身ごもった事を告げ、迎えに来たマキアを拒絶するのだった。レイリア救出に失敗したクリムたちは、子供のいるマキアを巻き込まないように別れを告げ、旅立つ。マキアは定住できないため、生活に苦しみつつも、エリアルと二人、生き抜く事を誓うのだった。そして時は流れ、数年後、ドレイルの都市の食堂で働いていたマキアは、かつて農村でいっしょに暮らしていた子供のラングと再会する。一人の男として成長したラングはマキアに思いを告げるが、その思いは拒絶される。しかし、その様子を見ていたエリアルは自身の気持ちに整理がつかず、マキアと気持ちのすれ違いを起こす。青少年として成長したエリアルと、いつまでも姿の変わらないマキアのすれ違いは加速し、二人の道は遂に分かたれる事となる。

登場人物・キャラクター

マキア

イオルフの少女。両親がおらず、仲間たちに囲まれつつも、つねに「ひとりぼっち」の孤独を胸に抱えながら過ごしていた。メザーテがイオルフの里を襲撃した際に、赤目病を発症したレナトが暴れ、それに巻き込まれる形で里の外に逃げおおせる。その後、賊に襲われた流れ者の集落で、ただ一人生き残った赤ん坊を発見。自分と同じ「ひとりぼっち」のその赤ん坊をエリアルと名付け、育てる事を決意する。エリアルを拾った当時の年齢は15歳だったが、不老長寿のイオルフの民であるため、その後も周囲が歳を重ねる中で、いつまでも10代の少女の姿をしたままである。またエリアルを育て始めてからはイオルフの民である事を隠すため、金色の髪をエリアルと同じ明るい茶色に染めている。両親がいないために母親というものがわからず、また周囲も若くして子供を生んだ娘と誤解して接するため、苦境に立たされる事が多いが、それでもエリアルの母親として強く生きようと考えている。農村でミドに世話を焼かれつつエリアルと平穏に暮らしていたが、レイリアの事を知ってメザーテに赴く。その後はエリアルを育てるため、ドレイルという都市に身を寄せ、食堂の看板娘として働いている。

エリアル

人間の男の子。赤ん坊の頃、流れ者の集落でただ一人生き残っていたところ、マキアに拾われた。名前は「レイリア」の名前を男風に変えたもので、マキアが名付けた。それから農村でマキアと共に暮らし、健やかに成長して少年となる。農村では幼なじみのディタたちと仲を深めるが、母親の事をからかわれて喧嘩し、直後にマキアが村を離れたため、喧嘩別れしたままとなる。幼い頃は純粋に母親は自分が守ると思って行動していたが、成長するにつれ、その思いは複雑化していく。思春期に入った頃からマキアが自分の本当の母親ではないと気づき始め、彼女に対して態度がよそよそしくなり、母親と呼ばなくなる。そしてラングとの再会をきっかけにして、マキアのもとを離れる事を決意。メザーテの軍に入隊する。

レイリア

イオルフの少女で、クリムの恋人。明るくお転婆な性格で、イオルフの里では高所から水辺に飛び込んで遊ぶ事もあった。マキアとは友人同士で、仲がよかった。メザーテがイオルフの里を襲撃した際にさらわれる。その後は、イオルフの長命を欲したメザーテ王家の企みで、ヘイゼル王子の妃となる。6年後、クリムが救いに行った頃はすでに懐妊していたため、助けに来たマキアたちの手を振り払い、彼女たちが逃げるのを手助けした。その後、メドメルを出産するが、イオルフの特徴が受け継がれなかった事から失望され、王家の中で立場がなくなる。メドメルと引き離され、自分を取り戻しに来たクリムと仲間たちを目の前で殺されたため、精神的に不安定になる。誰にも心を許せない宮殿で「ひとりぼっち」になった事への恐怖から、マキアの存在を強く求めるようになる。

クリム

イオルフの青年で、レイリアの恋人。優しく誠実な人柄で、よくお転婆な行動をするレイリアを温かなまなざしで見守る。マキアとは友人同士で、仲がよかった。メザーテがイオルフの里を襲撃した際に、レイリアを奪われつつも脱出する事に成功する。その後はレイリアを取り戻すため、身を潜めながら準備を整えていた。ひそかに「ヒビオル」にメッセージを混ぜて各地に送り込んでおり、これによって散ったイオルフの仲間たちをメザーテに集める。その道中、メッセージに気づいたマキアと再会し、彼女と協力してレイリアを救出しようとするが失敗。その後はエリアルのいるマキアを気遣って、彼女を残して去った。レイリアを助けるため、仲間たちと共に宮殿に忍び込むが発見され、衛兵に深手を負わされる。レイリアはそれでクリムが死んだと思っていたが、実は生き延びており、レイリア奪還のために暗躍している。

ラング

ミドの息子。マキアが出会った頃は、やんちゃで活発な性格をした黒髪の少年で、よく弟のテオルをからかって遊んでいた。同年代のマキアとは遠慮せずに話せる存在で、落ち込んだマキアに母親としての自覚をうながした。マキアが村を出たあとは数年間顔を合わせる事がなかったが、ドレイルという都市で再会。その際は黒い髪を伸ばした青年へと成長し、出稼ぎのためにメザーテの兵士となっていた。実は幼い頃からマキアに恋心を抱いており、彼女に告白するが拒絶される。しかしその後も、マキアのよき理解者として振る舞う。成長したエリアルにも兄貴分として接し、彼の思いを汲んでメザーテに彼を入隊させている。数年後はメザーテで師団長の地位まで出世しており、数年経ったあとでも消息を絶ったマキアの無事を祈っていた。

ディタ

エリアルの幼なじみの少女。お転婆な性格をしており、喧嘩で同年代の子供を懲らしめた事で、農村の子供たちのあいだではガキ大将的な存在となっている。ただ一人、エリアルだけはディタを女の子扱いしてくれたため、幼いながら彼に好意を抱く。しかし、母親にべったりなエリアルに腹を立て、彼に心無い言葉を言ってしまう。折り悪く、その直後にマキアが村を離れるあとをエリアルがついて行ったため、喧嘩別れとなってしまう。のちにエリアルのもとに謝罪に訪れるが、エリアルはすでに去った事を知り、愕然とする。

ミド

農家の女性。ラングとテオルの母親で、夫は赤目病を発症したレナトに殺され、女手一つで二人の息子を育てている。エリアルの食事を求めて忍び込んだマキアの事情を知り、彼女が自立できるように世話を焼いた。両親のいないマキアに母親としての在り方を教えた人物で、よき理解者となる。マキアがイオルフの民である事がバレないように髪を染めるのを手伝ったり、周囲に口止めをお願いしたりしていたが、数年後、周囲に怪しまれ始めた事で限界を感じる。マキアがメザーテに行くのを知って船の手配を手伝い、彼女たちの旅立ちを見送った。

イゾル

メザーテの男性兵士。国王の命により、イオルフの里を襲ってレイリアをさらった。その際、レイリアからメドメルを引き離し、彼女の目の前でレイリアを取り戻しにきたクリムと仲間たちを殺した。当時は師団長の地位に就いており、イオルフの里襲撃では指揮を執っていた。その後は宮殿で仕え、たびたびレイリアに接している。軍人として仕事を優先してはいるものの、イオルフの民に行っている非道には罪悪感を感じ、苦しんでいる。この事からレイリアに罪滅ぼしをしたいと考えており、彼女に頼まれてマキアを探す。

ラシーヌ

イオルフの女性。イオルフの民をまとめる長老で、若々しい見た目をしているが年齢は400歳を越える。両親がいないマキアの事を気にかけており、彼女にイオルフが「別れの一族」だと説いた。バロウとも知り合いらしく、バロウはなぜラシーヌがイオルフの民と人間の交わりを禁じたのか、その理由を語っている。

バロウ

マキアが里を出た際に初めて会った青年。イオルフの里には「ヒビオル」を買い付けに何度かやって来た事があり、イオルフの事情に精通している。実はイオルフとふつうの人間のハーフ。ラシーヌとも知り合いで、イオルフの民がなぜ「別れの一族」と呼ばれるのかをマキアに説いた。メザーテにも姿を現し、レイリア救出に失敗し、危機に陥ったマキアを助ける。

メドメル

レイリアの娘。メザーテ王家に新たに生まれた女児だが、イオルフの特徴が受け継がれず、ただの人間として成長する。寿命も通常の人間と同じくらいしかないと予測されている。父親のヘイゼル王子は多忙で会おうとはせず、レイリアとも生まれてすぐに引き離されて育てられたため、両親の温もりを知らずに育つ。

場所

メザーテ

古の獣「レナト」を擁する人間の王国。レナトを用いた戦術で近隣国家を制圧していたが、近年は赤目病でレナトが減少の一途をたどっているため、その権威に影が差しつつある。レナトに代わる新たな権威の象徴としてイオルフの長寿を求めており、メザーテ王家はイオルフの民を王家に招き入れ、世継ぎを生ませようと考えている。

その他キーワード

イオルフ

少年少女のような姿のまま数百年を生きる不老長寿の種族。人里離れた場所で、「ヒビオル」と呼ばれる布を織りながら静かに暮らしている。髪は暁月の色で、瞳には金色の輪が浮かび、体温が低いという、種族的な特徴がある。人と変わらぬ見た目をしているが、長命な彼らは長く暮らせば暮らすほどその異質さが現れ、やがて人間たちから利用され、嫌悪されて最終的には排除される。このように人から別れをつきつけられる運命を持つため「別れの一族」とも呼ばれる。ラシーヌは、民が過酷な運命に翻弄されないようにイオルフの民が里の外に出たり、人と交わったりするのを禁じている。

レナト

空を飛ぶ古の獣。翼を持つ巨大なトカゲのような姿をしており、メザーテに生息する。メザーテの人間はレナトを飼いならし、軍事転用する事で近隣国家を制圧していた。しかし近年は、レナトのあいだで「赤目病(あかめびょう)」と呼ばれる不治の病が流行っている。赤目病にかかったレナトは狂暴化したあと、最終的に死亡するためにレナトは年々、その数を減らしている。エリアルが入隊した頃には最後の1匹となっており、メザーテの城で大事に保護されている。またレナトはメザーテの権威の象徴となっているため、メザーテは戦意高揚のパレードでレナトが行進させていたが、レナトの数が減ったあとはレナトの張りぼてを作ってパレードをしている。

クレジット

原作

Iorph

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