あらすじ
第1巻
かわいい妹の佐倉舞のことが大好きな佐倉詩真は、いつもの日課と称して舞の部屋に勝手に入り、深呼吸して舞の部屋の空気を胸いっぱいに吸い込んでから、彼女のベッドに潜り込み、さらなる舞の匂いを堪能していた。だが、布団の匂いを嗅ぐのに集中していた詩真は、その体勢のまま、帰宅した舞と鉢合わせてしまう。詩真は大いに動揺するものの、一方の舞はそんな彼女の様子を気にも留めず、あくびをしながら自分も休みたいと詩真のいるベッドに潜り込む。あっという間に寝入った舞を前に、冷静さを取り戻した詩真はその場をあとにしようとするが、寝ているはずの舞に腕をつかまれ、ベッドの中に引き戻されてしまう。そして、寝相の悪い舞に抱きつかれた詩真は、至福の表情のまま、いつしか自らも眠りにつくのだった。するとそこに、詩真の母親が夕食の準備ができたと呼びに来る。(第1話「シスコンお姉ちゃんと妹の部屋」。ほか、7エピソード収録)
第2巻
夏の暑い日、詩真の母親から頼まれた買い物を済ませた佐倉詩真は、汗だくで帰宅した。「これだから夏は嫌い」と愚痴る詩真に対し佐倉舞は、一口どうぞと持っていたアイスを差し出す。舞との間接キスへの期待に詩真は瞬時に前言を撤回し、これだから夏が好きなんだと心の中で盛り上がるが、食べさせてあげると舞にスプーンを差し出されたことで、さらに有頂天になる。そして、その場にいた詩真の母親もまた、そんな二人の百合シーンを凝視しながら、夏は最高だと心の中でつぶやくのだった。こちらを見つめる母親の様子に気づいた舞は、彼女にもアイスを食べるかと持ち掛けるが、詩真の母親はその申し出を辞退し、自分は交ざりたいわけではないと、よく意味のわからない言葉を返す。(第13話「シスコンお姉ちゃんと夏の暑さと後悔と」。ほか、8エピソード収録)
登場人物・キャラクター
佐倉 詩真 (さくら しま)
ロングヘアをハーフツインにした学生の少女。佐倉舞の一つ年上の姉。重度のシスコンで妹の舞のことを溺愛しており、彼女の部屋に忍び込んでは、舞の残り香を嗅いだりベッドで寝たりすることを日課としている。また、舞との何気ない身体接触でも激しく興奮してすぐに鼻血を吹き出す。時には洗濯物を取り込むふりをして舞のパンツに顔を埋めてみたりと、その行動はすでに変態の域に達している。佐倉詩真自身もその変態性を自覚しており、これらの行為が周囲にバレないように振る舞ってはいるものの、基本的に詰めが甘く、舞当人や詩真の母親にしょっちゅう目撃されている。ちなみに、舞が一番大切なのは変わらないものの、親友の塚本悠の妹である塚本末のことも、舞をめぐるライバルであるにもかかわらずかわいがったりと、基本的に「妹属性」全般に対して弱い傾向がある。学校の成績はいいが、舞と関係のないことについては非常に疎い。
佐倉 舞 (さくら まい)
ポニーテールの髪型にした学生の少女。佐倉詩真の一つ年下の妹。少々天然なところはあるが、明るく屈託のない性格のごくふつうの女の子。だが、姉の詩真や学校の後輩の塚本末など、不思議と女子に好意を寄せられることが多い。スマホゲームにハマると、いきなりたくさんのゲームを掛け持ちしたり、それにより成績を大幅に落としたりと、少々思慮が浅いが、周囲にはそんなところもかわいらしいと愛され許されてしまう得なタイプ。なお、詩真の変態行為もたびたび目撃しているものの、特に気にしてはおらず、詩真との姉妹仲も非常にいい。
塚本 悠 (つかもと ゆう)
ツインテールの髪型にした学生の少女。佐倉詩真の親友で、塚本末の二つ年上の姉。クールな性格だが、実は詩真に思いを寄せており、彼女の言動にひそかに一喜一憂している。もともと詩真がシスコンであることはなんとなく把握していたが、彼女の家に遊びに行った際、佐倉舞に対する詩真の姿を見て、さすがにヤバいと認識。どうにか詩真をまっとうな道に引き戻そうと決意する。同時に、舞があまりよくないレベルでスマホゲームにハマり込むきっかけを作ったのが、塚本悠自身の妹の末であることを知り、間接的に詩真に迷惑をかけたことを気に病むようになる。
塚本 末 (つかもと こずえ)
セミロングヘアの頭の左側にリボンを付けている学生の少女。塚本悠の二つ年下の妹。学校の一つ上の先輩である佐倉舞に好意を寄せており、佐倉詩真の家に遊びに行った悠から舞の匂いを嗅ぎ分けるなど、舞への思いや変態度は詩真にも匹敵するレベル。思い余って舞にラブレターを渡したこともあり、舞には付き合えないと断られたものの、代わりに友達として付き合うことを約束してもらった。もともと本当に付き合ってもらえるとは考えておらず、返事が聞けただけで満足だと語るなど、かわいらしい外見にかかわらずアグレッシブで打たれ強いタイプ。のちに舞の家に遊びに行った際、同じく舞に思いを寄せる詩真とゲーム「ツ○スター」で勝負するが、倒れ込みそうになったところをかばってもらい、以降は詩真にも好意を抱くようになる。なお、女性同士の恋愛感情に敏(さと)く、姉の悠が詩真に思いを寄せていることを把握している。
詩真の母親 (しまのははおや)
佐倉詩真と佐倉舞の母親。ロングヘアを首の後ろで一つに縛っており、顔立ちが詩真や舞によく似ている。周囲にはひた隠しにしているが、実はかつて百合系漫画を描いていた同人作家で、同人活動は引退したものの、詩真の母親自身の百合好きはいまだ健在である。舞に接する詩真の様子からただならぬものを感じ、二人のことを観察していたが、ある時、舞がもらったラブレターについて詩真と舞が痴話ゲンカしているところを見て創作意欲を強く刺激され、ついに我慢できずに同人作家として復帰。以来、娘二人をモデルにした百合漫画を描き始める。娘たちの交友関係や、友人を含めたそれぞれの思いについてもある程度把握しており、詩真や舞はもちろん、家に遊びに来た塚本悠や塚本末のことも、ワクワクしながら見守っている。ちなみに、漫画を描く時だけ眼鏡をかける。
書誌情報
シスコンお姉ちゃんと気にしない妹 全3巻 KADOKAWA〈MFC キューンシリーズ〉
第1巻
(2019-02-27発行、 978-4040654843)
第2巻
(2019-12-27発行、 978-4040642178)
第3巻
(2020-12-26発行、 978-4046801036)