概要・あらすじ
丸田風右子は親の言う通りに塾に行き、習い事をしてきたのに大学受験に失敗。親の期待を裏切り、見捨てられてしまう。すっかり指示待ち体質になってしまった風右子は、自分で考え、臨機応変に対応することができない。友達もおらず、相手の気持ちを汲(く)み取ったり、空気を読むのが苦手。初めてのアルバイト先は中国茶カフェ「朝顔」。風右子はなかなか一人前にはなれず、2か月たっても研修中だ。指導係の篠原にいくつもの質問を投げかけ、メモが手放せない。ある日、人手が足りないからと「朝顔」から呼び出される風右子。まだ習っていないのにレジを任されてしまう。分厚いマニュアルを見ながらの接客でレジは大混乱。結果、同僚に迷惑をかけてしまう。店を出た後、カバンを忘れた風右子が、朝顔に戻ると事務所から「使えねぇ。このままじゃ戦力外でクビもあり得る」などと風右子の陰口を言う声が聞こえてきた。しかし、指導係の篠原は「大丈夫だよ。俺が面倒みてるんだから。お前らこそ、あいつに仕事教えてやってんのか」と風右子の頑張りを認め、かばってくれた。風右子は事務所に入り、今日迷惑をかけた同僚に謝り、篠原には今後もご指導をお願いしますと頭を下げた。そして数日後。同僚女子から篠原に彼女がいるのか聞いて欲しいと頼まれた風右子は、みんながいる前で篠原に「つきあっている人はいますか?」と聞いてしまう。すると篠原は「いるよ。彼女」と答えた。それを聞いた風右子は、胸にかすかな痛みを覚え、その夜は眠れなくなってしまう。
登場人物・キャラクター
丸田 風右子 (まるた ふうこ)
19歳の女性。髪型は腰まで長さのストレートで、前髪は短く眉毛が見えている。フリーターで、中国茶カフェ「朝顔」で働くが、2か月たっても研修中で、メモが手放せない。不器用で臨機応変な対応ができず、自分で考えて行動することも空気を読むのも苦手。いつも一生懸命なのだが、笑顔が固くて不愛想、威圧感があるとお客さんからクレームをもらってしまう。小さな頃からピアノ教室、英会話、書道、家庭教師、塾と両親から習い事を詰め込まれ、指示待ち体質になっている。大学受験に失敗して、出来損ないとわかると両親は自分に何も求めなくなった。おじいさんの家で暮らしており、服装にも無頓着。これまでは友達もいなかった。
篠原 (しのはら)
中国茶カフェ「朝顔」の店員の男性。丸田風右子の指導係。前髪は長めで毛先を遊ばせている。切れ長の目をしたイケメンで、営業スマイルで女性客を虜(とりこ)にし、同僚女子からもモテている。たくさん質問してくる面倒くさい後輩の風右子の面倒をよく見ている。彼女持ち。