ミステリー民俗学者 八雲樹

榊大学の民俗学研究室で、民俗学者の教授の助手を勤める青年八雲樹が、ゼミの学生である富良野と共に日本各地で起こる殺人事件に巻き込まれ、解決して行く、本格ミステリー漫画。

正式名称
ミステリー民俗学者 八雲樹
作者
原作
ジャンル
推理・ミステリー
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
全9巻
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概要・あらすじ

榊大学房総校舎にある民俗学研究室に入り浸る八雲樹は、不在がちの民俗学教授の代わりに地方からの調査依頼を受け、何かと研究室に顔を出す富良野と共に民間伝承のフィールドワークを度々行なっていた。日本各地に伝わる民話や伝説、古来からの習慣が生きる村や町で奇怪な事件に遭遇した八雲は、民俗学の見地から数々の謎を解いて行く。

登場人物・キャラクター

八雲 樹 (やくも いつき)

民俗学教授の助手として、榊大学で民俗学を研究する。自宅にも帰らず奇妙な置物が散乱した民俗学研究室に入り浸り、不在がちな教授の代わりにフィールドワークをこなしている。伸ばしっ放しの長髪を後ろで束ね、伸び切ったセーターの袖を鍋掴み代わりに好都合だと思うようなズボラな青年。 メガネを外して真面目にしていれば美青年とも取れるのだが、研究に没頭して食事を1週間忘れることもザラである。エピソード「冬に咲く桜」で初めて八雲の過去に触れられるが、彼は幼い頃両親を火事で失い、祖父に育てられている。結婚を祖父に反対されていた八雲の両親のことは詳しくは語られず、八雲は父が民俗学者であったことから自分もまたその道に進み、父の足跡を辿ろうとしていた。 唯一当時の記憶で残っているのは、12月に乱れ咲いた桜の木。それが何処にあるのかを探して、八雲は暇が出来る度に日本各地を巡っていた。研究者として謎を放っておけず真実を知りたい、と言う習性から数々の殺人事件に巻き込まれて行く。

田久保 美和 (たくぼ みわ)

第一の事件「天狗伝説殺人事件」でのヒロイン。ダムの底に沈む運命にある東北地方の朽果村の村長田久保善蔵の娘であり、最後の山神の祭りで行なわれる天狗の舞を舞う舞姫。7歳まで東京で育ち、山奥の山村に戻ってからは、舞をやる以外引き蘢りの生活だった。だが、物語の5年前に天狗祭りの取材をしにやってきた椎名と言う青年と出会い、恋に落ちた。 2人は結婚を誓って揃って東京に出て行こうとするも父善蔵の猛反対に合い、椎名もそれきり姿を消してしまった。「天狗の裁き」と称された連続殺人はこの5年前にあったとある事件が発端だった。長い黒髪の美少女で、天狗伝説に基づいた両面宿儺の舞いの腕は、見事なもの。

衣川 葉月 (ころもがわ はづき)

第二の事件「かぐや姫殺人事件」でのヒロイン。かぐや姫伝説の伝わる那余野町で行なわれるミスかぐや姫コンテストに出場する。榊大学に通っていた時期があり、八雲とはその時からの知り合いだった。物語の13年前に起こった那余野町の大地震で両親を失い、その付近の老夫婦に養女として迎え入れられたが、地震当時の記憶を失っている。 その時彼女が逃げ込んだ竹林がミスかぐや姫コンテストの賞品の1つであったため、両親の最後の痕跡をもつ竹林をどうしても手に入れたかった葉月は、コンテストの優勝を目指していた。見事な黒い長髪がかぐや姫という名に相応しい美少女。久しぶりに再開した八雲にいきなり抱きつくなど、やんちゃな面も。 大学時代から八雲のことが好きだった。

加賀 遥子 (かが ようこ)

第三の事件「蕗の下の殺人者」でのヒロイン。民俗学者神林有常の助手であり、神林は元榊大学の教授で、八雲はその講義を8年前に受けていたことがある。神林は小人伝説が研究テーマで、6年前、加賀は神林と共に小人伝説が伝わる青森県彦奈郡素久名村に調査に来ていた。 その時神林は古文書を捏造し、その責任を取って自殺した事件が発端で、加賀は、八雲や富良野を伴って再度素久名村を訪れた。38歳の女性だがまだ若く、アップにした茶髪が色っぽい。神林教授に惚れていたが、教授本人はそう言ったことに疎かった。

倉持 宮子 (くらもち みやこ)

第四の事件「山姥の里殺人事件」でのヒロイン。富良野の高校時代の友人で、合コンの人数合わせのために八雲が呼ばれて宮子と知り合った。男はみんな狼、と思い込んでいた宮子は、その手のことに疎い八雲に好意を寄せる。宮子の祖母が人を喰らう山姥だと言うの噂がつきまとい、それが信じられない宮子は民俗学の専門である八雲に会って欲しいと持ちかける。 明るい茶髪にボディコンという派手な恰好に軽い態度の少女だが、祖母に対する真摯な想いは本物。八雲をからかって婚約話を持ち出したりするおちゃめな面も。

倉持 紫乃 (くらもち しの)

第四の事件「山姥の里殺人事件」でのもう一人のヒロイン。倉持宮子の祖母で、金土岐村では人を食う山姥だと人々に噂されて村八分に合っている。だが、46年前に村の洞窟で目撃された肉を喰らっていた紫乃のさまは、恋人である市ノ瀬を横暴な影の実力者後藤田公三から庇うための演技だった。 紫乃は「必ず戻ってくる」という46年前の市ノ瀬の言葉を信じて、村人にひどい仕打ちを受けても金土岐で待っていた。蓬髪を後ろで束ね白っぽい着物を普段纏っているので、山姥の伝承に瓜二つ、と言われても仕方ない容姿をしている。だが、孫の宮子が婚約者(八雲)を連れて来たと知って「張り切ってご馳走つくっちゃう」と張り切る様子は、無邪気とも言える。

永峰 桂 (ながみね かつら)

第五の事件「仮面の館殺人事件」でのヒロイン。能楽に関する類い稀な才能を持ち、父親によって厳しい英才教育を受けた。能を舞っていると極度の緊張状態から意識を失いトランス状態になる。その様を恐れて実の母さえ家を出て行ってしまった。仮面に取り憑かれたのでは、と憂慮している。普段は茶髪のボブヘアの可愛い、元気な少女。

仁科 由海 (にしな ゆみ)

第五の事件「仮面の館殺人事件」でのもう一人のヒロイン。永峰家のメイドとして働いているため、常にメイドコスをしている。3つ違いの妹沙織を自殺で亡くしており、素性や本名を偽っている由海に、竜一は卑劣な劣情を抱いていた。竜一だけではなく、由海は、他の招待客たちの仮面の下に隠された醜い素顔を知っている。

富良野 (ふらの)

榊大学の文学部2回生で、民俗学のゼミ生徒の1人として八雲樹としょっちゅうフィールドワークに出かける。他のゼミ生徒が単位集めが目的だと歴然としているのに対し、彼女は好奇心旺盛で民俗学に対する一般人の観点が垣間見られる。特に、八雲と言う青年に対する好奇心が、研究に没頭する姿や謎を探求する真摯な態度に感化されて恋心になって行った。 様々な地方の事件に関わって行く中で八雲の周囲に現れては消える女性たちに対して、純粋に同情を感じても嫉妬や怒りを覚えることはない。彼女の両親は外務省の役人で、カナダの大使館に駐任している。富良野も一緒に行く筈だったが2年間の約束で日本に留まっていた。 その期限が切れてカナダに旅立つこととなったとき、ようやく八雲と思いが通じ合って晴れて恋人同士になった。黒髪を伸ばしたり切ったりアップにしたりと、お洒落に余念のない女子大生。事件に巻き込まれて過酷な状況に陥っても、八雲が何とかしてくれる、と信頼し切っている。

近衛 文彦 (このえ ふみひこ)

金土岐高校の教師で10年前に赴任して来た。彼の母親早紀は倉持紫乃の親友にして幼馴染みで、かつて市ノ瀬を逃がすために紫乃に協力した過去があった。また、後藤田の横暴な搾取の餌食になりかけた早紀は、後藤田に多大な借金を抱えさせられ自殺してしまう。 1人残された近衛は親戚の家に引き取られて金土岐村を離れて行った。ぼさぼさの黒いロングヘアに冴えない面長の顔。洞窟に忍び込んで来た八雲と富良野を、心霊スポット巡りで軽率にやって来た観光客かと勘違いして脅かす。

永峰 竜一 (ながみね りゅういち)

第五の事件「仮面の館殺人事件」での館の主人で、世界的な仮面研究家にしてコレクターでもある。彼と榊大学民俗学教授が古い友人だったため、八雲は屋敷に招待された。髭の生えた「遊女の面」にまつわる伝説を調べ、数百年もの間封印されていたその演目内容を再現して見せようと言うのが、招待の主旨。 ロマンスグレーのオールバックに、胸元にスカーフを巻いたスーツ姿は、紳士然としている。

羽根井 豊 (はねい ゆたか)

第七の事件「女雛はなぜ殺される」に初登場。以後、東京で事件が起きるたびに八雲の前に現れる。警視庁の刑事で、素人である八雲が行なう推理を邪魔に思っていたが、その洞察力や見事な推理力にいつしか信頼をもつようになる。まだ32と刑事としては若く、七三にきちっと分けた髪型と、少々熱血が過ぎて思い込みで突っ走るところがある。 だが、憎めないキャラクター。その後、八雲が冤罪で容疑者扱いされたときにも、真犯人を捕まえるために八雲を犯行現場に連れて行ったりもしている。

場所

朽果村 (くちはてむら)

東北地方にある山々に抱かれた山村で、自然の他には何もない貧しい村。だが、「この世で一番美しい村」でもあった。これが、ダムの底に「5年前の事件」と共に沈められる前に起きた連続殺人事件に、八雲は巻き込まれる。山神の祭りでは天狗の舞の他に、天狗汁が振る舞われるしきたり。 村に降りて来て娘を攫おうとした天狗を、毒の入った汁物で追い払ったと言う伝承から。

那余野町 (なよのちょう)

地方の中規模の町としてそこそこ発展しているが、町おこしの一環としてミスかぐや姫コンテストが行なわれる。かぐや姫伝説は奈良の広陵町が有名だが、この那余野町にも伝わっており、町外れの竹林に祭られた半分に割れた石には「かぐや姫発見の碑」と刻まれている。 衣川葉月は13年前の大地震のおり、この影で泣いているところを発見された。竹林と葉月の身の上が、コンテストの中止を求めて行なわれた凶行の発端だった。

素久名村 (すくなむら)

青森県彦奈郡にある寂れた寒村。神林教授のライフワークである小人伝説が伝わる村で、その住処とされるものが小さな崖の斜面に掘られた小穴としてある。また小人は「スクナ様」と言って、村の老人などには恐れ敬われている。八雲に慕われていた神林教授が何故、小人伝説を立証する古文書を捏造したのかは物語の中で謎のままであるが、この捏造騒動に続く神林教授の自殺という事件によって、素久名村には高速道路は建設されず、豊かな自然が残された。

金土岐村 (きんどきむら)

山間にある長閑な山村で、温泉が出ていて観光地にもなっている。村周辺には山姥の住処だと言われる場所がいくつかあり、紫乃が人を食っているところを目撃された洞窟もその1つ。また山の奥にはミイラ化した屍体がゴロゴロ転がる地面の裂け目などもあるが、それは村の影の権力者後藤田公三に追い詰められ殺された人々の成れの果てだった。

仮面の館 (かめんのやかた)

山梨県御国郡角倉の山奥にある瀟洒な洋館。外観はただの洋館だが、一歩中に入ると辺り一面に永峰竜一が世界中から集めて来た仮面(またはそのレプリカ)が飾られていて、かなり異様な雰囲気である。更に、地下には竜一のコレクションの中でも特に貴重なものが飾られている。 問題の遊女の面もそこに大切に保管されていた。

書誌情報

ミステリー民俗学者八雲樹 全9巻 〈ヤングジャンプコミックス〉 完結

第1巻

(2002年5月発行、 978-4088762975)

第2巻

(2002年6月発行、 978-4088763118)

第3巻

(2002年11月発行、 978-4088763675)

第4巻

(2003年3月発行、 978-4088764139)

第5巻

(2003年7月発行、 978-4088764764)

第6巻

(2003年10月発行、 978-4088765099)

第7巻

(2004年1月発行、 978-4088765532)

第8巻

(2004年7月発行、 978-4088766188)

第9巻

(2004年12月発行、 978-4088767284)

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