心霊探偵八雲 ~赤い瞳は知っている~

心霊探偵八雲 ~赤い瞳は知っている~

原作者である神永学の同名小説をコミカライズした作品。霊が見える力を秘めた赤い瞳を持つ青年が、依頼人である同じ大学の女子と共に、心霊現象にまつわる事件を解決していくミステリーホラー漫画。「別冊花とゆめ」2007年5月号から2008年3月号にかけて不定期に掲載された。

正式名称
心霊探偵八雲 ~赤い瞳は知っている~
ふりがな
しんれいたんていやくも あかいひとみはしっている
原作者
神永 学
漫画
ジャンル
推理・ミステリー
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あらすじ

FILE 1 開かずの間(第1巻)

明政大学2年生の小沢晴香は、遊び半分の肝試しから帰ったあとに意識を失った友人の美樹を心配し、同じ大学に在籍する超能者と噂される斉藤八雲のもとを訪れる。晴香の目の前でトランプの透視を実践し、自身の能力がインチキでない事を証明した八雲は、自分が幽霊が見える特殊な力の持ち主である事を告げる。八雲の能力に疑いを抱きつつも、彼を頼る事を決意した晴香は、八雲を引き連れて美樹の入院する病院へと見舞いに行く。すると、そこには一晩ですっかりやせ細り、目も虚(うつ)ろな美樹の姿があった。美樹に同年代の女性の霊が憑いている事を看破した八雲は、晴香に対し、霊がこの世に留まる原因をなくせば、美樹を救う事ができると伝える。その後、美樹に憑いた霊が明政大学の学生ではないかと推測した二人は、大学の資料室を訪れ、パソコンのデータベースを洗い出すうちに、篠原由利という、休学中の晴香のクラスメイトに目星をつける。そこで友人の高岡と出会い、由利に対する捜索願が出されている事を聞き出した晴香は、再び八雲と合流し、美樹達が肝試しに行った廃屋へと向かう。現地の探索中に発見した「開かずの間」に入り込んだ二人は、そこで何者かに襲撃され、八雲がケガを負ってしまう。間一髪で八雲と共に映画研究同好会の部室へ逃げ込んだ晴香は、普段はコンタクトで隠している八雲の右目が、生まれつき赤く、霊が見える特殊な目である事を知る。後日、ケガを負った八雲に病院に行く事を勧めた晴香は、由利についての情報を集めるため、聞き込みを開始するのだった。

FILE 2 トンネルの闇(第1巻~第2巻)

美樹の快気祝いの飲み会に参加した晴香は、その帰りに飲み会の参加者である達也の車に同乗し、明政大学の近くまで送ってもらう事になった。その途中、事故が多発し、死人が多数出ているという不気味なトンネルを通過した際に、飛び出す人影に遭遇する二人。すぐさま車を降りて周囲を確認した晴香は、頭から血を流した、物言いたげな女性の霊を目撃してしまう。晴香と達也は八雲のもとを訪れ、事情を説明するが、冷たくあしらわれてしまう。しかし、女性の霊を苦しめる原因をなくしてあげたい、と強く訴える晴香の姿勢に折れた八雲は、彼女と共に調査を開始。左目が赤い八雲の叔父の住職、斉藤一心から車を借り、晴香が霊と遭遇した例のトンネルへと向かう。トンネルで死んだ多くの霊の感情を読み取った八雲は、晴香が見たという女性の霊が、トンネルの出口で車にはねられ、転落死に見せかけるため道路下の林に投げ落とされた事を知る。ほどなくして犯人は逮捕され、事件は解決したかに見えた。しかし、車に乗った達也に声をかけられた八雲は、その瞬間、激しい怒りの感情を抱いた子供の霊に遭遇してしまう。

FILE 3 死者からの伝言(第2巻)

とある日の深夜、眠れずにいた晴香の夢枕に、高校時代から仲のよかった友人の伊藤詩織の霊らしきものが現れる。泣きながら何かを訴える詩織の表情が気になり、相談を持ちかけにきた晴香に対して、まず詩織の所在を確認しろとアドバイスして送り出す八雲。そんな八雲のもとに知人の刑事である後藤が訪れ、その日の早朝に起きた火災現場で撮った写真に写った女性の霊の鑑定を依頼。放火で亡くなったという加藤恵美子の焼死体には、幼い頃のケガで左の小指がなく、夫の加藤謙一を、遺産目当てで殺害した容疑がかけられていた。だが、謙一の愛人が事件の夜に恵美子を訪ねていた事と、その女の身元を割り出し中であるという情報を八雲に告げた後藤に対し、八雲は写真に写っている女は恵美子の霊ではないと断言。その頃、未だ連絡のつかない詩織を心配していた晴香のもとに、詩織から一通の手紙が届き、詩織が妊娠していた事実が発覚する。八雲のもとを訪れた晴香は、後藤が置いて行った謙一の写真から、彼が詩織の恋人であり、恵美子を殺害した犯人として追われている事を突き止めるのだった。詩織の件から手を引くかと問う八雲に対し、晴香は詩織の友達として、最後まで彼女を探す事を決意する。

登場人物・キャラクター

斉藤 八雲 (さいとう やくも)

明政大学2年生の男性。普段はコンタクトを付けて隠しているが、左目だけが赤い色をしている。その瞳には死んだ人間の魂が見えるという特殊な能力が備わっており、霊の言葉を聞く事もできる。口が悪く愛想がないうえに、ひねくれ者という、非常にとっつきづらい性格をしているが、本当は心優しく、霊の事も人間と同等の存在として見ている。叔父の家に住んでいるが、普段は大学の映画研究同好会の部室に寝泊まりしている。 寝起きは機嫌が悪く、小沢晴香いわく、いつ見ても寝ぐせがひどいとの事。

小沢 晴香 (おざわ はるか)

明政大学2年生の女性。明るく友達思いな性格だが、マイペースな一面があり、一生懸命になりすぎるあまり、周りを見ずに突っ走ってしまう事もしばしばある。友人の美樹が霊に取り憑かれた事がきっかけで斉藤八雲のもとを訪れて以来、八雲と共にさまざまな事件を調査している。幼い頃に双子の姉を交通事故で亡くしており、それが心の傷になっていた。

美樹 (みき)

エピソード「FILE 1 開かずの間」と「FILE 2 トンネルの闇」に登場する。明政大学2年生で、小沢晴香の友人の女性。大学の敷地内にある廃屋に出るという幽霊の噂を確かめるため、遊び半分で友人三人と肝試しに出掛けた。しかし、そこで心霊現象に巻き込まれて意識を失い、入院を強いられてしまう。

高岡 (たかおか)

エピソード「FILE 1 開かずの間」に登場する。明政大学で講師を務めている中年の男性。小沢晴香のクラスの担任でもある。オールバックの髪形に眼鏡をかけており、細身の体形をしている。篠原由利の失踪や市橋祐一の事故があった事で、晴香の事も気にかけている。

市橋 祐一 (いちはし ゆういち)

エピソード「FILE 1 開かずの間」に登場する。明政大学2年生で、美樹の友人である男性。美樹と共に大学の敷地内にある廃屋に出没する幽霊の噂を確かめるため、肝試しに出掛けたうちの一人。その後、駅のホームから飛び込み自殺をはかって重傷を負い、そのまま亡くなった。

篠原 由利 (しのはら ゆり)

エピソード「FILE 1 開かずの間」に登場する。明政大学2年生で、小沢晴香と同じクラスの女性。セミロングの黒髪に眼鏡をかけ、左の目じりにホクロがある。1か月ほど前から行方不明になっており、家族から捜索願が出され、大学も休学扱いになっている。

達也 (たつや)

エピソード「FILE 2 トンネルの闇」に登場する。美樹の友人の友人である男性。明るく人懐こい性格をしているが、自分本位で人の話を聞かない頑固な一面を持つ。幽霊をはじめとするオカルトの類が極端に苦手。小沢晴香とは美樹の快気祝いの飲み会で出会い、その帰りに明政大学の近くまで車で送る事になった。その途中にあるトンネルで、心霊現象に遭遇してしまい、斉藤八雲に助けを求める。

後藤 (ごとう)

エピソード「FILE 2 トンネルの闇」と「FILE 3 死者からの伝言」に登場する。刑事をしている中年男性で、短髪の黒髪に無精ひげを生やした喫煙家。斉藤八雲とは以前から交流があり、事件現場で撮られた心霊写真の鑑定などを依頼したり、事件に関する情報提供などをしている。

斉藤 一心 (さいとう いっしん)

エピソード「FILE 2 トンネルの闇」に登場する。斉藤八雲の叔父で、寺の住職を務めている男性。優しく穏やかな性格をしており、八雲の名付け親でもある。赤い瞳を持つ八雲の気持ちを少しでも理解しようと、自身の左目に赤いコンタクトを着用している。

伊藤 詩織 (いとう しおり)

エピソード「FILE 3 死者からの伝言」に登場する。小沢晴香の高校時代からの友人。優しくのんびりとしているが、芯の強い女性。晴香と同じ明政大学に入学したが、まもなく火事によって家と家族を同時に亡くしたため、大学を辞めてデパートに勤めている。晴香の家から徒歩5分のアパートで一人暮らしをしているが、近況などを手紙に書いて晴香に送っていた。 晴香のもとに霊となって姿を現した日から、行方がわからなくなっている。

加藤 恵美子 (かとう えみこ)

エピソード「FILE 3 死者からの伝言」に登場する。加藤謙一の妻である女性。放火による民家全焼の火災現場から遺体で発見されている。生前、謙一が親から相続した遺産を目当てに夫を殺害したという容疑をかけられ、逮捕直前に起きた放火によって命を落とした。幼い頃に事故に遭い、左手の小指を切断している。

加藤 謙一 (かとう けんいち)

エピソード「FILE 3 死者からの伝言」に登場する。加藤恵美子の夫である男性。恵美子の死の1週間前に、心不全で死亡している。警察が不自然な死を疑って再捜査したところ、長年に亘り極少量の毒物を摂取させられていた事実が判明し、妻による遺産目当ての殺人事件と断定された。弟の加藤純一の証言により、愛人がいる事が判明している。

加藤 純一 (かとう じゅんいち)

エピソード「FILE 3 死者からの伝言」に登場する。加藤謙一の弟である男性。謙一の死後も義姉である加藤恵美子と交流があり、放火殺人現場から発見された遺体の身元を恵美子だと確認した。事件当日は恵美子の家にいたが、謙一の愛人がやって来たため外出している。その際、目撃した愛人が、青いマフラーを巻いた女である事を証言している。

クレジット

原作

神永 学

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