アリスたちの標本（漫画）- マンガペディア

あらすじ

第1巻

サイコスキャン技術が各国で活用されている近未来が舞台。日本では未成年者による犯罪が急増しており、しかも未成年犯罪者たちの8割が自殺、残り2割が心神喪失状態で昏睡するという異常事態に陥っていた。これらの事件解決に向けて、警視庁は新たに情報科学特殊研究室を開設した。サイコシークによって犯罪者たちの夢の中に潜り、深層心理や記憶を覗き見る捜査を命じられた刑事の高垣睦月は、相棒のクララと共に、悪夢の世界を走り回ることになる。そんな中、中学校校内殺傷事件の容疑者である原田の夢に潜った睦月とクララは、そこでトロイメリアという謎の存在についてトークアプリで話している記憶を発見する。

登場人物・キャラクター

高垣睦月 (たかがきむつき)

警視庁の情報科学特殊研究室に所属している女性刑事で、年齢は26歳。身長160センチ、血液型はB型、6月8日生まれの双子座。毛先がうねった黒髪で、前髪の長いショートカットにしている。つねにポーカーフェイスで、落ち着いた性格の持ち主。本来は捜査一課に所属していたが、情報科学特殊研究室の設立に当たって異動となった。クララと共に事件関係者の夢にサイコシークで潜入している。犯罪者であっても救える人間は、更正させたいと考える心優しい人物。かつて起こった一家惨殺事件の被害者で、死体を見ると気絶してしまう。サイコシークの最中は女子高校生の姿で、髪形も背中まで伸びたロングヘアとなる。また、クールなところは現実世界とあまり変わりがないが、表情は豊かになり、特に驚愕の表情は顕著に出る。

クララ

サイコシークの際に、高垣睦月が出会う少女。本名や本当の姿は不明ながら、サイコシークでは16歳の少女である。身長は152センチで、4月20日生まれの牡羊座であることが判明している。金髪碧眼のミディアムボブヘアで、赤いジャボタイの付いた青いドレスワンピースを着ている。他人の夢に潜り、さらにその内容も鮮明に把握できるという特殊能力の持ち主であり、さらに夢を夢と認識しつつ自由にその中を動き回れる。睦月のことを慕っており、サイコシーク中に睦月が危険な目に遭った場合は率先してかばう。また、睦月自身が把握していない彼女の夢の内容も、睦月以上に知っている。公言はしていないものの、睦月をよく知る人物であることをほのめかしている。

宇佐美 (うさみ)

警視庁の情報科学特殊研究室の研究所長を務める老齢の男性教授。尖った耳とギョロリとした大きな目をして、前頭部の生え際が後退している。獅童の理解を得てサイコシークの研究を進めた。クララの特異能力と高垣睦月の頑丈な体に目をつけ、サイコシークでのバディを組ませた。

獅童 (しどう)

警視庁の警視総監を務める女性。青少年犯罪の8割が自殺、残りすべてが心神喪失状態で逮捕されるという異常事態に際し、捜査にサイコスキャンの導入を提言した。かねてよりサイコシークの研究を進めていた宇佐美に理解を示し、情報科学特殊研究室の発足を推し進めた。

烏丸伊織 (からすまいおり)

警視庁捜査一課に所属している男性刑事。高垣睦月の同期で、家守の部下。茶髪で無駄口が多く、口も軽い。睦月が配属された情報科学特殊研究室について興味を持っているが、睦月がかつて一家惨殺事件に遭ったことは知らない。

家守 (いえもり)

警視庁捜査一課に所属している初老の男性刑事。烏丸伊織の直属の上司でもある。高垣睦月が過去に遭った一家惨殺事件をよく知っており、現在もこの一件をひそかに捜査し続けている様子が見られる。また情報科学特殊研究室に対して何か危険のニオイを感じ取っており、睦月を異動させることに抵抗を感じていた。相手の挙動から心の機敏を読み取ることができる。情報科学特殊研究室への牽制のため、渡辺宗弥に対する取り調べを先んじて行う。

椋 (むく)

警視庁情報部通信追跡課に所属している男性刑事。家守のことを尊敬しており、家守が渡辺宗弥の取り調べを行う際にも自主的に見学していた。家守と同じく情報科学特殊研究室とサイコシークに不気味なものを感じており、厭忌（えんき）している。烏丸伊織が高垣睦月の過去について知らないことに気づき、一家惨殺事件の詳細データをまとめたファイルを手渡した。

戸寄手 (こよで)

警視庁の参事官を務める男性。獅童の命令によって、家守が取り調べを行っていた渡辺宗弥を情報科学特殊研究室へ移送するように通達した。地道な捜査を行う捜査一課のやり方を見下しており、情報科学特殊研究室の先進技術を支持している。

原田 (はらだ)

情報科学特殊研究室の正式発足前に、試験的にサイコシークの被験者となった男子中学生。年齢は15歳で、中学校校内殺傷事件の容疑者として確保されている。現実世界では心神喪失状態で会話もできなかったが、サイコシークで潜入した夢の中では片言ながらもわずかに会話が可能だった。ただし、サイコシーク内での姿は全身の筋肉が露出した人形大の姿となり、目と口が糸で縫われ、鼻も削ぎ落とされている。渡辺宗弥が販売した偽造IDで作ったトークアプリのルームで、トロイメリアについて話している履歴が夢の中に残っていた。

渡辺宗弥 (わたなべそうや)

工場に勤務している男性で、年齢は26歳。工場での業務のほかに、公共IDの偽造と販売を行っていた。別件で事情聴取を受けていたが、いっさい口を割っていない。原田が最後にトークアプリで会話した相手を特定する目的でサイコシークにかけられた。トロイメリアについて知っているか聞き出すため、捜査一課が取り調べを行ったが、その途中で情報科学特殊研究室に移送されている。トロイメリアと聞いたとたん挙動不審に陥ったが、家守の説得に応じようとした。夢の中は延々と渡辺宗弥の自室が続く閉鎖空間であり、高垣睦月は宗弥の姉役として一次夢の中に取り込まれかけた。

小田原千鶴 (おだわらちづる)

経堂清一の妻。シャギーの入った肩下までの赤毛をハーフアップにしている。母親に愛されず、無能と言われ続けたことで自己肯定感が極めて低い。清一とは見合い結婚したが、清一が感情を表に出さない性格であるために愛されていないとカンちがいしていた。良家の子女、良家の妻として恥ずかしくないように努めることに必死な毎日を送っており、実家に置いてあったグランドピアノだけが心のよりどころだった。しかし、母親が一言の相談もなくピアノを処分していたことにショックを受け、心を閉ざして夢の中に逃げ込んでいた。

経堂清一 (けいどうせいいち)

小田原千鶴の夫。政治家を父親に持つ一人息子で、弁護士を務める男性。黒髪を七三分けにし、アンダーリムのスクエアタイプの眼鏡をかけている。本来なら患者個人へのサイコシークは行われないが、父親のツテを頼って獅童に掛け合い、千鶴にサイコシークしてほしいと宇佐美に頼んだ。つねに感情表現が乏しく、機械的に感じられる物言いをする。学歴やおさめた芸事、家風などの条件から千鶴を見合い相手として選び、そのまま結婚した。心を閉ざした千鶴を3年間見守り続けており、かつて千鶴が興味を示したピアノのコンサートのチケットを用意して快癒を待っていた。

橋本野々 (はしもとのの)

女子小学生で、ポニーテールの髪形をしている。同じ悪夢を何度も繰り返し見ており、現実世界では会話ができる状態ではなくなっている。中学生の兄といっしょに通学バスに乗っていたところ、兄からトロイメリアの言葉を聞いてしまう。そのことをきっかけに、兄が目の前で川に飛び込んで自殺している。また、トロイメリアに関する同中学校の自殺事件はほかに二件発覚しており、橋本野々は無関係にもかかわらず、兄の自殺とこの二件について非常にリアルな自殺シーンを夢に見ている。

ウサポン

サイコシーク中に探索および案内を行う人工知能。高垣睦月やクララのサポート役を務めている。サイコシーク内では電子音声で話すリアルな兎の姿で活動しており、草を食べるなど行動も兎そのもの。現実世界では実体がなく、「A.I.クイーン」と呼ばれている。

集団・組織

情報科学特殊研究室 (じょうほうかがくとくしゅけんきゅうしつ)

警視庁に新設された部署。サイコシークによって、心神喪失状態となった犯罪者の記憶や深層心理を覗き、事件解決の糸口を探ることが主な職務となっている。かねてより宇佐美が行っていたサイコシークの研究に獅童が目をつけ、捜査に活用するために作り上げた。高垣睦月が所属しているほか、数人の捜査員がいる模様。

その他キーワード

トロイメリア

渡辺宗弥が夢の中で行った証言によると、トロイメリアと契約し、それが成立すると契約者の夢は契約者の現実にすり替わるとされる。ただし夢にとらわれたまま心神喪失に陥った契約者は、やがて会話や食事も不可能になると宇佐美は考察している。

サイコシーク

任意の人間が見ている夢の中に潜り、深層心理や記憶を覗くことができる技術。サイコスキャンの一種であり、精神鑑定法としても認識されている。かねてより宇佐美が研究を続けており、心神喪失状態の犯罪者の記憶をも覗けることに着目した獅童によって、情報科学特殊研究室で採用された。クララの特殊能力である、他人の夢に潜り、さらにその内容も鮮明に把握できる力があるからこそ成り立っていると宇佐美が語っている。

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EC

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