ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 魔属魔具師編

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 魔属魔具師編

西義之の漫画『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』の続編。天才的な魔法律家の六氷透と助手の草野次郎が、魔属魔具師にまつわる謎や新たな事件に挑んでいく姿を描いたダークファンタジー。「少年ジャンプ+」で2018年3月から2019年3月にかけて配信された作品。

正式名称
ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 魔属魔具師編
ふりがな
むひょとろーじーのまほうりつそうだんじむしょ まぞくまぐしへん
作者
ジャンル
オカルト
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あらすじ

持つ者と持たざる者

人間に危害を加えたり悪事を働いたりした霊を罰するための法律「魔法律」が存在する世界。この魔法律に従って霊を正しく罰する若き魔法律家である六氷透と、彼を懸命にサポートする泣き虫な助手・草野次郎は、六氷魔法律相談事務所を根城に多くの仲間たちと協力しながら、霊や怪奇現象にまつわる事件を解決していた。そんなある日、いつものように怪事件を解決して事務所で休んでいた透たちのもとに、霊媒体質や写真好きを生かして魔法律調査員のアルバイトをしていた竹乃内菜々が、久しぶりに遊びに来る。菜々は試験に合格して正式に調査記録員になれたことを報告するが、それを喜ぶ一方で何か深刻な悩みを抱えている様子だった。実は菜々には以前から霊源枯渇の兆候があり、その影響で霊感が消失し、霊障や霊を視認できなくなっていたのである。調査対象であるはずの霊が見えなくなれば、調査記録員を辞めなければならないと嘆く菜々だったが、透たちが簡単に解決できるような問題ではなかった。そんな中、透たちの周囲では大規模な停電と怪現象が発生。菜々は霊に襲われていた女性を一人で懸命に助けようとしていたが、霊の位置すら感じ取れずピンチに陥っていた。菜々の危険を察知して駆けつけた透と次郎のおかげで、霊の退治に成功し、女性も無事に帰すことができた。自分の無力を痛感した菜々は調査記録員を辞めてふつうの生活に戻ると言うが、事態を予測して黒鳥理緒に相談していた透の計らいにより、菜々は理緒のもとで活動を続けることができるようになった。事件はすべて解決したかのように思えたが、その後も停電と怪現象は減るどころか増えていき、次郎はグループチャットを通して我孫子優に情報を求める。実はこの事件の裏には、禁断の道具を発明した「魔属魔具師」と呼ばれている特殊な魔具師が関係していた。事件を解決すべくさらなる調査に乗り出した透たちのもとへは、不気味な影が忍び寄る。

MLラボとあおい

六氷透たちの住む町で起こった停電と怪現象の原因をつくったのは、バビロという魔属魔具師が発明した、霊を携帯できる前代未聞の魔具幽霊ポッド」だった。透と草野次郎は、魔法律を揺るがす兵器とも呼べる危険な幽霊ポッドについてさらなる調査を進める中で、バビロに開発を依頼したのはかつての敵であり禁魔法律家の一人・レオーニ・フリオニールが経営するMLラボであったことをつき止める。MLラボの地下施設に直接乗り込み、レオーニたちに幽霊ポッドの詳細を問い詰めようとする透たちだったが、そこにあったのは大量生産された幽霊ポッドの数々だった。禁断の魔具であるとわかりながら、この幽霊ポッドを世のため人のために役に立てたいと主張するレオーニだったが、その研究には大きな誤算があることを、彼は気づいていなかった。さらに、透たちは施設内であおいという謎の少年霊に遭遇する。すでに強力な力でMLラボを支配しているあおいは透たちに猛攻を仕掛け、透の呼び出した使者すらも返り討ちにしてしまう。使者を失った透たちは、再びレオーニたちにあおいと幽霊ポッドの関係を問い詰める。かつて幽霊ポッドを手に入れたばかりのレオーニたちは、その機能で500を超える霊を捕え、それぞれの幽霊ポッドの中に保存していた。そのうちの一人があおいであり、当時の彼はおとなしく無害な霊で、レオーニたちと会話やゲームを通してすぐになかよくなった。だが、すっかり打ち解けたあおいのことを幽霊ポッドから出した途端に、彼はMLラボの面々に牙を剥き、電気をあやつる能力を駆使して施設を支配してしまったのだ。幽霊ポッドに隠されたレオーニの野望、それは科学の力で魔法律すら必要ない世界をつくり、人と霊のかかわりを大きく変えることだった。それは魔法律家たちに大きな影響を与える革命だが、過去にさまざまな霊と向き合って怪事件を乗り越えてきた透は、霊のことを理解していない軽率な行為だと指摘する。実力未知数のあおいが暴走を続ける中で、透と次郎はMLラボから決死の脱出を試みる。

登場人物・キャラクター

六氷 透 (むひょう とおる)

六氷魔法律相談事務所の取締役を務める魔法律家の少年。片側に尖った黒髪と丸い顔が特徴で、つねに黒いマントをまとった小柄な体型をしている。物事をはっきりと言うために恐くて冷徹と思われがちだが、その大半は遠回しに相手を思いやっての発言であり、本来は正義感が強く優しい性格の持ち主。ふだんは無気力で面倒くさがり屋だが、魔法律家として実力を発揮するときはとても頼りになる人物として、多くの者から尊敬および信頼されている。相棒の草野次郎をはじめ、周囲から「ムヒョ」の愛称で呼ばれている。まだ魔法律家として未熟な次郎のことを叱ったり罵ったりすることもあるが、本音では彼の能力や人柄を信頼している。魔法律家の最高位である執行人の地位にあり、史上最年少でこの執行人にまで上り詰めた若手天才エリートとして、魔法律家たちのあいだでは非常に有名な存在。高度な魔法律を執行すると体力を消耗するため、長時間眠り続ける習慣があり、昼間でも寝ていることがある。優れた才能を持つため人々に敬われる一方、他者の嫉妬を買うことも多い。かつて、六氷透への妬みから闇に堕ちた親友の円宙継と対立関係にあったが、さまざまな戦いを経て和解した。宙継が監獄入りになったあとも冷たい態度を取ることがあるが、本当は誰よりも彼を心配している。町で起こった停電事件の調査を次郎と共に進めていく過程で、かつての敵であるレオーニ・フリオニールと再会し、バビロが開発した幽霊ポッドやあおいを巡る大事件に巻き込まれていく。好きなものは漫画雑誌「ジャビン」で、特技は爆睡。苦手なものは太陽の光や騒音など安眠を妨げるもの。

草野 次郎 (くさの じろう)

六氷魔法律相談事務所の事務員を務める少年で、六氷透の相棒。かつては魔法律家の中では低い階級にあったが、努力の末に一級書記官に昇進した。逆立った黄緑色の短髪で、リボンタイにサスペンダーという魔法律家のユニフォームをいつも着用している。魔法律家でありながら霊が苦手で、透と数々の怪現象や事件を乗り越えながら成長してきたが、怖がりで泣き虫なところは今でも変わっていない。誰に対しても心優しい性格から、みんなに愛されている。人間や霊を問わずに初対面の相手や敵であってもその心に寄り添い、時には心を開かせるほどの慈悲深さを持ち、暴力ではなく言葉で説得することで、苦しみを抱える相手を救うこともある。愛称は「ロージー」。未熟だが魔法律に注ぐ情熱も強く、透の役に立とうと努力や勉強を続けている。ふだんはコンタクトを使用しているが、時折眼鏡をかけている。町で起こった停電事件の調査を透と共に進めていく過程で、かつての敵であるレオーニ・フリオニールと再会し、バビロが開発した幽霊ポッドやあおいを巡る大事件に巻き込まれていく。好きなものは紅茶とお菓子で、特技は料理。苦手なものは幽霊。

バビロ

天才的な魔属魔具師の少年。悪魔のツノのように尖った髪をしている。天才的な魔物鑑定士のセンスも持ち、一見明るい性格に見えるが、実はかなりの問題児。もともと問題行動が多かったが、霊を保存できるスマートフォン型の魔具「幽霊ポッド」を開発したことで魔属魔具師に認定された。また、この幽霊ポッドはレオーニ・フリオニールが営むMLラボの依頼で開発していた。停電事件をきっかけに自ら六氷透たちのもとを訪れ、ほかの魔法律家が調査に乗り出したあとは自宅に身を潜め、別の魔具を使って隠れていた。事件後は逃亡し、行方知れずとなっている。

円 宙継 (まどか そらつぐ)

六氷透の幼なじみで、元・禁魔法律家の少年。白い長髪で中性的な顔立ちをしている。以前は髪を下ろしていたが、現在はポニーテールにまとめており、表情や性格も明るくなっている。愛称は「エンチュー」。過去の出来事から透を恨み、闇に手を染めて魔法律家たちと対立していたが、いくつかの戦いや事件を通して透たちと和解する。禁魔法律家を辞めたあとは、それまで犯した罪を償うべく「無期魔監獄幽閉」の罰を受け、海上にある第12魔監獄に収監されることになる。現在も収監されたままだが、一から魔法律家になるための勉強を続けている。刑務の評価の高さから、定期的にスマートフォンを通して外部とやり取りすることが特別に許可されており、透や草野次郎をはじめとする友人たちと通話やチャットを通して交流している。透に無視されたりからかわれたりすることがあり、そのたびに半泣きで焦っているため、我孫子優からは次郎とキャラが被っているといわれている。特技は勉強と針仕事。

竹乃内 菜々 (たけのうち なな)

霊に取り憑かれやすい霊媒体質の少女。カメラを常備しているが、写真がすべて心霊写真になるのに悩み、六氷透たちに相談したのをきっかけに魔法律の世界を知る。魔法律調査員のアルバイトをしていたが、試験に合格して正式に魔法律家となり、調査記録員として活動を始める。それを透たちに報告するものの、同時に霊感が消失する霊源枯渇に悩まされ、霊を見ることすらできなくなっていたため、早くも調査記録員を辞めざるを得ない事態に陥っていた。あきらめてふつうの生活に戻ろうと考えていた際に、透の働きかけで黒鳥理緒の助手として働くことになる。これ以降は透たちに感謝しながら、庭仕事を中心に理緒の手伝いをしている。

レオーニ・フリオニール

禁魔法律家で眼鏡をかけた男性。好青年に見えるが、その内には強烈な野望を抱えている。禁魔法律研究の第一人者でもあり、魔法律協会からは現在もマークされている。愛称は「フリオ」で、いつも棒付きキャンディをくわえている。かつて六氷透たちと対峙するが、戦いのあとに姿をくらまし、行方不明になっていた。停電事件を通してバビロに幽霊ポッドの開発を依頼した張本人であることがわかり、自らが経営するMLラボの地下施設にて透たちと再会する。MLラボに魔属魔具師をはじめとする職員を集め、霊と人間の関係性を変える幽霊ポッドを人や社会のために役立てようと考えるとともに、科学の力で魔法律すら必要のない世界をつくろうとしていた。しかし、研究の過程でなかよくなったあおいの力が予想以上だったために、彼にMLラボを乗っ取られてしまう。これらの失敗が無関係な人々を巻き込む事件に発展したために、透からは霊のことを理解していないと咎められたが、本音では誰よりもあおいのことを心配して大切に思っていた。

暗黒坂 ミレン (あんこくざか みれん)

MLラボの技術管理室の室長を務める女性。黒のロングヘアを二つにまとめて白衣を着用し、眼鏡をかけている。非常にクールな性格で、どんなことにも冷静に対応する。レオーニ・フリオニールの部下でもあるが、彼に対して容赦のない態度を取ることもある。停電事件の調査のためにMLラボに侵入した六氷透と草野次郎を出迎え、案内係を務める。実はレオーニの研究を監視するために潜入していたスパイだった。

あおい

MLラボに住む謎の少年霊。黒髪ショートヘアで、「5」の数字が入ったトレーナーを着用しており、中性的な容姿の持ち主。無邪気な子供のように見えるが、実はかなりの霊力と電気をあやつる特殊能力を持ち、レオーニ・フリオニールたちの言うことをまったく聞かず、機械やコンピュータなども操作してMLラボを完全支配している。戦闘力も非常に高く、六氷透の最強の使者である幽李をあっさり返り討ちにするほどの力を持つ。もともとはレオーニたちが幽霊ポッドに捕らえていた霊であり、当初はおとなしくMLラボの面々ともすぐに打ち解けていったが、幽霊ポッドから出したとたんに暴走を始め、その影響は町中の電気にも及んでいた。生前はゴミ屋敷のような家で育った子供で、見栄を張って周囲にウソをついたり女装をしたりしていたが気味悪がられていじめに遭ってしまい、引きこもってユーチューバーを目指すようになった。しかしチャットでの煽りを受け、自分がウソつきでないことを証明するために、ビルから飛び降りて死亡した。

茶栗 (ちゃぐり)

MLラボに所属する魔属魔具師の女性。ロングヘアをポニーテールにまとめ、白衣を着用している。おだやかな優しい性格で、スタイル抜群。実はMLラボの面接中に、レオーニ・フリオニールに色仕掛けをしていた。その場面を記録した映像をあおいによってインターネット上に拡散されてしまい、強いショックを受ける。

多摩川 (たまがわ)

MLラボに所属する魔属魔具師で、眼鏡をかけている男性。町工場が多い下町に生まれ育ち、手先の器用さを生かして魔具師を目指す。魔具師になったあとは現実の大変さに翻弄され、その中でMLラボの求人チラシを見かけて魔属魔具師の道に進む。面接で出会った茶栗に一目惚れし、現在も彼女に思いを寄せている。RPGが大好き。

場所

MLラボ (えむえるらぼ)

レオーニ・フリオニールが地下に建造した巨大な研究施設。大まかに三つの階層に分かれている。レオーニのもとに集った魔属魔具師が研究員として、特殊な魔具の開発・研究などを行っている。バビロが開発した幽霊ポッドをすでに大量生産しており、人や社会のために役立てることが本来の目的であったが、現在は暴走したままのあおいに施設全域を支配されている。

その他キーワード

幽霊ポッド (ゆうれいぽっど)

バビロが発明した、スマートフォン型の最新魔具。霊を捕えて保管し、任意のタイミングで出し入れができる。魔法律を揺るがすほどの危険性から、兵器とまで呼ばれており、これの発明が原因でバビロは魔属魔具師としてマークされることになった。ただしあおいのように強力な霊は制御ができないため、どんな霊にも万能というわけではない。

魔属魔具師 (まぞくまぐし)

魔具師の中でも、魔法律協会からマークされている者たち。魔法律における常識やルールに縛られないかなりアウトローな立場にあり、禁断の魔具を中心に発明している。一部の魔属魔具師はMLラボに身を寄せ、レオーニ・フリオニールのもとで研究を続けている。

前作

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 (むひょとろーじーのまほうりつそうだんじむしょ)

現代日本とほぼ同じだが、死者の霊による犯罪が多い世界で、霊を裁く「魔法律」の執行人・六氷透と、その助手草野次郎が、事務所に依頼される怪事件を解決する物語。 関連ページ:ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

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