あらすじ
ライカの星
1957年、ソ連では犬を使った宇宙実験が行われていた。宇宙犬として選ばれたライカは、スプートニク2号に乗せられ、宇宙に打ち上げられた。スプートニク2号は一週間で通信が途絶え、半年後には消滅。ライカは、打ち上げから2日のあいだに死亡してしまう。時が経ち、宇宙を漂い続けるライカの魂は、神様と出会う。フワフワした生き物が好きな神様は、ライカに新しい体を与えた。そして、ライカのために、惑星を一つ創ってやる。同じ境遇の宇宙犬ムーシュカの魂を見つけたライカは、彼女を抱え、新しい星に降り立った。そこでライカは、種を繁栄させ、文明と軍事力を手に入れる。やがて、復讐に燃えるライカは、人類の殲滅(せんめつ)を誓い、仲間と共に地球へと旅立つのであった。
さようなララバイ
小学3年生のトモコは、部屋に隠した人面犬を神様と崇め、貢物を捧げていた。文献によれば、人面犬に嚙まれると、不老不死の人面犬になれるという。トモコは、兄、両親、祖父の家族全員を嚙んでほしいと人面犬に願う。みんなで人面犬になれば、ずっといっしょにいられると考えていたのだ。
愛の焦土
地球侵略から帰ってきたオーベルとアルルの父は、兄弟にお土産を渡す。フィンセント・ファン・ゴッホの絵画「ひまわり」をもらった兄オーベルは、それ以来、ずっと絵画を見つめて暮らすようになる。兄のことを理解したいと考えたアルルは、地球のひまわり畑へと、オーベルを誘う。
海底着陸
小学4年生のマナブは、アームストロングという名前の犬を飼っていた。いい大学を出ていいところに就職したいという、堅実なマナブに対し、アームストロングは、宇宙犬をうらやましいと考えるロマンチストだった。ある日、海でヒトデを発見したアームストロングは、それが星の化身で、海は宇宙なのだと考えるようになる。
登場人物・キャラクター
ライカ
『ライカの星』の主人公。1957年、ソ連の宇宙実験により、スプートニク2号に乗せられた小型のメス犬。宇宙で死んだあと、神によって救われ、新たな体と惑星スプートニクを与えられる。同じく宇宙犬のムーシュカと共に、スプートニクを開拓。高度な文明と軍事力を手に入れる。人類への復讐のために、地球を侵略し、自分のものにしようと計画する。神にもらった体は、見た目は犬とあまり変わらないが、二足歩行が可能。また、怒ると巨大な怪物に変身することもできる。実在した、ソ連の宇宙犬をモチーフにしている。
トモコ
『さようなララバイ』の主人公。小学3年生、9歳の女の子。部屋でこっそりと人面犬を飼い、神様と崇める。「人面犬に嚙まれると、不老不死の人面犬になる」という話を信じ、家族全員に人面犬になってもらいたいと願う。「イヒヒ」という笑い声が特徴。
オーベル
『愛の焦土』の主人公。地球人を殲滅(せんめつ)し、地球の酸素を奪う宇宙人の子供で、アルルの兄。地球侵略のおみやげにと父から貰ったフィンセント・ファン・ゴッホの絵画「ひまわり」に魅せられる。アルルに誘われ、地球のひまわり畑に出かけ、そこでゴッホの絵と共に暮らすことを決意する。
アルル
『愛の焦土』の主人公。地球人を殲滅(せんめつ)し、地球の酸素を奪う宇宙人の子供で、オーベルの弟。フィンセント・ファン・ゴッホの絵画「ひまわり」を手に入れてから、ずっと絵を見つめて暮らすオーベルを不思議に思う。兄を理解するために、地球のひまわり畑に出かけることをオーベルに提案する。
マナブ
『海底着陸』の主人公。小学4年生の男の子。いい中学、高校、大学を出て、いいところに就職したいと考える現実派。飼い犬のアームストロングは大切な友達で、海を宇宙だと思い込むアームストロングが、海底へと旅立つのを止めようとする。しかし、彼の思いを理解し、最終的にはアームストロングの旅立ちを見送る。
アームストロング
『海底着陸』の主人公。マナブに飼われる犬。最初に宇宙を冒険した、宇宙犬にあこがれを持ち、「おれは孤独なオオカミかもしれない」と考える。ヒトデを星の化身、タコを火星人だと思い込み、海底が宇宙につながっていると考察。宇宙服を着て、海底へと旅立つ。
ムーシュカ
『ライカの星』の登場キャラクター。ライカと同じく、ソ連の宇宙実験により、宇宙に捨てられた小型の白いメス犬。右目を失い、花の形のアイパッチをしている。魂になって宇宙をさまよっていたところを、ライカに救われ、惑星スプートニクに降り立つ。ライカと共にスプートニクを発展させるが、ライカのように人類への復讐心はなく、ライカといっしょに惑星スプートニクで暮らすことを望む。実在した、ソ連の宇宙犬をモチーフにしている。