あらすじ
第1巻
アリスティア・ラ・モニークは神様からのお告げにより、幼少期よりカスティーナ王国の皇帝のルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナと結ばれ、皇后になるべく教育を受けてきた。しかし、異世界から転生してきた少女の美優に心を奪われたルブリスは、アリスティアから皇后の地位を剥奪し、側室である皇妃の身分へと落とす。それによってアリスティアは、ルブリスからの冷遇を受けるだけでなく、体を弄ばれるようになる。そんな中、アリスティアはルブリスの子を妊娠するが、流産してしまう。時を同じくして皇后になった美優が妊娠したとの知らせが入り、アリスティアは絶望する。そんなある日、アリスティアの父親のモニーク侯爵が、妊娠中の美優を流産させた疑いをかけられ、十分な取り調べもないまま処刑される。これまでの経緯や父親を一方的に処刑されたことを受け、アリスティアはルブリスをナイフで刺してしまう。運よく一命を取り留めたルブリスは、アリスティアに処刑を命ずる。こうして命を奪われることになったアリスティアだったが、目が覚めると9歳の頃の自分に転生する。その後、アリスティアはピタから自らの波乱の運命と、なぜ9歳に転生したのかを告げられる。
第2巻
未来の出来事を既に知っているアリスティア・ラ・モニークは、その知識を生かし、ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナの父親のミルカン・ル・シャーナ・カスティーナに、効果的な税収方法を提案する。この提案がきっかけとなり、アリスティアは9歳にしてカスティーナ王国中で噂になるほど有名になる。その噂を聞いた頭脳明晰なアレンディス・デ・ベリータは、アリスティアに興味を抱いて接近を試み、二人は気の合う友達となる。そんな中、アレンディスが剣術を習っている姿を見たアリスティアは、自らもやってみたいとモニーク侯爵に願い出る。そして、必死に剣を振るうアリスティアの姿は、リグをはじめとしたモニーク侯爵の部下たちにも好意的に受け入れられるようになる。そんな人々との触れ合いを通じ、アリスティアは転生する前には気づけなかったが、自分の周囲にはこんなにもいい人たちがいたのだと感激する。そんな中、カスティーナ王国ではルブリスとアリスティアを婚約させようとする勢力が現れる。この求めに従って、アリスティアはルブリスと対面を果たすが、転生する前の冷遇や処刑をされたトラウマが鮮明によみがえり、いつものように明るく振る舞えないでいた。
登場人物・キャラクター
アリスティア・ラ・モニーク
カスティーナ王国の侯爵家であるモニーク家に生まれた少女で、年齢は16歳。ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナが誕生した際の神様からのお告げを受け、ルブリスと結婚して皇后になるための教育を受けてきた。政略結婚のようなかたちではあるものの、ルブリスに愛情を抱いている。しかし、異世界から転生してきた美優がルブリスに気に入られたことを受け、皇后の地位を剥奪される。一時はルブリスとの子供を妊娠したが、流産してしまう。その後、妊娠中の美優を流産させた疑いをかけられた父親のモニーク侯爵が処刑され、仇を討つべくナイフでルブリスを切りつける。しかし、これは失敗して逆に捕らわれ、反逆罪に問われて民衆の前で斬首刑されることとなる。その後、記憶を持ったまま9歳の頃の自分に転生。今生では悲劇を繰り返さないよう、未来を変えるべく積極的に行動を起こす。以前は喜怒哀楽の感情を押し殺す癖があったが、転生してからは感情を積極的に表すようになる。もともと頭の回転が速く、機転がきくタイプだったが、16歳のまま9歳に転生をしたこともあり、天才的なセンスの持ち主だと貴族たちのあいだでは高い評価を受けている。
ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナ
カスティーナ王国の皇帝に即位している青年で、年齢は20歳。父親で先代の皇帝であるミルカン・ル・シャーナ・カスティーナが高齢になるまで子供に恵まれなかったため、ミルカンが崩御したのち、若くして現皇帝に即位している。神様からのお告げで定められたアリスティア・ラ・モニークと婚約をしていたが、異世界から転生してきた美優に心を奪われてしまう。そして神様からのお告げを覆し、美優を皇后として迎え入れる。その前からアリスティアには愛情を抱いておらず、皇后として一応は迎えたものの、体をもてあそぶなどぞんざいな扱いを繰り返していた。美優のことを何よりも優先しており、美優が起こしたトラブルもアリスティアを叱りつけるなど理不尽な振る舞いをしている。妊娠中だった美優を流産させたと、モニーク侯爵を取り調べもせずに即処刑した。そのため、感情的になったアリスティアからナイフで刺されてケガを負う。一命を取り留めたあと、アリスティアに反逆罪を言い渡して斬首刑に処す。9歳に転生したアリスティアともかかわり合いを持つが、変わらず冷たい態度を取っている。
美優 (みゆう)
異世界からカスティーナ王国に転生した少女で、年齢は17歳。転生した場所が神殿「皇宮の湖(こうぐうのみずうみ)」だったこと、さらにカスティーナ王国には存在しない黒い髪の毛と瞳の色であったため、神秘的な存在として周囲から一目置かれている。また、転生後すぐにルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナからの寵愛を受けたこともあり、神様からのお告げを覆してカスティーナ王国の皇后に即位する。当初はルブリスの寵愛よりも元の世界に戻ることばかりを考えていたが、時間の経過とともにルブリスを誰よりも愛するようになる。慣れない環境の中で暮らしているにもかかわらず、明るく元気に振る舞っており、アリスティア・ラ・モニークとも親友の関係を築いていた。しかしアリスティアの妊娠を知り、それからは嫉妬心からアリスティアを恨むようになる。アリスティアが反逆罪によって斬首刑に処されることになっても、特にかばうことはしなかった。転生前はごくふつうの少女として暮らしていたため、王族のしきたりやマナーに疎いところがある。
モニーク侯爵 (もにーくこうしゃく)
カスティーナ王国の侯爵の爵位を持つ男性。アリスティア・ラ・モニークの父親で、アリスティアの母親で妻のジェレミア・ラ・モニークとは死別している。モニーク一族は建国をした時からカスティーナ王国に忠誠を誓っており、神様からのお告げを受けたあとは、アリスティアを皇后候補として恥ずかしくないように教育を施す。アリスティアが皇后の地位を奪われてからも、いっさい反論せずにいた。しかし、ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナのアリスティナに対する無礼な振る舞いについに腹を立て、自宅へ連れ帰ることを決意。そんな中、妊娠中だった美優を流産させた疑いをかけられ、十分な取り調べも受けられぬまま即処刑された。アリスティアには厳しく接していたものの、アリスティアが9歳に転生したあとには彼女が素直に甘えるようになったこともあり、態度を軟化させている。
ジェレミア・ラ・モニーク
カスティーナ王国の侯爵の爵位を持つ貴族に嫁いだ女性で、モニーク侯爵の妻。アリスティア・ラ・モニークの母親だが、彼女が物心つかない頃に死去している。穏やかな性格で、アリスティアにも優しく接していた。城に出入りしている際にルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナと交流があり、ルブリスからは「木漏れ日のような人」だと評されていた。
アレンディス・デ・ベリータ
ルース・デ・ベリータの次男で、カスティーナ王国では公爵家の公子。アリスティア・ラ・モニークが処刑された16歳の世界では彼女と言葉を交わしたことはなかった。しかし、数々の優れた法整備や新法考案に携わっており、「奇跡の天才」としてアリスティアもその存在は知っていた。アリスティアが9歳に転生した世界で、アリスティアがミルカン・ル・シャーナ・カスティーナに画期的な税収案を提案したと聞き、興味を抱く。アリスティアと会話をする機会を得て、すぐに心惹かれて求婚するものの、モニーク侯爵からは反対されている。以降、アリスティアとは友達として親しくしているが、まだ彼女との結婚をあきらめたわけではない。非常に明るい性格で頭脳明晰ではあるものの、社交ダンスや剣術は大の苦手。年齢は、アリスティアが9歳に転生した世界では12歳だった。
ルース・デ・ベリータ
カスティーナ王国の公爵の爵位を持つ男性。王国の宰相を務めている。息子が二人おり、次男はアレンディス・デ・ベリータでアリスティア・ラ・モニークとも親しい。優れた宰相として名を馳せており、ミルカン・ル・シャーナ・カスティーナからの信頼も厚い。頭脳明晰ではあるものの、社交ダンスや剣術は大の苦手。
カルセイン・デ・ラス
アルキント・デ・ラスの次男で、カスティーナ王国では公爵家の公子。父親はアルキント・デ・ラスで、母親はエルニア・シャーナ・デ・ラス。家族など近しい人たちからは「セイン」と呼ばれている。非常に活発な性格のため、エルニアからよく怒られている。
アルキント・デ・ラス
カスティーナ王国の公爵の爵位を持つ男性。王国の第一騎士団長を務めている。ミルカン・ル・シャーナ・カスティーナへの忠誠心が強く、なんでも肯定的にとらえるために問題を起こすこともある。妻はエルニア・シャーナ・デ・ラスで、次男はカルセイン・デ・ラス。
エルニア・シャーナ・デ・ラス
カスティーナ王国の公爵の爵位を持つ貴族に嫁いだ女性で、アルキント・デ・ラスの妻。美しく聡明ながら非常に気が強く、人一倍声が大きい。二人の息子に恵まれ、次男はカルセイン・デ・ラス。皇帝のミルカン・ル・シャーナ・カスティーナの妹だが、兄に対してはいい感情を抱いていない。そのため、息子たちとミルカンの息子のルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナが親しくすることを快く思っておらず、できるだけ交流を持たせないように願っている。
ミルカン・ル・シャーナ・カスティーナ
ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナの父親。カスティーナ王国の前皇帝で、聡明で優れた権力者ではあったものの子供には恵まれず、年老いてやっとルブリスが誕生した。そのため、ルブリスに十分な皇帝としての教育もできないまま、この世を去っている。アリスティア・ラ・モニークが9歳に転生した世界では存命で、カスティーナ王国を統治しており、アリスティアの9歳とは思えない才能や立ち振る舞いを高く評価している。
リナ
カスティーナ王国に住む平民の若い女性。モニーク侯爵の屋敷でメイドを務めている。主にアリスティア・ラ・モニークの世話をしており、アリスティアから絶大な信頼を寄せられている。アリスティアがルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナの皇后となるべく屋敷を出たタイミングで、高い身分の男性のもとに嫁いでいった。アリスティアが処刑後に再び9歳に転生した世界では、変わらずモニーク家で働いていた。リグとは犬猿の仲で、顔を合わせるたびにケンカをしている。
リグ
カスティーナ王国に住む男性騎士。モニーク侯爵直属の部下でもある。アリスティア・ラ・モニークが処刑された16歳の世界ではあまり接点がなく、ほとんど言葉を交わしたことはなかった。しかし9歳に転生した世界では、アリスティアから気軽に声を掛けてくれるのを嬉しく思い、非情にかわいがっている。リナとは犬猿の仲で、顔を合わせるたびにケンカをしている。
ピタ
カスティーナ王国にあるピタの神殿に祭られている神。生命の誕生を司る声のみの存在で、実体はない。時折カスティーナ王国の平和と発展のために、神官に対してお告げを伝えており、アリスティア・ラ・モニークとルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナが婚約するきっかけとなった神様からのお告げもピタが出したもの。本来は神として祭られている神聖な存在ではあるが、アリスティアからは自分の運命を翻弄する存在だと、強い恨みを抱かれている。
場所
カスティーナ王国 (かすてぃーなおうこく)
千年の歴史を持つ帝国で、現在の皇帝はルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナ。先代の皇帝であるミルカン・ル・シャーナ・カスティーナが長年後継者となる子供に恵まれなかったこともあり、先代が崩御したのち、若いながらもルブリスが現皇帝に即位した。なお、アリスティア・ラ・モニークが9歳の世界に転生した時代は、まだミルカンが国を統治していた。
その他キーワード
神様からのお告げ (かみさまからのおつげ)
ルブリス・カマルディン・シャーナ・カスティーナが誕生した際、ピタの神殿に祭られている神様のピタから王族に伝えられたお告げ。ルブリスの誕生から、4年後に生まれる侯爵家の娘が皇后になるというもので、アリスティア・ラ・モニークが条件と合致したため、アリスティアはルブリスの皇后になるべく育てられた。のちにルブリスの意向もあり、アリスティアではなく美優が皇后に即位する。実際、ピタではない神様が美優を別の世界に誕生させてしまう過ちを犯したため、美優がカスティーナ王国に転生するまでのあいだのみ、ルブリスの運命の相手がアリスティアになっていただけで、もともと皇后となる運命を背負っていたのは美優だった。
クレジット
- 原作
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Yuna
書誌情報
捨てられた皇妃 全12巻 KADOKAWA〈フロース コミック〉
第1巻
(2019-02-05発行、 978-4040654669)
第2巻
(2019-07-05発行、 978-4040656465)
第3巻
(2020-02-05発行、 978-4040642314)
第4巻
(2020-08-05発行、 978-4040646220)
第5巻
(2021-03-05発行、 978-4046802910)
第6巻
(2022-03-04発行、 978-4046812575)
第7巻
(2022-05-02発行、 978-4046813893)
第8巻
(2022-08-05発行、 978-4046816276)
第9巻
(2022-11-05発行、 978-4046818997)
第10巻
(2023-03-03発行、 978-4046821720)
第11巻
(2023-06-05発行、 978-4046825131)
第12巻
(2023-09-05発行、 978-4046827883)