ライカンスロープ冒険保険

ライカンスロープ冒険保険

冒険者達が輝かしい活躍ができるように、保険業によってその手助けをする社長と部長の凸凹コンビの活躍を描く、一風変わったファンタジー。「週刊ヤングジャンプ」2016年48号から2017年38号にかけて掲載されたあと移籍し、「となりのヤングジャンプ」に2017年9月14日から掲載の作品。

正式名称
ライカンスロープ冒険保険
ふりがな
らいかんすろーぷぼうけんほけん
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

魔王の出現によって光と闇に二分された世界で、冒険者は闇を切り開き、人々の生存領域を広げていた。しかし、冒険者にはケガや急病、行方不明、金銭トラブル、全滅と大きなリスクが付きもの。ライカンスロープ冒険保険は、そんな冒険者のリスクを軽減すべくさまざまな保険を取り扱っている。ライカンスロープ冒険保険の社長は、部長と共に冒険者達の悩みに親身になって付き合い、次の冒険へとつながる保険を提供していく。その中で社長と部長は、冒険者を意図的に妨害する「クエストブレイカー」と出会う。クエストブレイカーは当座は逃げ去ったため、社長は警戒しつつも、冒険者達のケアに気持ちを切り替えるのだった。そして多くの冒険者と交流する中で、社長はかつての仲間であるネムリと再会する。一方その頃、クエストブレイカーはその正体であるカメレオンガールとしての姿を現し、ライカンスロープ冒険保険の存在を何者かに報告していた。

第2巻

懐かしの仲間であるネムリとの再会を喜んでいた社長が、カメレオンガールによってさらわれてしまう。ネムリからその報せを受けた部長は、社長の危機を聞いて駆けつけたかつての冒険者達と共に社長救出を決意。社長がさらわれたのが「ドワーフ鉱山」である事を突き止めた一行は、邪悪な魔物達がひしめく鉱山に踏み込むのだった。その頃、社長は自らをさらうように命を下した魔王参謀のズノーと対峙していた。ライカンスロープ冒険保険の事を知りたがっているズノーに、社長は保険の存在意義を語る。社長の生殺与奪権を握っていたズノーは彼の言葉に興味を抱き、社長は無事に解放される事となった。そして社長は自らを助けに来た部長達のもとに戻り、人々との絆を再確認する。 無事に保険業を再会した社長は、再び街の人々と触れ合いながら仕事に打ち込む事となった。そんなある日、仲間を探すために勇者が街を訪れたという噂が流れる。そして魔王打倒を目指す最年少天才勇者のレオーニは、ライカンスロープ冒険保険に、一時的に社長と部長が仲間になる「冒険同伴保険」を申し込む。珍しい馬車旅にテンションの上がる部長と、勇者という存在に思うところがある社長。対照的なテンションでレオーニの旅に同行する二人だったが、目的地を目の前にしたところでレオーニは本性をあらわにし、社長の本名と素性を突きつける。

第3巻

レオーニ社長の本名である「マージャ」の名を告げ、彼が3年前、当時最も実力のあった勇者のミカの仲間であり、ミカを殺した張本人であると語る。不意に暴かれた社長の過去に動揺する部長は、衝動のまま社長を連れて逃げ出す。その最中、部長は社長の口からミカの仲間であったリビエルの陰謀と、その裏に隠れる「」という謎の存在を知る。それを知った部長は社長との絆を強め、いっしょに戦う決意をする。応援に来たネムリの言葉によってレオーニはその剣を収め、自らの本心と警告を残して去って行った。しかし、去っていくレオーニの裏ではリビエルが新たな冒険者ギルドのマスターとして、社長と部長の暮らす中央冒険ギルド街にやって来ていた。そしてライカンスロープ冒険保険に目をつけたリビエルは、社長自身ではなく、その周囲の人達へと静かに魔の手を伸ばしていく。 そんなある日、いつも通り保険業を営んでいた社長と部長は、マジョッタの悩みを聞いていた。作家を目指して本作りをしているマジョッタは、部長のアドバイスを参考にして「ふたしかな冒険」という1冊の本を書き上げるが、その本が意図せずして大きな陰謀を暴いてしまう。リビエルにも「ふたしかな冒険」の存在を気づかれたと感じ取った社長は、ネムリと共にマジョッタを守ろうとするが、襲撃したリビエルに手も足も出ずマジョッタへの攻撃を許してしまう。そしてリビエルは社長とネムリに「梟」と呼ぶ異形の存在を見せつけるのだった。

登場人物・キャラクター

社長 (しゃちょー)

ライカンスロープ冒険保険を経営する社長。黒髪を一つまとめにし、眼鏡をかけた青年。冒険者達に次の冒険への切符を渡す事を使命と考え、誠実に保険業を営んでいる。過去については語りたがらず、本名を知る者も少ないため、部長をはじめ周囲の人達からは「社長」と呼ばれている。職業は魔法使いで、非凡な腕前を持っており、保険業では「調査魔」と呼ばれる使い魔を使って、情報収集し保険業に役立てているほか、戦闘能力も高い。 その魔力は魔法のはみだしで周囲を凍てつかせるほどで、効果的にそれを運用する社長の魔法の腕前は、天才勇者であるレオーニですら手放しで賞賛した。その正体は3年前、最も魔王打倒に近いとされた勇者ミカの仲間「マージャ」。 14歳の時にミカに実力を認められ、それ以降はひたすらミカのために魔法の腕前を磨いていたが、ある日、仲間と思っていたリビエルに脅されているミカの姿を見てしまう。ミカを救うため禁魔法「隕石降らし(メテオスウォーム)」を習得しようとするが失敗。魔法習得の失敗で精霊に命を奪われそうになるが、ミカが身代わりになった事で救われた。 その後は、ミカを殺した汚名を負って各地を放浪していた。今際の際にミカから真実の一端を明かされており、マジョッタの書いた「ふたしかな冒険」の危険性にもいち早く気がついた。

部長 (ぶちょー)

ライカンスロープ冒険保険を社長と共に切り盛りする助手の少女。一人称は「ボク」で奔放な性格をしているが、赤字経営を続けるお人好しな社長には頭を抱えている。職業は、スライムに変身するという珍しい能力を持つ「変わり身師(ライカンスロープ)」で、非常に高い戦闘能力を持つ。その実力はワイバーンの親玉を無傷で倒すほどで、保険業では主に荒事を担当している。 ベランダから「メロン」といわれるほど巨乳の持ち主で、スタイルは抜群。動きやすい露出の多い格好を好み、気を許した相手には人目をはばからずスキンシップをするが、羞恥の感情は持っており、ベランダのような直接的なセクハラをする人間は苦手としている。数年前は冒険者として活動していたが、親友である「ハミたん」を助けるため、身代わりで娼館に売られてしまう。 そこで宿屋と勘違いした社長と出会い、窮地を救ってもらう形でいっしょに働くようになった。社長には恩義以上の感情を抱いており、社長のかつての仲間であるネムリがやって来た時は、嫉妬と独占欲を湧き上がらせてしまう。好物は肉まんで、肉まんに囲まれて昼寝をするのを夢としている。

ネムリ

剣士を職業とする男性冒険者。年齢は22歳。若くして剣の達人として名を馳せた猛者。体力がないため、動いたらすぐに眠る悪癖を持っており、所構わず寝てしまうため、組んでもらえるパーティがおらず、孤立していたウルクと組んで冒険に出ていた。その代わり剣の腕前は本物で、超危険とされるモンスターを瞬く間に切り伏せる剣の冴えを見せる。 実は勇者のミカのかつての仲間で、社長とは旧知の仲。ミカからも信用できる人物と高く評価されていた事もあり、社長はミカ殺しの汚名を着せられたあとも、かつての仲間達の中で唯一交流を重ねている。社長の現状を心配しており、部長と協力してライカンスロープ冒険保険を切り盛りしている姿を見て安心していた。

レオーニ

魔王打倒を目指す最年少天才勇者。5歳でトロールを倒し、10歳でレッドドラゴンを倒したという逸話を持つ少年。戦闘でも噂に違わない確かな実力を見せる。長旅で仲間が疲弊し、魔法使いが余りの過酷さから逃げ出してしまったため、一時的に仲間を借りられるライカンスロープ冒険保険の「冒険同伴保険」を試すため、社長のもとを訪れる。 外面は素直な少年だが、実はかなり傲慢な性格。弱い冒険者を「負け犬」として見下しており、優秀な魔法使いである社長を引き抜こうと考えていた。社長の過去を部長に暴露し、二人の仲を引き裂こうとしたが、逆に胸の内をさらし合って強い絆で結ばれた二人を前に感情をあらわにしてしまう。パートナーであるティナの力を借りる事で「呪印」の力を解放する事ができ、圧倒的な戦闘力で社長と部長を追い込むが、救援に駆けつけたネムリに敗北した。 噓をついて強引に社長を仲間にしようとしたが、勇者のミカを素直に尊敬しており、その仲間であった社長に向けた好意と尊敬の念自体は本物。冒険者ギルドの陰謀と世界の真実についても知っているらしく、敗北後は素直に負けを認め、社長に忠告を残して、おとなしく去って行った。

ティナ

最年少天才勇者であるレオーニの仲間の女性。冷静沈着な性格で、年若いレオーニに忠実に従っている。職業は僧兵(モンク)で、足技メインの体術で戦うほか、機動力も高く、分身のようなものを生み出す事もできる。またレオーニが「呪印」を発動させる際には、その発動に協力している。

アテム

道具屋で働く、中性的な雰囲気を持つ少年。いつも元気いっぱいに走り回り、ライカンスロープ冒険保険にも、ポーションを配達する仕事で度々訪れている。実は生まれる前、母親の胎内にいた頃に状態攻撃を受けてしまったため、夜の間は身体が女性に変化してしまう「昼夜性反転体質」という超特異体質の持ち主。その事は周囲に秘密にしていたが、社長の言葉で勇気をもらい、自らの秘密をさらして、迷っていた冒険者の道に突き進む決心をする。 それ以降は新米冒険者として活動しはじめ、社長の計らいでウルクの指導を受けながら着々と成長している。社長と部長には懐いており、彼らの危機にはウルクと共に駆けつけている。しかしそれだけに、社長と因縁のあるリビエルに目をつけられてしまった。

ウルク

33歳の男性冒険者。職業は戦士で、ミスリルメイルをライカンスロープ冒険保険の装備保険に入れていたが、新しい鎧ほしさに、ミスリルメイルを自分で傷つけて保険料を騙し取ろうとした。社長によって企みを暴かれたが、一時の気の迷いとして見逃される。しかし、その後はもともと素行が悪かったのに加え、詐欺を行った悪評が広がって、冒険者のあいだで完全に孤立してしまう。 社長が再会した時には、しょぼくれた髭面という様変わりした風貌となっており、冒険者として廃業寸前の状態となっていた。自暴自棄になり、最期は冒険者として散ろうとしたが、社長の計らいによって新人冒険者であるアテムの養成を担当する事となる。社長の心づかいに感謝し、改心を誓って新しい一歩を踏み出した。 以降は先輩としてアテムを導いており、よくいっしょに行動している。また社長のピンチの際にはアテムと共に駆けつけた。

マジョッタ

瓶底眼鏡に、とんがり帽子をかぶった魔女の女性。部長をしてデカイと言わせるほどの巨乳の持ち主で、ベランダは「スイカ」と評していた。高名な魔女だが、趣味の小説作りに傾倒して、本業である冒険者の仕事を5年も休業し、自費出版で小説を13冊出していた。そのあいだの生活費はライカンスロープ冒険保険の「冒険者休業保険」で賄っていたが、作家として成果が出せず、本業を疎かにしすぎたせいで、保険更新ができなくなってしまう。 本業に戻る前に部長のアドバイスを参考にして、マジョッタ自身の体験談や考察をまとめて物語にした「ふたしかな冒険」を書き上げ、自費出版して売った。「ふたしかな冒険」は今までの作品とは違って、高い評価を受けて完売したが、図らずもその内容が冒険者ギルドの陰謀を暴くものであったため、リビエルに目をつけられてしまう。 そしてマジョッタの身を案じた社長とネムリに護られていたが、二人の目の前でリビエルに襲撃されてしまった。

ハモン

誠実な雰囲気を持つ僧兵の男性冒険者。正規のレギュラーとしてパーティ入りする事がなかなかできなかったため、パーティが分裂した際に金銭的な保証が受けられる「パーティ分裂保険」に入っていた。幼い兄妹を一人で養わなければならず、ライカンスロープ冒険保険には、その旨を保険加入の際に伝えていたため、社長からはその事をとても心配されていた。

ベランダ

狩人を職業とする青年。自然を愛し、植物の観察が趣味であるが、趣味に行き過ぎて冒険を脱線するため、パーティからはぐれたり、見捨てられたりする事の常習犯となっている。そのためライカンスロープ冒険保険の「救出保険」の常連で、社長と部長は迷子になってピンチに陥っているベランダを、よく助けに行っている。社長と部長には感謝の念を抱いているが、部長からはセクハラ発言やその行動から苦手に思われている。 巨乳好きで部長の事を「メロン」、マジョッタの事を「スイカ」と例え、巨乳見たさにマジョッタの本を買っていた。自由すぎる行動さえなければ、その植物知識と隠密行動の能力はとても優秀。マジョッタが「ふたしかな冒険」を書いてからはその重要性に気づき、密かにリビエルの行動を妨害していた。

アマン

ギルド街修道院に務める18歳の女性。職業は修道女で、高位の魔法である蘇生魔法を使う事ができるため、全滅した冒険者達の蘇生を担当している。まじめで清貧な人物で、孤児院の経営で経済事情が苦しいにもかかわらず、不意に舞い込んできた大金を心当たりがないからと、返金しようとしたほどである。その後、残したお金が、幼い頃に別れた幼なじみのキョウからの最期の贈り物だったと気づき、彼の死を知る。 かろうじて残っていたキョウの灰を使って蘇生魔法を試みるものの失敗し、最期にキョウの精神体と別れの言葉を交わした。それ以降はキョウの形見の腕輪を首飾りにして身につけている。

キョウ

「死神」の異名を持つ狂戦士(バーサーカー)。売られた喧嘩はすべて買うという獰猛な性格をした凄腕冒険者で、高額な報酬と引き換えに数々の強敵と戦ってきた。しかし、度重なる激戦に体は悲鳴を上げており、遂には戦いの中で重症を負い、冒険者として引退間近の状態になってしまう。実は孤児で、アマンとは幼なじみ。重症の身で幼い頃に過ごしたギルド街修道院に行き、成長したアマンを一目見たキョウは、最期にアマンの青い鳥になる事を決意する。 自らは重症の体を押して超難易度のクエストに挑み、谷ドラゴンと7日7晩の死闘を繰り広げた末に相打ち。そして、ライカンスロープ冒険保険で長年積み立てた「帰還不能保険」で支払われた50万ゴールドを、そのまま孤児院に寄付した。 実は死亡した際に、運よく偶然通りかかった魔女に蘇生魔法を掛けられたが蘇生失敗し、灰の状態で街に帰還していた。のちにその事実を知ったアマンによって、再度蘇生魔法を掛けられるが蘇生失敗し、最期は精神体の状態で別れの言葉を残して消滅した。彼の形見の腕輪はアマンに受け継がれる。

ロック

全身を鎧で包んだ熱血漢。職業は聖戦士(パラディン)で、確かな実力を持っている歴戦の猛者。とにかく運や縁起を気にする性格であるため誰も組みたがらず、ライカンスロープ冒険保険の「冒険同伴保険」に入り、社長と部長を仲間にして冒険に出ている。しかし、少しでも不吉な事があるとすぐに冒険を中止にするため、部長からも苦手に思われている。 義に厚い人物で、普段世話になっている社長がさらわれた際には、不吉な予感がすると言いつつも協力を申し出た。

レディ

洗練された佇まいの麗人。モンスターが嫌う魔法の銀で作られた魔剣「ビーストキラー」を振るう、一見すると凛々しい騎士だが、その実、まともに剣も振るえないお嬢様。モンスターがちょっと驚かせただけで動揺し、戦意を失うほどで、アテム達がモンスターに襲われている場に救援に駆けつけたものの瞬く間にピンチに陥った。アテムはその様を「騎士にあこがれている女子」と評している。 ただし、実家は冒険者ギルドの名家で、ライカンスロープ冒険保険でも高価な「騎士保険」に入っているため、彼女が危機に陥ると、すぐさま社長と部長が駆けつけ、彼女のピンチを救う手はずになっている。そのため、アテム達は結果的に彼女のお陰で危機を救われたため感謝しており、その際のいきさつがきっかけで、レディもアテムの事をとても気に入っている。 幼い頃は病弱で、読んでいた絵本の騎士にあこがれ、騎士の道を志す事を決意。その後、騎士として訓練している内に病弱さを克服した過去を持つ。のちに部長に弟子入りした際には、何とか最下級のモンスターを一人で倒す腕前には成長していた。部長も最初は「姫騎士」とレディの事を揶揄していたが、彼女の過去を知ってからは応援している。 実家が名家なため見識は広く、他の人が社長の与太話として切った「ふたしかな冒険」の真実にも思い至る節があり、本を真剣なまなざしで読んでいた。

ミカ

魔王打倒に最も近いとされた女性勇者。数年前に社長と名乗る前のマージャ、ネムリ、リビエル達とパーティを組み、数々の冒険を成し遂げた。マージャの行った禁魔法「隕石降らし(メテオスウォーム)」修得儀式の失敗で、怒った大精霊の攻撃からマージャをかばって死亡した。実はリビエルに脅されており、「梟の目を守る」「魔王を倒してはいけない」という謎の指令を受けていた。 マージャをかわいがっており、リビエルの事をマージャが察しているのに気づき、最期にいくつかの忠告をマージャに残して息絶えた。彼女が儀式失敗して怒った大精霊から食らった「アストラル・ドレイン」は、魂を直接吸収するため蘇生魔法でも復活は不可能とされている。

リビエル

上級狩人を職業とするエルフの女性。見た目は中性的な雰囲気を持つ若々しい人物だが、年齢は180歳以上。勇者のミカのパーティに所属して参謀を務めていたが、メキメキと実力を伸ばしていたマージャに参謀役の席を取って奪われてしまう。実は冒険者ギルドの大きな陰謀に深くかかわっており、マージャを含め、実力をつけてきたミカ達を快く思っていなかった。 ミカに対しても隠れて暴力を振るって脅しており、マージャに対しても誤った記述がされた古文書を渡し、禁魔法の習得を妨害しようとしていた。それが結果的にミカの死につながり、陰謀計画が大きく狂う事となった。その際、ミカの死の責任をマージャに押し付けている。社長となったマージャの中央冒険ギルド街にギルドマスターとしてやって来て、社長の周囲の人物をノーマンを使って襲わせるように画策。 だが、マジョッタの「ふたしかな冒険」によって図らずも、自分達の陰謀を暴かれてしまったため、マジョッタの護衛をしていた社長とネムリの前に現れ、「梟」の姿を見せつける事となった。狩人らしく弓矢を使った戦闘ができるほか、ミカやネムリですら断ち切る事ができない糸を使った戦闘を得意とする。 高名な魔女であるマジョッタですら、その糸を使った戦法に瞬く間に敗れ、意識を奪われたほどの戦闘力を持つ。

ノーマン

気さくな雰囲気を持つ上級狩人の青年。仲間を探していたアテムに近づき、騙して襲いかかった。すんでのところで社長と部長に阻止され、そのまま警邏に捕まり、冒険者ギルドに連行された。実はリビエルの部下で、彼女に社長の周囲の人物を襲うように命じられていた。マジョッタの書いた「ふたしかな冒険」の回収も命じられて担当したが、ベランダの妨害に遭い、思うように進まなかった。

バル夫 (ばるお)

ライカンスロープ冒険保険のとなりにあるCafe「バアル」のマスター。牛鬼族(ぎゅうきぞく)の寡黙な男性。バル子と共に切り盛りする喫茶店で、黙々とドリンクを作っている。実は実力派の僧兵で、社長がさらわれた際には、留守番をバル子に任せて社長の救援に駆けつけた。

バル子 (ばるこ)

ライカンスロープ冒険保険のとなりにあるCafe「バアル」の店員。明るくおしゃべりな女性で、寡黙なバル夫といっしょに喫茶店を切り盛りしている。よく飲みに訪れる社長や部長とは仲がよく、二人が喧嘩をした際にはさり気なくフォローをして、仲直りできるように仕向けたりしている。社長がさらわれた際には店の留守番を引き受ける代わりに、高い戦闘力を持つバル夫を送り出した。

カメレオンガール

魅惑的なスタイルの魔法戦士の女性。「レナ」と仲間から呼ばれている。気づかい上手で、女性らしい性格の持ち主。しかし、同じパーティの男性を甲斐甲斐しく世話をしていたが、その行動が裏目に出てパーティ間の人間関係が壊れ、破綻寸前になっていた。実は冒険者のクエスト達成を妨害する「クエストブレイカー」と呼ばれる存在で、本来の性格は淡々としたもので、前述の人間関係を壊したのもすべてわざとだった。 ハモンのパーティに入り込んでクエストを妨害していたが、社長に正体を見破られ逃げ去った。その正体はカメレオンガールと呼ばれる変身能力を持つ人物で、人間にもかかわらず、魔王参謀ズノーの命でライカンスロープ冒険保険について情報収集していた。 のちにズノーの命で社長をさらい、ズノーのもとに送り届けている。

ズノー

魔王参謀を務める魔族。2本の角が生えた成人男性のような姿をして、ヒマがあれば顔のついた小さな豆を食べている。人間の言葉をしゃべる事ができないため、会話では魔族語を使っている。強い冒険者が増えた事に疑問に感じ、カメレオンガールに調べさせている内に、ライカンスロープ冒険保険の存在に行き着いた。その後、カメレオンガールに命じて社長をさらい、「ドワーフ鉱山」で社長と直接対峙する。 社長の語る保険業の存在意義と、いつか現れる「魔王をもしのぐ力」に興味を示し、社長を解放して去った。

集団・組織

冒険者ギルド (ぼうけんしゃぎるど)

冒険者と依頼人の仲介をして、冒険の準備や手続きを手伝う組織。依頼人の依頼をクエストという形で冒険者に紹介し、クエストを通じて冒険者の成長と生活の安定を手助けしている。ギルドは各地の冒険者ギルドごとに特色があり、それぞれの地域で宿の質がよかったり、鍛冶の腕が高かったり、得られるサービスが違う。社長の暮らす中央冒険ギルド街のサービスは「保険業」で、ここの冒険者ギルドのクエストでは「全滅保険」が強制的に適用される。 これによって冒険者は死のリスクが低くなっており、また多くのバリエーションの保険によって、さまざまなリスクやトラブルを回避する事に成功している。

場所

ライカンスロープ冒険保険 (らいかんすろーぷぼうけんほけん)

冒険者達が抱えるリスクやトラブルを軽減するために、さまざまな保険を提供する会社。社長の使う「調査魔」によって正確な情報を収集し、保険の適用に役立てている。また単純に保険を提供するだけではなく、「救難保険」や「騎士保険」などに入った冒険者が窮地に陥った場合は現場に駆けつけ、モンスターを退治したりしている。社員は社長と部長のの二人で何とか回しており、冒険者ギルドとは深い関係にある。 その成果は着々と出ており、ついには魔王参謀のズノーの目に留まってしまった。

その他キーワード

復活魔法 (りざれくしょん)

死者を復活させる魔法。蘇生の成功率は死体の状態に左右されるとされ、新鮮な血を含んだ部位さえあれば、成功率は大幅に上昇する。逆に死体の損壊率が激しく、死後時間が経つと大幅に成功率は下がり、蘇生失敗すると死体は灰化してしまう。灰の状態でも蘇生魔法をかける事は可能だが、その状態で失敗すると肉体は完全に消滅し、完全な死を迎える。 灰の状態からの成功率は平均で15%程度とされている。冒険者の命綱といえる復活魔法であるが、非常に高価であるため、ライカンスロープ冒険保険では「全滅寸前保険」「全滅保険」などさまざまな保険のバリエーションを用意して冒険者に提供している。特に「全滅保険」は冒険者ギルドでクエスト受理の際に強制的に適用される決まりとなっており、全滅した際には所持金の半分を代価に死体を回収され、復活される仕組みとなっている。

呪印 (じゅいん)

自らの能力を飛躍的に上昇させる呪術。使用者は魔女の呪いを自らの身体に埋め込む必要があり、発動した際には、体中に黒い刺青のようなものが浮かび上がる異様な姿となる。発動には定められた合図が存在し、レオーニの場合は、ティナの手の上で甘い物を食べるのが発動条件となっていた。

(おうる)

世界の管理者とされる謎の存在。普段は見る事はできないが、梟の一人であるリビエルが社長の前に現れた際に、その姿を見せつけた。この時には、いくつもの目が融合し、そこから手のような物がいくつも生えた巨大な異形の姿であった。「梟の目」というものを使って情報を収集し、「魔王不殺」の計画に基づいて世界を適切に管理および運用をしている。

ふたしかな冒険 (ふたしかなぼうけん)

マジョッタが部長のアドバイスを受けて、自身が今まで見聞きした噂や体験をもとに考察を交えて作った自費出版の本。本人はあくまでフィクションとして作ったが、図らずも冒険者ギルドが掲げる「魔王打倒」が虚構であるという正鵠を射る内容になってしまった。リビエルはこの本を「禁書」として回収をノーマンに指示したが、ベランダの妨害によって100冊の内20冊ほどしか回収できなかった。

魔法のはみだし (まほうのはみだし)

術士の感情が高まった時に起きる魔法現象の総称。魔力が高い者ほど引き起こす可能性が高く、社長が落ち込んだ時にうっかり引き起こした際には、周囲が凍りつくような吹雪を引き起こした。

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