概要・あらすじ
登場人物・キャラクター
扇寺 東耶 (せんじ とうや)
才能に焦がれる男子高校生。年齢は16歳。目の下に隈(くま)があり、眼鏡をかけている。器用な努力家で、28万人以上が受けた全国模試で92位を取るほどに成績優秀。家柄もよく、さまざまな習い事の経験がある。そのジャンルは音楽、芸術、スポーツ、武道など多岐にわたるが、どの分野でもトップになれず、天才を妬むようになった。また多分野に秀で、神童と評された兄の西耶(せいや)への劣等感に苛(さいな)まれている。勉学こそ才能を示す最後の砦(とりで)と自分を追い込み、塾通いに加えて寝る間も惜しんで勉強しているが、兄との差は埋まらず、家名を汚す恐れがあるとの理由で家を追い出され、現在は一人暮らしをしている。灰都=ルオ=ブフェットとの交流を経て、前世の才能を引き出す力を秘めた「輪廻(りんね)の枝」を手に入れ、偉人を前世に持つ「廻り者」の組織「偉人の杜(いじんのもり)」に加入した。廻り者として不完全であることから、罪人を前世に持つ廻り者の才能を摘む、という組織の主要任務を担うことは少なく、雑用を任されることが多い。しかし、まじめに黙々と作業が進められる人材が少ないこともあり、組織の中心人物であるノイマンから重宝されている。前世は義賊として有名な大泥棒の石川五右衛門で、取り寄せた「才能」は物質に妨げられることなく標的を盗み出す「盗人(ぬすっと)の右腕」。たとえば、瓶を壊さずにボトルシップの船だけを抜き取るなどの芸当が可能で、生物の体内から臓器や血液を盗み出すこともできる。ただし、射程は約70センチと短く、組織の猛者(もさ)から侮られている。「盗人の右腕」には相手の「才能」を盗む能力も備わっているが、こちらは組織の人間にも打ち明けていない。盗んだ「才能」は「盗人の左腕」で自分の能力として扱うことが可能で、これを「盗品行使」と呼ぶ。当初は学者、芸術家、政治家などの名声に直結する才能を欲していたが、やがて敵味方を問わず才能を盗んで歴史を総括するほどの才能の持ち主となり、兄を超越することを目標とするようになった。
灰都=ルオ=ブフェット (はいと るお ぶふぇっと)
扇寺東耶のクラスメイトの女子高校生。年齢は16歳。灰色の髪と灰色の瞳を持ち、サイドテールの髪型をしている。フード付きの上着を好み、平時はフードを被(かぶ)っている。飄々(ひょうひょう)としているが好戦的な性格で、道場の師範だった養父の影響で、剣の心得がある。その腕前は剣道特待生に選ばれるほどだったが、彼女と対峙(たいじ)した部員は才能の違いに絶望して引退したことで剣道部を廃部に追い込んでしまう。これをきっかけにさまざまな悪い噂(うわさ)が広まり、周囲から距離を置かれるようになった。しかし、そもそも勉強が苦手で、まともに通学していない。その正体は、前世の才能を引き出す力を秘めた「輪廻の枝」で、後天的に才能を得た「廻り者」。偉人を前世に持つ廻り者の組織「偉人の杜」に所属しており、罪人を前世に持つ廻り者の才能を摘む任務に就いている。前世は剣豪として有名な宮本武蔵で、取り寄せた「才能」は「腹削ぎ」「首刈り」の二刀が出現し、筋力と動体視力が向上する、「人外の領域」と謳(うた)われる超絶剣技を扱えるようになる「歪二天礼法(いびつにてんれいほう)」。才能に対して異常な執着を見せる東耶に興味を示し、前世の才能を引き出す方法を教え、組織へと誘った。東耶が加入すると、自らが捨て子であること、養父への恩返しのために輪廻の枝を手にしたこと、不完全な武蔵の才能で養父にケガをさせてしまったことを明かした。灰都=ルオ=ブフェットの目下の目標は、完全な武蔵となり、閉館に追い込まれた養父の道場を再開させることである。なお、武蔵の才能を得てからも驕(おご)ることはなく、剣の稽古を継続している。