リュウマのガゴウ

リュウマのガゴウ

おとぎ話に伝わる救世主「リュウマ」の名を継ぐ者たちの生き様を描いたファンタジー英雄譚。単一主人公の活躍ではなく、「リュウマ」と呼ばれる者や存在にスポットを当てた群像劇形式の作品で、徐々に「リュウマ」の存在や散りばめられた謎が解き明かされていく。プロトタイプとなった少年画報社「月刊ヤングキング」2007年5月、6月号に掲載された2話の読み切り版の設定を一新し、同社「ヤングキングアワーズ」2011年11月号から連載。

正式名称
リュウマのガゴウ
ふりがな
りゅうまのがごう
作者
ジャンル
ファンタジー
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世界観

1000年前に起きた「ジンの反乱」によって、文明が滅んだ後の世界が舞台。ジンの反乱によってもたらされた悲劇は、文明の崩壊のみに留まらず、大気や水が汚染され、太陽光は人体に毒を与えるものへと変貌を遂げてしまった。さらにジンの反乱と時を同じくして、突如人類に対して敵対心を持つ怪物「白皮」が出現。命を失うほどの環境汚染と白皮の脅威にさらされながらも、生存の道を模索し続ける人類の姿を描く。

作品構成

物語の序盤は「リュウマ」の名を持つ者にスポットを当て、場所も時系列もバラバラな1話完結型のストーリーで展開される。その後、バラバラだったストーリーや要素が徐々に絡み合い、ひとつの流れとなって世界の真相に迫っていく。

あらすじ

リュウマと呼ばれる者たち編

遥かな過去に栄えた文明は滅び、その影響で大気や水、大地から太陽光までが汚染された世界。またその環境の変化は「白皮」という異形の怪物を生み出し、人々は滅亡の危機にさらされていた。しかし、そんな絶望的な状況のなか、かつて世界を滅亡の危機から救った英雄「リュウマ」が現れたという噂が各地で広がっていく。その希望の名は、瞬く間に世界に広がり、人々はその実在を願い始める。

ビッグボスオブリュウマ編

過去にリュウマの名を騙るだけの悪党であったボスは、短髪のリュウマと出会い、表面上は反発しながらも徐々にリュウマの名に惹かれ、使命感を帯びていく。そして、リュウマの名のもとに各地で白皮の脅威から人々を救い、ならず者を集めて管理し、ついにはビッグボス団という巨大な組織を造り上げるに至る。ボスは余命いくばくもない短髪のリュウマの最期の頼みを聞き入れ、ビッグボス団を率いて「」を目指す。

ミズガルズ防衛戦

名実共に真のリュウマとなったボスが、を折ることに成功してから十余年。しかし、枝が折られた後も世界はその姿を変えていなかった。環境汚染はより深刻になり、白皮の侵攻は衰える気配を見せない。そんな世界で自らの未熟を知り、一度は絶望に打ちひしがれた隻腕のリュウマだったが、リュウマの母と出会い、再びリュウマとして生きていくことを決意。だが、隻腕のリュウマは、ミズガルズ王国によって偽のリュウマとして捕らえられ、その名を捨てることを強制される。「ヤツハ」として生きることとなった隻腕のリュウマと、ミズガルズ王に捕らわれたリュウマの母親、それぞれの思惑が交錯するなか、王都ミズガルズに新たな白皮の脅威が迫る。

千年前の真実編

「ヤツハ」として生きることを決めた隻腕のリュウマは、その類まれなる精神感応能力によって、千年前から生き続ける繭王の記憶を呼び起こす。その記憶に刻まれていたのは、千年前に起きたジンの反乱の真相、そして「リュウマ」と「ジン」、それぞれの名を持つ人物の真の姿だった。

白皮眼のリュウマ編

リュウマの母が産み落とした白皮眼のリュウマをめぐる物語。ミズガルズ王が崩御してから6年後、「ヤツハ」こと隻腕のリュウマは、オカママリオロクサと共に王都ミズガルズを離れた。そして、かつて崩壊したの遺産を掘り返すディスポーザーを生業とし、白皮眼のリュウマを育てていた。白皮眼のリュウマは、その特異な容姿と力のせいで、周囲から怪物とそしられながらも家族に愛され、すくすくと成長を遂げる。しかし平穏な生活は、神洲倭の生き残りを自称する2人組の男らの出現によって、唐突に終わりを告げる。

登場人物

リュウマ」という名前は、人名を表したものではなく、代々受け継がれていく雅号のようなものである。また、リュウマの名を継いだものは、それまでの名を捨てなければならないため、本作『リュウマのガゴウ』には多数の「リュウマ」が存在する。彼らのほとんどは特殊な二つ名を持つ者以外、単に「リュウマ」としか呼ばれないため判別が難しい。またリュウマ以外の人物においても、人名ではなく肩書きや役職で呼称される場合が多い。

特殊な設定

一度は科学技術によって栄えた文明が、千年前の「ジンの反乱」によって滅んでしまった後の世界。そのため文明レベルは、旧文明の知識を持つ一部の人物がいる王都ミズガルズを除き、中世以前にまで後退してしまっている。一方で、その世界での文明レベルでは考えられない兵器や技術の存在が、特に疑問を持たずに受け入れられている。また、衛星軌道上まで伸びる巨大建造物の存在も、当たり前の景色として享受されている。そのほか、全人類の共通知識として、救世主「リュウマ」と災厄の象徴「ジン」の名が知られている。その名の他には、リュウマとジンにまつわる詳しい逸話が残されていないなど、有する知識には偏りがある。

単行本の装丁

コミックスのカバー裏には、コミックスの表紙やその巻で活躍するキャラクターのラフ画が描かれている。また5巻以降のカバー裏には、作中に登場する武器の設定を紹介するオマケ漫画が掲載されることもある。その他、すべてのコミックスの巻末には、オマケ漫画が掲載。オマケ漫画の内容は、連載が始まる前に発表された読み切り版の主人公ら2人が、本編に登場できないことを愚痴るものだった。無事本編に同じデザインのキャラクターが登場したことを受けて退場。その後のオマケ漫画は、すでに本編で死亡したキャラクターが最新巻の内容について語る、メタフィクション的なギャグマンガとなった。

登場人物・キャラクター

閃撃のリュウマ (せんげきのりゅうま)

とある辺境の山岳地帯の街に現れ、白皮の侵攻から街を救ったリュウマ。侍装束を身に着け、長い黒髪を総髪にまとめた男性。人造妖刀「物欲し竿」を持つ。山岳地帯の街に、蟲型白皮への対策や新しい流通の方法を伝え、街の人々に戦い方を伝授する。その後、街に大侵攻をかけてきた白皮と戦ってこれを撃破するも、右手に傷を持つリュウマを白皮からかばい、死亡する。

右手に傷を持つリュウマ (みぎてにきずをもつりゅうま)

とあるキャラバンを、龍型の白皮から救ったリュウマ。閃撃のリュウマと瓜二つの出で立ちをしており、同じく人造妖刀「物欲し竿」を使って戦う。元は、とある辺境の山岳地帯の街で酒場を営んでいた男性。白皮の攻撃から自分を救い、代わりに命を落とした閃撃のリュウマから名を受け継いだ。右の手のひらにある傷は、かつてリュウマとなる前、未熟だった頃に剣の鍛錬でつけてしまった傷。 龍型の白皮との死闘の末、命を落とす。

ボス

旧文明を掘り起こして復元する技術者たちの街に現れた男性。長く伸ばしたボサボサの髪と右目の下に傷を持ち、袖のないボロボロの布切れを和装束風に着込んだ偉丈夫。長刀を差している。リュウマを名乗って住人を避難させるが、実は偽物。その正体は、街に残る旧文明の遺産を狙う盗賊団のボスであった。その後、短髪のリュウマと出会ったところを蛭型の白皮に襲われ、一度はその場から逃げるものの、短髪のリュウマが窮地に陥ったところでバイクに乗って登場。 白皮の群れから短髪のリュウマを助けて以降、行動を共にする。

短髪のリュウマ (たんぱつのりゅうま)

技術者たちの街に現れたリュウマ。ボスがリュウマを騙って住人を退去させたと同時に現れる。侍装束にキセルをくわえ、人造妖刀「物欲し竿」を持つ。やる気のなさそうな半目の瞳と、無造作に立った前髪が特徴。住人が退去した後、街に現れた蛭型白皮の大群に襲われ、ついには敗れそうになるもののボスに助けられる。その後、ボスと共に行動し、白皮との戦い方を教えながら、いずれはリュウマの名を継がせようとする。

隻腕のリュウマ (せきわんのりゅうま)

義腕を持つリュウマ。長い金髪の髪を後ろでまとめた髪型と両頬に貼ったテープ、そして巨大なパイルバンカーを備えている。王国の調査団と共に、一度はリュウマに救われたが、再び滅んでしまったという辺境の山岳地帯の街を訪れた。そこで少女のジンと出会い、蟲型の白皮の大群に囲まれる。奮戦するも力及ばずあえなく逃走。 命からがら生き延びた後は、どこかの街の酒場の前で物乞いをする生活を送る。

リュウマの母 (りゅうまのはは)

黒髪でボサボサのポニーテールの女性。オリビアの街に現れ、食堂で10人前を軽く平らげたうえ、堂々と無一文であることを宣言。しかも店を放り出された瞬間に食べたものを吐くという破天荒な人物。しかし、その無軌道な性格とは裏腹に、人造妖刀「物欲し竿」を所有し、オリビアのリュウマにけしかけられた猿型の白皮を撃退する力を持つ。 「自分はリュウマの嫁となり、リュウマの母となる人物だ」という強い信念を持っており、リュウマを探す旅をしている。

繭王 (まゆおう)

王都ミズガルズの最深部で試験管の中で眠る人物。千年前から科学技術によって生き永らえ、現在も骨と皮だけになった姿のまま、無数の管を身に通しながら生きる。時折、過去の夢を見ることがあり、繭王の巫子らはそれを読み取ることで、過去の真実や失われた技術を知ろうとしている。かつてジンの反乱を実際に体験しており、その真実を知る唯一の人間である。

リュウマ

ユグドラシルを治める帝。前髪を大きく後ろにかき分け額を出した髪型が特徴の若い男性。明朗快活な性格で、戦場で矢面に立ち、敵対する神洲倭軍を自ら挑発したり、帝でありながら下層で民と戯れるなど破天荒な行動を取る。その万人に分け隔てない性格に加え、非常に高い知能と適切な判断力を持ち、名君としてすべての人から愛されている。

ジン(仁)

ユグドラシルの近衛師団を取りまとめる人物。ざんばらに切った金髪を無造作に逆立てた髪に、太い眉、鋭い眼光を持つ強面の男性。元は神洲倭から亡命してきた人物で、その出自から人造妖刀「物欲し竿」を持つ。戦場では常に最前線に立ち、かつての同胞たちを容赦なく切り捨てるさまや、女子供を問わず泣いて命乞いをする相手も問答無用で斬り捨てるという逸話から、「泣き殺しのジン」の二つ名を誇る。

白皮眼のリュウマ (はくひがんのりゅうま)

リュウマの母が産んだミズガルズ王との子。ミズガルズ攻防戦の際、少女のジンの手で未熟児のまま摘出されたが、その後は隻腕のリュウマ(ヤツハ)によって育てられ、すくすくと成長する。リュウマは雅号ではなく、リュウマの母とヤツハが付けた名前。生まれつき白皮のように白目の部分が赤い特殊な左目を持ち、また左前髪のみが白い。 少年らしくわがままで自分勝手な一面もあるが、基本的には天真爛漫で、少し泣き虫な性格。また、母親の血のせいか、汚染された空気などに耐性があるほか、規格外の怪力を誇る。

金髪のリュウマ (きんぱつのりゅうま)

右手に傷を持つリュウマからその名を受け継いだ男性。金髪で、長く伸びた後ろ髪だけを、うなじで結った髪型をしており、人造妖刀「物欲し竿」を携える。かつて、とあるキャラバンに属しており、龍型の白皮の攻撃を受けた際、右手に傷を持つリュウマに助けられる。その後、仲間らが白皮と戦う右手に傷を持つリュウマを見捨てて逃げる最中、1人だけ彼のもとへ戻り、その最期を見届けた。

イーグル

ボスと同じ盗賊団の一員で、ボスの腹心。リーゼントの髪型と非常に大きく高い鼻が特徴。また当初は着けていなかったが、のちにサングラスもトレードマークになる。心からボスを敬愛し、短髪のリュウマと共に行動するボスの傍についている。なお、ビッグボス団の一隊長として再登場するまで、名前は明かされなかった。

レイ

ボスと同じ盗賊団の一員で、ボスの腹心。金髪ショートカットの女性で、左目元に泣きぼくろがある。のちにビッグボス団の隊長として再登場した際には、長髪になっている。心からボスを敬愛し、短髪のリュウマと共に行動するボスの傍についている。なお、再登場するまで名前は明かされなかった。

オリビアのリュウマ

リュウマを自称する人物。無法者ばかりが集まるオリビアの街を統括する。右の側頭部から右目にかけて傷を持つ禿頭の男性で、顎の形が分からなくなるほどぶくぶくに太っている。食堂の主人によれば、本物のリュウマかどうかは分からないが、その名のもとに金や人、そして物資が集まり、街が白皮から守られているのは確かとのこと。 自分に暴言を吐いたリュウマの母に、猿型の白皮をけしかけるも返り討ちに遭い、逆に説教されてしまう。コミックスの幕間では、リュウマの母親に惚れてしまったことが語られる。

リュウマ師夫 (りゅうましふ)

山間の村で暮らすリュウマ。額から頭頂まで広く禿げ上がった頭と、豊かな口ひげが特徴の老年の男性。年老いてはいるがまだまだ壮健であり、服の下は筋骨隆々。糸を操る独特のスタイルで戦う。リュウマであることを村の中で半ば公然の秘密としており、リュウマの弟子にその技を伝授する。

リュウマの弟子 (りゅうまのでし)

山間の村でリュウマ師夫の弟子として修行に励む男性。白皮の脅威から人々を救いたいという強い信念を持つ。その結果、リュウマ師夫に認められてリュウマとして旅に出るが、その先で白皮と戦い命を落とした。遺体は旅先で共に戦ったという人々によって村に返されたが、リュウマ師夫をはじめ、村の人々に「そんな男は知らない」と言われ、捨てられてしまう。

少女のジン (しょうじょのじん)

隻腕のリュウマから「ジン」と呼ばれた謎の少女。黒い日傘にゴシック調のドレス、リボンでツーサイドアップにまとめた髪型が特徴。また大きさの異なる同心円が重なった独特の瞳を持つ。辺境の山岳地帯の街にいた隻腕のリュウマたちの前に現れ、蟲型の白皮を率いて攻撃を仕掛けてくる。半世紀も前に滅んだ辺境の山岳地帯の街の出来事を「前のとき」と語り、隻腕のリュウマに対して「あなたとははじめまして」と挨拶するなど、リュウマに関する何かを知っている素振りを見せる。 言葉を発する際に時折吃音が見られ、また「なんだかとっても~」という表現を好んで使う。

少年のジン (しょうねんのじん)

少女のジンから「ジン」と呼ばれる少年。白髪に少し垂れ目がちの瞳で、ゴシック調の衣装を身にまとっている。王都ミズガルズに大群で襲撃をかける幼児型の白皮の様子を遠くから伺っており、白皮が再攻勢をかけた際には自ら戦闘に介入した。少女のジンのことを「枝なし」と呼ぶ。

ミズガルズ王 (みずがるずおう)

王都ミズガルズに住む王。丸メガネをかけ、前髪をサイドに大きく分けている。性格は傲岸不遜で威圧的、自分に絶対の自信を持っている。性格はともかくとして、本気で人類の行く末を案じており、どうすれば再び人類が繁栄できるか真剣に考えている。その思想からリュウマやジン、そして枝を折ることに執着している繭王とは対立関係にある。 このうち繭王との確執は、血族内での交配を重ねて生まれた結果、自身が子が作りにくい体質を持ってしまったことにも起因している。自分に意見し、生身で人造妖刀「物欲し竿」を使うリュウマの母を気に入り、「王の子を作れ」と迫る。

オカマ

修理屋を営み、各地を転々としている男性。リーゼントに固めた髪型と割れた顎が特徴。れっきとした男性だが、オネエ言葉を使う。身寄りのないマリオを引き取って育てているほか、物乞いをしていた隻腕のリュウマを拾って、車の修理などを任せている。

マリオ

オカマに引き取られて育てられている幼い少年。ゴーグルをつけたパイロットキャップのようなものをかぶっている。リュウマの伝説に憧れを持っており、それをバカにすると怒る、子供らしい一面もあるが、基本的にはあまりしゃべらず、他人には辛辣な言葉をかける皮肉屋。

ジンの副長 (じんのふくちょう)

ジン(仁)が近衛師団七番隊の隊長であった頃、その副長を務めた男性。額が見えるほど短く刈った黒髪とキツネ目、短い眉が特徴。仁が近衛師団団長に就任したのを機に、七番隊隊長を受け継ぐ。実は神洲倭人とユグドラシル人の混血。神洲倭出身ながら、実力でのし上がった仁を心から崇拝している。しかし、仁からは「俺のために命を捨てかねないから、あいつはバカだ」と評されてしまっている。

シンシア

ジン(仁)の娘。金髪の長い髪をツーサイドアップにまとめ、大きな瞳を持った愛らしい少女。穏やかで少し控えめな性格をしている。仁の娘であるということに加え、自在に物を動かす念動力のような特殊能力を持っており、研究対象として軍に丁重に扱われている。少女のジンと見た目が瓜二つ。

ミゲル

軍の研究所で、シンシアと同じく研究対象となっている少年。人体に触れることで、その思考を感じ取ることのできる精神感応能力を持つ。少し垂れ気味でクマをたたえた目元と、あちこちにハネた髪が特徴。シンシアの出自や能力に対して皮肉を言い、ライバル心をむき出しにする。少年のジンと見た目が瓜二つ。

アインス

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の一番隊隊将。眉の上で切り揃えた前髪を持つ若い女性。王と王都ミズガルズの近衛警備を主な役目としながら、王の命令や意向をほかの10蓮隊将に伝達し、指揮する役目も担う。このことから「大隊将」とも呼ばれる。武の名家に生まれ、智勇に優れる人物。かつてその強靭な肉体と精神を王に見初められ、王妃となってその子を宿したこともあったが、王妃たちの謀略によって流産。 以降、軍属となり、実力で10蓮隊将へと上り詰めた。瓜二つの顔を持つ姉がいる。実は隻腕のリュウマと共に、各地の調査に赴いた調査団の隊長こそがアインスの姉である。

フタバ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の二番隊隊将。筋骨隆々の巨躯と全身に無数の傷を持つ男性。主にアインスと共に行動し、巨大なハルバード状の武器を用いて戦う。元々アインスの家に養子として迎えられた男性で、寡黙にして従順、あまり自己主張をしない性格。しかし、アインスが王妃たちの策略により流産をした際には、怒りのあまり首謀者と見られる1人の王妃を殴りつける暴挙に及んだ。 体に刻まれた傷は、その咎で投獄された際、拷問によってつけられたもの。

ミツハ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の三番隊隊将。かつてリュウマを名乗っていたが、王によってその雅号をはく奪され、「ミツハ」を名乗るようになる。ミツハの副将によれば、リュウマ時代もそこそこ名が知れていたようだが、本人が言うには、せいぜい猿山のボス猿程度の実力だったとのこと。鯉口にローラー加速器を着けた刀を操り、座ったまま数匹の白皮を切り裂ける神速の抜刀術を使う。

ミツハの副将 (みつはのふくしょう)

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の三番隊副将。両目が隠れるほどに伸ばし、ボサボサにした髪型の少年。かつて盗人として生きていたが、ミツハに出会って、更生した過去を持つ。白皮によって殺されたミツハの武器を受け継ぎ、以降は「ミツハ」を自称するようになる。「きひひ」という特殊な笑い方がクセで、ミツハから、直すようよく注意を受けていたという。

ヨツハ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の四番隊隊将。白髪を後ろに撫でつけ、口ひげを蓄えた壮年の男性。「富豪将」とも呼ばれるほどの財力を誇り、貴族諸侯に大きな影響力を誇る他、私財を投じて独自編成した施設部隊を有する。

イツハ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の五番隊隊将。茶色がかった髪のサイドとバックを完全に刈り上げたツーブロックの髪型と、腹の出た体型が特徴。顔には口の部分のみ開いた仮面を着けており、素顔はわからない。特殊な調合を施した薬品入り試験管を投げて戦う戦闘スタイル。目標に当たった試験管は、爆発を起こして広範囲に炎上を起こす。 またその炎に触れた者の痛覚を最大限に上昇させるという奇抜な技を使う。

六番隊隊将 (ろくばんたいたいしょう)

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の六番隊隊将。フタバを超える巨体を持つ男性。前髪を両目を覆うように伸ばし、口元を金属製のマスクで覆っている。重歩兵隊を率いており、二番隊と共にミズガルズ城内でファランクス陣形を形成、指揮を執る。肩書きでしか呼ばれないが、六番隊隊将であることから、名前は「ムツハ」か「ロクハ」と思われる。

シチハ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の七番隊隊将。毛先を内側に巻き、全体的に丸いシルエットに整えた髪型に、カチューシャを付けた美女。自己中心的で非常にわがまま、ジェームスにしか機嫌を取ることができないという厄介な性格。しかしその実力は「ブシドー」の中でも最強と言われている。武器は「フラワーオブクーピド」と呼ばれる弓矢で、望遠鏡を使ってようやく分かる幼児型の白皮を裸眼で捉え、しかもその眼球に、一瞬のうちに4本の矢を命中させることができる。

ジェームス

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の七番隊副将。オールバックに固めた黒髪と1本だけ垂らした前髪、右目に着けた眼帯が特徴の色男。新造妖刀「飢餓丸」という幅広の片手剣を用いて戦う。頭もよく回り、剣の腕前も申し分ない優秀な人材だが、それ以上にシチハがジェームスの言うことしか聞かないため、七番隊にはなくてはならない存在となっている。 シチハのことを「ハニィ」と呼び、どんなわがままも聞くほど甘やかすが、その分、自分の意見を聞いてもらうこともある。

ブレア・M・ヴィッツ

かつてミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の九番隊隊将を務めた人物。幾分後退した前髪を横分けにした髪型の男性。ミズガルズ攻防戦の際は、西に存在する自治区からの牽制が激しく不参加。その後、アインスが王となってから王都に帰還した。元々王の血筋に連なる第4王位継承者という存在。王が崩御した後は、非常に不安定な立場にあるため、ヨツバの庇護下に置かれて半幽閉気味の生活を送るはずだった。 しかし、その微妙な立場と元の役職を利用して、現場に赴いては、捕らえた白皮を相手にその生態の研究や兵器開発に勤しみ、それを心底楽しむ特異な性格を持つ。

テンバ

ミズガルズ王の直属特務遊撃部隊「ブシドー」の十番隊隊将。ボサボサの髪に虎模様のマフラー、常にくわえ煙草の男性。風骸衆という特殊部隊を率いている。大きな鎖鎌を使った戦闘スタイルが持ち味。鎌を振るい、真空を生み出して攻撃する技「鎌威太刀」が必殺技。飄々とした性格だが、戦闘や作戦においては現実的で冷静な視点を持つ。

番傘の男 (ばんがさのおとこ)

枝を折った人物の一人。ミズガルズ攻防戦の一方で、少年のジンが空けた枝に侵攻をかけた。和装束に身を包み、番傘を差している。ちなみにキャラクターデザインは、かつて作品連載前に描かれた読み切り版の主人公の1人とまったく同じ。本編での登場はこの時が初めてだが、コミックス巻末のオマケ漫画では、出番がないことを散々愚痴っていた。 のちに、神洲倭の生き残りの人物であることが明かされ、白皮眼のリュウマらと対峙する。

仮面のリュウマ (かめんのりゅうま)

枝を折った人物の1人。ミズガルズ攻防戦の一方で、少年のジンが空けた枝に侵攻をかけた。筋骨隆々の巨大な体躯と、顔を隠すようにかけられた布状の仮面が特徴。巨大な鋏状の武器を使う。なぜか言葉を一切話さないが、感情は豊かで、特に番傘の男とは目や態度だけで会話するかのように通じ合っている。ちなみに番傘の男と同じく、キャラクターデザインは読み切り版の主人公の流用である。

そばかすの娘 (そばかすのむすめ)

頬にそばかすのある大人しい少女。シンクシティで暮らしている。マリオブラザーズと取引をしていた男性が、「専用の娼婦に」とマリオブラザーズに勝手に引き渡してきた。その後、流されるままマリオブラザーズと生活することになる。

そばかすの娘の両親 (そばかすのむすめのりょうしん)

マリオブラザーズに引き渡されたそばかすの娘の両親。父親はうだつの上がらない水夫、母親は父親が付き合いのある水夫を客に取る娼婦をしている。娘が売られたことに対して怒るどころか、シンクシティで評価を上げるマリオブラザーズとのつながりができたと喜び、その名を盾に態度を豹変させていく。

再生のジン (さいせいのじん)

シンクシティに現れた女性の姿をしたジン。足元まで伸びる長い金髪を持ち、黒いワンピースを着ている。死んでしまったそばかすの娘を抱きかかえる白皮眼のリュウマににじり寄り「その子も、君のママも、動くようにしてあげようか」と誘惑する。それを隻腕のリュウマ(ヤツハ)に遮られた後は正気を失って、髪を振り乱して暴れ回る。 元は、初継のリュウマとなったジンの副長によって折られた、2本目の枝に組み込まれた超能の1人。細胞の増幅や治癒に特化した能力を持っていたため、枝の支配下を抜けても生き続けることになった。繭王の記憶によれば、人間だった頃はエミリーという名を持つ小さな少女だった。

第35代目仁武王 (だいさんじゅうごだいめじんぶおう)

神洲倭の支配者である仁武王の名を自称する人物。筋骨隆々の体躯に鋭い眼光と太い眉など、千年前に生きたジン(仁)と瓜二つの容姿をしている。違う点と言えば唯一毛髪が黒い部分のみ。また瓜二つなのは見た目だけではなく、実力も同様。オリビアのリュウマの針によって操られた仮面のリュウマの不意の一撃に直立状態から反応し、仮面のリュウマの腕を一刀のもと鮮やかに切り捨てた。 番傘の男からは「親父」と呼ばれている。

隊長 (たいちょう)

王室の調査団の隊長。各地に残るリュウマの痕跡の調査をする女性。眉の上で刈り揃えた前髪と、リボンでひとつ結びにした長い金髪を持つ女性。隻腕のリュウマとともに辺境の山岳地帯の街を訪れた際、少女のジンと出会い、白皮との戦闘に巻き込まれる。隻腕のリュウマを逃すために、自ら囮となって多数の白皮に立ち向かい、その後行方不明となる。

副長 (ふくちょう)

王室の調査団で副長を務める男性。隻腕のリュウマを連れ、各地に残るリュウマの痕跡を調査する任務に就いている。不愛想で煮え切らない態度の隻腕のリュウマが本物かどうか訝しんでおり、隊長がリュウマの言うことに従っているのが気に食わないでいる。その後、少女のジンと遭遇し、隊長から隻腕のリュウマを連れて逃げるよう命令された際には、「なんでこんな奴のために!」と悔し涙を流しながらも、隻腕のリュウマを連れて撤退。 しかし、その途中で白皮に襲われ、命を落とす。

眉なしの男 (まゆなしのおとこ)

とある街の酒場にいた男性。集まった村人たちに、リュウマを連れた王室調査団の顛末を語った。隻腕のリュウマと調査団が少女のジンに出会い、全滅したという話を事細かに語った。

酒場のマスター (さかばのますたー)

とある街の酒場でマスターをしている男性。眉なしの男がリュウマを連れた王室調査団の顛末を語った場におり、「全滅したなら、だれがその話を伝えたのか?」という疑問を呈した。

食堂の主人 (しょくどうのしゅじん)

オリビアの食堂で主人を務める男性。無法者が暮らすオリビアの街で食堂を経営しているだけあり、事情を知らない人間からは当然のように料金をボッタクる。リュウマの母が訪れた際、高額を請求するも無銭飲食であることを知り、飲食代を回収するため、リュウマの母をオリビアのリュウマのもとへ売ろうとした。

リュウマの弟子の恋人 (りゅうまのでしのこいびと)

リュウマの弟子と恋人の間柄にあった少女。明るい色の髪をサイドで三つ編みに編んだ髪型をしている。かつての恋人が遺体となって運ばれた時には思わず声を出しそうになったが、村と、そしてリュウマのしきたりから声をかけることもできず、必死でその感情を押し殺すしかなかった。

リュウマの弟子を運んだ男 (りゅうまのでしをはこんだおとこ)

リュウマの弟子の最期を看取った人々の1人。リュウマの弟子の遺品にあったスートラ石の産地から山間の村を突き止め、その遺体を村に返した。リュウマの遺体を必要以上に罵倒する村人たちに違和感を覚え、真実を突き止めようとしたところ、リュウマ師夫から真相を明かされたうえで「誰にも言うな」と脅迫される。

海坊主 (うみぼうず)

ビッグボス団の隊長格の男性。イーグルやレイと共にその名を知られる。2メートルを超える巨体と、片手で人を持ち上げるほどの怪力を誇る。

4本腕の糸使い (よんほんうでのいとつかい)

枝の中に突入したボスの前に現れ、行く手を阻んだ男性。体に4本の腕を持ち、全身をマントで覆っている。軍用車をも軽く切断できる妖糸を操って戦い、ボスの左腕を切断した。しかし、その後リュウマ師夫と対峙し、その正体を見破られる。

フムラの卸業者 (ふむらのおろしぎょうしゃ)

豚鳥の酪農家の1人。豚鳥を育てている土地が、環境の変化によって腐ってしまったため、質の悪い豚鳥しか育てられずに販売価格が下落し、苦しい生活を強いられている。そのイライラから、車の修理を頼んでおいた隻腕のリュウマに八つ当たりをした。車を受け取った後、別の市で豚鳥を売るため出発したところを白皮の襲撃を受け、死亡する。

男色の男 (だんしょくのおとこ)

スラム街の男性。元隻腕のリュウマが、王都ミズガルズのスラム街で、カイルに金をスラれた際、その身を預かるとしてしゃしゃり出てきた。左頬に「男色」と書かれた入れ墨を持つ。一般人の2倍はあろうかという巨体の持ち主で、右腕には義腕を備えている。自称機工歩兵隊の一員で、特務遊撃部隊「ブシドー」入りも確実と嘯(うそぶ)くが、隻腕のリュウマによって瞬時に義腕を解体され、泣き崩れる。

ロクサ

王都ミズガルズのスラムに住む少女。金髪の長い髪を肩の高さでゆったりと二つ結びにした髪型をしている。元隻腕のリュウマから金をスリ取ったカイルの姉。スラムに住んではいるが、スリを行ったカイルを叱るなど良識を持ち、礼儀正しく穏やかな性格。のちにミズガルズが白皮の脅威にさらされた際、オカマやマリオを避難させ、その後も共に行動することになる。

カイル

王都ミズガルズのスラムに住む少年。ロクサの弟。スラムを訪れた隻腕のリュウマから金をすりとろうとした縁で知り合い、後にミズガルズに白皮が攻めてきた時には、オカマやマリオを家に避難させた。その後、白皮眼のリュウマが生まれ、各地を転々としている生活のなかで「王都へ行く」と言い残し、ロクサらと袂を分かつ。

ロクサの兄 (ろくさのあに)

ロクサやカイルの兄。ロクサによると、背格好が隻腕のリュウマと瓜二つであるという。元々、王都ミズガルズで、家族のために盗みを働いて生計をたてていたが、警備隊に捕まって帰らぬ人となった。ヤツハの代わりに、ミズガルズ王に処刑された人物ではないか、とされている。

ボルドー

隻腕のリュウマ(ヤツハ)と共に王都にいた繭王の巫子の1人。一見フードをかぶった背の低い少年だが、その顔には深く皺が刻まれており、ヤツハと違って背丈が成長していないなど、謎の多い人物。ヤツハの少年期同様、両頬にテープを貼っている。長く続きすぎた国に改革が必要だとして、現・ミズガルズ王に取り入り、肉体強化などを促す禁術を施した。

はぐれ殺し (はぐれごろし)

猟銃を担いで笠をかぶった出で立ちの老人。はぐれの白皮を狩る人物として名を知られる。白皮の生態に詳しく、雪の集落の村人たちに請われて蟻の白皮を討伐した。白皮を殺し、生き残るためなら人の死体ですら利用する冷徹な一面を持つ。蟻型の白皮を討伐した後に集落に戻った際、幼児型の白皮に真っ先に狙われ命を落とす。

10番 (じゅうばん)

かつてジンの反乱が起きる前、ユグドラシル近衛師団十番隊の隊長を務めた女性。両目の下に傷を持ち、ポニーテールの髪型とくわえ煙草が特徴。ジン(仁)に心酔してその反乱さえも許容する七番隊隊長・ジンの副長と対峙する。

太ったディーラー (ふとったでぃーらー)

シンクシティで枝の遺産を買い取るディーラーをしている太った男性。ロクサの持ってきた大量の遺産に腰を抜かしつつも、その事情を察し、目立ちすぎだと忠告をする。

マスクの男 (ますくのおとこ)

シンクシティでディスポーザーをしている男性。指をナイフ状にした武器内蔵の義手を持ち、顔には「強姦」と書かれたマスクを着けている。過去に白皮に襲われて顔面の半分を失い、その部分を機械化している。そのマスクの下の機械の顔面には「輪姦」と書かれている。ロクサがディーラーに見せた大量の遺産を盗品だと決めつけ、お仕置きと称して乱暴を働こうとした。

神洲倭の男 (かみすわのおとこ)

復旧中のミズガルズの難民街に現れた男性。黒髪の長髪で、東洋の衣装を着て、大きな刀を差している。その姿から、「リュウマが現れた」と話題になっていた。調査の結果、神洲倭の人物であることが分かり、十番隊と大立ち回りを演じた末に捕縛される。その後、鎖につながれたままアインスに謁見を許されるが、アインスに攻撃を仕掛けようとして死亡。 今際のきわに、自爆するという壮絶な最期を迎えた。

針使いのリュウマ (はりつかいのりゅうま)

かつてオリビアの街に現れ、白皮から人々を守ったリュウマ。黒髪の長髪、和装束を着た出で立ち。過去に九番隊隊長が使ったという針遣いの能力を受け継いで戦う。白皮に針を刺すとその動きを止めることができ、時には操りさえもしたという。その後、オリビアの守護を受け持つが、人々からの羨望や期待、そして膨れ上がった重責に耐えきれず、精神と身体を病んで死亡した。 オリビアのリュウマはその弟子であったが、師の姿を見てリュウマを求める人々に幻滅し、民のために力は使うまいと心に決める。

王妃たち (おうひたち)

ミズガルズ王の妃たち。子を生(な)せないミズガルズ王のために、あらゆる貴族階級から嫁いできた女性の集まり。彼女たちには、ミズガルズ王の子を産めるように最大限の配慮がなされており、特権的な既得権益を有している。一方で、いまだ誰一人として王の子を産んでいないため、奇妙な均衡を保っており、王の子を宿す、もしくは宿す可能性がある場合は、手段を問わずに排除しようとする。 かつて王妃となったアインスに薬を盛り、子を産めない体にした。

王のペット (おうのぺっと)

ミズガルズ王が作り出したペットたち。遺伝子操作で旧文明に生きた種族を作り出したもの。しかし、生殖能力がないため、一代で途絶えてしまう。犬、オウム、豚などがいる。

集団・組織

ビッグボス団 (びっぐぼすだん)

ボスが率いる大傭兵団。ビッグボスオブリュウマの名のもとに、各地のならず者たちを集めて構成されている。また、その名前を聞いた一般人の入隊も受け入れ、勢力を拡大。いつしかミズガルズから仕事を依頼されるまでの規模に成長した。短髪のリュウマの目的を遂げるため、枝を折りに向かう。

ブシドー

ミズガルズ王直属の特務遊撃部隊。各地の白皮をせん滅するほか、リュウマを名乗る人物の確認と確保など、さまざまな任務を遂行する。

爆炎団 (ばくえんだん)

烏丸衆と事を起こした荒くれものたち。ミズガルズ最古の化石燃料地帯でその覇権を争った。爆炎兄弟をトップとして、銃器などを使った戦闘スタイルが持ち味。烏丸衆とのいざこざをビッグボス団に制止され、そのまま傘下に加わった。

烏丸衆 (からすましゅう)

爆炎団と事を起こした荒くれものたち。ミズガルズ最古の化石燃料地帯でその覇権を争った。リーダーは、両目部分に金属製のプロテクターを着けた痩身の男性。超振動小太刀という武器を有し、俊敏な動きで敵を翻弄して撃破する戦闘スタイルが持ち味。爆炎団とのいざこざをビッグボス団に制止され、そのまま傘下に加わった。

ディスポーザー

枝が崩落した跡地に群がり、その残骸を集めて売りさばくことを生業として生きる者たち。危険極まりない白皮の巣窟でも、人の入り込めないほどの汚染が進んだ場所にも潜り込み、一攫千金を夢見るその姿から、「残飯処理」と揶揄されている。その危険度から、基本的に社会に適さない何らかの理由を持つ者ばかりが集まっている。互いの発掘船をつないでコミュニティを形成するなど、一定のルールがある。

マリオブラザーズ

マリオと白皮眼のリュウマたち兄弟と、隻腕のリュウマやオカマ、ロクサを含むディスポーザーの一団を表した言葉。無法者たちが集まるシンクシティで、子供がリーダーとして活動するディスポーザーは珍しく、また白皮の目を持つというリュウマの噂は広まりやすい。そのため、兄であり、リーダーでもあるマリオの名をもじってこう呼ばれている。

場所

王都ミズガルズ (おうとみずがるず)

かつて繭王が作り上げた城塞とそれを取り巻く街のこと。現在はミズガルズ王が統治している。環境の変化によって自然隆起した地盤の上にあり、汚染された空気が届かない。また周囲が湿地に囲まれているため雲が厚く、人類に有害となる太陽の光もあまり届かず、人が住むにはうってつけの場所。さらに旧文明の名残であるジオフロントの遺産を抱え、資源にも恵まれている。 守りが堅く、白皮が登場してから今に至るまで、一度も白皮の侵入を許したことがないとされ、人類の最後の砦と言われている。

スヴァジリファリの石壁 (すゔぁじりふぁりのせきへき)

王都ミズガルズの周辺を取り囲む長大な石壁。極端な地殻変動によって、王都を含む直径20キロメートルほどの地盤が隆起、その反動で周囲には底に光が届かないほどの深い堀ができた。これによってできた石壁であり、天然要塞の様相を呈している。石壁と周囲の地の間には、東西南北に4つの石橋がかけられており、王都への主な移動手段はその石橋以外にない。 人員のみならば、各所にいくつも備えられたロープウェイで渡航が可能。

辺境の山岳地帯の街 (へんきょうのさんがくちたいのまち)

王国の手が届かない辺境にあった街。山岳地帯の山間に大きなダムを築いて水源を確保し、さまざまな資材を運ぶキャラバンを迎えて生活していた。その昔、閃撃のリュウマが現れ、白皮の侵攻から一度は救われたものの、リュウマが去った後、改めて白皮の侵攻にさらされて滅んだ。

技術者たちの街 (ぎじゅつしゃたちのまち)

既に失われた過去の遺産を掘り返し、その技術を復元することで生計を立てていた街。ある時リュウマを名乗るボスが現れ、その説得により、全住民が別の街へと移り住むことになる。その後、人知れず白皮の侵攻に遭って滅ぶが、人的被害はなかった。

オリビアの街 (おりびあのまち)

無法者たちが集まる街。オリビアのリュウマが治めている。オリビアのリュウマは、逆らう者を皆殺しにし、捕らえた白皮と住民を争わせて見世物にするような人物。しかし、リュウマの名のもとに金や資材、人が集まり、白皮の侵攻からだけは守られている。

山間の村 (さんかんのむら)

とある山間にある村。作物の育たないやせた土地だが、質の良い豚鳥を育成できる環境にあり、住人はこれを収入源として生活している。リュウマ師夫とリュウマの弟子が住みつく村で、リュウマ師夫がリュウマであることは、村の大人たちの中では公然の秘密となっていた。

ユグドラシル

世界中の資材とあらゆる叡知をかき集めて作り出された完全都市。大量破壊兵器の暴走によって5回の滅亡が約束されるほどの被害を被った世界に建造された。正式名称は「帝国連邦完全都市ユグドラシル」。世界樹と呼ばれるものを持ち、周囲に枝と呼ばれる7本の巨大建造物を配置することで、都市を中心に全世界の8割程度の範囲を影響化に置き、その範囲内の環境汚染の緩和や均衡を保つよう設計されている。

神洲倭 (かみすわ)

ユグドラシルの影響が及ばない東亜圏に存在する国。自らの国の生存をかけ、ユグドラシルの資源や領土を狙って侵攻をかけている。

シンクシティ

街と呼べるほど巨大な船団。ディスポーザーたちの居住区兼発掘船をつなぎ合わせて形成された。社会的地位を持たないディスポーザーたちの集団であるため、必然的に治安が悪く、法と呼ばれるものが存在しない。

ガムダ

王都ミズガルズから1000キロ北方にある極寒の死海。番傘の男らによって折られた4本目の枝の調査に向かった七番隊の情報をもとに、ブレア・M・ヴィッツが、「神洲倭が4本目の枝の回収を行っている中継地点」であると目星をつけた場所。

イベント・出来事

ジンの反乱 (じんのはんらん)

かつて文明を崩壊させ、世界を滅びに導いたとされる伝説上の出来事。千年前に起きた出来事とされているが、それが一体どんなものだったのか、詳しいことは、逸話に残っていない。唯一分かっていることは、それが千年前に起きたこと、そしてジンの反乱からリュウマが世界を救ったということだけである。なお、ブレア・M・ヴィッツによれば、厳密には千年ではなく、673年前に起きた出来事であるという。

その他キーワード

リュウマ(伝説)

かつてジンの反乱から世界を救ったという伝説的英雄の名前。リュウマの活躍はおとぎ話として語られるのみとなっているが、その英雄譚は、滅んだ世界で唯一の希望の象徴として語られている。リュウマはすでに滅んでしまった旧文明の秘薬によって、おとぎ話に語られる千年前からいまでも生き続けているとも言われ、その姿は絶世の美女であるとも、氷の瞳を持つ銀髪の男性であるとも言われている。

ジン

かつて世界に滅びをもたらしたとされる存在の名前。その存在はリュウマの伝説の中で、世界の崩壊のきっかけを作ったものとして残るのみ。どんな存在なのかは誰も知らないが、口にするのも憚られる災厄の象徴として、忌み名として、人々の心に影を落としている。

(えだ)

柱状の建造物。世界のどこからでも見えると言われるほど太く、その先が見えないほどに高い。「世界の枝」と呼ばれるものだが、多くの場合、単に「枝」とのみ呼称される。既に失われた謎の科学技術で建てられたと思われるもので、短髪のリュウマは、それをへし折るのが目標だと語る。

豚鳥 (ふむら)

遺伝子操作によって造られた生物。人間と白皮以外に、この世界で生きている唯一の生命体。見た目は鶏のような脚で二足歩行をするセイウチ。人間にとっては毒とされる太陽光を浴びて、それをエネルギーに変換する生態系を備えている。人間が唯一口にできる肉食用動物として管理・飼育されている。

白皮 (はくひ)

千年前のジンの反乱を機に出現した謎の生命体。蟻、蟲、蛭、猿など様々な形態を持つが、共通して肌の色が白く、人体を優に超える体躯を持ち、また人類へ執拗なまでの悪意を持って人間を襲ってくる。厳密にはこれらの共通項に加えて、体の一部に人と同じ部位を持つのが、本当の白皮とされている。

世界樹 (せかいじゅ)

枝の中で少女のジンによって思考を読まれた短髪のリュウマが口にした言葉。少女のジンによれば、それはどこかに移されたものであり、枝はその世界樹の一部であるという。過去編では帝国連邦の首脳会談とも言える存在で、帝の決定を決議によって唯一覆すことのできる機関とされている。

巫子 (みこ)

繭王の生命維持や健康管理を行い、旧文明や繭王自身から得た知識をもとに、旧文明の科学を再現する力を持つ者たちのこと。その中でも、とりわけ特殊な能力を持ち、繭王の意識の深奥にまで深く潜り込むことができる者のことを言う。秘密裡に各地のリュウマを支援し、彼らに枝を折らせようとしている。

幼児型の白皮 (ようじがたのはくひ)

特殊な白皮。体の半分を占めるほど大きな頭部に、小さく落ちくぼんだ目と大きく割れた口を持つ。通常の白皮とは異なり、人を見てもすぐに襲ってこない。そのうえ、人の行動を監視して真似をしたり、戦術を見た直後に、その対策を取るほど高い学習能力を持つ。

10蓮隊将 (じゅうれんたいしょう)

特務遊撃部隊「ブシドー」の一番隊から十番隊まで、すべての隊長を表した言葉。人間離れした実力を持つ者として、また王国軍の中でも限られた者にしか与えられない名誉として、すべての人の羨望の的となっている。なお、名称は基本的に「数字の数え+ハ(バ)」というパターンが用いられるが、アインスのみ例外。アインスはドイツ語で数字の「1」を現す言葉。

数印 (すういん)

リュウマの母の左腕に刻まれた数字の羅列のこと。ミズガルズ王が言うには、過去にも同じような数印を持ったものが、人里に現れたことがあり、およそ人の形をしていなかったにも関わらず、人語らしきものを話し、「枝から逃げてきた」と語った。数字の並びは、見える限りで「3141517…」と続き、円周率と同じパターンである。

武王 (ぶおう)

神洲倭を統べる英傑の名前、およびその人物に与えられる称号。枝ができて以来、混乱し続けた神洲倭を武力によって制圧、統率したといわれる。かつてはジン(仁)がその立場であったことが、ユグドラシルに捕らえられた神洲倭の女兵士によって語られた。

毒持ち (どくもち)

汚染された世界の空気を吸ったり、汚染水を浴びることによって、体に異常をきたした者のこと。毒持ちの症状は「侵度」と呼ばれる進行度合いで表される。毒持ちになると、体に黒い斑点状の症状が出る。ほかには、具体的にどんな症状が出るのかは明かされていない。おおよそ人間が正常に生きられる限度は侵度4のようで、それ以上の進行は、何としても避けるべきだとされている。

超能 (ちょうのう)

枝の機能を維持するために、人柱として捧げられた者のこと。特殊な能力を有する者が、ユグドラシルの研究機関でその力を解析・研究され、枝の機能を維持するだけの力を持つ、と判断されたものが選ばれた。枝に組み込まれる際には、意思や生物としての機能が完全に奪われ、単純な生体ユニットとして扱われた。

物欲し竿 (ものほしざお)

刀状の武器。身の丈もあるほど長大な刃長と広い身幅を持つ。柄の部分も非常に長くなっており、リュウマが使うと菱窓の部分に眼球のようなものが現れる。かつて最強最速を誇った七番隊の隊長が使ったとされ、刀自身が脊椎中枢に干渉することで、筋力・反応・代謝をアップさせる。しかし、代償を欲するように体を蝕み、壊死させていく。リュウマを名乗るほどに体を鍛え上げた人物ですら、振るうには繭王の巫子が調合した薬剤の使用と精密な肉体管理が必要。 どちらかでも欠けると、即座に身が朽ち果てるという。

トゥールハンマー

大きく分厚い鋼板を重ね合わせて造られた武器。一面が手首から肘ほどの長さのある。ボスが対白皮戦で主要武器として用いた。本来は「物欲し竿」を扱えるようになるまでの訓練用武器として作られたもの。それでも一般人の手に余るほどの重量と破壊力を持つ。

ソールの黒点 (そーるのこくてん)

口に含めるサイズの小さなカプセル状のもの。枝に突入する前の短髪のリュウマに渡された。その正体は、繭王の知識から作成した超小型の反物質爆弾。少女のジンと出会い、瀕死の淵にいる短髪のリュウマが、かみ砕いて自爆。枝の一部を破壊した。

薬剤 (やくざい)

「物欲し竿」を操るリュウマに渡される特殊な薬。注射器状のものや、キセルの羅宇の部分から吸う形のものなど、体内に取り込む形であれば、どんな方法でも効果を発揮する。薬剤を投与されると、体にひび割れ状の模様が浮かび上がり、瞬発的に身体機能が上昇する。

劇薬 (げきやく)

枝に突入する前のボスに、まだ繭王の巫子であった頃の隻腕のリュウマが渡した薬品。繭王の知識から調合した薬で、中枢神経を活性化する作用があり、集中力の極増化、痛覚遮断、代謝の異常活性などの効果がもたらされる。しかし、3本立て続けに使用すると、いかに体が頑丈なボスでも即死し、人造妖刀「物欲し竿」との併用などもってのほか、と言われるほどの劇薬。

桜花 (おうか)

ミズガルズ軍が所有する自走式砲台。蟲型の白皮程度であれば、集団で焼き払うほどの火力を持つ。対白皮兵器として非常に有効だが、機動性はあまり良くなく、小回りが利かない。そのため、知能の高い白皮に、そこを付け込まれることもある。

起電磁砲 (かんなり)

石橋を渡るレールの上に備えられている兵器。王都ミズガルズの城内にある。使用した際には、石橋を渡る幼児型の白皮の群れを難民ごと粉々にし、吹き飛ばした。その威力は、石橋を見渡す限りの黒煙で覆うほど。

飢餓丸 (きがまる)

特務遊撃部隊「ブシドー」の七番隊副将・ジェームスが使う剣。見た目は幅広の片手剣。刀身の根元部分に大きな眼球のようなものが備わっており、戦闘の際にはその目を開く。新造妖刀の名の通り、人造妖刀「物欲し竿」をモチーフに改良を加えられた剣で、刀自体に使い手のDNAを配合。使用者にかける負担を大きく減らしながらも、身体能力を高める機能を備えている。 また刀身についた眼球は、使用者と視覚情報を共有しており、これによって瞬間的な攻撃の見切りを可能にしている。

フラワーオブクーピド

特務遊撃部隊「ブシドー」の七番隊隊将・シチハが使う弓矢射出兵器。洋弓の弓柄を、身の丈を超える大きな板状のもので挟んだ形状をしている。この板状の射出板は、レールガンに使われている装置を改造したもの。これによって矢を超高速で射出することを可能にしている。しかし造りは粗悪で放電もひどい。シチハは生まれつきの耐電体質であり、この放電に耐えることができる。

万人切り (ばんにんぎり)

神洲倭に伝わる唯一無二の武器。人造妖刀「物欲し竿」の真打となる刀で、違いは刀身の赤さ。すべての「物欲し竿」は、この万人切りを基に作られた。

番傘 (ばんがさ)

神洲倭の番傘の男が持っている武器。見た目はそのまま番傘のような形状だが、先端の石突部分が長く尖っている。閉じた状態のまま相手を刺突して貫き、その後傘を開くことで、攻撃対象の持つ固有振動に合わせて、傘を振動させ、粉々に粉砕することができる。

鎌威太刀 (かまいたち)

特務遊撃部隊「ブシドー」の十番隊隊将・テンバが使用する技。鎖鎌を振るうことで空間に真空を生み出し、目標を切り刻むことができる。「真空強制鎌威太刀」の掛け声と共に使用する。

神速抜刀 (しんそくばっとう)

特務遊撃部隊「ブシドー」の三番隊隊将・ミツハ、およびミツハの副将が使用する技。鯉口に高速回転するローラーが付き、ローラーとかみ合う凹凸のついた刀身を持った武器を使用することで初めて使える技。しかし、その武器を使えば誰にでも使える技ではない。この技の威力を最大限発揮するには、超高速で抜刀される刀を制御する力と技術が必要になる。

六連接杭穿 (りぼるばんぐ)

隻腕のリュウマ(ヤツハ)が使用する技。リボルバータイプの弾倉を持つパイルバンカーの義腕により、弾倉に備えた全爆薬を連続使用する技。かつて「隻腕のリュウマ」を名乗っていた頃は、5連撃で肩から血を噴き出していたが、改良を重ねて連発できるようになっている。

精神感応 (てれぱす)

隻腕のリュウマ(ヤツハ)が使うことのできる超能力。他人の精神に自分の精神を同調させ、その意識や記憶、感情を読み取ったり、またはヤツハ側からそれらを伝えることができる。そのほか、対象の意識に干渉し、特定のものだけを感じ取れなくすることも可能。ヤツハはこの力を見いだされ、王都ミズガルズのスラム街から繭王の巫子へと召し上げられた。 ただし、この能力を使うと、単体との精神を共有するだけでも、脳が焼き切れるほどの苦痛を伴う。

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