概要・あらすじ
アメリカ軍基地司令の息子、エイサップ・鈴木は、友人である矢藩朗利らの起こしたテロの関与を疑われ、軍関係者から逃亡していた。その先で、突如出現した巨大戦艦同士の戦闘に巻き込まれ、ホウジョウ軍の姫君、リュクス・サコミズと出会う。激化する戦闘に翻弄される2人は、リュクスの沓に備わっていたリーンの翼の力によって、光の門、オーラロードに引き寄せられてしまう。
その先には、バイストン・ウェルと呼ばれる、異世界の大地が広がっていた。
登場人物・キャラクター
エイサップ・鈴木 (えいさっぷすずき)
岩国市に住むフリーターの青年で、19歳。アメリカ軍基地司令アレックス・ゴレムと、日本人の鈴木敏子の息子だが、アレックスには立場上の問題で認知されていない。ルームメイトである矢藩朗利、および金本平次に、父親の伝手で入手した基地の情報を渡したが、結果的にそれがテロに利用され、追われる羽目になってしまう。 さらに、突如出現したオーラシップ同士の戦闘に巻き込まれたところ、そこで出会った少女、リュクス・サコミズとともにバイストン・ウェルに招かれる。そこでエイサップ・鈴木は聖戦士としてオーラバトラーのナナジンを操り、戦いに身を投じることとなる。
迫水 真次郎 (さこみず しんじろう)
19世紀に生まれた日本人で、現在はホウジョウ国の王。年齢は80に近いのだが、未だに若々しさを保っている。第2次世界大戦では特攻隊として出撃しており、広島、長崎に続いて落とされようとしていた原子爆弾を命がけで阻止するが、その時に開かれたオーラロードに巻き込まれ、バイストン・ウェルに召喚された。実際に戦争を体験し、東京大空襲や原爆投下を見てきた経験から、アメリカ軍に対して強い憤りを覚えており、彼らを打倒するために軍備拡張を続けている。 しかし、アメリカ人だからといって無差別に嫌っているわけではなく、日本人とのハーフであるエイサップ・鈴木に対しては、聖戦士として自分の跡継ぎにしたがるほどに気に入っている。
リュクス・サコミズ (りゅくすさこみず)
迫水真次郎の娘で、ホウジョウ国の王女。エイサップ・鈴木と同年代で、勝気で思いやりのある性格をしている。真次郎のアメリカ軍打倒に対する執念を妄執と考えており、彼の戦争を止めるため、単身で行動を起こす。その一環として、リーンの翼の沓を持ち出し、地上に出たところでエイサップと出会いを果たす。
エレボス
バイストン・ウェルに飛ばされたエイサップ・鈴木とリュクス・サコミズが、ワーラーカーレーンで出会ったフェラリオ。リーンの翼の沓に選ばれたというエイサップに興味を抱き、主人であるジャコバ・アオンの命によって彼らに同行する。勝気で人懐っこく、人間に対して好意的だが、真面目なリュクスとは若干そりが合わない様子。
矢藩 朗利 (やはん ろうり)
エイサップ・鈴木、および金本平次のルームメイト。過激な反米思想を抱いており、現代の日本に対しても鬱屈した思いを抱いている。そのため、テレビ局にテロを宣言し、実行している。エイサップらとともにバイストン・ウェルに召喚され、迫水真次郎が反米を目的に軍を募っていることを知ると、金本とともに協力を宣言。 オーラバトラー、シンデンのパイロットとなる。
金本 平次 (かなもと へいじ)
エイサップ・鈴木、および矢藩朗利のルームメイト。日系韓国人3世の青年で、現在は山口大学理学部に通っている。機械の扱いが巧みなインテリで、反米活動をファッションとして行っている。バイストン・ウェルに召喚された際に、朗利とともにホウジョウ軍につくが、平和慣れした日本を改革するためとうそぶき、2人で凶行に手を染めることとなる。
アレックス・ゴレム (あれっくすごれむ)
アメリカ軍岩国基地司令で、エイサップ・鈴木の父親。エイサップを認知しておらず、お互いよそよそしい関係となってしまっている。しかし本心では鈴木敏子やエイサップと家族として繋がりたいと考えており、2人が危機に晒された時は大胆な行動に出ることがある。
鈴木 敏子 (すずき としこ)
エイサップ・鈴木の母親。かつてアレックス・ゴレムと不倫関係にあり、その際にお腹の中にいるエイサップを堕胎しようとしたが、本国に戻り本妻と離婚するとアレックスに説得を受け、思いとどまった。別居こそしているが今でもアレックスのことを強く愛しており、エイサップと3人で暮らせることを願っている。
エメリス・マキャベル (えめりすまきゃべる)
アメリカ軍第7艦隊の司令で、階級は少将。富国強兵をモットーとしているタカ派の男性で、テロリズムに対抗するためには強力な軍事政権を打ち立てることこそが最善だと信じている。オーラバトラーが地上に現れた混乱を突き、自らの艦隊をアメリカから独立させようと目論む。
アマルガン・ルドル (あまるがんるどる)
反乱軍の頭目を務める老人。かつて迫水真次郎(サコミズ王)とは戦友の間柄で、ともに国を作り上げたが、自らは国を治める器ではないと考え流浪の旅に出ていた。現在はサコミズ王の野心を危険視しており、彼を止めるために兵を率いている。当初はリュクス・サコミズとも対立していたが、彼女もまたサコミズ王を止めようとしていることを知り、彼女を反乱軍にかくまった。
キキ・アッテル (ききあってる)
反乱軍の一員。オーラバトラー、ギム・ゲネンのパイロットを務める女性。戦場では常に帽子をかぶっている。リュクス・サコミズや、アマルガン・ルドルとともに突如岩国に現れ、ホウジョウ軍と乱戦を繰り広げる。その際に機体が不調を起こしてしまうが、アマルガンによって助けられる。
コドール・サコミズ (こどーるさこみず)
迫水真次郎(サコミズ王)の現在の妻。「ヘリコン」と呼ばれる部族の長の娘で、先妻の娘であるリュクス・サコミズには「後妻(のちぞえ)様」と呼ばれている。サコミズ王を支える一方で、コットウ・ヒンとともに何らかのたくらみを見せたり、エイサップ・鈴木が重用されることにいら立つ矢藩朗利に対して独自に声をかけたりと、腹に一物持っている様子がうかがえる。
コットウ・ヒン (こっとうひん)
ホウジョウ国の軍人。顎髭が特徴的な強面の男性。フガクの指揮を取る立場にあるが、ライデンに搭乗して前線に立つこともある。傲岸不遜な性格で地上人を軽く見ている節がある。コドール・サコミズと懇意の間柄で、彼女とともに水面下で何らかの企みを見せている。
ムラッサ・メェン (むらっさめぇん)
ホウジョウ国の軍人。ライデンのパイロットを務める女性。戦場においてはカスミ・スガイと肩を並べ、オーラバトラー隊を率いる。オーラロードに巻き込まれてバイストン・ウェルに召喚された矢藩朗利たちを発見し、保護。ホウジョウの城へと招いている。
カスミ・スガイ (かすみすがい)
ホウジョウ国の軍人。ライデンのパイロットを務める男性。ムラッサ・メェンや、ホウジョウ軍についた矢藩朗利らとともに反乱軍を襲撃。さらにはだまし討ちをすることで反乱軍の野営地を焼き討ちにしたため、エイサップ・鈴木の怒りを買う。その際に地上人への不信を叫び返り討ちにしようとするが、逆にエイサップの聖戦士としての力に圧倒されてしまう。
ジャコバ・アオン (じゃこばあおん)
ワーラーカーレーンを治める、フェラリオの長。バイストン・ウェルの秩序を守る役割を担っており、戦乱を持ち込んだり、混乱を招く者に対し相応の罰を与える。リュクス・サコミズがリーンの翼の沓で地上に出てしまったことを咎めるが、彼女とエイサップ・鈴木の存在が戦乱を収めるものだと認め、エレボスを補佐役につけさせた。
集団・組織
ホウジョウ軍 (ほうじょうぐん)
迫水真次郎(サコミズ王)自らが率いる国軍。サコミズ王の愛機であるオウカオーを始めとして、ライデン、シンデンなどの高性能オーラバトラーや、フガクといった超大型のオーラシップを擁している。しかし、それぞれの構成員が異なる目的や野望を抱いているため、軍としての結束に問題がある。
アメリカ軍第7艦隊 (あめりかぐんだいななかんたい)
エメリス・マキャベルが率いる艦隊。旗艦であるパブッシュから、そのままパブッシュ艦隊と呼称されることもある。突如現れたオーラバトラーによる混乱を平定するために岩国に駐留する。後にエメリスの独断によってホウジョウ軍と同盟し、アメリカ本国に対しクーデターを起こそうとする。
反乱軍 (はんらんぐん)
迫水真次郎(サコミズ王)の支配に抗うため、かつての盟友であるアマルガン・ルドルによって結成された勢力。ギム・ゲネンを主力とし、大型オーラシップであるアプロゲネを旗艦としている。ホウジョウ軍にも引けを取らない兵力を有しているが、聖戦士であるサコミズ王には到底及ばない。
場所
バイストン・ウェル (ばいすとんうぇる)
海と空の狭間にあるといわれている、地球とは異なる世界。独自の生態系、科学が構築されており、その最たるものが、人のオーラ力を動力源とするオーラマシンである。また、何らかの要因で地上の人間が呼びこまれることがある。
ワーラーカーレーン
バイストン・ウェルに存在する、フェラリオの住む世界。命の循環を司る世界でもあり、死を迎えた人間の魂が新たな肉体を得て転生するための場所が存在する。フェラリオの長であるジャコバ・アオンによって治められており、エイサップ・鈴木とリュクス・サコミズもこの国に招かれている。
その他キーワード
リーンの翼の沓 (りーんのつばさのくつ)
ホウジョウ国の城に秘蔵されている沓。迫水真次郎の野望を止めるためにリュクス・サコミズより持ち出された。使用者のオーラ力に応じて羽を生やすという特性を持ち、使用者しだいでは、オーラロードを開くほどの強力なものとなる。また、強いオーラ力を持つ人に引き寄せられることもあり、ジャコバ・アオンは、エイサップ・鈴木が地上にリーンの翼を呼び寄せたと推測している。
オーラマシン
バイストン・ウェルで開発された戦闘兵器群の総称。オーラバトラーと呼ばれる人型機動兵器や、オーラシップ、オーラクルーザーと呼ばれる艦船、他にオーラボンバー、オーラファイターといった戦闘機型のマシンが存在する。人間のオーラ力を動力源にしている。このため、強いオーラ力を持つ人間が操る機体は文字通り一騎当千の働きを見せることがある一方、一般兵の乗る機械や量産型の艦船などの戦闘力は、地上の戦闘機や艦船と変わらない。
オーラバトラー
バイストン・ウェルで開発された、オーラマシンの一種。虫のような外観を持つ人型機動兵器で、オーラ力を動力としている。自在に空を飛び、所持する剣から炎を飛ばすことができる。さらに、パイロットのオーラ力が異常なまでに高まると機体が巨大化するという現象も確認されている。
オーラシップ
バイストン・ウェルで開発された、オーラマシンの一種。巨大な艦船の形状をしており、軍の拠点、およびオーラバトラーの母艦として機能している。ホウジョウ軍のオーラシップは、迫水真次郎の方針によって日本軍が使用していた艦船に近いフォルムをしている。
オーラ力 (おーらちから)
生あるものから発するといわれている生体エネルギー。オーラバトラーの動力源になっているほか、リーンの翼の沓が超常現象を引き起こすための鍵ともなっている。地上で生まれた人間は強力なオーラ力を持つ傾向にあり、なかでもエイサップ・鈴木と迫水真次郎のオーラ力は突出している。
オーラロード
地上とバイストン・ウェルを繋ぐゲート。開かれたオーラロードは周りにあるものを吸い寄せて半ば強制的に転送を行う。開通条件は諸説あり、劇中ではリーンの翼の沓が所有者のオーラ力に応じて開いた他、憎しみや悲しみなどによって発生するマイナスのオーラ力をフガクが吸い寄せ強制的に開いた例もある。
聖戦士 (せいせんし)
バイストン・ウェルにて用いられる、称号の1つ。強力なオーラ力を持ち、国のために功績を挙げた者や、挙げる可能性が高い人物に与えられる。バイストン・ウェルに召喚された地上人は強力なオーラ力を持っている可能性が高く、聖戦士の候補者として厚遇されている。中でもエイサップ・鈴木は、迫水真次郎本人から聖戦士としての資格があると目されている。
ナナジン
ホウジョウ軍が開発したオーラバトラー。乗りこなせるパイロットがいなかったため城の地下に放置されていたところ、エイサップ・鈴木が乗り込むことによって起動した。乗りこなすのが難しいぶん高い性能を誇っており、エイサップの持つオーラ力も相まって、他のオーラバトラーを圧倒する活躍を見せている。
オウカオー
ホウジョウ軍が所有するオーラバトラーで、迫水真次郎(サコミズ王)の専用機。滅多に手に入らない材質が用いられているためワンオフの機体となっているが、サコミズ王の操縦技術、およびオーラ力の影響により、まさに一騎当千と呼べる性能を誇っている。オーラ力を具現化し、蝶の羽のようなバリアを発生させることができる。
ライデン
ホウジョウ軍が所有する、量産型のオーラバトラー。扱いやすく性能も高いため、ムラッサ・メェンやカスミ・スガイなど、多くの兵士に愛用されている。しかし、初めて地上で起動したときは何らかの異常が発生し、すぐに機能を停止させてしまった。
シンデン
ホウジョウ軍が所有するオーラバトラーで、ライデンの改良型。ホウジョウ軍についた矢藩朗利と金本平次に与えられた。2機のシンデンの剣を連結させることで、「オーラソード・ダブルディスパッチ」というあたり一面を焼き尽くす大技を使用できる。
ギム・ゲネン (ぎむげねん)
反乱軍の主力オーラバトラー。アマルガン・ルドルやキキ・アッテルなど、大勢のパイロットが運用している。性能はライデンとほぼ同等で、両者がぶつかり合う際に勝敗を分けるのは操縦者の技能とオーラ力であるといえる。また、この機体もライデンと同じく、初めて地上で稼働した際に機能不全に陥っている。
フガク
ホウジョウ軍の旗艦。オーラシップとしてはかなりの大型で、360メートルもの全長を誇る。リュクス・サコミズの履くリーンの翼の沓によって地上の岩国に突如として現れ、その威容で多くの人間をパニックに陥れている。指揮官はコットウ・ヒンが務める。
アプロゲネ
反乱軍が所有するオーラシップ。アマルガン・ルドルによって運用されており、敵対するフガクとの戦闘中、ともに地上に姿を表す。バイストン・ウェルに帰還してからも反乱軍の一角として変わらず使われている。旧式であるため、性能はフガクに劣る。
フェラリオ
バイストン・ウェルに存在する妖精。主にワーラーカーレーンで活動している。身体の大きさは個体ごとに大きな開きがあり、手のひらサイズから、人間の数倍以上の身長を持つものもいる。チ・フェラリオ、ミ・フェラリオなど独自の階級分けがなされており、人間とともにオーラバトラーに乗り込むこともある。
クレジット
- 原作
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