あらすじ
第1巻
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関に所属するトツキ・シーナは、自分が戦争の兵器であることを理解しつつも、戦いにも、死にもおびえる毎日を送っていた。そんなある日、シーナは血まみれの少女と出会う。翌日新入生としてやって来た彼女は、不死身の兵器と噂される戦士のカガリ・ミミだった。そんなミミはシーナとペアを組むことになり、シーナはミミの世話を命じられる。しかしシーナは、ミミの人懐っこすぎる性格や彼女に関するさまざまな噂を気にして彼女に苦手意識を抱いていた。一方のミミは、出会った初日からキスをしたりとシーナを振り回す。その翌日、模擬戦を行うことになったシーナたち14クラスは、一人三体の仮想敵の殲滅を目標に戦い始める。前回の模擬戦で一体も仕留められなかったシーナは積極的になれず、さらに仮想敵の攻撃を食らって、左手を失う大ケガを負ってしまう。そんなシーナを案じたミミは、失敗すれば自分も腕を失うリスクも顧みず、修復魔法を発動し、みごとにシーナの左腕を元に戻すのだった。これを受けてシーナはミミに感謝するが、それでも彼女に対する苦手意識はぬぐえず、クラスメートのアリにもそんな感情を指摘されてしまう。
第2巻
トツキ・シーナとカガリ・ミミがペアを組み、寮の同じ部屋で生活するようになってから、しばらくが経過した。シーナはミミといっしょに過ごすうちに少しずつ彼女の人となりを知り、認識を改めて親しくなっていく。そんなある日、シーナはミミから衝撃の事実を知らされる。ミミによれば、彼女は本当はすでに死亡しており、そのためどれだけ大ケガを負っても死なないのだという。困惑するシーナだったが、その直後、養護教諭のフランからあらためて説明を受ける。ミミは最高禁止魔法「蘇生魔法」で蘇生した存在であり、それによって不老不死の体を手にしていたのである。シーナはその日から蘇生魔法に関心を持つようになり、やがて蘇生魔法を解く方法もあるのではないかと思い至る。そしてシーナは、ミミが重用されているのは不老不死だからであり、もしそれが解ければ、ミミはもう戦わずに済むのではないかと考える。しかしフランはそんなシーナに対し、たとえミミがふつうの人間に戻れたところで戦争は続くこと、そして兵士として優秀なミミは戦争が続く限り駆り出されるだろうことを告げ、厳しい現実をつきつける。シーナは自分の無力さを痛感するが、それならせめて毎晩のように戦いに行くミミを、友人として支えようと心に決めるのだった。
登場人物・キャラクター
トツキ・シーナ
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の14クラスに在籍する女子。出席番号は8番で、寮のルームメイトはカガリ・ミミ。前髪を目が隠れるほど伸ばして、右寄りの位置で斜めに分けてヘアピンで留め、亜麻色の顎の高さまで伸ばした癖のある前下がりボブヘアにしている。穏やかで心優しい性格だが、クラスではあまり目立つ存在ではない。また魔力も低めで、本を一冊宙に浮かして動かす程度の魔法しか使えない。そのため戦闘は得意ではなく、模擬戦でもいい成績を残せていない。さらに戦争自体に消極的で、孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関に来てからもずっと親しい人間を作らず、わざと周囲になじまないようにしていた。そんなある日、ルームメイトが西地区第三ポイント周辺への襲撃に失敗して死亡したことで、ペアを組む生徒を失う。しかし翌日、新入生としてやって来たミミが出席番号7番として補塡されたことで、ミミのペアとして彼女の世話をするようになる。当初はミミに苦手意識を抱いていたが、いっしょに暮らすうちに、彼女を大切に思うようになっていく。好きな食べ物はお米で、特技はお菓子作りと掃除。非常にきれい好きなこともあり、特に掃除には積極的で生徒たちが校内を掃除して回る「返礼の日」には気合が入る。
カガリ・ミミ
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の14クラスに在籍する女子。出席番号は7番で、寮のルームメイトはトツキ・シーナ。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした桃色の癖のあるロングヘアにしている。一度死亡しているが、その際に母親の用いた最高禁止魔法「蘇生魔法」で蘇生し、不老不死となった。そのため非常に長い時間を生きており、さらにカガリ・ミミ自身も自分が何歳なのか忘れているため、正確な年齢は不明。10歳の時に孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関に入学するが、ほかの生徒とは隔離され、ずっとどこのクラスにも所属していなかった。そのためほかの生徒たちからは、ミミとは先生が秘密の特訓で育てた怪物のように強い生徒で複数存在し、死んでも生き返るなどさまざまな噂を立てられている。明るく人懐っこい性格で、ほかの生徒よりも長い時間を生きているにもかかわらず、精神的に幼い。また、親しい友人がいたことはなかったが、14クラスでシーナとペアを組むようになってからは、シーナの優しさに触れて彼女に懐くようになる。養護教諭のフランとは親しいが、彼女に対しては反抗的。身だしなみには無頓着で、食べ物の好き嫌いはなくなんでも食べる。得意な教科は歴史で、苦手な教科は数学。
セイラン
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の14クラスに在籍する女子。アリの恋人でもある。前髪を眉の上で切りそろえ、胸の下まで伸ばした黒のストレートロングヘアを姫カットにして、頭の高い位置でポニーテールにしている。長身の釣り目で両耳にピアスをつけている。きまじめな性格で、自分にも他人にも厳しい。そのため、浮ついた態度を取るクラスメートがいるとつい叱りつけてしまう。しかし、そのたびにアリになだめられており、彼女には頭が上がらない。トツキ・シーナとはそこまで親しいわけではなかったが、カガリ・ミミが14クラスに在籍してからは、よくミミとアリも交えた四人で過ごすようになる。
アリ
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の14クラスに在籍する女子。セイランの恋人でもある。前髪の目の上で切り、右側の方が少し長い、白のアシンメトリーなウエーブボブヘアにしている。褐色の肌の持ち主。落ち着いた性格で、いつも笑顔を絶やさず、ほかの生徒よりも大人びている。しかし、カガリ・ミミに関する噂やトツキ・シーナがミミをどう思っているかなど、聞きにくいことも本人に直接尋ねてしまう大胆なところがある。そのためセイランには心配されているが、アリ自身は、セイランさえ自分のことを好きでいてくれれば、ほかの人間には嫌われても構わないと考えている。神話や伝承が大好き。
フラン
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の養護教諭として働く若い女性。前髪を耳の下まで伸ばして真ん中で分け、伸ばしたロングヘアを腰の高さからゆるい一本の三つ編みにしてまとめている。左目は前髪で完全に隠れていて見えず、左目の下にほくろが一つある。また胸が大きく、着ている白衣の下は非常に露出度が高い。校内のそこらじゅうでタバコを吸っている愛煙家。カガリ・ミミとは親しく、彼女が不老不死であることを知る数少ない存在だが、ミミには懐かれておらず、名前ではなく「保健医」と呼ばれている。修復魔法の使い手で、医師としても非常に優秀。そのため、本来隔離されるべき存在であるミミを一生徒として14クラスに加えさせるなどの行為が許されている。しかし、ほかの教師からはこのような行動が煙たがられており、オミに心配されている。トツキ・シーナとは、ミミがシーナのペアとなって以来よく話すようになるが、シーナに厳しく意見することも多い。
オミ
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関の教師として働く若い女性。前髪を目の高さまで伸ばして真ん中で分けて額を見せ、顎の高さまで伸ばした前下がりのボブヘアに眼鏡をかけている。露出度の低い、地味な服装を好んで身につけている。物静かで落ち着いた性格ながら、カガリ・ミミがほかの生徒たちと接触することには否定的で、再び隔離すべきであると考えている。そのためフランとは親しいが、ミミの処遇に関しては意見が合わない。
場所
孤児院兼国戦用魔術兵器育成機関 (こじいんけんこくせんようまじゅつへいきいくせいきかん)
トツキ・シーナたちが所属する組織。身寄りのない10歳から17歳までの男女を受け入れ、年齢ごとに教育している。敷地内で共同生活を送りながら、戦争の兵器として育てられている。生徒たちには「学校」と呼ばれている。