概要・あらすじ
高校1年生の遥美礼は、親友の妃神尚人と一緒にいるところをライオンに襲われた。その時、美礼の額にルビーが現れ、ライオンを焼き殺して難を逃れる。その夜、美礼はテレビのニュースで、東京タワーに怪しい2人組がいることを知る。その2人組は東京タワーから飛び降りると同時に姿を消したが、その直後、美礼の家に姿を現す。
美礼の父親の遥成程は、2人組の1人、フィンセル・ディディエ・ラカイユが話す内容から、2人がレツェリアの住人であることに気付き、自らもレツェリアの住人であったことを告白する。美礼はレツェリアのハルカ一族であるがゆえに、鍵人として覚醒したのだった。その後、フィンセルと鍵人である美礼を狙って敵が出現するが、美礼たちはこれを撃退。
事態を収めるべく、フィンセルとサリア、美礼、姉の遥奈月、兄の遥奈久仁と尚人は、レツェリアに向かい、都を取り戻すことを決意する。
登場人物・キャラクター
遥 美礼 (はるか みらい)
高校1年生の男子。ふわふわした茶髪で、その年齢にしては小柄であることを気にしている。素直で泣き虫な性格をしている。昔から、日本全図を見ると懐かしさを感じており、自身もこの感情を不思議に思っていた。ハルカ一族の血を引く者で、レツェリアの創世から一度も現れたことがない「火の鍵人」。鍵人としての力を使う際には、額にルビーが現れる。
妃神 尚人 (ひかみ なおと)
高校1年生の男子。遥美礼の中学校時代からの友人。黒い短髪で背が高く、剣道部に所属している。正直で情熱的な性格をしている。高校の入学式の日に美礼に告白してから、その気持ちを伝え続けている。特殊な力はないが、美礼を守るためにレツェリアに同行する。レツェリアでカイザードに会い、4年前に静岡の地下街で地震にあった時、彼に助けられたことを思い出した。
遥 奈月 (はるか なつき)
高校2年生の女子。遥美礼の姉。黒髪のロングヘアをしており、制服時は清楚な雰囲気だが、私服は超派手。気が強く、はっきりとした性格をしている。3年前に母親が亡くなってから家事を担当しており、料理はうまい。ハルカ一族の一員で、額にムーンストーンを持つ「月の鍵人」として覚醒する。兄である遥奈久仁に想いを寄せている。
遥 奈久仁 (はるか なくに)
高校3年生の男子。遥美礼の兄。剣道部の主将を務めており、部員からはその厳しさゆえに、「鬼主将」と呼ばれている。長身であることを理由に、小柄な美礼をからかって遊ぶこともある。お調子者ながら、面倒見は良い。ハルカ一族の一員で、額にダイヤモンドを持つ「金の鍵人」として覚醒する。妹である遥奈月に想いを寄せている。
遥 成程 (はるか なるみち)
40歳の男性。遥美礼、遥奈月、遥奈久仁の父親。優しく穏やかな性格をしている。ハルカ一族の一員で、20年前までレツェリアに住み、ラナエに楽師として仕えていた。20歳で王宮に入り、21歳で北方都市へ向かうが、生命の湖の底に町が見えたのが気になって飛び込んだところ、東京の靖国神社で目覚めた。 そこで美礼たちの母親でもある妻と出会い、以降は日本で普通に働いていた。フィンセル・ディディエ・ラカイユがやって来たことをきっかけに、子供たちに、遥成程自身がレツェリアにいた頃のことを話す。
フィンセル・ディディエ・ラカイユ (ふぃんせるでぃでぃえらかいゆ)
12歳の少年。レツェリアの王子。癖のある金髪をしており、性格は素直で泣き虫だが、ませている。王位継承の証である天空の石を持つ。従者のサリアとともに東京タワーから飛び降りるが、「火の鍵」に呼ばれて遥美礼の家にやって来た。ガルドに乗っ取られたレツェリアを取り戻し、王国を再建しようとする。サリアに恋愛感情を抱いており、想いを伝えるために指輪を贈る。
サリア
フィンセル・ディディエ・ラカイユの従者の青年。フィンセルが7歳の頃から仕えている。長髪で、礼儀正しい性格をしている。レツェリアでガルドに襲われた時には、フィンセルを守るために一緒に生命の湖に飛び込むなど、彼に絶対の忠誠を誓っている。フィンセルに告白されるが、レツェリアでは同性愛は禁忌のため、想いを返すには至っていない。
ガルド
ラナエの兄。黒髪短髪で、切れ長の瞳をしている。父親である王が亡くなった時に、第一王子にも関わらず天空の石に選ばれなかったため、王位継承権を得ることができなかった。その後、暗黒神ナーガミディアを我が神とあがめるようになる。2000年ぶりに「冥王星(ナーザ・ディカル)の石」である「黒爛石」を復活させ、ラナエと妻のカタリナ、フィンセル・ディディエ・ラカイユの兄を殺害。 レツェリアを滅ぼした。現在は次の王位継承権を持つフィンセルを殺そうとしている。かつては、兄ラナエの妻、カタリナを愛していた。
カイザード
黒髪長髪の青年。大地を操ることができるなど、ガルドが身に宿した「黒爛石」と似た本質を持っている。それゆえにガルドに逆らえず仕えていた。実際はフィンセル・ディディエ・ラカイユに忠誠を誓っている。4年前、日本で妃神尚人を助けたことは覚えているが、ガルドの前だったため否定していた。
ラナエ
レツェリアを治めていた国王。ガルドの弟でフィンセル・ディディエ・ラカイユの父親。15歳で成人した当時から、王族としての誇りを持った優しい男性だった。王になってからは、たびたびガルドと衝突するようになったものの、戦いにまで至ることはなかった。しかし、ガルドに妻のカタリナを殺され、彼を追放。その2年後、王位簒奪を目論むガルドに殺された。 フィンセルが額につけているサークレットは、ラナエが譲ったものである。
場所
アーシェス
レツェリアがある星。地球とは異なった次元宇宙にあり、地球とは、陸地と海が反対になっている。その中でも生命の湖は日本と同じ形をしており、日本の神社仏閣や、磁場の狂っているところと繋がっている。また古来、高い塔は祈りの対象だったため、東京タワーなどの高層建築物もアーシェスと通じているが、好きなように行き来することはできない。
レツェリア
アーシェスの中でも歴史の古い国。「レツェリア」とは、太陽が生まれる地という意味を持つ。太陽神レ・ミディアを守護神としており、王は神の御使いとされている。古代から周囲には魔物が棲んでいたが、創世の鍵に守られていたため、大きな問題は起こらなかった。しかし現在は闇に覆われ、国内を魔物がうろついている。中心は王宮があるレスキアの都。 地上と海が逆になった地球の世界地図で見ると、東京湾のあたりにある。
生命の湖 (いのちのうみ)
レツェリアにある湖。異世界都市につながっているという伝説がある。底には東京の風景が見える。遥成程とフィンセル・ディディエ・ラカイユ、サリアはこの湖を通って、東京へやって来た。のちに、遥美礼、妃神尚人、遥奈月、遥奈久仁、フィンセルとラナエは、ここから戻り、レツェリアに向かうこととなる。
その他キーワード
創世の鍵 (そうせいのかぎ)
レツェリアを古代から守っている6つの鍵。古来から存在していた魔物から国を守るために、太陽神レ・ミディアが遣わしたといわれている。鍵はそれぞれ「月(ダイアナ)」「火(マルス)」「水(メルグリウス)」「木(スピサル)」「金(ウェヌス)」「土(サトウルヌス)」の名と、それにまつわる力を持つ。基本的には鍵人の体内に宿るが、形ある鍵として取り出すこともできる。
天空石 (らずらいと)
青く美しい石。太陽神レ・ミディアから、創世の鍵とともに生まれた。天王星(ローザ・ティカル)の守り石であり、天界を象徴する石でもある。代々レツェリアの王が死ぬと、この石が、血族の中から王位継承者を選ぶ。適正を見るため、必ずしも第一王子が該当しない。王子のフィンセル・ディディエ・ラカイユは、体内に天空石を持っており、ときおり胸のあたりに現れる。
ハルカ一族 (はるかいちぞく)
レツェリアの王家に代々仕える一族。星を読む者、未来を予見する者、絵師や楽師など、各自の能力に従ってさまざまな仕事をしていた。力によっては、戦闘に応じられる者もいる。鍵人の覚醒を予言して王に伝えるのも、この一族の予見者である。遥美礼の父親である遥成程は「ナルセア」と名乗り、楽師として、当時15歳で成人したばかりのラナエに仕えていた。
鍵人 (かりおん)
レツェリアを古代から守ってきた、6つの創世の鍵を体に宿した者。魔物から国を守るために、太陽神レ・ミディアが遣わしたといわれている。鍵人として覚醒すると、額に宝石が浮かぶ。鍵人はどこにいても都に連れて行かれ、王に使えることになる。鍵人が死ぬと創世の鍵は消え、一度天界へと還(かえ)ることとなる。全部で6人いるが、全員が一度に覚醒したことはない。