あらすじ
異世界転生
39歳の竹林竜馬は、ブラック企業に勤める中年サラリーマン。筋肉ムキムキで勇者のようなの立派な体ながら、それを生かす場所はなく、大きな背中を小さく丸めて、来る日も来る日もデスクワークに追われていた。深夜に及ぶ残業の連続、そして食事といえば簡単に済ませられるラーメン系インスタント食品。いつ死んでもおかしくない、生きる意味を見出すことが難しい日々を送っていたある日、自宅で眠りについたはずの竜馬がふと目を覚ますと、見覚えのない老人と女性、子供の三人が目の前にいることに気づく。彼らは自らを創造神、ガイン、愛の女神、ルルティア、生命の神、クフォと名乗る。突拍子のない出来事に驚き、言葉が出ないままの竜馬は、一瞬間をおいてから我に返ると、改めて三人の神々に丁寧に頭を下げ、自分は死んだのかと聞いてみる。「残念ながら」というガインの言葉を取り乱すことなく静かに受け入れた竜馬だったが、自分の死因が寝ているあいだにくしゃみを4回し、頭を打ったことによる脳内の出血だったことを知り、あまりの無念さに愕然とする。数時間後、ようやく冷静さを取り戻した竜馬は、神々の前に呼ばれた理由について話を聞く。ガインは「テンプレ」であると説明すると、元来のオタクだった竜馬は目を輝かせ、その言葉一つで自分が異世界行きになることを理解する。神々がそんな竜馬に与えた使命は、異世界「セイルフォール」へ転移し、新たな姿となって新しい人生を自分の好きなように生きるというものだった。魔法の発達するセイルフォールでは、今魔力が枯渇しかけているという。それを解決するため、神々は定期的に地球から魂を呼び出し、セイルフォールに送ることで地球とセイルフォールをつなぎ、魔力の供給を行う必要があった。そこで選出されたのが、竜馬だった。竜馬は生まれ変わった少年の姿でセイルフォールに行き、気の向くまま生きることを勧められる。そして、神々とは町の教会で再会することを約束し、竜馬は以前の記憶を持ったまま8歳の少年、リョウマ・タケバヤシとしてセイルフォールのリフォール王国の森の中に送られる。そこでは、神々に与えられた全属性で夢にまで見た魔法をあやつり、たった一人自由気ままな生活を謳歌する。それから3年、スライムの魅力に魅了されたリョウマは、スライムの研究に明け暮れ、大量のスライムに囲まれる日々を送っていた。
旅への出発
地球とは打って変わってガナの森での生活は、穏やかな日々が続いていた。リョウマ・タケバヤシは大好きなスライムの研究に明け暮れており、こんなのんびりとした隠居生活の一生も悪くないと思い始めていた。そんなある日、森の中でケガ人を抱えたラインハルト・ジャミールの一行と遭遇。リョウマは持っていた薬を渡したのち、休む場所があるからと一行を自宅へ案内するが、リョウマはこの世界の人と話すのは初めてだった。実に3年ぶりとなる人との会話が、あまりにも久しぶり過ぎてうまく言葉が出ず、片言になってしまう。リョウマは、この世界の人間として違和感を持たれないように細心の注意を払おうとするものの、そもそも11歳の少年が森の中で一人で暮らしていることだけでも常識を逸脱する状況にある。ラインハルトとその従者たちは、魔法も狩りも堪能で、生活スキルレベルも高いリョウマの行動に驚きを隠せない。さらに、小型確認水晶を使ってリョウマのスキルを確認すると、精神的、肉体的苦痛耐性が達人並みの高レベル。信じられない情報を目の当たりにしたラインハルト一行は、これまでリョウマが相当過酷な環境にあったと察し、小さな子供の苦労を思って心を痛める。ラインハルトは、そんなリョウマに町での生活を勧めるが、断られてしまう。その後、ケガを負っていた仲間のヒューズの回復を待ち、ラインハルト一行は一旦町へと戻ることにする。それから2週間後、ラインハルトはリョウマの前に、妻のエリーゼ・ジャミールと娘のエリアリア・ジャミール、父親のラインバッハ・ジャミールに執事のセバス、メイド二人まで連れた大所帯で再び姿を現す。改めてお礼を言うために戻って来たということだったが、ラインハルトの目的はそれだけではなかった。その目的は、リョウマを森から連れ出すこと。リョウマもまた内心迷っていた。スライムの研究もひと段落した感があり、そろそろ森を出て、この世界を見て回る時が来たのではないかと感じていたのだ。その様子を見たラインバッハは、ジャミール公爵家としてリョウマを養うことを約束し、自分たちといっしょに旅をしてみないかと提案する。
ギムルの町
リョウマ・タケバヤシは、ジャミール公爵家一行と共に今回の目的地であるギムルの町に到着した。リョウマが年齢とは不釣り合いなほど多岐にわたる才能を持つ、優秀な人材であるという事実を目の当たりにしたラインバッハ・ジャミールは、その才能を悪用しようという輩が寄って来ることを懸念し、リョウマにギルドへ登録して早めにランクを上げることで地位を確立することを勧める。リョウマは早速、ジャミール公爵家の一家と共にテイマーギルドのギムル支部に足を運ぶ。リョウマは、従魔術師として登録を済ませることはできたものの、従魔がスライムであることを知ると、支部責任者のテイラー・スミットはランク上げに難色を示す。その理由は、強い従魔を従える従魔術師が優遇されるという、昨今のテイマーギルドの風潮にあった。テイラーは現在の上層部の偏った考えを嘆きながら、たとえラインバッハ直々の頼みであっても、ランクを優遇することはできないと断る。リョウマは自らの功績としてスライムの研究成果はどうかと打診してみるも、これすら認めてもらえないことで、リョウマは神々に認めてもらったとしても、社会で通用しないこともあることを改めて思い知らされる。テイマーギルドでの状況が悪かったことから、ラインバッハの提案により冒険者ギルドにも行ってみることにする。リョウマは支部のギルドマスターであるウォーガンを相手に戦闘能力試験を受け、愛用の弓を使って難なく合格を果たし、無事冒険者としてギルドに登録することができた。しかし、冒険者ランクは最下位のG。これは優秀さ故に高ランクの仕事をしすぎると、見た目から無駄に目立ち、ほかの冒険者から反感を買う恐れがあるとして、コツコツと仕事をこなし実力を示す方法を取る方が得策だという、ウォーガンの提案だった。ウォーガンは、リョウマの実力ならすぐにランクが上がるだろうと見込んでいたのだ。翌日、リョウマは冒険者として初仕事をもらいにギルドへと向かい、掲示板から家のゴミ処理の依頼を受ける。思いのほかハードな仕事だったが、スライムのおかげで無事終えることができ、依頼人のミーヤからは想定よりも多くの謝礼を受け取る。これによりリョウマは、依頼をこなせた達成感と、この世界でも生きていけるという安心感を得る。その後、最初の仕事を達成したことを聞きつけたウォーガンから直々に呼び出され、依頼されることになった共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事を受けるが、この仕事の裏に潜む重大性に気づくことになる。
魔法の訓練
ある日、エリアリア・ジャミールはリョウマ・タケバヤシに魔法の訓練をして欲しいとせまる。以前、時間が空いたらと約束していたにもかかわらず、冒険者としてギルドに登録して以来リョウマは多忙になってしまったため、約束を果たすことができずにいた。実はジャミール公爵家では、子供がある程度大きくなると一度は必ず旅をさせるという習わしがあった。本人が望めばそのまま冒険者になる場合もあり、己を守る強さを身につけさせる必要があった。また領地で魔獣や盗賊が出た時は、公爵家の者が討伐に参加しなければならない決まりがあり、それが貴族の務めでもあった。そのため、貴族はさまざまな経験をして強くなる必要があるのだ。エリアリアは、公爵家の者として近々王都の学校へ行き、魔法や学問を学ぶ予定になっており、この旅はそんなエリアリアの実戦訓練を兼ねていた。しかしエリアリアは、人よりも極端に多くの魔力を持っているため、魔力をうまくコントロールできないことを悩んでいた。それを解決するため、難なく魔法を扱うことができるリョウマは、自分が上達するまでの経緯から、魔法で遊ぶというオリジナルの特訓方法を教えることにした。今回の訓練に参加したのは、エリアリアとその家族、ジャミール公爵家の護衛を務める者たち。リョウマは火の魔法で線香花火のような物を作ったり、水魔法でシャボン玉のような物を作ったり、さらに水で消えない泡玉を作ったりしてエリアリアの興味を引きつつ魔力の調整に役立てようとする。一通りの練習法を聞いたエリアリアは、周囲の安全を期すために最小限の人数を引き連れてその場を離れ、訓練を始めた。その間リョウマは、自らも攻撃魔法の訓練をすることになり、下位属性すべてと、雷と氷の初級攻撃魔法をカミルから教わり、どの魔法もたった一発で習得するという優秀さを見せつける。すると、今度は執事のセバスが、空間魔法の中級魔法を教えてくれるということで、中距離移動魔法のワープや収納空間を作る魔法、アイテムボックスの上位魔法であるディメンションホームまで習得することになる。
錬金術
現在ギムルの北鉱山は、ほぼ廃坑状態。本来なら役所が定期的に見回りを行っていたはずだったが、役所の汚職が発覚。その管理記録が信用できないとして、ジャミール公爵家が直々に中の様子や魔獣についての情報を集め、のちに冒険者ギルドに依頼する運びとなった。今回の廃坑調査は、エリアリア・ジャミールの実戦訓練も兼ねており、このために装備を整えたリョウマ・タケバヤシはエリアリアと護衛たちと共にチームを組み、廃坑の魔獣討伐に勤しむ。昨日覚えた魔法も駆使し、危なげなく調査を終えた一行が鉱山をあとにしようとした時、リョウマは過去の採掘で出たであろう土砂の山を目にする。それは赤茶けた土の山で、リョウマはそこに酸化鉄が含まれているのではないかと思いつく。錬金術を使うことで鉄だけを抽出することができると考えたが、異世界「セイルフォール」では錬金術は詐欺のようなもの。鉄を作ることに成功したとしても、信用されずに販売することはできないのではないかという懸念があった。色々考えると軽々しく口にすることも憚(はばか)られ、宝の山を生かしきれないことにリョウマはもったいないとだけつぶやいて、その場をあとにした。すると、その言葉を聞いていたエリアリアから詳しい説明を求められることになり、リョウマは錬金術による鉄の生成について話を始める。にわかには信じがたいといった表情で話を聞いていたジャミール公爵家の面々だったが、ラインハルト・ジャミールは、試しにやってみてくれないかとリョウマに頼み、リョウマは実際に土から純度100%の鉄のインゴットを生成してみせる。間違いなく目の前で起きた奇跡に驚いたラインハルトは、リョウマを疑ったことを謝罪し、自分が信用している商人を紹介することを約束。リョウマとラインハルト、セバスの三人は取引相手候補として、モーガン商会の会頭を務めるセルジュ・モーガンのもとを訪れる。
魔獣討伐
ギムルの北鉱山で、大規模な魔獣討伐の依頼を受けたリョウマ・タケバヤシが廃坑へと向かうと、そこには予想よりも大勢の冒険者たちが集っていた。今回、リョウマがチームを組むのは、以前共同トイレのくみ取り槽の清掃でもいっしょになったミーヤ、ミゼリア、ウェルアンナ、シリア、ジェフ・グランジェの五人の冒険者たち。リョウマは仲間と共に廃坑内の魔獣を次々と仕留め、奥へと進んでいく。そこで姿を現したのは大量の魔獣、ケイブバットで、リョウマは自分で編み出した音の魔法、サウンドボムを使って一網打尽にする。しかし、その後気絶したすべてのケイブバットにとどめを刺さなければならず、もう少し人手が必要だった。するとリョウマは、先ほどからこそこそとあとをついて来ていた子供たちに声をかけ、協力を求める。ベック、ウィスト、ルース、ルーミル、マルタ、フィニアはスラムで暮らす六人の子供たち。彼らはリョウマのあとをつけ、魔獣の死体を回収して売りさばこうとしていたのだった。子供たちはリョウマ一行に見つからないようにこっそりついて来たはずだったが、リョウマから突然声をかけられて驚く。そもそも、ベックたちは子供のリョウマが優秀であることを知らないため、足手まといにしかならない子供を連れている一行なら自分たちのことも多めに見てくれると、なめてかかっていたのだ。さらに言葉の端々にはリョウマを侮辱する様子が見られたため、それに気づいたウェルアンナは腹を立て、ベックたちを強く非難し、叱りつける。その後、ベックたちは討伐に協力することでリョウマの優秀さを目の当たりにすることになり、魔獣の死体も分けてもらったリョウマに感謝し、一行から離れることとなる。
洗濯屋の開業
廃坑の魔獣討伐の最中、仲間の冒険者たちの汚れをクリーナースライムを使って綺麗にしてあげたことがきっかけで、リョウマ・タケバヤシは洗濯屋を開業することを思いつく。何かと汚れがちな冒険者だけでなく、町で暮らす人々からも洗濯物を預かり、クリーナースライムを使って安く洗濯を請け負ってあげようと考えたのだ。ジャミール公爵家からの自立を決めたことが、この考えを実現する後押しとなり、リョウマは早速開業の相談に乗ってもらうため、セルジュ・モーガンのもとを訪れる。セルジュは、異世界「セイルフォール」では聞いたことのない洗濯屋という発想に驚くと共に、しっかり練りこまれた開業計画に感動する。そして改めて、リョウマという人間の有能さに感服し、リョウマをリスペクトする気持ちを強くする。リョウマの将来性を感じたセルジュは、必要な物の調達だけでなく、金銭面の援助をも申し出るが、リョウマはこれを断る。そこでセルジュは、リョウマの商人として足りない部分を補う方法で援助することになり、開業に必要な手続きや人を使って商売することへのアドバイスを送る。リョウマはセルジュの提案に納得し、人員の手配を頼むことにした。翌日、必用な手続きを済ませるため、リョウマはセルジュに連れられ商業ギルドを訪れる。そこでギルドマスターのグリシエーラと、サイオンジ商会の会頭を務めるピオロ・サイオンジと知り合う。セルジュとグリシエーラの推薦により、店を建てる土地の購入も決まり、開業に向けてとんとん拍子に話が進んでいく。そしてリョウマは、その翌日から魔獣討伐の合間を縫って建築工事に着手。今建っている古い建物の取り壊し、整地から基礎工事、建物の建築に内装工事、さらに外構工事に至るまで、すべてを自らのスキルとスライムたちの手で、たったの7日で完成させる。そして残るは、オープンに先駆けて店の名前を決めることだけだったが、何も思いつかずに頭を悩ませることとなる。
関連作品
小説
本作『神達に拾われた男』は、Royの小説『神達に拾われた男』を原作としている。原作小説版は、2017年9月にホビージャパンのHJノベルスより刊行された。イラストは、りりんらが担当している。
メディアミックス
TVアニメ
2020年10月から、本作『神達に拾われた男』の原作小説版『神達に拾われた男』のTVアニメ版『神達に拾われた男』が、TOKYO MXほかで放送された。監督は柳瀬雄之、メインキャラクターデザインは出口花穂が務めた。キャストは、リョウマ・タケバヤシを田所あずさが、エリアリア・ジャミールを桑原由気が演じている。
登場人物・キャラクター
リョウマ・タケバヤシ 主人公
竹林竜馬の転生後の男性。少年の姿となって異世界「セイルフォール」へと送られ、新しい人生を歩むこととなった。ガイン、ルルティア、クフォという三人の神々から与えられたのは、年齢が8歳の平民の孤児という設定... 関連ページ:リョウマ・タケバヤシ
竹林 竜馬 (たけばやし りょうま)
現代日本で、ブラック企業に勤める男性。年齢は39歳。筋肉質で体格もいいが、デスクワークを担当している。連日残業は深夜に及び、食事はいつもラーメンやカップ麺で、自分でもいつ死んでもおかしくないと感じるほど、忙しく不健康な日々を送っていた。マンガやゲームがすべてというオタクで、生きることの意味も見失っていた。そんな中、布団で眠っているあいだにした4回のくしゃみが原因で床に頭を打ち付け、脳内の血管を損傷して死亡する。その後、なぜかガイン、ルルティア、クフォという三人の神々のもとへと呼ばれ、少年の姿に転生して異世界「セイルフォール」へと送られ、リョウマ・タケバヤシとして新しい人生を歩むこととなる。もともと竹林竜馬は、幼い頃から苦難の多い人生を送っており、幼い頃から刀匠の父親に稽古場で武術の指導をされていた。それは非常に厳しいものだったが、周囲の大人たちはそれこそが愛されている証(あかし)と口々に言っていたため、厳しい稽古にも疑問を抱くことはなく、自分は幸せ者だと思い込んでいた。小学校低学年の時に同級生にからまれ、竜馬は何もしなかったものの、相手が誤って壁を殴りつけてケガを負う。いつのまにかこのケガが竜馬のせいにされ、親父が学校に呼び出されることとなった。その際、自分の言い分はいっさい聞いてもらえないまま、親父にその場で殴り飛ばされ、さらに親父が時間を無駄にしたと腹を立てていることで、初めて父親からの愛情を疑うようになる。その後、中学に上がる頃から日々の修練は一人で行うようになり、親父との接点は少なくなる。高校受験を終えた時に親父が他界し、生まれ育った家を売らなければならなくなり、高校に行きながらアルバイトで家計を助け、母親と二人で楽ではないながらも幸せな日々を送っていた。その後は大学へ進学し、卒業と同時に就職するも1年と経たずにクビとなる。再就職を模索するもうまくいかず、やっとの思いで入社したのは悪名高いブラック企業だった。それでも自分さえ頑張れば母親と二人生きていけると思っていた矢先、母親が過労で他界。すべてを失った喪失感の中、ただ暖かい家族を求める気持ちだけが残ったまま、竜馬自身もこの世を去ることとなる。
ガイン
異世界「セイルフォール」の三柱の神で、創造神。老紳士のような外見をしている。クフォやルルティアと共に竹林竜馬の魂を地球から自分たちのもとへとすくい上げ、リョウマ・タケバヤシという少年としてセイルフォールへと転移させた。リョウマを個人的に気に入り、肩入れしており、リョウマには加護を与えている。もともとはセイルフォールにスライムを作り出した張本人。スライムには環境に適応する性質と繁殖力を持たせただけで、あまりにも弱く、すぐ駆逐されてしまうため、自然では進化の余地がなかった。しかし、作ったガイン自身ですら忘れていたスライムの進化の可能性をリョウマが切り開いたことで、新種が生み出され、さらに汎用性が広がったことに感動している。本来、神々は互いの治める世界同士は不干渉が鉄則となっているが、ずっと前から人と魔力をもらっている地球とだけは、つながりを持っており、自分たちの治める世界に娯楽が少ないこともあり、時おり娯楽を求めて地球に観光旅行へ行くことがある。現在、特にハマっているのは日本のアイドルグループで、その楽曲には詳しい。セイルフォールでは、神託のスキルを持っていれば、町にある教会に行くことで、神々との対話が可能となっている。そのため、リョウマをセイルフォールに送り出す際、町にある教会を訪れることを約束させ、再会を誓い合った。
ルルティア
異世界「セイルフォール」の三柱の神で、愛の女神。美しい女性の姿をしている。ガインやクフォと共に竹林竜馬の魂を地球から自分たちのもとへとすくい上げ、リョウマ・タケバヤシという少年としてセイルフォールへと転移させた。リョウマを個人的に気に入り、肩入れしており、リョウマには加護を与えている。本来、神々は互いの治める世界同士は不干渉が鉄則となっているが、ずっと前から人と魔力をもらっている地球とだけは、つながりを持っており、自分たちの治める世界に娯楽が少ないこともあり、時おり娯楽を求めて地球に観光旅行へ行くことがある。現在、特にハマっているのはスイーツ巡り。セイルフォールでは、神託のスキルを持っていれば、町にある教会に行くことで、神々との対話が可能となっている。そのため、リョウマをセイルフォールに送り出す際、町にある教会を訪れることを約束させ、再会を誓い合った。
クフォ
異世界「セイルフォール」の三柱の神で、生命の神。少年のような姿をしており、おしゃべり好きで子供っぽい性格をしている。ガインやルルティアと共に竹林竜馬の魂を地球から自分たちのもとへとすくい上げ、リョウマ・タケバヤシという少年としてセイルフォールへと転移させた。リョウマを個人的に気に入り、肩入れしており、リョウマには加護を与えている。本来、神々は互いの治める世界同士は不干渉が鉄則となっているが、ずっと前から人と魔力をもらっている地球とだけは、つながりを持っており、自分たちの治める世界に娯楽が少ないこともあり、時おり娯楽を求めて地球に観光旅行へ行くことがある。現在、特にハマっているのは秘境巡り。厳しい環境で生き抜く生物を見て回ることを楽しんでいる。ルルティアとガインが地球に観光に行っているあいだ、リョウマとの話の中で、過去の転移者について詳しく話し、リョウマに対しては肉体と精神の年齢差によるギャップがあることを説明し、今は11歳の少年として人生を謳歌するように勧めた。セイルフォールでは、神託のスキルを持っていれば、町にある教会に行くことで、神々との対話が可能となっている。そのためリョウマをセイルフォールに送り出す際、町にある教会を訪れることを約束させ、再会を誓い合った。
テクン
異世界「セイルフォール」の技術と職人の神。酒の神でもあり、基本的にはドワーフが崇(あが)める存在。無駄に豪華なものを嫌っている。リョウマ・タケバヤシの転移には直接的なかかわりはないが、地球でのリョウマの前世である竹林竜馬の酒の飲みっぷりが気に入り、リョウマに加護を与えた。また、セイルフォールへの転移後は、リョウマが自主的に行っていた酔拳に面白さを感じ、さらにリョウマを気にかけるようになる。加護を与えた者は、どれほど酒を飲んでも泥酔することがなく、二日酔いにもならない。さらにいい酒と巡り会い、手に入る機会も増えるという。
ラインハルト・ジャミール
異世界「セイルフォール」のリフォール王国で、公爵領の領主を務めるジャミール公爵家の当主である男性。代々従魔術師の家系に生まれた元従魔術師。現役の頃は、ブリザードエイプやレッドホースなど強い魔獣を連れ従えていたが、長年連れ添った魔獣が歳を経て戦えなくなってからは新たな魔獣との契約をしていない。もともと魔法の能力よりも剣の能力に秀でていたため、現在は剣を持ち戦っている。一時期は冒険者として一人で旅をしていたこともあり、本来は護衛などいらないくらいの強さを持っている。気さくな人柄で、人当たりが非常にいい。ある日、自宅のあるガウナゴの町に帰る途中、盗賊に襲われた。盗賊には対処できたものの、戦闘中に魔獣のブラックベアが現れ、同行していたヒューズが負傷してしまう。回復しようにもカミルの魔力は尽きてしまい、馬には逃げられ、八方ふさがりの状況の中、偶然リョウマ・タケバヤシと出会って助けられる。リョウマのような小さな少年が森の中でたった一人で暮らしており、魔法を使ったり回復薬のポーションを作ったり、スライムを大量に飼育していることに驚愕する。その後、仲間の回復を待って一旦自宅へと戻ると、家族にリョウマの話をして一家総出でリョウマのもとを再訪。その際、改めてリョウマの有能さを垣間見ることになり、父親のラインバッハ・ジャミールを通していっしょに旅に出ようと誘った。ジャミールの領地は、ラインバッハの時代から町や村の整備に力を入れている。ギムルにある共同トイレもその一環で設置されたもので、今やジャミール領地は国内でも清潔で環境のいい場所として高い評価を受けている。ラインハルト・ジャミール自身はそれをさらに拡大し、商業を発展させることで住みやすい場所、栄える町を作りたいと考えている。そのため、リョウマがスライムで作り出す糸や、それを利用して作った布を商品化することを提案した。
エリーゼ・ジャミール
ジャミール公爵家のラインハルト・ジャミールの妻。異世界「セイルフォール」のリフォール王国にあるガウナゴの町で暮らしている。明るく心優しい性格の持ち主。母性本能が強く、ラインハルトからリョウマ・タケバヤシの話を聞き、心から心配している。森の中で一人で暮らすリョウマを町に呼びたいと考え、家族と共にリョウマに会いに行く。実際にリョウマと接し、有能なリョウマの素晴らしさを実感すると同時に、リョウマの苦痛耐性スキルの高さから壮絶な過去があったのではないかと勝手に想像し、これ以上リョウマにつらい思いをさせないように気遣っている。何かあると、すぐリョウマを抱きしめる癖がある。まるで戦闘とは無関係のように見えて、実はかなりの腕前。一時期は冒険者として一人で旅をしていたこともあり、本来は護衛などいらないくらい強い。実は過去に地球から転移した男性転移者の子孫にあたる。
エリアリア・ジャミール
ジャミール公爵家のラインハルト・ジャミールとエリーゼ・ジャミールの娘。異世界「セイルフォール」のリフォール王国にあるガウナゴの町で暮らしている。現在従魔術師として勉強中で、初めての従魔はスライムと決めていたが、リョウマ・タケバヤシに会ってクリーナースライムに興味を持ち、自らの力でスライムを進化させ従魔契約を行った。時に無邪気でかわいらしいお嬢様だが、いつも一生懸命で芯は非常に強い。地球からの転移者を先祖に持つ両親から生まれており、転移者の血を色濃く受け継いだいわゆる先祖返り。ただし、父方ではなく母方の家系に存在した男性転移者の特徴を強く受け継いでいる。その男性は運動嫌いの典型的なオタク気質で、神々に対して魔力の強化を願った。転移後は魔法無双で魔法の威力と連射力がすさまじかったが、気が弱くて臆病だったため、死ぬまで自分から悪事を働かなかったことだけがせめてもの救いとされ、神々のあいだでも彼が死ぬまでひやひやしたといわれたほどの危険な存在だった。そんな彼の能力を受け継いでいるため、魔力は通常をはるかに超えた20万程。しかし多くの魔力を持っているため、魔力をコントロールすることは苦手。とんでもない威力の攻撃魔法を予想外の方向へ飛ばしたりすることがあり、安全のために他人といっしょに訓練することはしないようにしている。こんなに多くの魔力を持った者を自分以外知らなかったため、自分と同程度の魔力を持つリョウマがどのように魔法を習得したのかに興味があり、魔法の練習方法について教えてもらう約束をした。のちに、リョウマがジャミール公爵家一行と離れることを決意したことを知り、エリアリア・ジャミール自身も近々王都の学校に行く予定となっていることから、その学校の区切り目となる3年後の休暇時と6年後の卒業時に再会することを約束し、リョウマが離れることを許した。火と氷の魔法が得意。
ラインバッハ・ジャミール
ジャミール公爵家の前当主で、ラインハルト・ジャミールの父親。異世界「セイルフォール」のリフォール王国にあるガウナゴの町で暮らしている。ラインハルトからの話を聞き、のちにリョウマ・タケバヤシを養うことを約束。いっしょに旅に出ようとリョウマを誘い、行動を共にすることになる。正義感が強く、何事にもまっすぐで頼りになる存在。リョウマが、年齢的に能力が高すぎることを懸念している。しかし、その能力を隠すことも難しいことから、このままではよからぬ輩(やから)が寄って来ることを見越して、早めにギルドに登録してランクを上げ、地位を手に入れる方法を勧めた。公爵領にある町に共同トイレを建て、清潔に維持して疫病を防ぐことと、その清掃の仕事をスラムの人たちに与えることでスラムの救済につながった。以前周囲の制止を振り切って、スラムで直接交渉しながらシステムを作り上げ、労働環境も報酬もその際にすべて決めた。しかしその後、リョウマが冒険者ギルドに登録したことで、そのシステムが破たんしていることが明るみになり、役所の横領が疑われるとして、綿密に調べるようにセバスに指示した。現在は歳を取っているが、近隣諸国との小競り合いでは武勲を立てた。一時期は冒険者として一人で旅をしていたこともあり、本来は護衛などいらないほどの強さを誇る。
セバス
ジャミール公爵家で執事を務める老齢な男性。穏やかな性格の気遣い上手。空間魔法スキルに長けており、空間魔法の基本として重宝される収納空間を作る魔法、アイテムボックスをはじめ、中級魔法であるディメンションホームを使うこともできる。さまざまな知識を身につけ、リョウマ・タケバヤシにとっても頼りになる存在。ギムルの町の共同トイレで疫病が発見された際には、その処理にあたることになったリョウマに食事一式を差し入れた。しかし、くみ取り槽からリョウマが上がって来なかったため、リョウマのことをよろしくと見張りを務めていたウェルアンナに託し、その後も1日1度の頻度で食事を届け続けた。のちに、カミルから初級の攻撃魔法を一通り教わったリョウマに空間魔法をレクチャー。中級魔法のワープやディメンションホームまで、丁寧に指導して習得させた。
カミル
ジャミール公爵家で、護衛を務める魔法使いの男性。異世界「セイルフォール」のリフォール王国で、ラインハルト・ジャミールと共に自宅のあるガウナゴの町に帰る途中で、盗賊に襲われた。盗賊は撃退したものの、戦闘中に魔獣のブラックベアが現れ、仲間のヒューズが負傷してしまう。回復しようにも魔力は尽きてしまい、馬には逃げられて八方ふさがりの状況の中、偶然リョウマ・タケバヤシと出会って助けられた。リョウマのありえない生活能力の高さに驚き、自分が持っていた小型確認水晶を使ってリョウマのスキルについて確認することを提案。リョウマの了承を得て実行するが、そこに現れた耐性スキルのレベルの高さを見て再度驚愕することとなる。ヒューズが回復後にラインハルトと共にリョウマの家をあとにするが、小さな少年を森の中であのままにしておいていいのかと心配するゼフに同調。しかしリョウマの耐性スキルのレベルから、安易に町に連れていくこともできないと慎重を期すことにした。その後、ジャミール公爵家一行とリョウマが行動を共にすることになり、ギムルの町では攻撃魔法をよく知らないというリョウマに、下位属性すべてと氷、雷の初級魔法についてレクチャーした。
ゼフ
ジャミール公爵家で護衛を務める男性。主に隠密行動や罠を専門とする斥候役を担っており、異世界「セイルフォール」のリフォール王国で、ラインハルト・ジャミールや護衛仲間のカミル、ジル、ヒューズと行動を共にしていた中、偶然リョウマ・タケバヤシと出会った。リョウマのような小さな少年が森の中で一人で暮らしているという信じられない状況に加え、彼の持つスキルの高さに驚いた。ラインハルトと共にリョウマの家をあとにする際、小さな少年を森の中で放っておいていいのかと心配し、リョウマの身を案じた。
ジル
異世界「セイルフォール」のリフォール王国で、ジャミール公爵家の当主であるラインハルト・ジャミールと行動を共にしている貴族の男性。護衛を務めるカミル、ゼフ、ヒューズと共に自宅に帰る途中、ケガ人が出たことで身動きが取れなくなっていたところ、偶然リョウマ・タケバヤシと出会って助けられた。リョウマのような小さな少年がたった一人で暮らし、高等な魔法を使ったり、回復薬のポーションを作ったり、スライムを大量に飼育していることに驚愕した。ラインハルトが領主であることを知ったリョウマが怯(おび)えていることに気づき、ラインハルトの人となりを説明して、ふつうにしていても大丈夫と優しく声をかけ、フォローした。
ヒューズ
ジャミール公爵家で護衛を務める男性。髭面で、豪快なオヤジ然としている。異世界「セイルフォール」のリフォール王国で、ラインハルト・ジャミールと共に自宅のあるガウナゴの町に帰る途中で、盗賊に襲われた。盗賊は撃退したものの、戦闘中に魔獣のブラックベアが現れ、負傷してしまう。回復しようにも護衛仲間であるカミルの魔力は尽きてしまい、馬には逃げられて八方ふさがりの状況の中、偶然リョウマ・タケバヤシと出会って助けられた。無事回復後はリョウマに恩を感じ、今は何もできないが何か困ったことがあったら町へ来て自分を頼るように言い残し、その場をあとにした。
田淵 (たぶち)
リョウマ・タケバヤシが、前世である竹林竜馬の時に同じ会社で働いていた男性。ぽっちゃり体型の典型的なオタク。人付き合いが苦手で、報告や連絡、相談することに関して特に難があった。しかし上司に叱責され、体を小刻みに震わせながらも努力を重ねたことで、状況は次第に改善していく。その時の様子が、リョウマが初めて出会ったスライムに似ていたため、リョウマが初めて従魔契約を行ったスライムに、「田淵くん」と呼び名を付けた。
テイラー・スミット
ギムルの町で、テイマーギルドのギムル支部責任者を務める初老の男性。ラインバッハ・ジャミールとは旧知の仲で、リョウマ・タケバヤシを紹介され、彼のランクを早めに上げて欲しいと頼まれて便宜を図ることを快諾する。しかし、リョウマが初契約から3年経過しているにもかかわらず、従魔がスライムであるという事実を知り、一転、スライムでは仕事を斡旋できないことを理由に、ランク上げに協力できないと明かした。昨今のテイマーギルドが、強い従魔を持つ者だけを認める風潮にあること、そして上層部までが同様の偏った考えを持っていることを嘆き、リョウマとエリアリア・ジャミールの登録のみを行うこととし、二人を新たな従魔術師として歓迎した。
ウォーガン
ギムルの町にある冒険者ギルドのギルドマスターを務める男性。ギルドに登録にやって来たリョウマ・タケバヤシに、直接試験を行い、その実力を評価して合格させた。ランクはG扱い。本来ならリョウマの実力的にはEランクでいいところだが、リョウマの年齢でEランクの仕事を引き受けると目立つことや、周囲から反感を買う可能性があることを考慮し、Gランクとした。まずはGランクから仕事をこなし、周囲に実力を示すことを勧め、リョウマならまじめにやればすぐにランクが上がると、気遣ったうえで能力を高く評価した。強面(こわもて)ながら優しく真っ直ぐな性格で、新人や若者に対してお節介を焼くことで有名。登録したばかりのリョウマに、ウォーガン自身の知り合いで鍛冶屋のダルソン・ディガーを紹介した。冒険者ギルドでの依頼のトラブルなどを把握し、対処したり、それに関する報告を行っている。
ミーヤ
獣人族の猫人族の女性。活発で明るい性格だが魔力が少なく、基本的に魔法が苦手。ギムルの町の東部にあるゴミ捨て場のとなりの家に住んでいる。冒険者ギルドに家のゴミ処理の依頼をするが、あまりの惨状に誰も対処できずに放置されたままになっている。ゴミ捨て場と家の地下室を隔てる壁が壊れてしまい、地下室にゴミ捨て場のゴミが流れ込み、その匂いはかなりひどいものだったが、冒険者ギルドに登録したリョウマ・タケバヤシが、スライムを使ってたった3時間で綺麗にする。壊れた壁も直してくれたため、心の底からリョウマに感謝を伝え、ギルドには報酬の増額を支払う。ミーヤ自身も、冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者。獣人族のつながりが深く、ミゼリアやウェルアンナ、シリアとよくパーティを組んで行動を共にしている。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。アサギとジェフ・グランジェと共に昼の12時から20時までの見張りを担当した。駆け出しの冒険者の頃はケガも多く、なかなか生活が安定しなかったが、Dランクで生活が安定し始め、Cランクの時にようやく家を買うことができた。廃坑の魔獣討伐の仕事では、リョウマやジェフ、ミゼリア、ウェルアンナ、シリアたちとチームを組むことになる。
ジェフ・グランジェ
ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者の男性。魔法全般を苦手としている。スラム出身で、ノリが軽く、堅苦しい言葉遣いは苦手。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。汚物から、疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。アサギとミーヤと共に昼の12時から20時までの見張りを担当した。廃坑の魔獣討伐の仕事では、リョウマやミーヤ、ミゼリア、ウェルアンナ、シリアたちとチームを組むことになる。
ウェルアンナ
獣人族の犬人族の女性。ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者で、基本的に魔法を苦手としている。獣人族としてのつながりが深く、ミーヤやミゼリア、シリアとパーティを組んでよく行動を共にしている。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することに同意。ミゼリア、シリアと共に20時から明け方4時までの見張りを担当した。その際、休まずに働き続けるリョウマを引き止め、セバスから預かった食事一式を渡してリョウマに休憩をうながした。廃坑の魔獣討伐の仕事では、リョウマやジェフ・グランジェ、ミゼリア、ミーヤ、シリアたちとチームを組むことになる。その際、こそこそとチームの後ろをついてきていたスラムの子供、ベックがリョウマを軽んじていたことに腹を立て、叱りつけた。少々怒りっぽい性格をしている。
ミゼリア
獣人族の虎人族の女性。ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者で、魔法全般を苦手としている。獣人族としてのつながりが深く、ミーヤやウェルアンナ、シリアとパーティを組んでよく行動を共にしている。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。ウェルアンナ、シリアと共に20時から明け方4時までの見張りを担当した。その際、リョウマに支給品の魔力回復ポーションを渡し、自分の魔力量を超えない量を摂取するようにと注意喚起して飲ませたが、通常1本で事足りるはずのものをリョウマは合計10本摂取したため、その魔力量に驚きを隠せなかった。廃坑の魔獣討伐の仕事では、リョウマやジェフ・グランジェ、ミーヤ、ウェルアンナ、シリアたちとチームを組むことになる。
シリア
獣人族の兎人族の女性。ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者。魔法全般を苦手としており、回復魔法しか使えない。獣人族としてのつながりが深く、ミーヤやウェルアンナ、ミゼリアとよくパーティを組んで行動を共にしている。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。ミゼリア、ウェルアンナと共に20時から明け方4時までの見張りを担当し、くみ取り槽の衛生確認を行った。廃坑の魔獣討伐の仕事では、リョウマやジェフ・グランジェ、ミゼリア、ウェルアンナ、ミーヤたちとチームを組むことになる。浅黒い肌にうさぎと同様の長い耳を持つ。
レイピン
ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているAランクの冒険者の男性。主な目的は魔獣の研究。学者的な堅い話し方で、語尾に「である」を付ける癖がある。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。ゴードンやシェールと共に明け方4時から昼の12までの見張りを担当した。リョウマとは、スライムの生態について話がよく合うため、会うたびにスライム話でかなり盛り上がっている。特に新種のヒールスライムには強い興味を示している。のちに廃坑の魔獣討伐の仕事を請け負い、リョウマと再会を果たす。
ゴードン
ドワーフの男性。ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているBランクの冒険者。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。レイピンやシェールと共に明け方4時から昼の12までの見張りを担当した。のちに廃坑の魔獣討伐の仕事を請け負うことになる。その後、リョウマが営む洗濯代行業者「バンブーフォレスト」の完成披露パーティに訪れた際、リョウマがテクンから酒の神の加護を授けられていることを知り、涙を流しながら羨ましがった。もともとドワーフの中では酒の神の加護は羨望の的となっている。ドワーフには鍛冶屋が多いが、鍛冶の腕を加護頼みにする奴は鍛冶屋失格と息巻いた。そのため、鍛冶屋の実力は自分で鍛えて身につけることができるが、いい酒に巡り会える運は個人の力ではどうしようもないと話して、技巧神の加護ではなく、酒の加護を受けられることの素晴らしさを語った。
シェール
ギムルの町の冒険者ギルドに登録しているDランクの冒険者の男性。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。ゴードンやレイピンと共に明け方4時から昼の12時までの見張りを担当した。のちに廃坑の魔獣討伐の仕事を請け負うことになる。
アサギ
ドラゴニュートの男性。体の一部にうろこがある。服装は着物のようなものを着用し、侍のような口調でしゃべる。これはドラゴニュートの一部の者が無人島に移り住み、侍を名乗る者がかつていたという影響と思われる。アサギは、ドラゴニュートの里から修行の旅に出た流れ者であり、現在はギムルの町に停泊し、Aランクの冒険者として活動中。ギルドの中でも口が堅く、病気耐性スキルを所有していることから、町にある共同トイレのくみ取り槽清掃の仕事に協力を要請された。疫病が発生している可能性があり、その処理を担当するリョウマ・タケバヤシをアシストするために参加することを同意。ジェフ・グランジェやミーヤと共に昼の12時から20時までの見張りを担当した。のちに廃坑の魔獣討伐の仕事を請け負うことになる。
親父 (おやじ)
リョウマ・タケバヤシの地球での前世である竹林竜馬の父親。刀匠を生業としており、受ける依頼はごく少数にもかかわらず、家族を養うだけの収入を得るほどの腕を持つ。そのため、時間に余裕がある時には家にある稽古場で毎日竜馬に武術の指導を行なっていた。周囲からは、それが父親から息子への愛情であると受け取られていた。ところが、竜馬が小学校低学年の時に同級生にからまれ、相手に暴力を振るったということで学校に呼び出されることになった時には、教師に頭を下げ、謝罪すると同時に竜馬を殴り飛ばし、竜馬の言い分は何一つ聞くことはなかった。息子の暴力が事実かどうかは関係なく、竜馬によって自らの時間を取られたことに腹を立てた。この行為が父親としての存在を竜馬から疑われるきっかけとなった。その後、竜馬が中学生となり、一人で修練ができるようになるにつれ、まるで父親としての義務から解放されたかのように竜馬にかかわることが減り、刀を打つことにほとんどの時間を割くようになった。そして竜馬が高校受験を終えた時に工房で心臓発作を起こし、新しく打ち終えた刀の前で亡くなる。その死に顔は、至極満足そうだった。
竜馬の母 (りょうまのはは)
リョウマ・タケバヤシの地球での前世である竹林竜馬の母親。明るく朗らかながら控えめな性格で、表立って自分から行動するタイプではなかったが、陰で家庭を支えている。堅物である夫の親父と息子をとりなし、竜馬が困った時や苦しかった時は彼の心の支えとなっていた。夫を亡くしてからは、住み慣れた家を売り、竜馬の母自身も仕事を始めた。楽ではないながらも竜馬と二人の生活は幸せなものだったが、ある日突然過労で倒れ帰らぬ人となった。
ダルソン・ディガー
ギムルの町にあるディガー武器店の店主を務める鍛冶屋の男性。冒険者ギルドのギルドマスターであるウォーガンとは知り合い。日頃から不愛想だと言われ続け、改善しようと無理矢理笑顔を作り、買い物に訪れたリョウマ・タケバヤシを驚かせた。ひきつった顔と慣れない言葉で舌をかむなど、その笑顔が上辺だけのものであることをリョウマにすぐに見破られ、あきらめて元の不愛想に戻した。廃坑に魔獣討伐に行くというリョウマが武器と防具を欲したため、短剣と投てき用ナイフ、ハードリザードの革で作られた強度の高い鎧を勧めた。
セルジュ・モーガン
ギムルの町でセルジュ商会の会頭を務めている男性。ラインハルト・ジャミールとは旧知の仲。いつも笑顔で温和な性格ながら、その心の奥では何を考えているのかまったく読めない人物。リョウマ・タケバヤシが錬金術で生成した純度100%の鉄のインゴットと、スライムから生成した糸、その糸で作った布の取引先候補となった。糸が水を通さない布を織ることができることを知り、明らかに興奮していた。しかし、鉄のインゴットを子供のリョウマが錬金術で生み出したことを知ると、明らかに疑ってかかり、信じようとしなかった。だが実際にその様子を目にしたとたん、事の重要さを悟る。その後すぐに情報を漏らさないことを誓い、この取引に応じることが決まった。その後、ジャミール公爵家からの独立を決めたリョウマから、洗濯屋を始めるにあたって必要な物などの相談を受けることになる。リョウマから詳しく話を聞くに従い、彼の将来性を実感。リョウマの考えに賛同し、商売を始めるにあたって必要となる届け出や人手の手配など、商人の先輩としてリョウマのよき後ろ盾となる。
サッチ
冒険者ギルドに登録している冒険者の男性。ギムルの町にある廃坑で、魔獣討伐に参加した際、ベック、ウィスト、ルース、ルーミル、マルタ、フィニアたちが魔獣の死体を持っていたのを見つけ、言いがかりをつけた冒険者たちの兄貴分的な存在。あいだに入ったリョウマ・タケバヤシの話を聞くふりをして、油断させて剣を抜いた。ベックたち一行から体よくお金を巻き上げようとしたが、リョウマに邪魔されて怒り心頭。頭に血が上り、子供たちを皆殺しにしようとしたが、リョウマからの反撃に遭って気を失ったあげく、恐れをなした仲間からは置き去りにされた。昔はまじめな性格で腕のいい冒険者だったが、ランクが上がるにつれて変貌する。Cランクになってからグレ始め、Bランクに上がる際にぶちあたる壁に限界を感じる者も多くいる中で、サッチはあきらめることはなかった。しかし足踏みを続けるうちに、次第に荒れるようになり、それ以来自分の失敗を仲間のせいにするようになり、酒とケンカに溺れてしまう。その後突然、駆け出しの素行の悪い冒険者と組むようになり、そのおかげで新人たちは問題を起こさなくなって実力をつけたため、若手の育成に力を貸すようになったと感謝されるようになる。しかしそれは表向きの顔であり、自分の行いをうまく隠して立ち回るための隠れ蓑に過ぎなかった。そして、より悪い方向へと落ちぶれていくことになる。
ベック
獣人族の小猿族の少年。身軽に素早く動ける。年齢は13歳。小柄なため年齢より幼く見られることが多い。ギムルの町のスラムに住んでおり、いつも行動を共にしているウィスト、ルース、ルーミル、マルタ、フィニアのリーダー的な存在。各々が持っている能力を生かし、冒険者としてギルドに登録して大人と同様にお金を稼ごうとしたが、実際にはまったくうまくいっていない。前の討伐依頼でミスを犯し、違約金を払わねばならなくなってしまったため、それまでに貯めていたお金がなくなってしまう。以前、大人の冒険者が仕留めた魔獣を捨てて行くのを目撃し、それを盗んで売ったところ、意外にもお金になったために廃坑の魔獣討伐にやって来た冒険者たちの中に紛れ込み、魔獣の死体を盗もうとした。あとを付けたのが、リョウマ・タケバヤシの一行だったため、それに気づいたリョウマによって活躍の機会が与えられ、最終的には魔獣の死体を分けてもらえることとなった。しかし、のちにサッチ率いるならず者の集団に言いがかりをつけられることになり、さらに危険な目に遭う。その際リョウマに命を救われることで、リョウマに恩を感じて、自分たちの素性や境遇を打ち明けた。ベックたちがお金を稼ぐ目的は、主に住民税を払うため。生活に困っていないわけではないが、一人400スートの住民税を払うにはかなりの努力が必要な状況にある。もともとは、共同トイレのくみ取り槽の清掃を請け負っていたが、役所からの給料はどんどん減らされ、病気になる危険性も高かったために辞退した。リョウマと知り合ってからは、彼のように強くなって泥棒のような真似ではなく、自分の力で稼げるようになりたいという気持ちが強くなった。その後、くみ取り槽の清掃に関して正当な給料が受け取れるようになり、生活も安定していく。
ウィスト
獣人族の大猿族の少年。年齢は11歳。大柄な体型で、力が非常に強い。立っているだけで威圧感があるが、実際にはビビりで気の優しい性格で、見た目とのギャップが激しい。ギムルの町のスラムに住んでおり、ベック、ルース、ルーミル、マルタ、フィニアと行動を共にしている。各々が持っている能力を生かして、冒険者としてギルドに登録して大人と同様にお金を稼ごうとしたが、実際にはまったくうまくいっていない。廃坑の魔獣討伐に参加した際、リョウマ・タケバヤシの一行と知り合う。
ルース
獣人族の犬族の少年。年齢は12歳。マイペース性格で、人懐こい子犬のような印象を与える。ギムルの町のスラムに住んでおり、ベック、ウィスト、ルーミル、マルタ、フィニアと行動を共にしている。冒険者としてギルドに登録している。廃坑の魔獣討伐に参加した際、リョウマ・タケバヤシの一行と知り合う。
ルーミル
獣人族の犬族の少女。年齢は12歳。立ち耳で明るく人懐こい子犬のような性格をしている。ギムルの町のスラムに住んでおり、ベック、ウィスト、ルース、マルタ、フィニアと行動を共にしている。各々が持っている能力を生かして、冒険者としてギルドに登録して大人と同様にお金を稼ごうとしたが、実際にはまったくうまくいっていない。廃坑の魔獣討伐に参加した際、リョウマ・タケバヤシの一行と知り合う。
マルタ
ハーフエルフの少女。年齢は12歳。髪をツインテールにし、魔法が得意で、大きな杖を持っている。ギムルの町のスラムに住んでおり、ベック、ウィスト、ルース、ルーミル、フィニアと行動を共にしている。各々が持っている能力を生かして、冒険者としてギルドに登録して大人と同様にお金を稼ごうとしたが、実際にはまったくうまくいっていない。廃坑の魔獣討伐に参加した際、リョウマ・タケバヤシの一行と知り合う。
フィニア
ハーフドワーフの少女。年齢は12歳。三つ編みをおさげにしており、身長も低くて幼い子供のように見える。しかし実はウィストと同じくらい力持ちで、自分の体より大きな荷物を背負うなど、見た目とのギャップが激しい。ギムルの町のスラムに住んでおり、ベック、ウィスト、ルース、ルーミル、マルタと行動を共にしている。各々が持っている能力を生かして、冒険者としてギルドに登録して大人と同様にお金を稼ごうとしたが、実際にはまったくうまくいっていない。廃坑の魔獣討伐に参加した際、リョウマ・タケバヤシの一行と知り合う。
プロリア
ギムルの町で冒険者ギルドに登録している女性。廃坑の魔獣討伐に参加した際には、2日目にゴブリンが大量発生した関係で、Eランクの冒険者をまとめるリーダーを務めることになった。Eランクの冒険者集団に加え、戦闘経験乏しいFランクとGランクの冒険者を守りながら戦うために、リョウマ・タケバヤシが提案した方法で共に戦った。ショートヘアのキリッとした印象で、相手の話を真摯に聞く姿勢を持ち、頼りがいがある。
ピオロ・サイオンジ
ギムルの町で商業ギルドに登録している商人の男性。別の町で食品を主に取り扱う「サイオンジ商会」の会頭を務めている。過去に地球から転移して来た転移者、西園寺の子孫。偽っぽい関西弁をしゃべり、着物風の和テイストな服を着ていることから、転移者の子孫であることがわかりやすい。神様にしかあやつれない運を引き寄せそうな相手や物には、手を合わせて拝む癖がある。商売を始めるにあたり、商業ギルドに登録するためにやって来たリョウマ・タケバヤシに対して、わからないところを教えてあげるなど手助けをしてリョウマを応援した。
グリシエーラ
ギムルの町で商業ギルドのギルドマスターを務める老齢な女性。商人として培った眼力により、人の心を洞察する能力に長けており、まるで人の心を読んでいるかのように振る舞う。リョウマ・タケバヤシが商人としてギルドに登録にやって来た際には、リョウマの心境をことごとく読み当て、過去に色々とあったようだが、あんたには未来があると、まるで転移前の竹林竜馬のことをすべて知っているかのような口ぶりでリョウマを励まし、リョウマを驚かせた。
ポリーヌ
ギムルの町で花屋を営む女性。自らの店のとなりに、新たにリョウマ・タケバヤシの洗濯屋ができたことで、リョウマと知り合った。五人の子を持つ肝っ玉母ちゃん。リョウマから店づくりに必要な花や芝などについて聞かれ、入手に協力した際、洗濯屋に興味を持つ。
西園寺 (さいおんじ)
もともと地球に生まれた男性。異世界「セイルフォール」へと送られ、新しい人生を送っていた過去の転移者。地球ではお好み焼き屋の息子として生まれ育ち、料理の専門学校に通っていた。転移先の世界でもお好み焼きを作ろうとしたが、ソースをはじめ具にする魚介類も手に入らなかったため、材料を集めるために世界中を巡ることとなる。その際、路銀や材料費をねん出するために行商や屋台で稼ぎ、とうとうお好み焼きを作り出すことに成功したが、残念ながらそれがセイルフォールで普及することはなかった。しかしその後、それまでの人脈や知識を生かして、食材を中心に取り扱う「サイオンジ商会」を立ち上げることになる。その商いが成功したおかげで、ほかにも真似する商会が続出して、セイルフォールでは食材が手に入りやすくなった。
聖女 (せいじょ)
もともと地球に生まれた女性。異世界「セイルフォール」へと送られ、新しい人生を送っていたリョウマ・タケバヤシの前の前に来た転移者。神々からどんな力が欲しいかと尋ねられ、「聖女」を希望した。聖女とは神秘的な力を持ち、人々を癒したり病気を治す特別な存在のことで、人々が自分にあこがれ、羨望して崇める、そんな存在になることを願っていた。ちやほやされたいという気持ちがなかったわけではないが、人を助けたいという強い思いを持っていた。死者の蘇生はできないが、どんなケガでも病気でも直すことができる力を持つ。聖女自身には毒や薬も効かず、何者にも縛られない力を得るが、自分がどんなに病気を治しても、その力を他人に伝えることはできなかった。そのため、自分がいなければ病気を治すことはできないという状況になった。自分に治せない病気はないが、同時に自分さえいれば助けられたのにという、大きな罪悪感を背負うことになった。自分が死んだら病気で亡くなる人が増えてしまうという懸念から自分のすべてをかけて、この世界からすべての病気が消え去るようにと願った。通常はかなわない願いだったが、神々から直々に与えられた力に加え、多くの人から集めていた信仰や願い、そして彼女のすべてをかけたことで、その願望を実現させた。その対価として、肉体だけでなく本来ならば輪廻転生するはずの魂も消滅してしまい、名実共に聖女となった。彼女の功績により、完全に病気がなくなったわけではないが、実に400年近くものあいだ病気にかかる人が激減。ケガの治療のための回復魔法は残ったが、それまでセイルフォールに広まっていた病気や薬の知識は、ほとんど失われてしまう。
カルラ・ノーラッド
カルム・ノーラッドの双子の姉。顔立ちも背格好もカルムとよく似ている。セルジュ・モーガンが会頭を務める「モーガン商会」のルイアム支部で副店長をしている。優秀でまじめな性格で、優れたリーダーシップを発揮している。部下からは慕われ、上司からは頼りにされているが、帰宅すると気が緩むのか、カルムにその日の反省や愚痴を聞いてもらうことが多い。仕事では直接的に指示することや交渉することを得意としており、カルムと二人で互いを補い合う方法で仕事を効率的に進めている。セルジュから直々の辞令により、カルムと共に本店のあるギムルに呼び出された。初めは本店勤務ということで栄転だと仕事仲間からの祝福を受けるが、到着後にそれが勘違いだったことが発覚。セルジュのお得意様であるリョウマ・タケバヤシが新しくオープンさせる洗濯代行業者「バンブーフォレスト」での勤務であることを知る。リョウマが11歳であることや、ジャミール公爵家とかかわりがあることを踏まえ、どこかの貴族の子供のお遊びなのだと勘違いする。しかしリョウマの実力や人となり、人望を目の当たりにして、リョウマがただものではないことを悟る。リョウマと共に働かせてもらえることも運だと考え、仕事と誠実に向き合うことを決意。カルムとは、直接言葉を交わさなくても心が通じ合っている。セルジュからはまじめな仕事ぶりが評価され、リョウマの店を任せられると信頼されている。
カルム・ノーラッド
カルラ・ノーラッドの双子の弟。顔立ちも背格好もカルラとよく似ている。セルジュ・モーガンが会頭を務める「モーガン商会」ルイアム支部の副店長補佐をしている。姉思いの優しい性格で、よく姉を観察している。つね日頃から職場で責任ある立場を任されている姉が、帰宅すると気を許して自分に日々の反省や愚痴を口にするが、黙って穏やかに受け止めている。仕事では事務や情報収集など裏方仕事を得意としており、カルラと二人で互いを補い合う方法で仕事を効率的に進めている。セルジュから直々の辞令により、カルラと共に本店のあるギムルに呼び出された。初めは本店勤務ということで栄転だと仕事仲間からの祝福を受けるが、到着後にそれが勘違いだったことが発覚。セルジュのお得意様であるリョウマ・タケバヤシが新しくオープンさせる洗濯代行業者「バンブーフォレスト」での勤務であることを知る。リョウマが11歳であることや、ジャミール公爵家とかかわりがあることを踏まえ、どこかの貴族の子供のお遊びなのだと勘違いする。しかしリョウマの実力や人となり、人望を目の当たりにして、リョウマがただものではないことを悟る。リョウマと共に働かせてもらえることも運だと考え、仕事と誠実に向き合うことを決意。カルラとは、直接言葉を交わさなくても心が通じ合っている。セルジュからはまじめな仕事ぶりが評価され、リョウマの店を任せられると信頼されている。
ゴブリン
ヒト型をした魔獣の一種。その一番の脅威は繁殖力の強さによる数の多さ。武器を使える程度の知能を有しているが、人間の子供くらいの体型で力は弱い。体の構造も人間と似ているため、急所を突けば一撃で仕留めることができる。ゴブリンナイトやゴブリンキングなど、さまざまな種類が存在して複数の種族で村を形成し、暮らしている。また、ゴブリンの死体は売れる部位がないために買い取ってくれる店がなく、そのまま焼却処分されることがほとんど。ゴブリンの血や匂いが、服や防具などに付くとなかなかとれないため、冒険者にとって悩みの種となっている。
集団・組織
ジャミール公爵家 (じゃみーるこうしゃくけ)
異世界「セイルフォール」のリフォール王国で公爵位を持つ一族のこと。前当主であるラインバッハ・ジャミールを筆頭に、その息子で現当主であるラインハルト・ジャミールと妻のエリーゼ・ジャミール、その娘のエリアリア・ジャミールで構成されている。ジャミール公爵家の先祖は、神々が送り込んだ地球からの転移者。もともとは動物を従える能力を願ってセイルフォールに転移した人柄のいい女性で、地球では動物の調教師を目指していた。その当時から従魔術に近い技術は存在していたが、彼女がその技術を学び、神々が与えた力を合わせて完成させたのが現在の従魔術となった。その後、彼女は従魔術師としてさまざまな功績を挙げ、王から貴族位をもらい、出会った貴族と恋愛結婚。従魔術師として由緒正しいジャミール家系を生み出した。家族それぞれに神々の加護が与えられており、さらにエリアリアに関しては転移者の血を色濃く受け継いだいわゆる先祖返り。ただし、エリアリアが受け継いだのはジャミール公爵家の方ではなく、母方の家系にいた別の転移者。そのため、現在のジャミール公爵家では、ラインハルトやエリーゼ共に地球からの転移者を先祖に持つことになる。ジャミール公爵家では、子供がある程度大きくなると一度は必ず旅をさせる習わしがあり、本人が望めばそのまま冒険者になることもある。また領地に魔獣や盗賊が出た場合、貴族は討伐に参加しなければならないという決まりがあり、己を守る強さを身につける必要があると考えられている。ジャミール公爵家の領地は、ラインバッハの時代から町や村をの整備に力を入れている。ギムルにある共同トイレもその一環で設置されたもので、今やジャミール領地は国の中でも清潔で環境のいい場所として高い評価を受けている。ラインハルトはそれをさらに拡大し、商業を発展させることで住みやすい場所、栄える町を作りたい考えを持つ。
テイマーギルド
異世界「セイルフォール」で、従魔術師が仕事や情報を得ることを目的に登録する事務所のようなもの。ここで登録するためには、従魔術か召喚術のいずれかが必要で、ステータスボードを持参し、自身の持つスキルを見せることで登録することができる。ステータスボードがない場合、係員の目の前で用意されたスライムと従魔契約を結ぶことになり、事務手続きに時間がかかる。登録が済むと従魔と共に住める住居探しや、従魔のための餌を安く買えるサポートなどもしてくれる。また、昨今テイマーギルドには強い魔獣を従える従魔術師が優遇される風潮が強くなっており、テイマーギルドの上層部は従魔術師の優劣を魔獣の強さや、ランクのみで決めつけているような状況にある。
場所
セイルフォール
リョウマ・タケバヤシが転移した、地球とは異なる場所に存在する異世界。この世界は魔法が発達し、魔力をエサにする魔獣もたくさん住んでいる。すべてにおいて魔力が必要不可欠で、魔力の消費も激しい中、魔力の発生... 関連ページ:セイルフォール
ケレバン
異世界「セイルフォール」のリフォール王国内、ジャミール公爵家の領地で最大の商業都市と評される町。ごく一般的な中世ファンタジー世界のイメージどおりの町だが、獣人やエルフといった異種族の姿は見当たらない。人混みも多く、中にはスリや当たり屋といった犯罪者も紛れ込んでいる。
ギムル
異世界「セイルフォール」のリフォール王国内にある鉱山の町。ジャミール公爵家の領地で、炭鉱の町の割には落ち着いた雰囲気を醸し出している。鉱山には重い荷物を運ぶ魔獣が必要となるため、全国でも数少ない従魔術師のためのギルド「テイマーギルド」の支部が存在する。鉱山はいくつかあるが、数年前から産出量が減っており、3年前から採掘量はほぼゼロに近い。去年から鉱夫も誰一人鉱山に入っていないような状況が続いており、ジャミール公爵家の視察により、廃坑になる可能性が高いものもある。ただし鉱山は複数あるため、この町はまだ10年は大丈夫と考えられている。この町に住む人が支払う住民税は一人400スート。住民税を払えない人に対しては、労役による代替措置も存在する。この町にある公共トイレのくみ取り槽清掃の関係から、役所の汚職が発覚した。
その他キーワード
小型確認水晶 (こがたかくにんすいしょう)
小さな水晶玉。これに触れると、その人が犯罪者なら赤く光り、ふつうの人なら青く光る。名前や種族、年齢、持っているスキルの中で一番高いレベルから四つまでが映し出される仕組みになっている。カミルが持っているほか、町の入り口などにも存在し、危険人物かどうかを判断するために使用されている。
クリエイトブロック
リョウマ・タケバヤシが編み出した土属性の合成魔法。岩などを崩す魔法、ブレイクロックと、土砂を固める魔法、ロックを合成して、魔法範囲内の岩と土砂を一度に小さめのブロックに変えることができる。大きい岩を土砂にして、土砂をブロックにする、それを一つの行程としてイメージし、魔法をかけることでできるため、ブレイクロックとロックが使える人なら簡単に使うことができる。これで作り出されたブロックは、建築物などにも役に立つ。
プレイング・クレイ
リョウマ・タケバヤシが作った土属性の魔法。魔力で土や石を一時的に粘土状に変えることができる。この魔法は、魔力が尽きると粘土が元の堅さの土や石に戻るため、石材で何かを作る時に便利なほか、壁の修繕などにも利用できる。
錬金術 (れんきんじゅつ)
過去に地球からの転移者が神々に新しく作らせた魔法。錬金王と呼ばれながらも転移者本人が使い方を独占し、異世界「セイルフォール」の人に明かさなかったせいで、その後詐欺の手口としてしか使われなくなってしまった。そのため、今では誰も錬金術を信用する人はいない。石や土から金を生み出すだけでなく、毒入りの岩塩から毒だけを取り除いたり、赤土から鉄だけを取り出したりすることが可能。錬金術を発動するためには、分離の魔法陣と結合の魔法陣が必要で、それらに魔力を通すことで生成することができる。
クレジット
- 原作
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Roy
- キャラクター原案
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りりんら
書誌情報
神達に拾われた男 13巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスUP!〉
第1巻
(2018-06-13発行、 978-4757557420)
第9巻
(2022-09-07発行、 978-4757581166)
第10巻
(2023-03-07発行、 978-4757584440)
第11巻
(2023-10-06発行、 978-4757588349)
第12巻
(2024-03-07発行、 978-4757590793)
第13巻
(2024-10-07発行、 978-4757594555)