概要・あらすじ
孫のような風貌をした女子中学生甘栗甘水が、鰊中学校に転入。誰もがかまってあげたくなってしまう「孫顔」の持ち主である甘栗甘水に、町の人々や生徒・教師たちは魅了されてしまうが、それを快く思わない者たちがさまざまないやがらせを行い、騒動が巻き起こる。
登場人物・キャラクター
甘栗 甘水 (あまぐり あまみ)
人々の「孫をかわいがりたい」という気持ちを刺激してやまない、天性の「孫顔」を持つ少女。老人に病的なまでに可愛がられるほか、容姿や振る舞いから強烈に発する孫っぽさで若者さえもその魅力の虜にしてしまう。鰊町にある「鰊中学校」の2年3組に編入してきた。両親は7年前まで鰊町に住んでおり、諸事情で追われるようにして町を出たが、ほとぼりが冷めたころを見計らって町に戻ってきた。 父親は甘栗正人、母親は甘栗和枝。誕生日は7月3日で14歳だが、彼女の成長を悲しむ親が9歳以降誕生日を祝ってくれなくなったので、9歳を自称している。好きなものは甘いもので、一日の甘味摂取量は常人の約7倍。特技は当て身で、どんな相手でも一発で気絶させる腕前の持ち主。 日々町で老人を孫顔で癒したり、学校の仲間たちにチヤホヤされたりしている。このほか、学校が銭亀イカ子の支配下となったときはレジスタンスの長として戦ったり、「お孫」の力を悪用しようとする「黒の孫連」とも熾烈な戦いを繰り広げた。
銭亀 イカ子 (ぜにがめ いかこ)
鰊町にある鰊中学校に勤務する女性教師。甘栗甘水が編入してきた2年3組の担任。校長と肉体関係を結び虜にしていたが、甘栗甘水の登場で寵愛を奪われる。美貌と身体で学園の女帝にのし上がる野望を持っていたが、甘栗甘水にその座を脅かされたことで彼女を敵視するようになった。病的なほどにイカを愛しており、自宅にある大量の水槽でイカを養殖するほど。 下僕としてアパレルメーカー勤務の室田イカ夫(42歳)、自称工芸家の池田イカ太郎(30歳)を従えるほか、フリーターの烏賊ひろみ(18歳)も侍女として彼女に仕えるなど、特殊な人望の持ち主。日蓮尚和、安西マリアと甘栗甘水、伝法寺破夜子の戦いのせいで学校の地下にある巨大水脈から水が吹き出て、学校が沈没したさいは、そのどさくさを利用し鰊中学校を支配する。 女帝として君臨した彼女は、学校中をイカで埋め尽くし、生徒や教師たちにもイカを崇拝するよう強要する。しかし甘栗甘水らの抵抗により破れる。
ジェイル大橋 (じぇいるおおはし)
鰊町にある鰊中学校の反省房で牢番を務める男。銭亀イカ子の肉体で籠絡され彼女の手下となっていたが、牢に入れられた甘栗甘水の孫ぶりに心を奪われ、銭亀イカ子を裏切る。最初は顔をすっぽり覆うマスクを被っていたが、甘栗甘水を前にしてマスクを脱ぎ捨て素顔を晒す。中身は傷だらけの老年男性。
伝法寺 破夜子 (でんぽうじ はやこ)
鰊町にある鰊中学校2年3組の学級委員。遅刻を繰り返す甘栗甘水のお迎え係をするよう銭亀イカ子から命令される。最初は甘栗甘水の好き放題な行動に悩まされていたが、しだいに彼女の孫としての魅力の虜になっていく。やがて甘栗甘水をかわいいと思う気持ちが高まりすぎて、学校では保健室で寝ていなくてはならないほど体力を消耗してしまうまでになる。 バレエを習っているが、彼女の通うバレエ教室「ロイヤルバレエ成龍門」の実態は中国拳法の道場。甘栗甘水を害そうとする者に対しては、バレエ教室で身につけたバレエ(拳法)を駆使して戦う。日蓮尚和や安西マリアと戦いを繰り広げたほか、学校を支配した銭亀イカ子の手下や、師である任世官とも対戦している。
日蓮 尚和 (にちれん なおか)
鰊町にある鰊中学校に所属する女子中学生。4月1日の生まれのため同学年では一番早生まれ。愛くるしいルックスのため甘栗甘水が転校してくるまでは、学園の妹キャラとして人気を欲しいままにしてきた。甘栗甘水によって人気を奪われ、周囲から甘やかしてもらえなくなったことから、彼女に恨みを抱くようになる。 彼女を妹としてちやほやしているクラスメートの「お兄ちゃん達」を手下として使うほか、髪留めが爆弾になっているなど、腹黒い面を多々備えている。銭亀イカ子との仲は険悪だったが、共通の敵甘栗甘水が登場したことで、手を組む。しかし甘栗甘水を陥れることに失敗した挙げ句、銭亀イカ子に裏切られ反省房に入れられてしまう。 そのことで銭亀イカ子を恨むようになり、復讐のため同じく反省房に入れられていた安西マリアと手を組んだ。
安西 マリア (あんざい まりあ)
鰊町にある鰊中学校の2年5組に所属する女子。7年前に甘栗甘水が引き起こした事件のせいで彼女を憎悪している。「老人ホーム大脱走先導事件」「老人達に菩薩として拝まれイカ釣り漁船で極楽浄土への大航海事件」に祖母が巻き込まれたほか、彼女が片想いしていた千石久慈も甘栗甘水の魅力に溺れていたことを苦々しく思っている。 その思いを利用され銭亀イカ子にそそのかされたが、甘栗甘水への復讐は失敗に終わり、反省房に入れられる。それが原因で銭亀イカ子を恨むようになり、復讐のため、同じく反省房に入れられていた日蓮尚和と手を組んだ。
千石 久慈 (せんごく ひさじ)
鰊町にある鰊中学校の男子生徒。グレてすさんだ生活を送っており、更正施設に入れられていた。7年前に甘栗甘水の世話をし、その魅力に溺れていた。顔を斜めに切り裂く傷は、甘栗甘水とチャンバラをしているときについたもの。その事件が原因で甘栗甘水が傷ついて転校したと思い込みグレてしまったが、彼女と再会して誤解が解け、再び彼女の世話を焼き始める。
任世官 (いぇん・しーかん)
バレエ教室「ロイヤルバレエ成龍門」の師範。バレエ教室を名乗っているものの実態は中国拳法の道場。ヒゲを生やしており中国人の中年男性のように見えるが、日本人で25歳の女性。教室を見学に来た甘栗甘水と勝負するが、彼女のバレエと当て身を組み合わせた技の前に敗れる。
大福 アキオ (だいふく あきお)
蟹玉町で「福お孫」と呼ばれて君臨している少年。大福牛乳店で店番をしており、人々の悩み相談を受けたり、不思議な力で身体を癒したりしている。甘栗甘水と同じく、老人たちを幸せにする力を持った「お孫」。蟹玉町からその信者に担がれて鰊町を訪れ、甘栗甘水と対面する。一触即発に思われたが、お孫同士で通じるものがあったのか、手をつないで友達となった。 子供のような顔をしているが実は33歳。
熱室 水子 (あたむろ みずこ)
甘栗甘水らの通う鰊中学校に転任してきた音楽教師。教卓に全身が隠れてしまうほどに小柄で、日蓮尚和に心酔していたはずの男子生徒たちも魅了されてしまうほどの妹っぽさを醸し出している。着任早々そのかわいらしさで人気を博すが、正体は「お孫」を利用してお年寄りを泣かせる「悪の孫連」の一員。彼女に課せられた任務は甘栗甘水の監視だったが、監視に徹することができず、老人たちを食い物にしようとするも日蓮尚和に敗れる。
濱田 ダミアン (はまだ だみあん)
孫のような風貌で老人を虜にする「お孫」の力を利用し、お年寄りを泣かせる「悪の孫連」の一員。甘栗甘水にお孫勝負を挑む。勝負の内容は濱田ダミアンの養父である岩崎竜吉を、甘栗甘水がお孫の力で喜ばせることができなければ鰊町を暗黒街に変えるというもの。その勝負の途中で、甘栗甘水の師リンクンと甘栗甘水、伝法寺破夜子と任世官の拳法対決が始まってしまい、騒動の中で勝負はうやむやのうちに終了する。