概要・あらすじ
慶長5年、9月15日。関ヶ原の戦いが勃発。徳川家康が総大将の東軍と毛利輝元が総大将の西軍の戦が始まった。東軍の方が分が悪いと思われた戦だったが、小早川秀秋や吉川広家らの裏切り行為などにより東軍が勝利。徳川の過酷な戦後処理が行われ、薩摩以外の敗者たちは徹底的に粉砕されることとなった。
登場人物・キャラクター
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
関ヶ原の戦いにおける東軍の総大将で、対抗勢力に勝利し大阪城に入る。その後、江戸幕府の初代将軍となる。実在の人物徳川家康がモデル。
石田 三成 (いしだ みつなり)
関ヶ原の戦いにおける西軍の主導者。小早川秀秋らの裏切りにより西軍が負け、戦場から脱出する。実在の人物石田三成がモデル。
小早川 秀秋 (こばやかわ ひであき )
豊臣秀吉の甥で関ヶ原の戦いでは西軍であったが、戦の途中で東軍に寝返る。その後、岡山城に入り城主となり気がふれて生涯を閉じる。実在の人物小早川秀秋がモデル。
吉川 広家 (きっかわ ひろいえ)
毛利藩の作戦参謀。関ヶ原の戦いでは毛利藩の安泰を考えた末に裏切り行為を働く。実在の人物吉川広家がモデル。
徳川 秀忠 (とくがわ ひでただ)
徳川二代将軍。幕府の権力が強くなるにつれ、周囲に敵が増え孤独を感じるようになる。堅ぶつな性格であったが自分の心の理解者である腰元静と関係を持ち、一男をもうける。後にこの息子と対面を果たす。54歳で没。実在の人物徳川秀忠がモデル。
前野 良沢 (まえの りょうたく)
杉田玄白と共にオランダの医学書ターヘルアナトミアを翻訳。しかし翻訳本解体新書を出版する際に杉田玄白と意見の相違があり、解体新書に本人の名前は載らなかった。実在の人物前野良沢がモデル。
杉田 玄白 (すぎた げんぱく)
医者。前野良沢らと共にオランダの医学書ターヘルアナトミアを翻訳し、翻訳本解体新書を出版する。実在の人物杉田玄白がモデル。
林 子平 (はやし しへい)
14歳で仙台藩江戸屋敷に入る。勉学と剣術に励み、旅をして回った。長崎奉行所の専属医者になったが、唐人屋敷で立て籠りの事件が起きた時、長崎奉行所の14名の手勢のリーダーとなって現場へ乗り込み、61名の暴徒と戦い制圧する。実在の人物林子平がモデル。
平賀 源内 (ひらが げんない)
浮世絵画家鈴木春信に多色刷りの技術を教えたり、土用丑の日を発案したり、エレキテルを発明したりするなどの活躍を見せる。しかし刃傷事件を起こし投獄される。実在の人物平賀源内がモデル。
司馬 江漢 (しば こうかん)
元は浮世絵画家鈴木春信の弟子の鈴木春重。平賀源内から西洋画を紹介され、西洋画家に転向。その後、銅版画技術の研究を始め、蘭学者の大槻玄沢らの協力を経て日本初の銅版画に成功する。実在の人物司馬江漢がモデル。
高山 彦九郎 (たかやま ひこくろう)
上州新田郡細谷村郷士。庄屋の息子として生まれ、本を読みながら育つ。悪い者は見逃せない激しい性格で、父親が闇討ちにあい殺害されると、その仇を討つために江戸へ出て武芸の特訓を開始。その後、京都に学校を作ろうという興学運動を起こす。実在の人物高山彦九郎がモデル。
高野 長英 (たかの ちょうえい)
奥州で生まれ。10歳の時、伯父で医者の高野玄斎の養子となる。天才的に頭が良く次々と漢学や蘭方医学などをマスターし、12歳で小さな塾の校長となる。17歳で江戸へ渡り、蘭法医吉田長淑の書生となる。その後、22歳で長崎へ留学する。実在の人物高野長英がモデル。
渡辺 崋山 (わたなべ かざん)
画家。12歳の時に屈辱的な体験をしたことで儒学者になろうと志すが、絵の才能を見いだされて、絵師白川芝山の弟子となる。以降、画家として開花し、画家と田原藩の重役の二足のわらじの生活となる。実在の人物渡辺崋山がモデル。
シーボルト・イネ (しーぼるといね)
シーボルトと日本人女性のお滝との間に生まれた女性。花嫁修業をせず蘭学の勉強に没頭し、医学への道へ進むことを決心。日本初の女性産婦人科医になるべく岡山へ渡る。実在の人物シーボルト・イネがモデル。
坂本 龍馬 (さかもと りょうま)
土佐藩郷士坂本家の末っ子として生まれる。幼い頃は泣き虫で、姉から剣術などのスパルタ教育を受ける。15歳で日根野道場に入門し剣術を磨く。18歳で剣術修行のために土佐から江戸へと向かう。実在の人物坂本龍馬がモデル。
勝 海舟 (かつ かいしゅう )
大砲術演習を見たことをきっかけに蘭学に目覚める。剣術の家庭教師をしながら生計を立て、蘭学者永井青崖の門弟となり、蘭学の勉学に励む。実在の人物勝海舟がモデル。
西郷 隆盛 (さいごう たかもり)
貧しい幼少時代は剣術に打ち込むが、利き腕をケガして剣の道を断念。18歳で奉行に報告書を提出する郡方書役助に就き、上司の迫田太次右衛門利済より、敬天愛人の真意を教えられる。実在の人物西郷隆盛がモデル。
中浜 万次郎 (なかはま まんじろう)
漁に出て嵐にあい遭難したところをアメリカ捕鯨船に救出された。語学の才能に長けていたこともあり、捕鯨船船長に連れられて渡米。以降、様々な教育を受けて国際感覚を磨き帰国する。実在の人物中浜万次郎がモデル。
保科 正之 (ほしな まさゆき)
幼名は幸松。二代将軍徳川秀忠と腰元静との間に生まれた。三代将軍徳川家光の異母兄弟。18才で信州高遠藩の藩主となる。32才で会津松平家初代藩主となり、その後、徳川家綱の後見人として大老職に就く。さまざまな善政を行い、多くの時間を学問に捧げ、最後まで徳川家に絶対の忠義を尽くした。 実在の人物保科正之がモデル。
田沼 意次 (たぬま おきつぐ)
江戸幕府老中。九代将軍徳川家重に献身的に仕え、十代将軍徳川家治からは政事を任され実権を握り、太平の時代において驚異的な出世街道を驀進。貿易を推進し、後の開国を目指し印旛沼開拓に伴い運河工事を計画した。平賀源内と交流を持つ。実在の人物田沼意次がモデル。
最上 徳内 (もがみ とくない)
現在の山形県にあたる出羽国の貧しい農家の出身。29才で大算学者本多利明の下僕となり、本多利明から推薦されて蝦夷地調査団に参加。幕府の蝦夷開拓計画が中止となった後、再度、蝦夷へ向かうが強制送還され野辺地で暮らす。そこで廻船問屋島谷屋の娘のふでと結婚。 その後、アイヌの乱が勃発したのを機に、青島俊蔵と蝦夷へ隠密調査をしに行き、江戸へ戻ったところで隠密法違反の汚名を着せられ投獄される。実在の人物最上徳内がモデル。
シーボルト
ドイツ人の医師で博物学者。鎖国中でドイツ人は日本に入国できなかったため、オランダ人を装い出島に上陸する。長崎で医療活動を開始し、全国にその名前をとどろかした。入国1年後には専用の病院兼医学校の鳴滝塾が幕府により開設される。その後、江戸へ行き多くの重要人物と会うなどするが、国外持ち出しを禁止していた品をオランダ船に乗せて送っていたことが発覚した「シーボルト事件」がきっかけとなり、国外追放となる。 実在の人物フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトがモデル。
鳥居 耀蔵 (とりい ようぞう)
目付。超名門の生まれという特権意識が強く、自分の邪魔になる者は徹底的に排除した。蘭学者たちを憎み、尚歯会の弾圧を目論む。水野忠邦が天保改革を行う下で、厳しい市中取締りを決行。江戸城内からも、庶民からも悪評が高かった。南町奉行の職にも就いたが、天保改革失敗の後は、その職を追われる。 数々の悪事を働いた末、四国丸亀藩に幽閉された。実在の人物鳥居耀蔵がモデル。
安部 正弘 (あべ まさひろ)
天保改革の失敗で一度失脚した水野忠邦が老中筆頭に復帰した際、ブレーンとなったひとり。水野忠邦が老中辞職した後、その後任となる。老中となった後は、数々の悪事を働いた鳥居耀蔵に審問を開始し、最終的に幽閉を命じた。実在の人物安部正弘がモデル。
島津 斉彬 (しまづ なりあきら)
薩摩藩江戸屋敷の主で、37才になるまで一度も薩摩を見たことがなかった。曾祖父島津重豪より、徹底的な開明教育を受ける。父親島津斉興の代理で江戸城へ行った際、安部正弘に琉球開国を提案する。その後、初めて薩摩入りを果たす。実在の人物島津斉彬がモデル。
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