魔王軍の企みを描いたドタバタギャグ
本作は、魔王軍に所属する魔物たちが、冒険者を中心とした人間を罠にはめるために、さまざまな実験や熱弁を繰り広げながら試行錯誤する姿を描いている。単に冒険者を倒すだけでなく、触手などの性的要素を含む罠や、捕らえた人間を使った実験など、アブノーマルな嗜好(しこう)やお色気ギャグが盛り込まれている。また、個性豊かな魔物たちのテンポのよい掛け合いや、かわいらしくデフォルメされたポップな絵柄も魅力となっている。
冒険者対策と称して好奇心を満たす魔物たち
魔王軍開発局の局長、憐罠卿は、魔王軍に立ち向かう冒険者たちを阻むための罠の開発に没頭していた。しかし、彼の目的は単なる足止めにとどまらず、魔物たちにとって重要なエネルギー源である人間の負の感情を生み出すことに力を注いでいた。そのため、憐罠卿は人間に最大の屈辱や恥辱を与える罠を日々考案している。憐罠卿の助手には「レツェ」という名のサキュバスがいる。無口で業務を淡々とこなすレツェは、憐罠卿からも高く評価されているが、彼女には苦い過去があった。本来は人間を誘惑する役割を担うべき存在でありながら、愛嬌がなく、問題を起こして別の支部をクビにされてしまう。そんなレツェの過去を知りつつも、憐罠卿は冒険者対策と称して彼女と共にさまざまな実験を繰り返し、斬新な罠を生み出していく。
魔物たちのユニークな群像劇
本作は、憐罠卿とサキュバスのレツェを中心に物語が展開されるが、物語が進むにつれて、洗脳支部や魔物開発支部に属する魔物たちも登場し、群像劇の様相を呈していく。それぞれの支部に属する魔物たちは特定の性癖を持っているのが特徴で、時には支部や立場を超えて熱い議論を交わしたり、目的のために協力し合うこともある。また、ダンジョンやファンタジーに関する「あるあるネタ」や、特定の「萌えシチュエーション」や「性癖」を題材にした小ネタや解説が豊富に盛り込まれており、読者に笑いや共感を呼び起こす作風となっている。
登場人物・キャラクター
憐罠卿 (れんびんきょう)
魔王軍の罠研究開発室に所属する魔族の男性。開発局の局長を務める。本名は「ゼゼ・シュ・ガズノォム」で、複眼の魔物の姿をしている。基本的にはまじめで誠実な性格であり、部下からの信頼も厚い。しかし、知的好奇心が旺盛なマッドサイエンティストの一面もあり、研究に没頭すると予想外の方向に暴走することがある。人間を傷つけることなく、負の感情を効率的に生み出す特殊な罠の開発に力を入れており、特に恥辱の感情に強い興味を抱いている。当初は助手のレツェの事情を知らなかったものの、彼女の過去を知ったあとも、淡々と職務をこなす姿勢を高く評価している。人間たちからは「魔王軍の呪われし頭脳」「憐れみの死神」として恐れられている。
レツェ
魔王軍の罠研究開発室に所属するサキュバスの少女。憐罠卿の助手を務めている。尖った耳と爬虫類のような尻尾、額にある第3の目が特徴で、小柄で華奢(きゃしゃ)な体型をしている。不愛想ながらも淡々とまじめに仕事をこなす姿勢は、上司である憐罠卿から高く評価されている。かつてはサキュバスが集まる夢魔支部に所属していたが、愛想のなさや不器用な笑顔が致命的な欠点と指摘され、現在の罠研究開発室に異動することになった。時おり罠の実験台となることもあるが、触手に攻められても表情一つ変えないなど、エロトラップへの耐性は非常に高い。
クレジット
- 原作
書誌情報
魔のものたちは企てる 3巻 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉
第1巻
(2023-12-25発行、978-4040752389)
第2巻
(2024-10-25発行、978-4040756431)
第3巻
(2025-08-08発行、978-4040760315)







