概要・あらすじ
大の野球ファンの女性編集者橋谷淳子は、野球雑誌への配属を希望していたが、夢かなわず相撲雑誌に回されてしまう。相撲の取材を始めた彼女が目にしたものは、美形だがナルシストな力士昇竜やぽっちゃり型のいじめられっ子力士雪之童らをはじめとした、風変わりな力士たちの生態だった。さらに昇竜を見初めた芸能プロダクションの女社長渡辺桜子らの思惑もからまり、奇妙な人間関係が構築されていく。
登場人物・キャラクター
昇龍 (しょうりゅう)
大相撲の力士で、正式な四股名は「昇龍剛士」。本名は「北山宏美」。東京都港区出身で乱錦部屋所属。第一話の時点で21歳。スリムで筋肉質な「ソップ型力士」。その鋭い風貌から「ホーク」とあだ名されている。スリムな体型と家族ゆずりの頭脳を生かした取り口を特徴とする。自分とは対極の存在たるあんこ型力士は毛嫌いしているが、親方はじめ周囲からは「太れ」といわれて悩んでいる。 雪之童とは同期で、幕下時代からライバルと称されており、同じ場所で小結に昇進するなど何かと縁がある。しかし自分とは対極的なあんこ型の力士である雪之童のことをあまり好いていない。角界有数の美男だが筋肉を鍛えるのが好きで、鏡を見て自己陶酔する癖がある。 そのため若い女性には変態扱いされ、おばちゃんファンしかつかないでいた。しかしその端正な容姿を芸能プロダクション社長の渡部桜子に気に入られ、彼女の積極的なアプローチに陥落し、恋人同士となる。このほか相撲雑誌「ズンズンお相撲さん」の記者橋谷淳子とは取材でたびたび顔を合わせ、彼女との会話にほのぼのしたものを感じている。 父親は大学教授で、上の二人の兄、北山亮、北山清史も学者。渡部桜子は昇龍と恋人になったのを皮切りに、二人の兄とも関係を結ぶようになり、昇龍を動揺させた。
雪之童 (ゆきのわらべ)
大相撲の力士。新潟県雪崩村出身で花吹雪部屋所属。第一話の時点で21歳。ぽっちゃりした体型の典型的な「あんこ型力士」。のんびりした風貌もあり、ファンからは「スノーマン」の愛称で親しまれている。昼寝と食べること、少女漫画を読むことが趣味。雪国の山奥育ちで3人の姉を持つ末っ子。本名は貴司。子供のころは大きな身体であることをバカにされ、コンプレックスを持っていたが、相撲界では身体が大きければ大きいほど誉められると知り、誇りに思うようになる。 昇龍とは同期で、幕下時代からライバルと称されており、同じ場所で小結に昇進するなど何かと縁がある。やせているうえに顔が良く、自分を見下したような目で見る昇龍のことは嫌っていた。 雪国で鍛えた足腰のおかげで押し相撲に強い。昇龍戦で見せた、雪おろしの要領で相手を豪快に放り投げる技は「雪おろし投げ」と称された。闘争心に欠けることがあり、精神的なもろさを親方にも叱責されている。繊細なように見えて単純で、ちやほやされると調子に乗って土俵上でも力を発揮する。親方の娘である紗耶香を好いているが、デブが嫌いな紗耶香には「トド」と呼ばれて気持ち悪がられている。 このほか相撲雑誌記者橋谷淳子が、同僚記者に自分の好きな男が雪之童であると心にもないことを口走ったときに、その言葉を漏れ聞いて勘違いしてしまった。
渡部 桜子
芸能事務所「パピーズ」の二代目社長。ディスコで見かけた昇龍に目を付け、自らの彼氏にするべく画策する。かつては男性アイドルグループ「パピーズ」の面々を寵愛していたが、昇龍を見いだしてからはパピーズに飽きて顧みないようになった。昇龍へのアプローチは、負け越したら一晩付き合うよう昇龍に約束させたり、化粧マワシを贈るなどさまざまな手段を駆使する。 その甲斐あって昇龍と恋人同士になるが、彼をオペラに連れて行ったり、バスルームがジャングル風呂だったり、ベッドを共にしたときにオペラを歌いっぱなしになるなど、風変わりな行動で昇龍を困惑させる。また昇龍の兄である北山清史や北山亮とも知己を得、美形の兄弟3人を侍らす。
橋谷 淳子
ワールドベースボール社に所属する女性編集者。元はプロ野球ファンだったが、相撲雑誌「ズンズンお相撲さん」に配属されて落胆していた。相撲は嫌っているが現代のギャル的視点を生かした「あたしはちょっと相撲部屋にはウルサイの」というコーナーを持っており、編集部内では一定のポジションを得ている。 昇龍と芸能プロダクション渡部桜子の関係をいち早くかぎつけ、記事にしようとするが編集長の方針でなかなか掲載に至らず、不満に思っている。本来はプロ野球の若手スター選手が好きだったが、取材を続けるうちに昇龍に心惹かれてしまう。しかし彼が渡部桜子の恋人になったことで傷心し、同僚記者にちょっかいをかけられて、つい自分が好きな相手が雪之童だと心にもないことを口走ってしまう。 その後雪之童から好意を向けられるようになって困惑し、昇龍との間柄もギクシャクするが、そんな折り、ふと町で見かけた大関・鶴羽山のシブさに惹かれていく。
紗耶香 (さやか)
雪之童の所属する大相撲・花吹雪部屋の親方の娘。実家は相撲部屋だがデブを嫌悪しており、雪之童ら力士を「トド」と読んでバカにしている。太った男が多数存在する実家の環境に嫌気がさして家出した経験もあり。父親によって花錦部屋の力士・琴弁天と見合いさせられそうになり反発していたが、雪之童が部屋のために頑張っているのを見て反省。 相撲取りを毛嫌いするのをやめ、琴弁天との交際を始めた。
影浦 正幸
渡部桜子おつきの秘書で常に彼女に付き従っている。真面目で小心な青年で、わがままだらけの渡部桜子に常に振り回されている。渡部桜子が昇龍に入れあげているのを快く思っていない。渡部桜子の命令で昇龍へ贈る化粧マワシを手配するが、彼のイメージに合わないチューリップ柄のマワシにしてしまい、渡部桜子から叱責された。 地方を回って新たな才能を発掘してくるよう厳命され、しばし渡部桜子のもとを離れる。その後渡部桜子の腹違いの弟を連れて復帰してきて彼女に一泡吹かせようとするが、まともに相手にされずに一蹴された。
梅太郎 (うめたろう)
大相撲の力士。茨城県出身で金砂部屋所属。角界一の巨漢力士。場所を追うごとにさらに身体を大きくし、最終的には250kgにまで到達する。でっぷりした肉体の典型的な「あんこ型力士」。巨漢だがディスコでブレイクダンスを決めるなど軽やかさも兼ね備える。外交的で明るい性格の持ち主。
新堀山 (しんぼりやま)
大相撲の新堀部屋に所属する外国人とのハーフの力士。あんこ型ともソップ型とも違う、マッチョな肉体の持ち主で「角界のシェワルテェネッガー」の異名をとる。取り組み前の仕切り時も四股を踏まずボディビルのポーズを決める変わり者。まるでコンピュータのような思考の持ち主だが、控え室で突然柱に頭突きを連発するなど、理解不能な行動も見せる。 幕下時代の四股名は「新堀」。
北山 清史
昇龍の兄で、北山家3兄弟の次男。コンピュータのオペレーターをしており、食品関係の研究所に勤めている。数値データを駆使して力士を分析し、昇龍に助言を行っている。また弟の昇龍が芸能プロダクションの女社長渡部桜子と付き合い始め、一緒にいるところにバッタリ遭遇。その後、渡辺桜子を気に入った北山清史は彼女との距離を縮め、肉体関係を持つようになる。
北山 亮
昇龍の兄で北山家3兄弟の長男。爬虫類の研究者。弟の昇龍と北山清史が芸能プロダクションの女社長渡部桜子と付き合っているのを知って、彼女に興味を持つ。