やる気のない霊媒師と、人助けをしたい招き手
片儺木伊織は霊媒師でありながら、奇妙な現象を引き起こす「霊怪」に対して消極的で、面倒な事態からは逃げようとしている。一方、哀別理久は霊怪を引き寄せる「招き手」でありながら、人助けを心から願っている。能力と性格が正反対な二人の織りなす凸凹なバディ関係が、本作の大きな魅力となっている。
伊織が霊媒師を続ける理由
伊織が霊媒師を続けているのは、中学3年生の時に招き手の女性を保護する任務を請け負ったが、女児の姿をした霊怪・千手童子との戦闘中、保護対象の彼女を死なせてしまうという失態を犯した事件が影響している。この出来事をきっかけに、伊織は霊媒師を辞めてふつうの生活を送りたいと強く願うようになる。しかしその一方で、千手童子を祓ってから霊媒師を辞めるという目標を自らに課している。
試練を乗り越えて成長する二人
伊織と理久は、千手童子を追う過程で、千手童子の一部と同化した「宿し手」と呼ばれる者たちと対峙する。宿し手は千手童子を神格化し、人間と霊怪の融合に狂喜する危険な集団であり、中には最強と謳われる霊媒師・片儺木夜生との戦闘経験を持つ者も存在する。数々の危険な戦いを通じて、伊織と理久は互いに協力し、人としても、霊媒師としても成長を遂げる。
登場人物・キャラクター
片儺木 伊織 (かたなぎ いおり)
高校2年生の男子で、「隠(なばり)」に所属する霊媒師。10月15日生まれで、身長は170センチ。白髪と赤い目が特徴で、右手にアンティークの鍵を提げており、校内では霊感少年として噂されている。最強の霊媒師である兄・片儺木夜生には頭が上がらず、ふつうの人生を望みながらも、凶暴な霊怪「隠形鬼(おんぎょうき)」に取り憑かれている。右手の鍵は、隠形鬼を呼び出すためのもので、隠形鬼の力を借りて影をあやつり、片儺木伊織自身の存在感を希薄にすることで、人間関係を避けている。霊媒師としての活動にはまったく興味がないが、千手童子という霊怪に対してのみ強い執着を見せる。ある日、夜生から霊怪を招きやすい体質の哀別理久の保護者を任され、渋々彼女と行動を共にすることとなる。
哀別 理久 (あいべつ りく)
「招き手」と呼ばれる霊怪を引き寄せる体質を持つ高校2年生の女子。6月30日生まれで、身長は160センチ。黒髪をショートボブヘアにしている。警察官の父親と看護師の母親の影響で、人助けを生きがいとしている。勘が鋭く、危険を察知する能力があるが、片儺木伊織と出会ったことで、自らの体質が霊怪を引き寄せていることを知り、ショックを受ける。そんな中、伊織が「女の子の霊怪を探している」と知り、詳細を尋ねずに協力を約束する。いつも伊織に振り回されているが、彼と共に行動する中で、自らを守る力を身につけ、伊織の力になりたいと強く願うようになる。
クレジット
- 原作
-
後藤 冬吾
書誌情報
仄見える少年 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2020-12-01発行、978-4088825151)
第2巻
(2021-02-01発行、978-4088825519)
第3巻
(2021-04-01発行、978-4088826417)
第4巻
(2021-07-01発行、978-4088827117)







