仏ロック

仏ロック

鷲尾和哉の初連載作品。「魍魎」と呼ばれる化け物と戦うため、両腕を切り落とし、仏像から与えられた木偶の腕を付けた少年。彼がいずれ木偶の力に蝕まれ、自分自身もまた仏像と化してしまう運命を抱えながらも戦い続ける和風バトルアクション。小学館「週刊少年サンデーS増刊」2015年3月号から2016年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
仏ロック
ふりがな
ぶつろっく
作者
ジャンル
バトル
 
和風ファンタジー
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あらすじ

第1巻

吉備野桃は、ある日不審者に追いかけられていたところを謎の少年に助けられ、彼が不審者に対して、除霊のような真似をする姿を目撃する。そんな彼を、桃は最近街で噂になっている廃寺の亡霊ではないかと考え、翌日その廃寺である転岩寺(てんがんじ)へ向かう。そこで少年の蓮見勒と再会した桃は、例の除霊行為についてたずねるが、勒はこの件にかかわると不幸になるというばかりで、なにも教えてくれないのであった。その直後、桃は再び不審者に襲われ、またも勒に助けられる。これによって桃は不審者達が自分を狙っているらしいと理解し、自分はそんなにも多数の人間に憎まれているのだろうかと落ち込む。しかし勒曰く、この事件の親玉一人だけが桃を殺したいと願っているのだという。だが、その正体とは桃の友人である雉之里千影であった。千影は最近、自分の唯一の友人である桃が、自分から去って行くのではという不安を感じていた。結果、その悩みを魍魎という化け物に付け入られ、取り憑かれてしまったのである。勒はそんな千影を魍魎から解放し、魍魎を退治。一部始終を見ていた桃は、その日から勒に強い関心を抱くようになる。

第2巻

蓮見勒吉備野桃は、ある日街でいじめられっ子の少年、地村蔵之助と出会う。蔵之助は、10年ほど前「不屈地蔵」と呼ばれる地蔵から力を授けられた事により極端な石頭で、いじめっ子達は、そんな蔵之助をいじめて楽しんでいた。いじめに耐えるばかりで立ち向かわない蔵之助を見た勒は、つい蔵之助に厳しく接するが、これがきっかけで蔵之助は自分を変えたいと願うようになる。その直後、魍魎に取り憑かれたいじめっ子に襲われた蔵之助は、そうと知らずに初めていじめっ子に立ち向かう。一部始終を見ていた勒は助太刀に入るが、そこにいじめっ子に魍魎を憑かせた張本人の両国戌韋が現れる。戌韋とその仲間達は「裏仏(うらぼとけ)」と呼ばれる集団で、六呂留(ろくろる)町に魍魎をばらまく事で、街を混乱に陥れていたのである。そんな戌韋を勒と蔵之助はなんとか追い払ったものの、勒は大きなダメージを負ってしまう。その翌日、勒の師匠である吉備津仁が転岩寺にやって来る。裏仏が動き出した事を知った仁は、彼らの狙いは黒死如来の復活にあり、そのために仁の腕と桃の背中にある「五芒星の結界」を奪って無効化させようとしている事を知り、桃を守りに来たのである。それを聞き、もはや自分一人では桃を守れないと判断した勒は、仁、蔵之助、雉之里千影に協力を求める。

第3巻

蓮見勒達は「裏仏」達が、吉備野桃を狙って私立六呂留(ろくろる)学園高校に現れると考え、なにも知らない桃を守るべく、作戦を立てていた。そして決戦当日、桃がふつうに登校すると、生徒達は突如魍魎に取り憑かれ、桃に襲い掛かる。事態を想定していた雉之里千影はすぐに桃を連れて逃げ、地村蔵之助も助けに入るが、そこに突如転校生である子之塚丹和が現れる。桃と丹和はここ最近、千影も知らないうちに親しくなっていたらしく、千影と蔵之助は桃と丹和を屋上へ避難させたのちに囮として動き、蔵之助は両国戌韋と戦う事にする。しかし丹和の正体は「裏仏」の一人で、蓮見頼廉の孫であった。勒に強い恨みを持つ丹和は、勒と親しいだけでなく「五芒星の結界」も持っている桃に近づき、桃を殺そうと考えていたのである。そこにようやく勒が到着するが、丹和は勒の目の前で桃を殺害。勒の事も殺そうとする。しかし勒は、そんな丹和に、一見絶縁状態にあった頼廉が本当はずっと丹和を待っていた事を伝える。これによって丹和は戦意喪失したかに見えたが、その瞬間、丹和に取り憑いていた黒死如来が、丹和の意識を乗っ取ってしまう。こうして、勒と黒死如来との最後の戦いが始まる。

登場人物・キャラクター

蓮見 勒 (はすみ ろく)

六呂留(ろくろる)町にある廃寺、転岩寺(てんがんじ)の坊主の少年。前髪を眉上で切り、灰色の髪の毛全体をツンツンに立てた短髪。眉毛が太く長く、顔の内側に向かって渦を巻いている事から、周囲には「ヘンテコマユゲ」と呼ばれる事が多い。魍魎と戦う力を得るため、両腕をなくして腕なし如来から与えられた木製の腕を付け、ふだんは上から包帯を巻いて、義手である事を隠している。クールでぶっきらぼうな性格で、人とかかわる事を避けている。しかし実際は、人々を魍魎から救うために日々戦う心優しい性格をしている。幼い頃、両親と乗っていた車が交通事故に遭い、両親が死亡する。その後、養護施設に入れられるが、ある日施設が火災で全焼し、8歳の頃に蓮見頼廉の養子になる形で六呂留町へやって来た。しかし、その頃には蓮見勒にかかわった者は、みんな不幸になると根も葉もない噂を立てられて「死神」と呼ばれており、新しい学校でも孤立していた。そんなある日、唯一親切にしてくれた同級生のたつおにまで裏切られ、深く傷ついた事で魍魎に取り憑かれてしまう。しかしその際、頼廉に助けられて、理不尽にも負けない心の強さがあれば、いつか必ず勒を理解してくれる人物が現れると教えられ、前向きになる。また、その時に頼廉の影響もあり、ロックンロールが好きになった。グレープ味の飲み物が好き。

吉備野 桃 (きびの もも)

私立六呂留(ろくろる)学園高校に通う2年生の女子。前髪を目の上で切り揃え、腰まで伸ばした黒のストレートロングヘアを、頭の高い位置で結んだポニーテールにしている。左手に雉之里千影とおそろいの数珠を付けており、髪型がちょんまげのように見え、胸が非常に大きく、制服が緑色な事から、蓮見勒には「チョンマゲメロン女」、腕なし如来からは「嬢ちゃん」と呼ばれている。実は吉備津仁と同じく、おとぎ話「桃太郎」のモデルとなった人物、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の子孫である。そのため背中の上部、肩甲骨のあいだには、その証であり、悪の仏像である黒死如来を封印するための「五芒星の結界」がある。しかし吉備野桃自身は、自分が彦命の子孫である事も、背中の文様がなにを意味するのかも知らない。明るく前向きな性格で、やや天然気味な一面もある。高校2年生のある夜、刃物を持った不審者に追いかけられていたところを、勒に助けられる。それがきっかけで、勒が魍魎と呼ばれる化け物と戦っている事を知り、関心を抱く。以来、半ば勒につきまとうような形で親しくなっていく。将来の夢は教師になる事。

雉之里 千影 (きじのさと ちかげ)

私立六呂留(ろくろる)学園高校に通う2年生の女子。吉備野桃の友人。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばしたロングヘアを、首の付け根の位置で結んだあと1本の三つ編みにしてまとめている。眼鏡をかけ、左手に桃とおそろいの数珠を付けている。まじめで落ち着いた性格ながら、桃以外には辛辣な態度を取る事もある。桃とは小学生の頃からの付き合い。小学生の頃、転校生として桃達の通う学校にやって来るが、「根暗メガネ」と呼ばれていじめられるようになってしまう。その際、桃に助けられた事がきっかけで親しくなった。その後は桃と親しい関係を築いていたが、次第に、もし桃に自分より親しい友人ができたら、自分はまた一人ぼっちになるのではと、怯えるようになってしまう。そのため、高校2年生のある日、その弱さを魍魎に付け入られ、取り憑かれて「オニ」と化してしまう。その後は、オニの桃さえ死ねば、雉之里千影は精神的に楽になれるはずだという言葉に従い、見知らぬ人間をあやつっては桃を襲わせていた。しかし、事態を察した蓮見勒によりオニは退治され、同時に取り憑かれていた頃の記憶も消滅。桃と元の友人関係に戻った。実はボーイズラブが好き。

地村 蔵之助 (ちむら くらのすけ)

私立六呂留(ろくろる)学園高校に通う2年生の男子。前髪を眉が見えるように切ったラウンド前髪の、亜麻色のマッシュルームの髪型をしている。体型は非常に小柄で、年齢よりも幼く見える。気が弱いが、心優しく辛抱強い性格。子供の頃からいじめに遭っており、辛い日々を送っていた。そんな10年ほど前のある日、道で落書きをされている「不屈地蔵」を発見し、落書きを拭き取りながら、いじめに遭っても、なお笑顔の不屈地蔵のようになりたいと願う。これがきっかけで不屈地蔵から力を授かり、その日以来、頭を強く殴られても平気なほどの石頭になった。そのため、名前の「地村蔵之助」に「地」と「蔵」が入っている事も相まって、いじめっ子達からは「地蔵」と呼ばれるようになった。高校2年生のある日、街でいじめられていたところを、偶然通りがかった蓮見勒と吉備野桃に助けられ、二人と知り合う。その際勒から、現状から抜け出したければ、たとえば月に手を伸ばすような、不可能に思える事にも挑戦してみるべきだと言われる。そしてこの言葉を受けて、初めていじめっ子と、彼をあやつっていた両国戌韋に立ち向かう。これを見ていた不屈地蔵により、頭部を地蔵に変化させ、身体から切り離して頭部だけで戦うという不思議な力を獲得する。

蓮見 頼廉 (はすみ らいれん)

転岩寺(てんがんじ)の元住職。蓮見勒の義理の父親で、子之塚丹和の祖父。髪型はスキンヘッドで、太眉で、口髭と顎髭を長く伸ばし、サングラスをかけている。明るく親しみやすい性格で、ロックンロールが大好き。17年ほど前、娘が妊娠するが、彼女がたった一人で産んで育てようとしている事を知り、猛反対する。その結果、娘は家を飛び出してしまい、孫である丹和の事はほとんど知らないまま、転岩寺で一人で生活していた。そしてそれから数年後、勒が8歳の頃に不幸に見舞われ続ける勒を不憫に思い、養子として迎え入れる事にする。その後二人暮らしを始めるが、ある日勒が周囲を憎むあまり魍魎に取り憑かれ、「オニ」と化している姿を目撃する。そこで勒を身体を張って救出し、魍魎を退治した。しかしその戦いで左目に大ケガをし、左目が見えなくなった。だが、それを勒には伝えず、その日以来ずっとサングラスをかける事で隠している。その後も勒とはなかよく暮らしていたが、3年前に今度は自身が魍魎に取り憑かれ、魍魎から勒を守るため、取り憑かれたまま自殺するという形で死亡した。ずっと丹和の事を待っており、いつか再会出来たら、孫として明るく迎えたいと願っていた。

腕なし如来 (うでなしにょらい)

廃寺の転岩寺(てんがんじ)に祀られている仏像。一見ふつうの木偶の仏像だが、両腕は蓮見勒に与えたためなくなっており、ちょび髭を生やし、サングラスをかけている。さらに人間と話す事ができ、関西弁で話す。吉備野桃からは「仏像のオジサン」、勒からは「オッサン」と呼ばれている。実は遠い昔は人間で、坊主として魍魎と戦っていた。しかし、戦い続けるうちに身体が木と化していき、最終的には完全に木の身体、つまり「木偶の坊主」となってしまった。その後如来像として転岩寺に祀られ、数百年にわたって眠り続けていたが、3年前のある日、自分の力を求めている勒の存在に気づき、目覚める。そして自分の両腕を切り落として勒の腕にする事で、勒に魍魎と戦う力を与えた。これによって両腕をなくし、六呂留(ろくろる)町の住民には、ある日突然両腕がなくなってしまった「腕なし如来」と呼ばれるようになった。現在では転岩寺で勒を見守り、時にアドバイスをしているが、腕を与えた以上、勒も自分と同じように全身が次第に木となり「木偶の坊主」と化す事を理解している。

吉備津 仁 (きびつ じん)

蓮見勒の師匠の若い男性。シルクハットをかぶって前髪を上げて額を全開にし、胸の上まで伸ばしたもじゃもじゃのロングヘアにしている。目が細く、いつも笑っているように見える。おとぎ話「桃太郎」のモデルとなった人物、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の子孫だが、その素性を隠すために「不動」姓を名乗っており、左腕には黒死如来を封印するための「五芒星の結界」を有している。飄々とした、つかみどころのない性格で、誰に対しても敬語で接する。女性が大好きで、よく周囲の女性に勝手に触れたり、いやらしい事を言ったりするなどのセクハラをしては怒られている。不動明王の加護を受けており、仏具「倶利伽羅之剣(くりからのつるぎ)」で戦い、この「倶利伽羅之剣」は、剣先に触れた物体の動きを、一定時間止める力がある。ある日「裏仏(うらぼとけ)」達が黒死如来の復活のため、六呂留(ろくろる)町へやって来た事を知る。そこで、自分と同じように、身体に「五芒星の結界」を有する吉備野桃を守るため転岩寺を訪れ、勒達に状況を説明した。榊恵巳とは、5年前まで非常に親しくしていたが、ある日突然恵巳が姿を消した事を不審に思っていた。そして、恵巳が「裏仏」の一員となった事を知り、彼女と戦う事になる。

榊 恵巳 (さかき えみ)

因達羅(いんだら)神である若い女性。魍魎を自在にあやつる力を持つ集団「裏仏(うらぼとけ)」の一人。前髪を長く伸ばして真ん中で分けた、腰まで伸ばした深緑色のロングヘア。セクシーな雰囲気を漂わせた、胸の大きな美女。左目の下に一本線の傷跡があり、左肩には太陽の形の入れ墨が入っている。もともとは明るい性格で、吉備津仁とも非常に親しく、仁に思いを寄せていた。しかし5年前、悪漢に襲われかけ、兄に助けられたが、兄が悪漢を殺害してしまう。その結果、兄は後悔の果てに自殺し、榊恵巳自身も犯罪者の家族として迫害されるようになり、世の中に強い恨みを持つようになる。そして仁のもとを去り、「裏仏」の一人となった。ある日、自分達の本尊である黒死如来 の封印を解くため、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の子孫達がその身体に隠した「五芒星の結界」を切り取り、奪おうと考える。そこで子孫の一人である吉備野桃が住む六呂留(ろくろる)町に現れ、魍魎をばらまいて住民達を混乱に陥れていた。花村良もこの被害者の一人で、良には一般女性のふりをして恋人になる事で近づいた。しかし、現在でも仁の事を思っている。

両国 戌韋 (りょうごく いぬい)

伐折羅(ばさら)神である若い男性。魍魎を自在にあやつる力を持つ集団「裏仏(うらぼとけ)」の一人。スキンヘッドの髪型で、頭頂部の左側に太陽の形の入れ墨が入っている。三白眼で鮫歯の、長身で筋肉質の体型をした強面。左耳と唇の下にはピアスをしている。自信家で好戦的な性格だが、なにをしても満たされず、退屈な世の中を強く憎んでいる。「金剛」という、身体の形状を自在に変化させ、さらに皮膚を鋼鉄化させる力を持つ。そのため、例えば腕を棍棒の形に変化させてから鋼鉄化させる事により、武器として扱う事ができる。しかし鋼鉄であるがゆえに、熱に弱い。ある日、自分達の本尊である黒死如来の封印を解くため、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の子孫達がその身体に隠した「五芒星の結界」を切り取り、奪おうと考える。そこで子孫の一人である吉備野桃が住んでおり、かつ「五芒星の結界」を持ったまま亡くなった人間が眠っている六呂留(ろくろる)町に現れ、魍魎をばらまいて住民達を混乱に陥れていた。

子之塚 丹和 (しのづか にちか)

毘羯羅(びから)神である高校2年生の男子。魍魎を自在にあやつる力を持つ集団「裏仏(うらぼとけ)」の一人。蓮見頼廉の孫でもある。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、顎の高さまで伸ばした外はねのボブヘア。下まつげが長く、左目尻にほくろが一つある。穏やかでおっとりとした雰囲気を漂わせたイケメン。「玄武」という、自分の分身を作り出す力を持っている。家は母子家庭で、母親は頼廉の反対を押し切り、たった一人で蓮見丹和を産んだ。そのため家は裕福ではなかったものの、母親とは非常に仲がよかった。しかし11年前、母親と車で出かけた際、蓮見勒の父親が運転する車と衝突事故を起こし、母親が死亡。その後、子之塚家の養子となるが、新しい家族からの厳しい教育に苦しみ、孤独な日々を過ごすようになる。そんなある日、自分の祖父であるはずの頼廉が勒と楽しそうに歩いている姿を偶然目撃し、自分から母親と頼廉を奪った勒を激しく憎むようになる。その憎しみの感情を黒死如来に気に入られ、「裏仏」の一人となった。その際、まだ自分の身体が復活していない黒死如来に取り憑かれるが、丹和自身はそれを知らない。ある日、黒死如来の封印を解くため、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の子孫達がその身体に隠した「五芒星の結界」を切り取り、奪おうと考える。そこで子孫の一人である吉備野桃が住んでおり、かつ「五芒星の結界」を持ったまま亡くなった人間が眠っている六呂留(ろくろる)町へ行き、私立六呂留(ろくろる)学園高校の転校生として、桃に近づいた。

黒死如来 (こくしにょらい)

「裏仏(うらぼとけ)」達の本尊で、魍魎を生み出す力を持つ如来像。遠い昔、吉備津彦命(きびつひこのみこと)の手によって切り刻まれ、封印された。その後は彦命の子孫達が、その一部を封印を維持するための「五芒星の結界」を刻んだうえで埋めて隠したり、子孫達自身が「五芒星の結界」を身体に有したりする事で、復活を阻止していた。たとえば、吉備野桃の背中と吉備津仁の左腕には、この「五芒星の結界」がある。黒死如来が復活するには「五芒星の結界」を持つ人間を殺す、あるいは結界を切り離す必要があり、仁であれば彼を殺すか、その左腕を切り落とす事で、黒死如来の左腕部分が復活する。黒死如来の意識は身体を失っても存在しており、現在は子之塚丹和に取り憑く事で生きている。

花村 くるみ (はなむら くるみ)

六呂留(ろくろる)総合病院に入院している幼い少女。花村良の妹。前髪を目の上で切り揃え、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアを、耳の下の位置で二つに結んだお下げにしている。明るく元気な性格で、生まれつき身体が弱く、入退院を繰り返している。良には少し甘やかされており、ブラザーコンプレックス気味なところがある。そのため良の恋人である榊恵巳の事は快く思っていない。

花村 良 (はなむら りょう)

社会人の若い男性。花村くるみの兄。前髪を目の上で切って真ん中で分けて額を見せた短髪。目が細く、いつも目を閉じているように見える。穏やかで心優しい性格。くるみとは仲がいいが、病弱なくるみの治療費のために身を粉にして働き、くるみのために自分を犠牲にする生活を辛く感じてもいた。ある日、その悩みを榊恵巳につけ入られ、彼女の放った魍魎に取り憑かれてしまう。しかし、以前から魍魎の気配を感じて六呂留(ろくろる)総合病院に張り込んでいた蓮見勒によりオニは退治され、同時に取り憑かれていた頃の記憶も消滅。くるみとは元のいい兄妹関係に戻った。

たつお

蓮見勒と小学校時代の同級生の男子。前髪を目の上で切った短髪。意地悪で計算高い性格をしている。ある日、「死神」と呼ばれて周囲から孤立している勒に親切にすれば、教師達からいい評価を得られるのではと考える。しかし、いざ話しかけた直後に階段から落ちて頭をケガし、勒が不吉な存在である事を確信する。そこで、この件を兄に伝えて、勒を痛めつけようとする。しかし、これがきっかけで勒が魍魎に取り憑かれてしまい、襲われかけた事で非常に恐ろしい思いをした。

その他キーワード

魍魎 (もうりょう)

人に取り憑き、「オニ」へと変えてしまう化け物。グロテスクな容姿で、上半身は魍魎によって異なるが、下半身は黒いヘビのような姿をしている。雉之里千影のような精神的に弱っている、あるいは悩みを抱えている人間に近づき、甘い言葉を囁く事で取り憑き、殺人や暴力行為をさせる。弱点は音楽。そのため、取り憑かれた人間に音楽を聞かせる事により魍魎を引きはがし、退治する事ができる。蓮見勒は、主に自分が好きなロックンロールを聞かせる事で退治している。

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