あらすじ
ある日の放課後、宮野由美は集団で暴行を受けている生徒を発見し、その場で通報しようとしていた。そこに偶然通りかかった上級生の佐々木秀鳴は、目の前にいる不良たちをあっという間に倒してしまう。かっこよく不良を倒していく佐々木にあこがれを抱き、宮野は佐々木と積極的にかかわりを持つようになる。しかしふだんの佐々木は、ケンカしていた時のクールさとはまったく違い、マイペースな性格の持ち主だった。宮野はそんな佐々木にすっかり気に入られ、二人は行動を共にすることが増えていく。そんな中、佐々木におすすめの漫画はないかと訪ねられた宮野は、さっそく自分の好きなボーイズラブの漫画を佐々木に手渡す。(第1話「佐々木と宮野。」)
ある冬の日の朝、ホットドリンクを飲んでいた際に佐々木が猫舌だと知った宮野は、「猫舌の人は舌が不器用と聞いたので、キスも下手かもしれない」と口にする。すると佐々木は宮野に対し、だったらここで試してみるかと挑発的な態度を見せる。宮野はまるで自分から誘ったかのような発言だったと後悔するものの、一方で佐々木は本当にキスするつもりがあったのか気になっていた。実は佐々木は、本当にキスしたかったが、宮野の気持ちは無視できないと感情を押し殺していたのだった。その日の放課後、宮野は佐々木の教室へと向かう。そこで佐々木と小笠原が、ボーイズラブの話をしている姿を目撃した宮野は、思わずそのまま立ち聞きする。ボーイズラブは理解できないという小笠原に対し、佐々木は一つの作品として面白いので偏見を持たない方がいいと諭していた。(第8話「先輩は。」)
宮野と佐々木が通う高校では、体育祭が行われていた。学校中がお祭り騒ぎの中、宮野と佐々木は偶然にも人けのない校舎の一角で顔を合わせる。そのまま二人で話し込んでいると、佐々木は宮野に思わず告白してしまう。宮野も佐々木に惹かれていることを認め、考えさせてほしいとその場をあとにしようとする。そんな宮野に対して佐々木は「宮野の顔が好き」とつい口にしてしまい、彼に対する好意を的確に伝えられない難しさに頭を抱える。(第13話「いっこずつ。」、第14話「好き。」)
ある日の帰り道、宮野は駅の改札付近で槇村菜緒と再会する。中学生時代に槇村に片思いをしていた宮野だったが、今は緊張せずに話ができている自分に驚く。一方、宮野から思いを寄せられていることを知らない槇村は、久しぶりに宮野に会えたことを喜び、絵のモデルになってくれないかと頼んだり、積極的にスキンシップを取ったりと、親しみを込めて振る舞う。そんな宮野と槇村の様子を偶然目撃した佐々木は、嫉妬心から二人のあいだに割って入る。(第20話「嫉妬。」)
宮野が通う高校では、文化祭の準備を始めていた。宮野はミスコンテストに、女装して出場することになる。以前から宮野が女顔であることをコンプレックスに感じていることを知っていた佐々木は、彼が嫌な思いをしているのではないかと心配する。一方の宮野は、佐々木に心惹かれていることを自覚し、彼にどう接していけばいいのかわからなくなっていた。また、宮野は自分を大切にしてくれているにもかかわらず、佐々木からの告白の返事を先送りにしていることに焦りを覚えていた。お互いの気持ちのすれ違いから、二人はギクシャクとした関係になってしまう。そんな中、宮野は勇気を出して文化祭当日は、いっしょにランチをしないかと佐々木を誘う。こうして文化祭が始まり、宮野は占い師に扮した半澤雅人から現在の悩みを言い当てられ、大いに戸惑う。(第24話「憧れと次。」、第25話「熱と期待。」、第26話「最後の文化祭。」)
宮野は佐々木に恋心を抱いていることを自覚し、自分も好きだと伝えたい衝動に駆られる。しかし、宮野はこれまで告白の返事を散々待たせてきたこともあり、今さら佐々木に自分の気持ちをどう伝えればいいのかわからなくなっていた。そんな中、クリスマスが近づき、宮野は佐々木をクリスマスデートに誘いたいと意気込んでいた。一方の佐々木は受験のため、冬休みは冬期講習に通うことになっていた。宮野は将来に向けて努力を重ねている佐々木と比較し、自分ばかりが浮かれていることを恥ずかしく思うのだった。(第28話「一年の差。」)
佐々木が第一志望にしていた大学試験も終わり、宮野は久しぶりに二人で会えるのではないかと期待していた。しかし、佐々木は入学試験が終わった次の日、風邪を引いてしまう。それを知った宮野は、佐々木の家にお見舞いに行くことにする。(第34話「お見舞い。」)
佐々木が卒業し、宮野は高校3年生に進級する。そんなある日、宮野は暮沢丞の彼女からおすすめのボーイズラブ漫画を借りる。これまで人に貸すことはあっても、貸りることはなかった宮野は新鮮な体験だと興奮する。そして宮野は、まだ佐々木と出会ったばかりの頃、彼におすすめのボーイズラブ漫画を貸したことを思い出す。(第40話「初体験。」)
スピンオフ小説
本作『佐々木と宮野』のスピンオフ作品に、八条ことこの小説『平野と鍵浦』がある。本作に登場する平野大河と鍵浦昭の二人にスポットを当てた内容で、2018年10月にKADOKAWAから刊行されている。ほかにも、八条ことこの小説『佐々木と宮野 1年生』がある。こちらは宮野由美と佐々木秀鳴の学校生活をメインに描いた物語で、2020年3月にKADOKAWAから刊行されている。
メディア化
テレビアニメ
2022年1月から、本作『佐々木と宮野』のテレビアニメ版『佐々木と宮野』が、TOKYO MXほかで放送された。アニメーション制作はスタジオディーンが担当している。キャストは、宮野由美を斉藤壮馬、佐々木秀鳴を白井悠介が演じている。
ドラマCD
2018年1月15日発売の「月刊コミックジーン」の付録として、本作『佐々木と宮野』がドラマCD化された。その後、2019年6月26日にドラマCD第一弾『佐々木と宮野』、2020年12月23日には第二弾『佐々木と宮野 Vol.2』がフロンティアワークスから刊行された。脚本は岡嶋心が務めている。キャストは、宮野由美を斉藤壮馬、佐々木秀鳴を白井悠介が演じている。
朗読劇イベント
2021年9月12日に、本作『佐々木と宮野』の朗読劇が、ところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホールAで上演された。朗読劇ブランド「READPIA」が手掛け、キャストは、宮野由美を斉藤壮馬、佐々木秀鳴を白井悠介が演じている。
登場人物・キャラクター
宮野 由美 (みやの よしかず)
中性的な容姿の男子高校生。ボーイズラブをこよなく愛する「腐男子」だが、恋愛対象は女性で、中学時代は槇村菜緒に片思いをしていた。日常生活では、ボーイズラブ漫画で見たような展開を見掛けるとつい興奮してしまう癖を持つ。学校でトラブルに遭っていた際に佐々木秀鳴に助けてもらい、クールでかっこいい先輩だとあこがれを抱くようになる。しかし、深く付き合ううちに彼の本当の人柄を知る事となる。佐々木から思いを寄せられている事に感づいているが拒絶できず、これからどうかかわっていくべきか悩んでいる。佐々木からは「みゃーちゃん」と呼ばれている。
佐々木 秀鳴 (ささき しゅうめい)
不良の男子高校生。宮野由美の先輩にあたる。平野大河と同級生で仲がいい。身長182センチの長身に、クールな雰囲気を漂わせた美男子で、マイペースな性格の持ち主。外見と中身のギャップが激しいタイプ。学校内で宮野がトラブルに遭っている場面を目撃し、助けた事で宮野と親しくなった。最初は男友達として親睦を深めていたが、次第に宮野を恋愛対象として意識するようになっていく。宮野には自分の恋心を隠す事はないが、体に触れたりするのは我慢している。
暮沢 丞 (くれさわ たすく)
まじめな性格の男子高校生。眼鏡をかけている。宮野由美とは同学年でクラスメート。田代と仲がいい。一見インドア派に見えるが、運動神経が非常にいい。違う高校にボーイズラブをこよなく愛する「腐女子」の彼女がおり、宮野と佐々木秀鳴の写真を無断で彼女に転送している。彼女の事は腐女子のところを含めたすべてを愛している。
田代 (たしろ)
小柄な体形の男子高校生。宮野由美とは同学年でクラスメート。明るく元気な性格のムードメーカー的な存在で、言いたい事ははっきり口にするタイプ。宮野が女顔である事をたびたびいじっている。部活動は運動部に所属しており、暮沢丞と仲がいい。現在、彼女を募集中。
平野 大河 (ひらの たいが)
容姿端麗な男子高校生。8月1日生まれで、血液型はA型。宮野由美の先輩にあたる。かっこいいからという理由で、金髪にしている。佐々木秀鳴と同級生で仲がいい。宮野とは委員会がいっしょである事から親しくなった... 関連ページ:平野 大河
小笠原 (おがさわら)
容姿端麗な男子高校生。宮野由美の先輩にあたる。黒色の短髪で、一見高圧的な人物に見えるが、話してみると親しみやすい性格の持ち主。違う高校にボーイズラブをこよなく愛する「腐女子」の彼女がいるが、その趣味を理解できずにいる。
鍵浦 昭 (かぎうら あきら)
宮野由美と同学年の男子高校生。12月25日生まれで、血液型はAB型。学校の寮に入っており、先輩の平野大河とルームメイト。平野からは「鍵くん」と呼ばれている。最初は金髪の平野に対して恐怖心を抱いていたも... 関連ページ:鍵浦 昭
槇村 菜緒 (まきむら なお)
宮野由美が中学生時代に片思いをしていた同級生の女子。現在は、宮野とは別の高校に通っている。明るく元気な性格で、美術部に所属している。当時、宮野から好意を抱かれていた事にはまったく気づいていなかった。
半澤 雅人 (はんざわ まさと)
宮野由美の先輩にあたる男子高校生。佐々木秀鳴と同学年。宮野が佐々木と親しくなったことで、会話をするようになる。スポーツや占いなど、さまざまなことを器用にこなすミステリアスな人物。恋愛話が好きで、宮野がその手の話題を口にすると、どこからともなく現れる。女性からモテないわけではないものの、特定の彼女はいない。学校では卓球部の部長と寮長、風紀委員長を務めるなど多岐にわたって活動しており、宮野からは「委員長」と呼ばれている。同性愛者の兄からは「まーちゃん」と呼ばれてかわいがられている。
関連
平野と鍵浦 (ひらのとかぎうら)
春園ショウ『佐々木と宮野』のスピンオフ作品で、『佐々木と宮野』と同じ男子高校の学生寮を舞台にしている。金髪ながら風紀委員の2年生・平野大河と、バスケットボール部員で甘えん坊の1年生・鍵浦昭のボーイズラ... 関連ページ:平野と鍵浦
書誌情報
佐々木と宮野 10巻 KADOKAWA〈ジーンピクシブシリーズ〉
第1巻
(2016-09-26発行、 978-4040684710)
第2巻
(2017-05-27発行、 978-4040691619)
第3巻
(2018-01-27発行、 978-4040695297)
第4巻
(2018-10-26発行、 978-4040651866)
第5巻
(2019-06-27発行、 978-4040657790)
第6巻
(2020-03-26発行、 978-4040644868)
第7巻
(2020-11-27発行、 978-4040649733)
第8巻
(2021-12-27発行、 978-4046809582)
第9巻
(2022-07-27発行、 978-4046811417)
第10巻
(2023-12-27発行、 978-4046827593)