かみ合わないようでどこかかみ合う二人のトーキングラブコメディ
本作は、東司朗と相沢のぞみという二人の高校生男女が、登下校に使うへいわ台駅のベンチを舞台に繰り広げる日常会話に焦点を絞った、トーキングラブコメディである。司朗とのぞみの視点から見た、男と女に関する議論が、お互いの思い込みの激しさからすれ違ったり、逆にかみ合わないようでいてどこかでかみ合っていたりと、絶妙なやり取りが相まって「クスッ」とした笑いを誘う、コミカルな展開となっている。
物語の舞台は広がっていくが……
当初、物語は主に駅のベンチを舞台に展開されるが、二人とも同じ学校に通っていることもあり、次第に舞台は学校を含め、その周辺へと広がっていく。そのため、登場するキャラクターは実に多彩。しかも東司朗や相沢のぞみを筆頭に、登場人物はいずれも個性派ぞろい。そんな登場人物たちの恋愛模様も巻き込んで、司朗とのぞみの絶妙なやり取りは、さらに加速していくこととなる。なお舞台が広がるとはいえ、あくまで中心となるのは中庭のベンチや教室の座席、喫茶店などであり、基本的にトーキングコメディという体裁が変わることはない。
片思いから始まる二人の恋愛模様
相沢のぞみは、なかばストーカーレベルで東司朗に思いを寄せており、勢いに任せて彼に告白した。だが司朗は「男は自らの手で欲しいものを手に入れることで達成感を覚える」という理由で、女子からの告白自体を否定。さらに告白が唐突だったこともあり、司朗はのぞみの告白を何かの冗談だと思い込み、なかったことにしてしまう。一方ののぞみはそれでもめげることなく、一途に司朗を思い続ける。そうして交流を続けるうちに、司朗の方も少しずつ相沢に惹かれていく。だが、これまでまったく恋愛経験のなかった二人は、自分の感情が理解できずにおり、そんな交錯する思いが、二人の会話にさらに笑いを呼ぶ結果となっている。
登場人物・キャラクター
東 司朗 (あずま しろう)
平和台高校に通う男子。初登場時は2年4組、進級後は3年1組に在籍している。2年生時は相沢のぞみと別のクラスだったが、3年生になって彼女とクラスメートとなる。黒の短髪で眼鏡をかけており、まじめな学級委員然とした風貌のツンデレ男子。非常に理屈っぽい物言いで、四人の叔母の影響から女性には手厳しい。のぞみに告白されたことをきっかけに、下校途中の駅のベンチで会話する関係となる。読書家で、創作小説を書いている。血液型はA型で、星座はおうし座。
相沢 のぞみ (あいざわ のぞみ)
平和台高校に通う女子。初登場時は2年2組、進級後は3年1組に在籍している。2年生時は東司朗と別のクラスだったが、3年生になって彼とクラスメートになった。茶髪のロングヘアで左目の下に泣きボクロがある。校内では美人として知られているが、実は司朗のシャープペンや消しゴムをこっそりと盗んでいる、天然系ストーカー女子。クールな見た目から周囲に敬遠されがちだが、本来は感情豊かで心優しい性格の持ち主。片思いしている司朗に告白したことをきっかけに、下校途中の駅のベンチで会話する関係となる。血液型はO型で、星座はかに座。
書誌情報
僕と君の大切な話 7巻 講談社〈KC デザート〉
第1巻
(2016-03-11発行、 978-4063658569)
第2巻
(2017-03-13発行、 978-4063658996)
第3巻
(2017-11-13発行、 978-4065104200)
第4巻
(2018-07-13発行、 978-4065122297)
第5巻
(2019-01-11発行、 978-4065142363)
第6巻
(2019-08-09発行、 978-4065167151)
第7巻
(2020-03-13発行、 978-4065189696)