危険がウォーキング

危険がウォーキング

みそらが丘中学を舞台に、汗や涙が飛び散ると爆発を巻き起こす岡原佳枝と、その恋人でお笑い気質の牧野いくろうのカップルが、周囲に事件引き起こす、のーてんきなコメディ漫画。サブタイトルはどれも「危険が○○イング」というものになっている。星里もちるの商業誌デビュー作品。後日談の作品として『危険がルーピング』がある。

正式名称
危険がウォーキング
ふりがな
きけんがうぉーきんぐ
作者
ジャンル
ラブコメ
関連商品
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概要・あらすじ

みそらが丘中学に通う岡原佳枝牧野いくろうは恋人同士。明るくのーてんきでお似合いの二人だが、佳枝は汗がニトログリセリンに近い成分という特異体質で、飛び散るとあたりが大爆発してしまう。さらには眼鏡を外すと赤面し、顔がカッと熱くなる体質の園部その子も転校してきて、警察も爆発にやきもきする有様。

だが、そんな境遇でも明るく元気な佳枝いくろうは楽しく日々を過ごしていく。

登場人物・キャラクター

岡原 佳枝 (おかはら かえ)

北海道から東京のみそらが丘中学に転校してきた。汗や涙がニトログリセリンに近い爆発物質だという特異体質の女子中学生。気温が30℃を越えたときに、汗や涙が地面などに落下するとショックで大爆発する。大きな建物が全壊することもざらだが、本人と爆発に巻き込みたくない人物は無傷のまま。 ただし、爆発性の体液が流れないよう我慢するとそれが自爆のようになり、佳枝の新陳代謝機能が停止してしまう。性格は明るくのーてんきで、恋人の牧野いくろうのことが大好き。たまに大喧嘩もするが、基本的に彼のことはいつも信じている。また、恋のライバルなはずの園部その子のことも、特異体質同士ということもあり、強い友情で結ばれている。

牧野 いくろう (まきの いくろう)

『危険がウォーキング』の主人公の一人。みそらが丘中学に通う男子中学生で、岡原佳枝に告白して恋人となった。かつてはテニス部で、人並み外れた体力と運動神経の持ち主。愛する佳枝が爆発を起こしたのを察知するとまたたく間に現場へ駆けつけ、すかさず彼女のフォローをする。駆けつける時間はわずか数分で、しかも毎回時間は縮まっている。 そのため、クラス公認で佳枝を守る役割をまかされていた。また、本職のお笑い芸人も認めるギャグ名人で、彼の芸をオーディションで見た人気芸人のバロン鴬谷は、真剣にいくろうのことをプロとして育てたいと思っていた。そんないくろうも姉の牧野冴子にはてんで頭が上がらず、着ぐるみギャグ勝負でも完敗していた。

園部 その子 (そのべ そのこ)

岡原佳枝や牧野いくろうのいるみそらが丘中学2年F組転校してきた。普段はメガネをかけているが、実は伊達メガネ。本当は対人恐怖症で、しかも人目を感じると赤面した顔からの高熱で気温を急上昇させてしまう(作中では赤面症または赤面高熱症と呼ばれている)。そんな自分の体質を優しく受け止めてくれたいくろうに恋心を抱き、佳枝のことはライバル視していた。 ときには佳枝に興味を抱く神坂公平と手を組んだこともあったが、二人の仲につけいる隙が無いと知ると、その想いは恋心から友情へと変わっていった。メガネをかけているときは「おぬし~」などと時代がかった堅苦しい口調だが、素顔だと普通の女の子らしいしゃべり方になる。 趣味はストレス発散を兼ねたプロレス観戦で、シャッフル戸田選手のファン。

富山 (とやま)

住吉署の刑事で、無精ひげと四角いメガネね太い眉毛がトレードマーク。岡原佳枝による学校爆破の件で彼女を取り調べて以来、佳枝のことをマークしている。しばしば佳枝による爆発に巻き込まれるが、彼女の特異体質のことはよく理解しており、ときにはバスジャックや学校への立てこもりなどの事件解決にその爆破体質を利用することもある。 佳枝のことはフルネームで、牧野いくろうのことは「牧野少年」、園部その子のことは「とびこみ少女」と呼んでいる。また、佳枝の爆発がいくろうを巻き込まないことについては「青春のなせるわざ」と称していた。

竜角 (たつずみ)

住吉署の若手刑事で、先輩の富山とコンビを組んでいる。岡原佳枝による学校爆破の件で彼女を取り調べて以来、富山とともに佳枝の動きをマークする一方、爆発が起きても大事にならないように何かとフォローしている。神坂公平そっくりで指名手配中の詐欺師が九州に現われたときは佳枝の保護と事件捜査を兼ねて、富山といっしょに修学旅行にも同行していた。

氷室 麻衣子 (ひむろ まいこ)

みそらが丘中学の教師で、当初は岡原佳枝や牧野いくろうの担任である渡辺先生の産休として赴任してきた。専門は理科で性格は厳しく、いくろうたちの歓迎も「教室は宴会場ではありませんよ!」と一喝した。そのため、生徒たちから「マイヤ」というあだ名をつけられた(語源は『アルプスの少女 ハイジ』に出てくるロッテンマイヤー女史)。 渡辺先生の復帰にともなって学校を去る際には、佳枝に北海道の全寮制中学に転校することを勧めたが、それは佳枝の強い意思でなしになった。やがて佳枝たちが3年に進級するとみそらが丘中学へ正式に赴任し、3年C組の担任となる。そのときに結婚も発表している。 夫は茨城で大学教授をしているため、子供たちを含めて別居中。結婚式も挙げていなかったが、いくろうや佳枝たちの計らいで文化祭の劇の最中に式をすることができた。氷室姓のころはロングヘアに大きめのメガネというルックスだったが、結婚後はコンタクトレンズに変えて髪型もショートカットになっていた。

バロン 鴬谷 (ばろん うぐいすだに)

「五反田企画」という芸能事務所に所属する大物コメディアンで、事務所の後輩に神坂公平がいる。かつては事務所の代表であるクルマ神楽坂と「コントバンクルわせ」というコンビで一世を風靡していた。牧野いくろう並びにその姉の牧野冴子のお笑いセンスを高く買っており、冴子に至ってはテレビバラエティ番組「笑っていろもの」のアシスタントにも起用した。 一方、顔だけ良くてお笑いセンスのない神坂公平については、売れっ子だけど芸は認めておらず、このままだといずれ芸能界から姿を消すのではと危惧していた。冴子をテレビデビューさせて公平と組ませたのも、彼の尻を叩いて成長させようというバロンの意思が込められていた。

神坂 公平 (かみさか こうへい)

「五反田企画」という所属する若手芸人。「キャプテン公平」というコメディタッチのヒーロー番組で主役もやっている。持ちギャグは「ざまーミロのヴィーナス」という一発ネタだけで笑いの才能はないが、ルックスの良さで人気タレントとして君臨している。実は筋肉を酷使すると髪の毛が伸びるという特異体質の持ち主。 ロングヘアの髪型を維持するため、あえてスキンヘッドにしてカツラを被っているが、これは秘密である。オーディションでお笑いの才能を発揮した牧野いくろうに嫉妬した公平は、その彼女である岡原佳枝の心を奪おうとし、いくろうが好きな園部その子と手を組んだりもしたが、やがてその子の素顔を知ってからは心が佳枝からその子へと移っていった。 のちに牧野冴子が自分と同じ芸風で「キャプテン公平」のレギュラーになってからは、このままではいけないと思い、タップダンスやパントマイムなどの芸事を身につけようともしている。九州出身で、地元に帰るとしゃべりが九州訛りになってしまう。

牧野 冴子 (まきの さえこ)

牧野いくろうの姉である住吉大学の家政科に通う女子大生。素顔は美人だがギャグセンスはいくろう以上で、「動物だじゃれ一本勝負仮装デスマッチ」という姉弟着ぐるみギャグ対決では「ネコガネコンダ アナコンダ」というネタで圧勝している。「オールナイトムチ」というバラエティ番組でおはぎによる「ハニワ」というギャグを見せたのをバロン鶯谷に気に入られ、「笑っていろもの」という人気番組にアシスタントに抜擢。 さらにはヒーロー番組「キャプテン公平」にも「サボテンゴンベー」という敵役で登場して人気を博した。これには「美形がバカなことをやる」という、主役の神坂公平のスタイルをあえて被せることで、天狗になっていた公平に危機意識を抱かせるという意図もあった。 ちなみに冴子本人はお笑いで身を立てるつもりはなく、短い時間で大暴れするだけすると語っていた。

牧野 静夫 (まきの しずお)

牧野いくろうの父親で、動物の着ぐるみ造形を専門とするMAC工房を経営している。ちなみに妻は着ぐるみのデザイナーで、一度アイデアがひらめくと自室からなかなか出てこない。作中ではいくろうたちの卒業式を含めて、いつもカンガルーのキャラクター「ガルルちゃん」の着ぐるみを着ているが、これは着心地のチェックをしているためである。 着ぐるみの品質はとても高く、ギミックも豊富に仕込まれている。人気番組「オッペケペ音楽館」の「カンガルーはおこっています」という曲のVTRでは、口から火を噴くくらいの活躍を見せていた。ちなみに後日談の『危険がルーピング』では、父親になったいくろうがガルルちゃんの着ぐるみを着ていた。

岡原 桂樹 (おかはら けいじゅ)

岡原佳枝の父親で、建築会社保谷建設住吉支社の専務。娘が汗や涙で周囲を爆破してしまった際には、すぐさま部下を率いて修理してくれる。牧野いくろうとの交際は認めており、佳枝が爆発するといくろうがどれくらいの時間で駆けつけるかをストップウォッチで計測するといった、娘に負けないのーてんきな一面もある。 実は佳枝の特異体質は遺伝によるもので、桂樹の汗や涙もニトログリセリンのような成分でできている。これらは歳を取ると力が弱くなり、慣れると花火のように芸としてコントロールすることもできる。ちなみに、建築会社に勤めるようになったのは、娘の爆発をフォローをすめためではなく、あくまで大工になりたいという夢を叶えるためであった。

田中 和範 (たなか かずのり)

みそらが丘中学に通う、岡原佳枝や牧野いくろうのクラスメイト。転校したきたばかりの園部その子のメガネをいたずら心で取ってしまい、彼女の赤面高熱症をクラスに晒してしまう。その後、しばらくは特に大きな活躍をせずじまいだったが、ひったくりに遭った素顔のその子が周囲に注目され、赤面高熱症でうずくまった際に彼女を救出。 かつてメガネを取ったことを詫び、彼女に愛を告白した。実は転校してきた当初からその子のことが好きだったのである。ちなみに高校はその子と同じ谷戸高校を志望していたが、補欠合格の14番目という微妙な結果に終わっている。

集団・組織

みそらが丘中学 (みそらがおかちゅうがく)

岡原佳枝や牧野いくろうたちが通う中学校。プールは屋外にある。制服は男子が詰め襟で女子はセーラー服修学旅行先は九州だった。主に佳枝の放つ汗で何度となく爆発に巻き込まれたが、その都度に保谷建設の手によって修復されている。卒業式では、父親の真似をして手に汗をした状態で手を叩いた佳枝によって体育館が半壊したが、元々ガタが来ていたこともあり、修復ではなく本格的な建て替えも見当されていた。

保谷建設 (やすたにけんせつ)

『危険がウォーキング』に出てくる建築会社。岡原佳枝の父親である岡原桂樹は住吉支社に勤めている。全国に支社があり、いずれも佳枝が爆発事故を起こすと建物の修復に取りかかる。修学旅行で佳枝が大浴場で爆発したときも九州支社が駆けつけていた。

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