君に捧げる男前

本作は、人懐っこい犬系イケメン、光と、彼から告白された男前な先輩、藍の恋愛模様を描く青春ラブコメディ。正反対の二人が織りなすぎこちない関係や、高校生活のさまざまな出来事を通じて展開されるコミカルな会話劇を、ショートコメディ形式でテンポよく描いている。

高校2年生の藍は、学校の廊下で初めて出会った後輩の光から突然告白される。その日を境に、光は一途に藍を慕い、何度断られてもめげずに子犬のようにアプローチを続ける。一方、藍は戸惑いを隠しながらもクールに振る舞い、時には大胆な言葉で応じる。そんな二人の、どこか噛み合わない日常が描かれる。光が優しさを見せたりアプローチを仕掛けたりするたびに、藍がクールかつ大胆な返答を返し、それに光が胸をときめかせるという展開が、本作の定番の流れとなっている。

平穏な高校生活を望む藍にとって、ひたむきに愛情をぶつけてくる後輩の光は、厄介ながらも目が離せない存在となる。当初は子犬をあしらうように光のアプローチをかわしていた藍だが、彼の純粋さや時おり見せる優しさに触れるうちに、次第に惹かれていく。告白の返事を保留にしたまま迎えた夏、藍は光に誘われて二人で夏祭りへ出かけたことで、二人は距離を急接近させるが、中学時代から光を思い続ける強気なライバル、透子が登場し、その関係を揺るがすようになる。明るく振る舞いながらもある秘密を抱える光の過去と、恋に戸惑いながらも変化していく藍の心情を丁寧に描いている。対照的な二人が織りなす不器用な恋の行方と、にぎやかで愛おしい高校生活の結末が見どころとなっている。