地球滅亡がせまる終末ボーイズラブ
本作の舞台は現代の日本だが、隕石の落下によって地球の滅亡が迫り、人類に残された時間はわずか10日間という設定となっている。大学時代に付き合っていた仁科真澄と日下部律は、地球滅亡のニュースを知ったあとに再会を果たす。終末の世界を共に過ごす中で、二人は心と体の距離を徐々に縮めていく。心の傷を抱えた二人の過去を回想シーンで振り返りながら、不器用な若者同士のボーイズラブストーリーがヒューマンドラマとともに展開される。
勝ち組イケメン社長×負け組サラリーマン
巨大隕石が地球に落下するという衝撃的なニュースが報じられ、人々の地位や富がすべて無意味になった世界。生きがいを見失い、暗い日々を憂鬱に過ごしていた真澄は、残された時間を心穏やかに過ごすために母校の図書館を訪れる。そこで偶然再会したのは、かつて付き合っていた元恋人で、IT企業のイケメン社長として成功を収めている律だった。大学時代、同じサークルを通じて付き合い始めたものの、律の浮気によって深く傷ついた真澄にとって、律は二度と会いたくない相手でもあった。真澄は、律との甘い日々に魅了されていた一方で、彼との別れによって受けた深い傷を思い返していた。
元恋人からの予想外の提案
律から地球滅亡までの時間を共に過ごすことを提案された真澄は、律に再び翻弄されることを恐れ、その申し出を拒否する。しかし、立ち去ろうとした真澄を律が引き止め、衝撃的な頼みを口にする。それは、飲むだけで安楽死できる薬と引き換えに、死体の処理を手伝ってほしいというものだった。まだ地球滅亡のニュースが報じられていない頃、律は怪しい男からその薬を購入し、闇サイトで知り合った自殺志願者に試したところ、実際に眠るように死んでしまったと語る。滅亡まで残り数日となった頃、真澄は死体処理を手伝うために律の自宅に向かうが、部屋に入ると二人にとって予想外の出来事が待ち受けていた。
登場人物・キャラクター
仁科 真澄 (にしな ますみ)
ブラック企業で働くサラリーマン。大学時代にはサブカルチャー系の出版サークルに所属していた。自分がゲイであることを昔から自覚しており、同じサークルのメンバーである日下部律と恋人関係にあった。しかし、性に奔放な律に裏切られ、捨てられてしまう。そのショックで精神的に不安定になり、単位不足で留年した結果、負け組のサラリーマン生活を送ることになった。それ以来、何をしても楽しさや生きがいを感じられない日々が続いていたが、ある日、巨大隕石が地球に接近。衝突まであと8日という緊迫した状況の中で、大学の図書館で律と再会することになる。
日下部 律 (くさかべ りつ)
IT企業の社長を務める男性。大学時代にはサブカルチャー系の出版サークルに所属し、仁科真澄と付き合っていた。爽やかなルックスと優れた知性を兼ね備え、周囲からの信頼も厚い。バイセクシャルであり、男女両方から人気を集めている。性や恋愛に対して奔放な一面があり、そのために別れた真澄を含む多くの人々を傷つけてきた。このことから、当時はさまざまなサークルやコミュニティの人間関係を崩壊させる「サークルクラッシャー」としても知られていた。メディアに引っ張りだこの日々を送る中、巨大隕石が地球に接近。衝突まであと8日という緊迫した状況の中で、大学の図書館で真澄と再会することになる。
書誌情報
僕らのミクロな終末 2巻 祥伝社〈on BLUE COMICS〉
第1巻
(2022-02-25発行、 978-4396785369)
第2巻
(2022-02-25発行、 978-4396785376)