僕らは恋がヘタすぎる

僕らは恋がヘタすぎる

彼氏の浮気により、失恋した藤原花は、親友の片山みずきと傷心旅行に訪れた先で成田洋介と一之瀬歩に出会う。花は口の悪い洋介に苦手意識を持っているが、自分に対して真っ直ぐな優しさを見せる彼に、だんだんと惹かれていく。そんな花を中心として恋に不器用な四人が織りなす、心揺れるラブストーリー。「恋するソワレ」で2019年5月から配信の作品。

正式名称
僕らは恋がヘタすぎる
ふりがな
ぼくらはこいがへたすぎる
作者
ジャンル
恋愛
 
友情
レーベル
プティルコミックス(ハーパーコリンズ・ジャパン)
巻数
既刊7巻
関連商品
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あらすじ

出会い

ある日、藤原花は付き合っていた彼氏から、別れて欲しいと土下座される。昨日までずっと自分を大好きだと言っていた彼は、2年にわたって別の女性とも重複して交際を続けていたことが明らかになり、挙句の果てには相手を妊娠させてしまったことを理由に、花は別れを告げられる。自分の気持ちを相手に伝えることが苦手は花は、これまで数々のダメ男に翻弄されてきた経験があった。親友の片山みずきは、落ち込む花を元気づけようと傷心旅行に行くことを提案。しかし、二人で温泉にやって来た花は、宿泊先でスマートフォンを失くし、踏んだり蹴ったりの状況に落胆する。そこに同じ宿に泊まっていた成田洋介が姿を現し、困っている花を見て失くしたスマートフォンを探す手伝いを買って出る。その後、洋介といっしょに来ていた一之瀬歩とみずきも手伝ってくれたことで、スマートフォンは無事に花の手元に戻る。花は、遠慮ない物言いの洋介に苦手意識を持つが、みずきが強引に飲みに行くことを決めてしまい、その夜は四人で過ごすことになる。だが、そこでみずきが花の元彼の浮気話について、洋介と歩に切々と語ったことがきっかけで、花は洋介にさらなる苦手意識を抱くこととなる。花の心に寄り添おうとする歩に対し、洋介は「そんな奴」と元彼をバッサリ切り捨てたのだ。それでも元彼をかばおうとして、自分にも悪いところがあったと言いかけた花を、洋介は容赦なく言い負かす。ふだんは反論などすることはない花もこれには怒りを覚え、どうして今日会ったばかりの人にそこまで言われなければいけないのかと、彼の口の悪さを指摘してキレてしまう。

片山みずきの策略

藤原花は、苦手なタイプの成田洋介からストレートなアプローチを受け、強引ながらも、優しく自分を気にかけてくれる彼にだんだんと惹かれ始める。しかし、親友の片山みずきが洋介に思いを寄せていることを知っていた花は、自分の気持ちに蓋をして、みずきを応援しようと考えていた。だが、走り出した恋心はすでに止められず、花は洋介からの誠実で真っ直ぐな思いを拒めなくなっていた。考えた末に、好きだと言ってくれた洋介には返事を待ってもらい、花はみずきに対して噓はつきたくないと、自分の洋介への思いをみずきに打ち明けることを決める。花は一大決心で話したものの、みずきは、いつも自分が引き立て役ばかりで、自分勝手にしか思えない花の振る舞いに憤りを感じ、仕返しを思いつく。洋介は自分とエッチしているが、それでもいいのかと笑顔で噓をついたみずきは、それを証明してみせると、洋介を呼び出して言葉巧みに誘導してキスをしているように見せ、一之瀬歩を巻き込んで花を騙(だま)す。この策略に花は騙され、洋介が元彼と同じように自分とみずきに二股をかけていたのだと思い込み、二人は互いに誤解したままケンカ別れをしてしまう。みずきは、これをチャンスとばかりに洋介を自分のものにしようと強引にせまるが、みずきにはこれまで経験してきた数々の男性遍歴と、花にまつわる悲しい事情があった。

成田洋介の思い

藤原花片山みずきの確執は、花の友達を大切に思う気持ちと、みずきの心に向き合おうとする姿勢によって解決するに至り、親友関係を取り戻すことができた。自分がみずきを傷つけていたことを知った花と、花の厚い友情を知ったみずきのと絆は、より一層深いものとなる。そんな中、花は最近の成田洋介の言動に違和感を感じていた。それまでは、言葉を選ばず遠慮なしに論破してきたはずの彼が、最近は花に対してだけ無理に意見を合わせ、イエスマンになろうとしているように見えたのである。それについて直接洋介に話を聞くと、洋介は最近偶然に会ったという元彼女のサエから、何を言ってもバッサリ切り捨て、相手を傷つけることをやめないかぎり、また彼女に逃げられてしまうと警告を受けたことを明かす。サエの言葉に翻弄される洋介の様子にあきれ、すっかり気落ちした花を心配したみずきは何かあったのかと尋ねる。洋介との二人の関係の悩みを、さすがにみずきには相談できないと口ごもる花だったが、みずきはそんな花の気持ちを察し、早くラブラブなところを見せて欲しいと元気づける。

メディアミックス

TVドラマ

2020年10月25日から、本作『僕らは恋がヘタすぎる』のTVドラマ版『僕らは恋がヘタすぎる』が、朝日放送テレビ、テレビ神奈川ほかで放送された。キャストは藤原花を川島海荷、成田洋介を白洲迅、片山みずきを浅川梨奈、一之瀬歩を塩野瑛久が演じている。

登場人物・キャラクター

藤原 花 (ふじわら はな)

ふわふわとしたかわいらしい印象の女性。年齢は25歳で、血液型はO型。控えめな性格なこともあって、守ってあげたいと思わせるタイプで、男性からは非常にモテる。自分の気持ちを人に伝えることが苦手で、嫌われたくないがためにみんなに同調し、いい顔をしてしまったことで、小学生の時にはクラスでトラブルになったこともあった。しかし、当時同じクラスだった片山みずきが、自分を擁護してくれたことで一瞬で問題を解決する。その時から、花にとってみずきはヒーローであり、彼女にだけは本音が言い合える関係の、かけがえのない大親友となった。そんなある日、付き合っていた彼氏が、2年にわたって別の女性と重複して交際していたことが判明する。そのうえ相手を妊娠させたことが明らかになり、破局。その後、みずきと傷心旅行に出かけた際、スマートフォンを失くしたことがきっかけで成田洋介と一之瀬歩に出会う。当初は、なんでも正論で論破しようとし、はっきりと物言う口の悪い洋介に苦手意識を持っていたが、自分を気にかけてくれる彼に、だんだんと心惹かれていく。もともとは、みずきが洋介を本命として狙っていたことを知っていたため、自分の気持ちに蓋をして、みずきを応援しようとするが、次第に自分の気持ちをごまかしきれなくなり、洋介のストレートな感情表現を前に自らの気持ちに噓がつけなくなっていく。その後、洋介から気持ちを打ち明けられ交際をせまられるが、あくまでも誠実でありたいという思いから、自分の本当の気持ちをみずきに打ち明けてから正々堂々と付き合いたいと、行動を起こす。それが原因で、みずきからは逆に裏切られることになるが、のちにすべてが明らかになった際には、みずきに対して腹を立てるが、友達として彼女を心配する優しさも見せた。

片山 みずき (かたやま みずき)

看護師を務める女性。ショートカットの髪型をしている。年齢は25歳で、血液型はB型。ヤンチャな明るい性格ながら、裏表がある。親友の藤原花とは小学校時代からの付き合いで、自分の気持ちを相手に伝えることが苦手な花に代わって、いつも彼女を守り、支えてきた。しかし、いつからか周囲の男性が花ばかりを注目することに傷つき、愛される花を妬ましく思いつつも、自分を見て欲しいという一心で花を守る行動を取るように変わっていく。いつも好きになる相手からは愛されず、寂しさを募らせた結果、男性に対してすぐに体の関係に持ち込むことでつなぎ止めようとするようになった。花と旅行中、成田洋介と一之瀬歩に出会い、意気投合。洋介にアプローチしながら、洋介とのあいだを取り持ってもらいたい一心で歩と関係を持った。その後、花から洋介に対する思いを打ち明けられることになり、花に抱いていた疑念が確信へと変わる。その場は笑顔で同意したものの、洋介は私とエッチしたけどいいのかと咄嗟に噓をつき、花を傷つけることで、以前から抱いていた花に対する嫌悪感を爆発させる。なんとか花に洋介のことをあきらめさせようと、さらに歩を巻き込むことで、洋介には花が歩とできているかのように、花には洋介と自分ができているかのように見せかけ、二人を騙した。のちに、歩の勘繰りによってすべてが片山みずきの仕組んだことだと明らかになり、花との関係にも亀裂が生じかけるが、花からの優しい言葉で関係を修復されることができた。これが自分の行いについて考え直すきっかけとなり、改心したのち、歩に惹かれている自分に気づき始める。

成田 洋介 (なりた ようすけ)

一之瀬歩と行った旅行先の宿で、藤原花に遭遇した男性。年齢は27歳。スマートフォンを失くして困っていた花といっしょに、スマートフォンを探したことがきっかけで花と親しくなった。その時いっしょだった花の友人の片山みずきから好意を持たれるが、四人でいっしょにお酒を飲んだ時から、すでに気持ちは花に向いていた。後日、体調不良の花を介抱した際、花に対する思いを打ち明け、それからはストレートに感情をぶつけるようになる。もともと喫煙者だったが、花がタバコが嫌いだと知ると禁煙を試みるなど、彼女への思いを行動で示している。血液型はB型で、なにごとにも正論で論破するタイプ。非常にイケメンながら、はっきり物を言わないと気が済まないため、毒舌家に見られがちで誤解されやすい。これは相手を思えばこそ親身になって一歩踏み込んだ厳しい発言をしているだけだが、なかなか相手には理解されにくい。その一方で、女性に対してはつねに誠実で、付き合う彼女をとても大切にしている。花の素直なところや、庇護欲をかきたてられるところに魅力を感じており、何より自分の口の悪さを受け入れ、さらにそれを優しさと受け取ってくれたことに心惹かれている。以前付き合っていたサエは、交際中突然別れを切り出し、理由を聞いても怖いとだけ言い放ち、姿を消してしまう。2年ぶりにサエに偶然再会した際、別れた理由が正論で諭そうする性格にあったと聞かされる。本当は悩みに共感してくれ、抱きしめて欲しかったと語った彼女から、何を言ってもバッサリ切り捨てることをやめないと、また彼女に逃げられると警告を受けたことで、花に対する言動を正そうと考え始める。しかしそれが花に対してのみ極端なイエスマンになるという、不自然な形になってしまう。学生時代からの付き合いである歩は一番の親友で、複雑な家庭環境が理由で歩が突然姿を消した際には、1年かけて執念で歩の居場所を突き止め、歩を追って自分も上京した。

一之瀬 歩 (いちのせ あゆむ)

フリーランスの男性。軽いノリのイケメンで眼鏡をかけている。年齢は27歳。血液型はAB型で、つかみどころのない性格をしている。口が悪く、愛想のない親友の成田洋介の一番の理解者。洋介と行った旅行先の宿で、藤原花と片山みずきと知り合って意気投合し、みずきとは体の関係を持った。みずきからは、洋介との仲を取り持って欲しいと懇願され、自分をないがしろにされた思いを抱きつつも、その要求に応じることにした。しかし、花の洋介への恋心を知ったみずきが、二人を陥れようと自分を策略に巻き込んだことに気づき、みずきを呼び出して事の真相を確かめようとする。もともとある程度みずきの行動を読んでいたため、そこに花を呼んでみずきにすべてを認めさせようとした。それがきっかけで大喧嘩を始めたみずきと花を見守り、いったん制止したのち、取り乱して泣きじゃくるみずきをなぐさめた。今まで感じていた寂しさを語るみずきの話を聞くうちに、これまで他人に語ることのなかった一之瀬歩自身の生い立ちについて、みずきには話したいと感じ、彼女に対して特別な感情を抱いていることに気づく。幼い頃に母親が再婚し、新しく父親になった男性は自分に何の興味も持っていなかった。さらに弟が生まれてからは、自分以外の三人で家族関係を築こうとしていることを察して、自分の居場所がなくなってしまう。その後、大学進学でようやく実家から出ることができると思った矢先、弟が私立の高校に進学したいと言ったことで、父親が大学の学費を出すことに難色を示し始めた。そのため、進学をあきらめて家族と縁を切り家を出た。誰にも何も言わずに地元を離れ上京したが、1年後、洋介だけが自分を探して訪ねて来てくれたことで、洋介を一番の友達として大切にしている。

サエ

成田洋介の元彼女。別れを切り出した際、「洋介が怖い」とだけ言い残し、彼の前から姿を消した。それ以来、音信不通になっていたが、2年ぶりにコンビニエンスストアで偶然洋介と再会。その際、何も言わずにいなくなったことについて謝罪し、別れた理由を説明した。当時、職場の人間関係で悩んでいたが、相談しても洋介が正論で諭そうとしたことに対し、本当は共感して抱きしめて欲しかったと語った。何を言ってもバッサリ切り捨てるような態度を改めないかぎり、また彼女に逃げられると洋介に警告した。この言葉を聞いてから、その後しばらく洋介は藤原花に対してだけ無理して意見を合わせるイエスマンになってしまい、花と洋介の関係がこじれるきっかけとなった。

書誌情報

僕らは恋がヘタすぎる 7巻 ハーパーコリンズ・ジャパン〈プティルコミックス〉

第7巻

(2022-06-15発行、 978-4596706782)

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