田邑拓郎の現在と過去の恋愛
本作『先生さようなら』は、女子高生の城嶋弥生と美術教師の田邑拓郎の恋愛模様を描いた作品。そして、スピンオフ『ハイライト』は、高校時代の田邑と担任教師の内藤由美子の恋愛を描いた作品である。テレビドラマ『先生さようなら』は、これら2作品を原作にしており、田邑の過去の恋と現在の恋が交錯する構成になっている。ドラマの公式HPの原作者コメントによれば、2作品は作者の八寿子が学生時代に日々感じていた学校の空気を思い出しながら描いた作品だという。また、内容のほとんどは創作だが、田邑拓郎と内藤由美子という名前は、当時世話になり、大好きだった先生たちの名前である。
スケッチブックに描かれた女性の謎
弥生にとって同世代の男子は子供っぽくてガサツで、恋とは程遠い存在。田邑は先生にしてはノリが若く、同年代の男子ほどうるさくない。弥生は田邑との時間に居心地の良さを感じていた。高校1年生も終わりを迎えたある日、美術部準備室の掃除を頼まれた弥生は、田邑のスケッチブックを見つける。そこには無数の同じ女の人のスケッチが描かれていた。それはきっと田邑の大切な人に違いない。スケッチブックの女性の存在をきっかけに、弥生は田邑に心惹かれていく自分に気づき始める。
教師と教え子、年齢差という壁
高校2年生になり、田邑は弥生のクラスの担任教師となる。弥生の思いはどんどん膨らんでいくが、ひょんなことから、弥生の想い人がクラスメイトの男子だという噂が広がる。弥生はその噂を否定し、なんの覚悟もないまま田邑に告白する。しかし、田邑には好きな人がいた。それはスケッチブックの女性だったが、彼女とはもう別れていた。弥生は田邑を諦めないことを決めた。好きになってもらうためには、先生に見合う女性にならなければならないと考え、背伸びをして無理をする。田邑はそんな弥生を理解しながらも、自分よりも相応しい相手がいると弥生を諭す。しかし、その本心は踏み込んでまた失くすのが怖いというものだった。年の差、教師と教え子という立場、田邑の過去といった壁が二人に立ちはだかる。
登場人物・キャラクター
田邑 拓郎 (たむら たくろう)
高校の美術教師の男性。27歳で美術部顧問。2年に進級した城嶋弥生のクラスの担任になる。イケメンでノリがよく、女子生徒の人気が高い。また、生徒一人ひとりのことをよく見ているいい先生。高校3年生のときに担任教師が好きになり、彼女を描いたスケッチブックを今でも持っている。教え子の城嶋弥生から好意を伝えられ、やがて自身も彼女に惹かれていく。生徒から親しみを込めて「タクローちゃん」と呼ばれることがある。
城嶋 弥生 (きじま やよい)
16歳の女子高生。美術部に所属。顧問の田邑拓郎のスケッチブックに描かれたきれいな女性のことが気になる。同年代の男子はうるさくてガサツだと感じており、今まで恋をしたことがなかった。田邑と一緒にいる時間が居心地が良いことに気がつき、やがて田邑に初恋をする。田邑に見合ったしっかり者になろうと頑張る健気な女の子。