吊金先生

吊金先生

成績の悪い問題児が集まる2年B組の新担任として現れた吊金先生は、「すべての問題はお金で解決できる」という教育方針のもと、お金で生徒達の問題を解決する金満教師だった。ミイラのように顔を包帯でぐるぐる巻きにした謎の吊金先生が、豪快な金の使い方で生徒達のトラブルを解決していく痛快漫画。加茂ユウジにとって初めてコミックス化された作品で、「マガジンスペシャル」2015年No.4から2016年No.2にかけて連載された。

正式名称
吊金先生
ふりがな
つるがねせんせい
作者
ジャンル
教師
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊2巻
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概要・あらすじ

とある高校の2年B組に新担任としてやって来たのは、顔をミイラのように包帯でぐるぐる巻きにした謎の大男だった。その教師は吊金先生と名乗り、この顔は過去に交通事故でメチャクチャになってしまったからだと語り、生徒全員に挨拶代わりだと10万円の現金を配る。すべての問題はお金で解決できる、と公言する吊金先生は、問題児だらけの2年B組を立て直すために、学年1位を取った生徒には賞金100万円、2位なら30万円などの賞金を提案するほか、いじめを報告した生徒には3万円を渡すなど、なんでもお金で解決しようとする。

2年B組の副担任である女教師、白石とも子はそんな吊金先生にとまどうばかり。白石は、生徒に現金を渡して金で問題を解決しようとする吊金先生に抗議するものの、生徒の事を第一に考えて、実際にトラブルを解決して生徒の信頼を得ていく吊金先生の姿を目にして、少しずつ考えを改めていく。

しかし、2年B組にはそんな吊金先生を面白く思わない生徒もおり、吊金先生を追い出すために行動を始めるのだった。

登場人物・キャラクター

吊金先生 (つるがねせんせい)

とある高校の2年B組へ新担任としてやって来た男性。身長184センチ、体重85キロの大柄な体格。顔をミイラのように包帯でぐるぐる巻きしており、見えるのはライトのように真ん丸で黄色く光る両目と、耳元まで避けたような大きな真っ赤な口のみ。包帯を巻いている理由は、過去に交通事故で顔がメチャクチャになってしまったからだと語っている。 青いYシャツに真っ赤なネクタイを締め、紫や白の背広を着用している。すべての問題はお金で解決できる、と公言しており、新任挨拶として2年B組の生徒全員に10万円ずつプレゼントした。成績の悪い問題児が集まる2年B組を、学力成績や体育祭での競技成績でも1位を取る事を目指している。いじめのない明るいクラスに変えるため、学年1位を取った生徒には賞金100万円、2位なら30万円、10位以内なら10万円、20~30位で5万円、いじめの報告に3万円などの賞金システムを実践する。 プロレスラーのような体格に、ミイラのような顔という風貌だが、生徒にもつねに敬語で話す穏やかな人物。生徒の事を大切に思っており、自分の生徒を傷つける者には容赦しない。生徒が抱えるさまざまなトラブルをお金を使って豪快に解決し、生徒達の信頼を得ていく。 事業で成功をおさめたかつての教え子達が、その資金源のようである。

白石 とも子 (しらいし ともこ)

2年B組の副担任を務める若い女性教師。着任早々に生徒にお金をバラまいた吊金先生に驚愕し、問題視している。何でも金で解決しようとする吊金先生に振り回されて苦労しているが、吊金先生が本当に生徒の事を大切に考えており、トラブルを次々と解決していく姿を目にして、徐々にその考え方を改める。

校長 (こうちょう)

吊金先生が赴任した高校で、校長を務めている男性。着任した際に校長室で吊金先生がアタッシュケースから取り出した札束を受け取っており、吊金先生が2年B組の新担任として赴任したのも金によるものと思われる。学校が経営難のため、1年以内に2年B組の問題を解決して優秀な人材を育て、学校のブランド力を上げるようにと、吊金先生と契約を結ぶ。 校長として、吊金先生の動向はすべてチェックしているが、やり方には口を出さないと約束している。過去、吊金先生がまだ包帯姿になる前の熱血教師だった頃に、その高校の教頭を務めており、吊金先生の過去を知る数少ない人物の一人。

藤咲 さくら (ふじさき さくら)

2年B組に在籍する女子高校生。かつては両親と三人で、貧しいながらも幸せに暮らしていた。両親が事業に成功して以来、お金には不自由しなくなったものの、逆に家庭は冷え切ってしまい、父親は家を出て行った。母親と二人で暮らしているが、母親は仕事で忙しく、親子関係は悪い。そのため、お金で何でも解決しようとする吊金先生に対して不満を持っており、吊金先生が挨拶代わりに渡した10万円を返却した。 吉岡に好意を寄せており、手編みのセーターをプレゼントする。

吉岡 (よしおか)

藤咲さくらが思いを寄せている男性。さくらからは「吉岡先輩」と呼ばれている。金髪でおしゃれなイケメン。さくらから誕生日プレゼントとして手編みのセーターを渡され、喜んで見せた。しかし、「吉岡」というのは偽名で、本名は「桐谷公平」。裕福な家庭の女の子を騙して金を奪い取るという、最近話題の不良グループのメンバーの一人。さくらのヌード写真を撮影し、その写真をネタに母親から金をゆすろうと考えていた。 さくらからもらった手編みのセーターを本人の目の前で焼却した。

長谷川 航一 (はせがわ こういち)

2年B組に在籍する男子高校生。実家は洋菓子店で、父親がケーキを作っている。長谷川航一自身も去年は高校生ケーキコンテストに出場し、パティシエを夢見ていた。しかし、父親からケーキのレシピを盗んだ元従業員が、洋菓子店を新しく開いて繁盛。それに腹を立てない父親を受け入れることができず、むしゃくしゃしている。ケーキ作りをやめ、店のレジから金を盗んでは、他校の生徒とつるんで夜中に遊び回り、近所への迷惑行為で停学処分を受けそうになっている。

下川 ゆい (しもかわ ゆい)

2年B組に在籍する女子高校生。一見まじめそうに見えるが、副担任の白石とも子が同僚の男性教師と飲んでいるところを隠し撮りする。それをあたかも浮気現場の証拠写真のようにバラ撒くと、白石を脅迫している。口も悪く、白石本人の前で呼び捨てにしたり、クラス中のみんなが白石を「学校イチ使えない先生」と言っている、と偽りの噂話を伝えた。 脅迫するために白石を呼び出した現場で、ヤクザから覚せい剤を盗んだと言いがかりをつけられ、窮地に陥る。

赤松 (あかまつ)

2年B組に在籍する男子高校生。ハイテク機器と独自の情報網で相手を調べつくし、人が堕ちていくのを見るのが快感、という学校きってのサディスト。吊金先生を次のターゲットに選び、正体を暴いて学校から追放しようと画策する。

市原 和也 (いちはら かずや)

2年B組に在籍する男子高校生。吊金先生を敵対視するグループのリーダー的存在。古くから有名な日本有数の財閥の御曹司で、何不自由ない暮らしをしてきた。友達や大人達が市原和也にへりくだるため、金はすべてのものを手に入れる事ができる、という信念を持つ。吊金先生を追い出すために、吊金先生の包帯の下の素顔を暴いた者に10万円という懸賞金をかける。

山吹 茜 (やまぶき あかね)

2年B組に在籍する女子高校生。吊金先生を敵対視する市原和也を中心とするグループの一員。吊金先生の授業をボイコットしている。金に汚く、悪ぶった態度を見せているものの、実は母親思いの芯の強い少女。父親が逃げたため多額の借金を抱えており、返済のために水商売で働き続ける母親と暮らしている。借金取りに奪われた母親の指輪を取りもどすために、自身もアルバイトでお金を稼いでいる。

辺見 心平 (へんみ しんぺい)

2年B組に在籍する男子高校生。吊金先生を敵対視する市原和也を中心とするグループの一員。金に釣られる事なく、吊金先生の授業をボイコットしている。市原とは親しく、吊金先生を陥れようとする市原の計画に手を貸す。

斉藤 春人 (さいとう はると)

吊金先生のかつての教え子。中学時代は学年トップの成績をおさめる生徒だった。ところが、高校でボクシング部に入部すると、ボクシングにのめり込み過ぎて勉強がおろそかになり、成績は下がる一方となっている。クラスの学力アップを目指す吊金先生から、ボクシングをやめて学業に専念するように言われていた。足を怪我したまま無理を押してボクシングの試合に出場したため、試合中に倒れて歩けなくなり、消息不明になる。

理沙 (りさ)

斉藤春人の妹。兄がボクシングの試合中に負傷して歩けない体となり、どこかへ姿を消した事を、すべて当時兄の担任だった吊金先生のせいだと考えており、ブログで告発した。吊金先生の弱みを探していた赤松が、そのブログを目にする。

桐生 明 (きりゅう あきら)

2年C組の担任を務める男性教師。ルールを守れない奴はクズ以下だと、厳しく生徒を指導し、生徒からは恐れられている。他校の生徒とケンカをした飯島海斗に退学するよう促す。実は生徒の親から賄賂を受け取っており、その金でキャバクラに通っている。

飯島 海斗 (いいじま かいと)

2年B組に在籍する男子高校生。ガラは悪いが心は優しく、クラスメイトからの評判もいい。しかし、教師の桐生明からは問題児として目をつけられており、他校の生徒とケンカした事を理由に退学を迫られる。山吹茜とは幼なじみであり、小さい頃はいじめられているところを茜に助けてもらっていた。茜の家が借金を抱えている事も知っており、自分の稼いだバイト代を茜に渡そうとするなど、友達思いの人物。

松井 陸 (まつい りく)

2年B組に在籍する男子高校生。塾の授業料が入った財布を落とすが、クラスメイトの飯島海斗が探すのを手伝ってくれたおかげで、無事見つけられた。気の弱そうな見た目だが、飯島が退学になりそうになった際は、飯島はむやみに人を殴ったりするような人間でなないと、教師に釈明した。

書誌情報

吊金先生 2巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2015-08-17発行、 978-4063954661)

第2巻

(2016-02-17発行、 978-4063956047)

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