概要・あらすじ
新潟・日本海高校野球部のピッチャー、新田小次郎は、抜群の速球を誇りドラフト会議の目玉であった。自らの信念を貫く彼は、交渉権を得た武蔵オリオールズへの入団を拒否し続け、世間から猛反発を招く。ドラフト制度が廃止されたことで新田小次郎 は武蔵オリオールズに入団。開幕戦のマウンドに立ち、同年のライバル国友力のいる新宿メッツを相手に17回完投勝利を飾る。
その後は草野球出身の酔いどれ監督俵幸太郎の元、かつての意中の球団博多パイレーツなどワイルド・リーグの各球団と激戦を繰り返す。前期終了後迎えたオールスターゲームで新田小次郎は偶然「光る球」を投げる。その球をものにしようと試行錯誤を繰り返すうち、スランプに陥ってしまう。
登場人物・キャラクター
新田 小次郎 (にった こじろう)
登場時は高校3年生。新潟県の日本海高校の野球部員でポジションはピッチャー。左投げ左打ち。1981年夏の甲子園で準優勝し、ドラフト会議の目玉となる。監督・玄海に惚れて博多パイレーツを逆指名するが、意に反して武蔵オリオールズが交渉権を得たため山本武蔵をパートナーとして1年間の浪人を決意する。 頑なに信念を貫こうとする態度が周囲から反発を招き、弓岡龍造らスポーツ紙記者達からも批判的な記事を書かれ、悪役のイメージが定着してしまう。翌年、新コミッショナー御影英了によりドラフト制度が撤廃されたため、自らの意志で武蔵オリオールズに入団する。入団後は150km/h以上をマークする速球と新人離れしたゲームさばきで完全試合2度を含む活躍を見せ、前期優勝の原動力となる。
山本 武蔵 (やまもと むさし)
新潟県の進学校・新発田六明館高校野球部のキャッチャー。背が低くずんぐりした体型の男子。新田小次郎の投球に惚れ込む。新田小次郎がドラフト指名を断り浪人を決意すると、内定していたノンプロ・新発田電機への入社を蹴って強引に新田小次郎に住み着き、「恋女房」と名乗って練習パートナーとなる。 新田小次郎がプロ野球武蔵オリオールズに入団して新潟を去った後はノンプロに進む。
国友 力 (くにとも ちから)
女性のような顔立ちの男子。東都大学第一高校野球部のスラッガー。夏の甲子園で日本海高校を破って優勝する。ドラフト会議前には東京エンゼルスを逆指名するが、交渉権を引き当てた新宿メッツに入団。1982年の新人王を獲得する。武蔵オリオールズに入団した新田小次郎との対戦では、バットを立て続けに折られるなど苦戦している。
日照 続 (ひでり つづき)
痩せて顔にひび割れの入った男性。プロ野球ワイルド・リーグの武蔵オリオールズの選手。主に指名打者をつとめる。華奢で小柄だが、優れた打撃術を持つ。自分の先発時には自ら打席に立つ新田小次郎が宣言したことにより、彼の先発時にはスターティングメンバーを外れるという屈辱を味わう。高知出身で地元の高知ロイヤルズに入団し、実家で妻と3人の子供と暮らしていたが、放出されて武蔵オリオールズにトレードされ単身上京した。
岩下 花子 (いわした はなこ)
ショートヘアーの女性。初登場時は18歳。新潟に住み、ケーキ屋で働きながら日本海高校の定時制に通う。1981年のドラフト会議の当日、弟・岩下大輔が家に連れて来た新田小次郎と出会い、恋心を抱く。新田小次郎がプロ野球球団武蔵オリオールズに入団して上京してからも想い続ける。
遠山 大蔵 (とおやま だいぞう)
武蔵オリオールズのスカウト部長。1981年のドラフト会議で新田小次郎の交渉権を獲得する。新田小次郎に徹底的に拒否され、また博多パイレーツとの三角トレードが浮上するなど、心労が重なって一時は体調を崩す。新田小次郎 が武蔵オリオールズに入団してからは、良き相談相手となる。
玄海 (げんかい)
長髪で、右目に眼帯をして髭を生やした男性。プロ野球ワイルド・リーグの博多パイレーツの監督であり、同チームのオーナーでもある。新田小次郎の交渉権を得た武蔵オリオールズに三角トレードを持ちかけるなど、目的のためには手段を選ばない。武蔵オリオールズに入団した新田小次郎との対戦では、次々に奇策を繰り出して翻弄させる。 親会社の平和開運の社長を勤め、東シナ海での金塊探しに社運を賭けている。
弓岡 龍造 (ゆみおか りゅうぞう)
小柄でサングラスをかけ、帽子を被った男性。スポーツ新聞スポーツエイトの新聞記者。武蔵オリオールズのスカウト部長・遠山大蔵との面会を断り続ける新田小次郎の態度に怒り、批判的な記事を書く。しかし浪人中の練習を見て考えを改めるようになり、新田小次郎がプロ野球武蔵オリオールズに入団した後は、相談相手の一人となる。
御影 英了 (みかげ えいりょう)
長髪で髭を生やした男性。日本最大の企業・御影グループの総帥。プロ野球のコミッショナーに就任する。その直後にドラフト制度を廃止し、新田小次郎がプロ野球に進む道を拓く。またトレードされた選手を即出場可能とするなど、改革的な決断を行う。謎の覆面の男・巌岩鉄がプロ野球に進むきっかけを作る。
伊達 正次 (だて まさつぐ)
プロ野球ワイルド・リーグ武蔵オリオールズのピッチャー。唯一の二桁勝利投手で、チームのエース。新人・新田小次郎に開幕投手の座を奪われる。また慕っていた仲根恵理の心が新田小次郎に傾き、さらに彼の先発時に救援をさせられるなど屈辱が続き、監督・俵幸太郎にトレードを志願する。
堀田 一也 (ほった かずや)
プロ野球ワイルド・リーグ武蔵オリオールズの野手。ポジションはショート。新田小次郎より一つ年上。瞬足で投手にとっては嫌な存在。飄々としているが、並外れて気が短い。
俵 幸太郎 (たわら こうたろう)
無精ひげを生やした、痩せた中年の男性。シーズン途中からプロ野球ワイルド・リーグ武蔵オリオールズの監督となる。草野球歴10年。酒好きで常に酔っ払っている。初采配の試合に新田小次郎を予告先発させるなど、型にはまらない采配を振るう。伊達正次からトレードされた際には、進退をかけてオーナーと交渉する。
泉岳 又八 (せんがく またはち)
頭が禿げ、揉み上げの長い大男。シーズン途中に博多パイレーツに監督玄海の誘いで入団。1番・指名打者として新田小次郎と対戦する。シベリアおろしと呼ばれるスイングをする。
巌 岩鉄 (いわお がんてつ)
札幌ブルワーズに入団した覆面選手。筋骨隆々の身体で、ヌンチャクのように鎖でつないだ2本のバットを首から下げる。前期優勝がかかった新潟シリーズの第1戦、1番・指名打者で出場し新田小次郎と対戦するが、ショート・堀田一也を相手に荒々しい走塁をして、両軍が殺気立つこととなった。 新田小次郎が前人未到の球速の速球を投げるきっかけを作る。
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