世界観
舞台は宇宙船の行き来が盛んな、現実世界とは異なるパラレルワールドの地球。そのため、地球人と宇宙人の交流も違和感なく、盛んに行われている。そんな地球にあって、古き良き銭湯を続けている「時の湯」を舞台に、宇宙人、地球人を問わず、さまざまな客たちと、時野和人やワるきゅーレとの触れ合いを描いている。
あらすじ
ヴァルハラ星の皇女であるワルキューレは、地球にある「時の湯」に宇宙船ごと墜落。その衝撃で「時の湯」の経営者である男子高校生、時野和人は死んでしまう。あわてたワルキューレは、自分の魂を和人に分け与えることによって、和人を死から救う。しかし、魂を分けたため、ワルキューレは小さくなってワるきゅーレとなってしまい、さらに記憶を喪失。和人は、そうしたワるきゅーレを保護して「時の湯」に住まわせることを決めた。そのため、彼女を中心に巻き起こるドタバタの日々を送ることになる。
モデルになった町
物語の舞台となっている銭湯「時の湯」は、東京都練馬区石神井台にある「たつの湯」がモデルとなっている。作中では外見から内装に至るまで、「たつの湯」が忠実に再現されている。TVアニメ第1期のDVDの映像特典では、スタッフが「たつの湯」を訪れるシーンも収録されている。
メディアミックス
TVアニメ
2002年の夏にTVアニメ版がKIDS STATION他、関東の独立局にて放送された。監督はうえだしげるで、時野和人役を鈴村健一、ワルキューレ役を緒方恵美、ワるきゅーレ役を望月久代が演じている。TVアニメ版独自の続編として『円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲』『円盤皇女ワるきゅーレ 時と夢と銀河の宴』があり、この作品では原作漫画版にはない、オリジナルの物語が展開されている。
OVA
OVAとして『円盤皇女ワるきゅーレ 星霊節の花嫁』が発売されている。これはTVアニメ版『円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲』と『円盤皇女ワるきゅーレ 時と夢と銀河の宴』の間の話にあたり、『円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲』の正当な続編である。TVアニメ版と同じくオリジナルの物語が展開されている。
ライトノベル
本作『円盤皇女ワるきゅーレ』は、雑賀匡によりライトノベル化されている。シリーズには『円盤皇女ワるきゅーレ 美女の惑星★大混戦!』『円盤皇女ワるきゅーレ 星の卵★大争奪戦!!』『円盤皇女ワるきゅーレ 魔法の国★大妄想戦!!!』『円盤皇女ワるきゅーレ 激走★宇宙船大レース!』の4作があり、原作漫画本編とは異なる派生世界を、ギャグタッチで描いている。
登場人物・キャラクター
時野 和人 (ときの かずと)
銭湯「時の湯」の経営者にして番頭を務める少年。廃れていく「時の湯」をこよなく愛し、守っていきたいと考えている。ワルキューレの起こした円盤事故によって一度死亡したが、ワルキューレの魂を分け与えられて生き返る。ワるきゅーレには迷惑をかけられることも多いが、命の恩人でもあるので、つい甘い面を見せてしまう。 作中では何かと死を迎えることが多いが、その都度ワルキューレによって生き返らされている。
ワルキューレ
「白き皇女」と呼ばれるヴァルハラ皇家の八大皇女。「白のワルキューレ」と呼ばれることもある。おしとやかで優しく、「皇女の中の皇女」と評されている。かつて時野和人と「約束」を交わしたことがあり、そのことをおぼろげながら覚えているが、ハッキリと思い出せずにいる。円盤事故に巻き込まれた和人を助けたことにより力を失い、小さくなったワるきゅーレの姿になってしまう。 刻の鍵と呼ばれる剣を使って、死亡した和人を何度も助けるが、そのたびに力を消耗してワるきゅーレになってしまう。
ワるきゅーレ
ワルキューレが力を失い、小さくなった姿。「ワルちゃん」と自称したり、皆からは「わるQ」と呼ばれることもある。ワルキューレ時の記憶はなく、見た目の通り幼子のように純真無垢に遊び回っているため、時野和人は何かと手を焼いている。真田さんを信頼しており、彼女に対して時折無茶を言うこともある。和人とキスをすると、ワルキューレの姿に戻ることができる。 ワるきゅーレ本人は詳細を把握していないものの、ワルキューレの力で和人が死から救われることは理解しているため、和人の身に危険が迫ると、積極的にキスしようとする。
時野 リカ (ときの りか)
時野和人の妹で、時野家の家計を握っている。中学3年生の受験生で、常に半纏を着ている。基本的には温厚な性格だが、ワるきゅーレが遊び回った後片付けをさせられたり、真田さんの暴走に付き合わされたりするため、時折怒りを爆発させている。ワるきゅーレたちがやって来てからの赤字家計に、頭を悩ませている。
真田さん (さなださん)
ワルキューレの侍女頭を務める猫耳のメイド。周囲に呼びかけることによって猫耳メイド隊を作り上げることができ、有事の際には猫耳メイド隊を招集してことにあたる。ワルキューレがワるきゅーレとなった後も心から仕える覚悟で、時野家に居候している。ワルキューレが時野和人のもとを離れようとしないため、和人のことをワルキューレの婿にしようと考え、「婿殿」と呼んでいる。
七村 秋菜 (ななむら あきな)
時野和人の幼なじみの少女。年も同じで、同じ学校に通っている。幼少の頃から和人に想いを寄せながらも、なかなか告白できずにいる。そこに現われたワるきゅーレが、和人を死から復活させるためとはいえ、頻繁にキスをしているところを目撃している。これにより心中穏やかではなく、より一層告白できなくなっている。地球においてのハイドラの保護者でもある。
ハイドラ
ワルキューレを連れ戻しに来たヴァルハラ星の八大皇女の1人。「黒き皇女」「黒のワルキューレ」と呼ばれる、「白のワルキューレ」と対をなす存在。地球に来た後、七村秋菜によって封印され、ワるきゅーレと同じく小さな姿になってしまった。勝気で、挑発に乗りやすい。半身であるはいだらを吸収した後は、覚醒した力により、秋菜の封印も簡単に解けるようになる。
ライネ
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。「朱きの皇女」と呼ばれている。ワルキューレを追って地球にやって来た。当初は姉と慕うワルキューレを連れ帰ろうとしていた。しかし、マイペースな性格のため時野家にすっかり馴染んでしまい、成り行きで地球に残ることになった。コーラスとは学園惑星での同級生で、仲が良い。
コーラス
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。「水色の皇女」「水色のワルキューレ」と呼ばれている。実は感情の起伏の乏しいアンドロイド。オリジナルのコーラスは幼くして亡くなったが、八大皇女としての象徴が必要だったため、彼女の代わりに作られた存在である。時野家に居候するようになってからも、ネスティーの宇宙海賊狩りの手伝いをしており、その時は押し入れにこもり、相手の解析などを手伝っている。
メーム
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。「紫の皇女」と呼ばれている。ヴァルハラ星の皇女の中で、長を務める長女。奥ゆかしい物腰でありながら、凄まじい力を持っており、ワルキューレをヴァルハラ星へ強制的に送還させることもできる。銭湯「時の湯」が、ヴァルハラ星の歴代王女が利用し続けた禊の泉であることを知っている人物。
ファム
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。「桃色の皇女」と呼ばれている。学園惑星ではワルキューレとハイドラの同級生でもある。時野和人と七村秋菜の講師としてやって来て、ワルキューレの様子を見つつ、和人とワるきゅーレの関係を微笑ましく見守っている。
ネスティー
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。「緑の皇女」と呼ばれている。宇宙戦艦を率いて宇宙海賊狩りを行い、宇宙の秩序を守っている。その手腕から「ヴァルハラの魔女」と敵から呼ばれている。なお、戦いに関する情報処理はコーラスに任せている。
イナルバ
ヴァルハラ星の八大皇女の1人。空間操作能力を持ち、「黄の皇女」の異名を持つ。「戦死者の広間」という独自の空間世界を形成し、ワルキューレとハイドラに勝負をさせ、お互いの力量を確かめようとした。しかし、覚醒状態のワルキューレとハイドラの力によって空間を保つことができなくなってしまう。思慮深い一方で、強硬手段に出ることも辞さない、毅然とした人物。
一ノ宮 千羽 (いちのみや せんば)
乙橘温泉の仲居を務める女性。乙橘温泉の里の主神官で、人々の信仰を集めているはいだらの守り人。八人の巫女の1人だが、巫女としてはまだまだ未熟。前線で戦うことのできる七村秋菜に憧れている。内向的な性格をしている。
二条 雛子 (にじょう ひなこ)
乙橘温泉の仲居を務める女性。乙橘温泉の里の副神官で、一ノ宮千羽の補佐を務める。八人の巫女の1人だが、巫女としての能力が低く、七村秋菜に憧れている。ドジっ子で、温泉で仲居をしている時も、失敗を連発している。
三神楽 那己 (みかぐら なこ)
八人の巫女の1人。傀儡の術を伝える一族の末裔。ロボット工学を応用して、傀儡とロボットを組み合わせた「絶対人形」を使役する。巫女業界からは異端児扱いされているが、本人はあまり気にしていない。
四十塚 澪奈 (よとづか みな)
八人の巫女の1人。占星術を得意とし、政財界に強い影響力を持つ。莫大な資産を持つお嬢様にして、全日本巫女選手権で第3位となった実力の持ち主でもある。
五月女 縁 (さつきめ えにし)
八人の巫女の1人。霊力によって金剛力(怪力)を得ている。バイクで移動することが多く、少し巫女らしくない面が目立つが、誰よりも修行に熱心な努力家。全日本巫女選手権で第4位の成績を残している。
六波羅 陽子 (ろくはら ようこ)
八人の巫女の1人。京都にある名家の末裔。巫女としての能力は七村秋菜と同等。しかし、体力で秋菜に劣るため、全日本巫女選手権では第2位の座に甘んじた。その屈辱から、秋菜に対して厳しい目線を向けることが多い。
神宮寺 八雲 (じんぐうじ やぐも)
八人の巫女の1人。七村秋菜の永遠のライバルを自称している。巫女の力を詐欺まがいの悪徳商法に利用したため、全日本巫女選手権の参加を取り消され、不戦敗とされた。式神を使っている風を装っているが、彼女が行っているのは降霊術である。
千王子 露木 (せんおうじ ろき)
時野和人と七村秋菜が通っている学校の男性教師。「努力」「勝利(ビクトリー)」をモットーに掲げており、時に和人たちにも、その口上を述べることを強要する。決して悪い先生ではなく、「露木王子」と呼んで千王子露木を慕う者も少なくない。
シロ
銭湯「時の湯」に入り浸っている白い宇宙人。呪いによって、二頭身の犬の姿になっており、ワるきゅーレにペット同然に扱われている。犬の姿で頻繁にタバコをふかしている。学校の女子更衣室に忍び込んで、盗みを働こうとするようなスケベだが、本来は女に甘い長髪の美形傭兵。「白い三連星」の1人で、かつては「流星のシロッケンハイム」として、宇宙中にその名を知らしめていた。
マルドゥーク
銭湯「時の湯」を頻繁に利用する常連の白い宇宙人。呪いによって、丸いチョンマゲのようなものが頭に付いた、二頭身の姿になっている。本来は額に鉢巻を巻いた美形の傭兵。「白い三連星」の1人で、かつては「雷鳴のマルドゥーク」として、宇宙中にその名を知らしめていた。銃の扱いに長けている。
ミョーレンバッハ
銭湯「時の湯」を頻繁に利用する常連の白い宇宙人。呪いによって、二頭身でメガネとトサカ、唇に特徴のある姿をしている。本来は和装でメガネを掛けた美形の傭兵。「白い三連星」の1人で、かつては「疾風のミョーレンバッハ」として、宇宙中にその名を知らしめていた。剣の扱いに長け、多数の敵が相手であっても、圧倒するほどの実力を持つ。
オボンヌ
七村秋菜と同じ高校に通う女子生徒。水泳部に所属している。耳がヒレの形になっている魚系の宇宙人で、水泳は得意。ライバルである秋菜に対して常に挑発的に振る舞い、何かと水泳勝負を挑んでいる。現在、秋菜との対戦戦績が2勝2敗2引き分けであることを気にしており、自分が勝つまで秋菜に勝負を挑み続けることを宣言している。
ユリアーヌ
時野和人たちが住む地域の教会のシスター。銭湯「時の湯」の常連客。奥ゆかしい性格の女性で、理想の結婚式について、和人たちに相談を持ちかけた。和人に、ワルキューレと教会で結婚式を挙げてはどうかと提案する。
はいだら
九頭竜(ヒュドラ)のこと。ハイドラの半身でもある。言い伝えでは、荒ぶる神であるはいだらは、この地に降り立ち、破壊の限りを尽くした。しかし、それを憂えた8人の神が天から舞い降り、力を持った8人の聖なる巫女によって封じられたという。封印された後は、半身としてハイドラに吸収された。
集団・組織
八大皇女 (はちだいおうじょ)
ヴァルハラ星の8人の皇女。それぞれが高貴な存在として崇められており、ヴァルハラ星だけでなく、宇宙で最も尊いとされている。八大皇女の中でも、刻の鍵を継承できるのは、「白のワルキューレ」であるワルキューレのみ。
猫耳メイド隊 (ねこみみめいどたい)
真田さん率いるメイド部隊。真田さんがネコミミ光線を使って集めたもの。有事の際には真田さんの呼びかけによって招集され、真田さんを隊長としてワるきゅーレを守ることを主命としている。
ヴァルハラ皇家 (ゔぁるはらおうけ)
八大皇女を抱え、銀河で最も尊いとされている皇家。家柄のみならず、ネスティーの戦闘能力やコーラスの情報処理能力をはじめ、あらゆる能力面においても秀でている。ヴァルハラ皇家にはさまざまなしきたりがあり、八大皇女であっても、その規律から逃れることはできない。
八人の巫女 (はちにんのみこ)
かつてはいだらを封印したという8人の巫女たち。現在もその血筋と名は受け継がれており、七村秋菜、一ノ宮千羽、二条雛子、三神楽那己、四十塚澪奈、五月女縁、六波羅陽子、神宮寺八雲の8人が該当する。解放されたはいだらによってワるきゅーレが乗っ取られた際、再びはいだらを封印するため、現代の八人の巫女が立ち上がった。
場所
地球 (ちきゅう)
時野和人や七村秋菜が暮らしている星。ワルキューレが円盤事故によって落ちてしまった星でもある。宇宙とのやりとりが頻繁に行われており、宇宙船や宇宙人の存在も自然に受け入れている。
時の湯 (ときのゆ)
古くから営まれている銭湯。時野和人の祖父の代で潰れるはずだったが、和人が「時の湯」を継いだことから、今なお存続している。和人の手によって毎日営業されており、常連客も多い。実はヴァルハラ皇家にとって非常に大事な禊の泉そのものであるが、和人はその事実を知らない。
ヴァルハラ星 (ゔぁるはらせい)
ワルキューレたちの故郷の星。銀河中の憧れとなっている美しい場所だが、ライネはここのしきたりにうんざりしている。ワルキューレはもともとこの星で暮らしていたが、何かに導かれるようにヴァルハラ星を飛び出し、円盤事故を経て、「時の湯」へと舞い降りた。
七狐神社 (ななこじんじゃ)
七村秋菜が住んでいる神社。ワルキューレを追って地球に来たハイドラが、仮住まいとして暮らしている場所でもある。古い神社で、時野和人も幼い頃はよく通っていたが、今はあまり訪れることもなくなった。
学園惑星 (がくえんわくせい)
コーラスとライネが通っている学園。かつてワルキューレとハイドラも通っていたことがあり、当時は2人そろって「高嶺の花」として知られていた。ライネはここでコーラスと楽しく過ごすことが好きで、ヴァルハラ星での式典に出席することを拒んでいる。
ヴァルハラ星離宮 (ゔぁるはらせいりきゅう)
ヴァルハラ星にあり、特別な期間に八大皇女だけが入ることの許される場所。ヴァルハラ皇家に伝わる刻の鍵の継承が行われる場所で、ワルキューレはこの場所で行われた儀式によって、刻の鍵を継承した。
イベント・出来事
円盤事故 (えんばんじこ)
ワルキューレが地球に降り立つ際に起こしてしまった事故。無制限力場軌道船で着陸しようとしたものの、制御を誤って銭湯「時の湯」に墜落。その際に時野和人を、一時的にとはいえ、死なせてしまった。のちに和人はワルキューレの力によって生き返る。
その他キーワード
刻の鍵 (ときのかぎ)
ワルキューレの持っている剣。時間を捻じ曲げたり、時野和人を生き返らせたりと、何かと荒唐無稽なことができる。「白のワルキューレ」が代々受け継ぐことになっており、ハイドラは自分が受け継げなかったことに腹を立てている。
無制限力場軌道船 (むせいげんりきばきどうせん)
この世界における宇宙船。ワルキューレをはじめ、ヴァルハラ星からやってくる八大皇女たちは、これに乗ってきた。
アルヴァク号 (あるゔぁくごう)
ワルキューレ専用の無制限力場軌道船。ワルキューレは家出の際にこの円盤を使い、ヴァルハラ星を飛び出してきた。そして地球に通りかかった際に、銭湯「時の湯」に落下。以降、「時の湯」のシンボルとして、墜落時のまま突き刺さっている。
禊の泉 (みそぎのいずみ)
古くからヴァルハラ皇家御用達のお湯。銭湯「時の湯」に流れているといわれる。「時の湯」を受け継いだ時野和人は、このことを知らない。古い伝承のため、八大皇女の中でもメームだけが、この事実を知っている。
超封印のお札 (ちょうふういんのおふだ)
七村秋菜が使った御札。これにより、ハイドラをワるきゅーレと同じ小さいサイズにし、一時的とはいえ、ハイドラの力を制限することができた。しかし、はいだらを吸収したハイドラにとっては、ほとんど効力を発揮せず、たやすくはがされるようになってしまった。
ネコミミ光線 (ねこみみこうせん)
真田さんが猫耳メイド隊を作るために放った光線。この光線を浴びた女子は、もれなく猫耳メイド隊の一員になってしまい、真田さんの指揮下に置かれることになる。何度も放つことができるわけではなく、地球では一度しか使われていない。