魔王討伐のために、勇者を召喚し続けた世界
本作の舞台であるザウバーベルグは、人間や亜人、エルフ、ドワーフ、ゴブリンなど、様々な人種が混在する世界。教皇を頂点とする世界教団(ヘルゼーエン)のもと、四人の司教が教皇領以外の四つの地方を管轄している。そんなザウバーベルグの平和を脅かす憤怒の魔王を倒すため、教皇は異界から転移者を召喚していた。転移者は4地方にある聖堂のいずれかに到着し、そこから魔王城を目指すことになる。ところが、魔王討伐のために授かった神授の力(ギフテッド)を「チートスキル」と呼び、私利私欲のために使う転移者が続出し、世界教団は彼らを持て余すようになっていた。なお、神授の力は、金貨を無限に生み出すスキルや相手を無条件に奴隷にするスキル、相手のステータスを解析するスキルなど、人によって様々である。
心中をやり直すために愛人を捜す旅に出る
さっちゃんとの心中が叶(かな)わず、異世界に転移してしまったセンセーは、神官のアネットに迎えられ、魔王討伐を促される。しかし、もちろんセンセーはそんなことに興味はない。「この世界にさっちゃんも来ているかもしれない」そう考えたセンセーは、彼女を見つけだし、改めて心中するために旅に出る。転移当初はスキルを持っていなかったセンセーだが、旅をするうちに、特殊スキル「執筆(ストーリーテラー)」を得た。例えば、闇落ちした転移者をモデルに小説を書き、それを破り捨てることで、転移者を元の世界に送り還(かえ)すことができるのだ。それを見たアネットの親友、司教のイーシャは、センセーは転移者と戦うためにザウバーベルグに現れたのではと推測する。
魔王亡き後、新たな脅威となる転移者
じつは、センセーが異世界に転移したその日、憤怒の魔王は七人の転移者によって滅ぼされていた。そこで教皇は、異界とザウバーベルグを繫(つな)ぐ魔法陣を封印し、以後転移者の召喚を中止する。魔王を滅ぼした七人の転移者は魔王領を占拠し、その地の新たな支配者となった。そして、世界教団へ宣戦布告したのだ。世界を救った七人の大天使は、世界の脅威である七匹の堕天使となった。また、世界中で好き勝手をやっている堕転移者の存在も無視できず、魔王城から姿を消した魔王の娘、ウォーデリアの動向にも気をつけなければならない。こうして世界は新たな難局を迎えた。そんな中、転移者を元の世界に送り還したセンセーの存在を知った教皇は、彼がこの世界の救世主なのかもしれないと考え始める。
登場人物・キャラクター
センセー
愛人のさっちゃんと心中しようとしたところ、トラックに轢かれて異世界、ザウバーベルグに転移してしまった文豪の男性。着流しに外套を羽織っており、目つきと顔色が悪い。陰気な性格で事あるごとに自殺しようとしているが、なぜか女性を引きつける。転移者としては異様にステータスが低く、特別なスキルも特に持たない。また、カルモチンという催眠剤を常用していることから、ステータスは猛毒状態である。自分と同じく異世界に転移させられてしまったであろうさっちゃんを捜すため、異世界の案内役で神官のアネット、猫耳の亜人で武闘家のタマと旅に出る。なお、旅の途中で、特殊スキル「執筆(ストーリーテラー)」を会得した。
アネット
ザウバーベルグの北西部のエアステン聖堂の神官の女性。金髪のロングヘアと尖(とが)った長い耳が特徴のエルフ。転移者を導き、冒険に旅立たせる仕事に誇りを持っていたが、転移者の勝手な物言いや態度の悪さに、やりがいをなくしていた。そんな中現れた、型破りなセンセーの言動に衝撃を受け、好意を抱くようになる。彼をサポートするために神官の職を辞め、センセーの冒険に同行する。治癒(キュア)、解毒(デトクシ)、光盾(シャイルド)などのスキルを持つ。
タマ
ネコのような耳と尻尾を持つ亜人の少女。勝ち気な性格だが、可愛らしい一面もある。デスツリーという魔物に襲われているところを、センセーの猛毒のおかげで救われる。お礼に自分の家に案内しようとしており、センセーに同行する。「タマ」は先生につけられた名前で、本名は別にある。職業は武闘家で猫拳(ネコパンチ)、猫脚(ネコキック)、猛猫掌(もうびょうしょう)などのスキルを持つ。
ウォーデリア
憤怒の魔王の娘で竜族の少女。竜の角や爪、尻尾が特徴。リュカという名のドラゴンを連れている。七人の転移者に家族を殺されたことから、転移者に激しい憎悪を抱いており、初対面でセンセーも一度殺されかけた。アネットのスキルを一蹴するほどの、凄(すさ)まじい魔法力を持つ。
ニア
ある村で、勇者紹介サービスという詐欺を働いていた少年。孤児であり、叱ってくれる大人もいないことから、村の鼻つまみ者だった。アネットからお金を巻き上げるが、転移者に襲われていたところをセンセーに救われ、パーティに参加する。父親の形見である剣を持つ剣士見習いである。
クレジット
- 原作
書誌情報
異世界失格 12巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2020-04-10発行、 978-4098605606)
第2巻
(2020-07-10発行、 978-4098606504)
第3巻
(2020-10-12発行、 978-4098607471)
第4巻
(2021-02-12発行、 978-4098608478)
第5巻
(2021-07-12発行、 978-4098611041)
第6巻
(2022-01-12発行、 978-4098612741)
第7巻
(2022-07-12発行、 978-4098613779)
第8巻
(2022-11-10発行、 978-4098615346)
第9巻
(2023-06-12発行、 978-4098618323)
第10巻
(2024-02-09発行、 978-4098627431)
第11巻
(2024-06-28発行、 978-4098628841)
第12巻
(2024-09-30発行、 978-4098630578)