あらすじ
第1巻
就職活動で受けた50社以上の会社のすべてから不採用通知を受け、アルバイト先が給料を払う前に夜逃げしたことで八瀬優円はほとんど無一文となった。さらに住んでいたアパートの屋根が台風で吹き飛び、大家も旅行中でしばらく戻ってこないという、ありえないような不幸が重なる。そして八瀬は風雨をしのぐため、ある温室に入り込む。翌日、温室で寝ていたところを北白河育美に起こされた八瀬は事情を説明し、勝手に入ったお詫びに朝食を作ることを申し出る。八瀬の手際のよさと料理の出来に感動した育美は、自分たちが住む「出戻り館」の執事になって欲しいと八瀬に頼み込むのだった。(#1「育美さんは すぐイク」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
八瀬 優円 (やせ ゆうえん)
「出戻り館」に執事として働き出した青年。周囲から「セバスチャン」と呼ばれることもある。仕事内容は料理や掃除、洗濯、日曜大工、住人の性欲処理の相手など多岐にわたる。ラーメン屋でアルバイトしていたこともあり、作る料理の味はよく、ほかの作業も非常に手際がいい。生真面目で相手のことを第一に考える優しい性格の持ち主。自分のことを必要としてくれる人たちがいることを知って、執事の仕事にやりがいを感じている。
北白河 育美 (きたしらかわ いくみ)
「出戻り館」に住むバツイチの女性。非常に感じやすい体質で、椅子にすわっていたり歩くだけですぐにオーガズムに達してしまう。そのため、椅子には痔用のドーナッツ型座布団が欠かせず、いつもスリ足で歩いている。元夫は医者で、感じやすい体質を治してあげるという言葉を信じて結婚した。しかし、元夫の興味は感じやすい体質だけで、数年かけても治せずにいたことから興味を失い、夫婦仲も冷え込んで離婚した。今でもこの体質に苦しんでおり、真剣に考えてくれる八瀬優円のことを全面的に信頼している。
紫野 しずく (むらさきの しずく)
「出戻り館」に住むバツイチの女性。年齢は29歳。身体が小さくて童顔なため、子供と勘違いされることが多い。同人作家で恋愛漫画を描いている。セックスで気持ちよくなり過ぎるとうれし涙が止まらなくなる体質で、相手からすると幼女を無理矢理犯しているような罪悪感を感じてしまう。元夫もその罪悪感に耐えきれずに離婚した。
今出川 果音 (いまでがわ かおん)
「出戻り館」に住むバツイチの女性。セックスで1回もオーガズムに達したことがない不感症で、元夫とセックスしても感じることができず離婚した。性欲が溜まっている八瀬優円を挑発するが、その際、八瀬の相手を思う気持ちや情熱に触れて、これまでになかったほどの快感を得る。
清滝 美葉 (きよたき うつは)
「出戻り館」に住むバツイチの女性。子供の頃から存在感が薄く、周囲からよく無視されていた。結婚しても元夫から空気のような存在として扱われ、目の前で浮気されたことで離婚を決意。いつもネガティブな考え方をしていたが、八瀬優円から励まされたことでポジティブに考えるようになる。
高瀬川 諒 (たかせかわ りょう)
「出戻り館」で執事をしていた人物。八瀬優円の前任にあたる。執事といっても料理や掃除などはすべて専門の業者に頼んでおり、自分はまったく働いていなかった。住人の性欲処理だけは高瀬川諒自身の趣味であるSMを行おうとしていたが、結局クビとなる。再び執事になるために八瀬の弱みを握って追い出そうとするが、今出川果音に目論見がばれてしまう。男装しているが実は女性で、実家はお金持ち。絶え間ない縁談話に嫌気がさして、出戻り館に逃げ込む。
場所
出戻り館 (でもどりやかた)
明治時代からある大きな屋敷。正式名称は「朱雀館」だが、結婚に失敗した女性が一時的に身を寄せる場所なため、「出戻り館」という名前が定着している。オーナーは高瀬川諒の母親である高瀬川麗華が務める。今は北白河育美、紫野しずく、今出川果音、清滝美葉の四人の女性と、執事の八瀬優円が住んでいる。