山に住む神

山に住む神

女性の生きざまをテーマとしたオムニバス作品。紀元前の中国や韓国、中世のイギリスなど時代や国を超えて、自分らしくあろうとたくましく生きる女性たちの姿を描くヒューマンドラマ。「ミステリーDX」1992年1月号、1999年1月号、10月号、2000年4月号および、「歴史ロマンDX」1995年初夏の号に掲載された作品。

正式名称
山に住む神
ふりがな
やまにすむかみ
作者
ジャンル
その他歴史・時代
 
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

紀元前の中国、越国に住む少女の愛如は、かつて長老が訪れ、今なお大国として名を馳せている楚国にあこがれていた。楚国の公子、鄂皙が越国にやって来ていることを知った愛如は、その姿を一目見て心を奪われてしまう。なんとか鄂皙の目に留まろうと苦心した愛如は、美しい歌で鄂皙に見初められることに成功する。(エピソード「越人歌」。ほか、4エピソード収録)

登場人物・キャラクター

愛如 (あいる)

エピソード「越人歌」に登場する。越国の少女で、長い黒髪をヘアバンドでまとめており、活発かつ大胆な性格をしている。長老から繰り返し伝え聞く楚国の都や、王城での宴席に以前からあこがれていた。可以から好意を抱かれていることに気づいているが、あくまでも友人で、知人としての関係から発展させるつもりはない。鄂皙に一目惚れしており、見初められるために宴の席で即興の歌を披露した。

賢娥 (ひょな)

エピソード「山に住む神」に登場する。山神が住む山の麓にある村の、村長の末娘である少女。美しい容姿が評判となり、その美しさのために人食い虎のアジョシを退治した勇者の妻にされることが決まっていた。商品のように扱われるこの決定に不服を持ち、自ら山神に会い、アジョシを鎮めてもらうように頼もうとしていた。しかし山神より先にカプトリに出会い、すでに賢娥自身が死んでいるとウソを教えられる。

マルグレーン

エピソード「略奪された娘」に登場する。修道院で暮らすシスターの少女で、修道服に身を包んでいる。非常に勝ち気な性格でどんなときも堂々としており、行動力がある。エルフリックとは以前からの知人であり、身の上もよく知っているため、彼の生い立ちを気の毒な境遇だと考えている。しかし、つねに多方面に対して刺々しい物言いをするエルフリックに対し、よくケンカ腰になっている。

策楞 (つおろん)

エピソード「桃花扇」に登場する。英国人の養子となった中国人の青年。断髪しているが、中国人として振る舞うときは弁髪の付いた特別な帽子をかぶっている。もともとは漢軍正黄旗人の血筋だが、父親がフランスとの戦争で亡くなり、その時世話をしてくれた英国人の養子となった。洋人や、洋人と中国人との仲介役ばかりが15人も殺害される連続殺人事件が起き、その真相を探っている。玉伶とは幼なじみであり、父親が処刑されて悲しむ玉伶を慰めたことがある。

汀浪 (てぃんらん)

エピソード「青楼女人国」に登場する。遊郭「聚芳堂」の女郎で、長い髪を後頭部でシニヨンにまとめている。なじみ客の姚蘭生に、近々身請けされるという話が出ている。女将や雪香からつらく当たられている雪衣をよくかばってやっているが、雪衣からはまったく慕われていない。

鄂皙 (がくせき)

エピソード「越人歌」に登場する。楚国の公子で、愛如が一目惚れするほどの美貌の持ち主だが、気に食わないことがあるとすぐに人を斬るという恐ろしい噂が囁かれている。越国での舟遊びを兼ねた宴席で歌を披露した愛如を見初め、愛人として楚国に連れ帰ることを決める。

可以 (かい)

エピソード「越人歌」に登場する。越国の少年で、頭にターバンを巻いており、少々粗雑な物言いをする。愛如に好意を抱いており、長老から伝え聞く楚国の話にあこがれる愛如をバカにしつつ、身の程をわきまえさせようとしている。しかし実際に愛如が、鄂皙に見初められたと知って気が動転してしまう。

カプトリ

エピソード「山に住む神」に登場する。山神に仕えている少年で、遠い先祖が山で腹痛に苦しむ虎を助けたことで、虎から襲われないといわれる血筋を継いでいる。しかし、人食い虎のアジョシを退治した者は賢娥を妻にできると知り、兄弟同然の友人として育ったアジョシを小刀で襲って報復を受けて死んだ。山に入ってきた賢娥に「もう死んでいる」とウソを教えて、共に山神の使いとしてそばにいようと考えている。

アジョシ

エピソード「山に住む神」に登場する。人食い虎で、山神が住む山に住んでおり、左目が切り裂かれて隻眼となっている。カプトリとは兄弟同然の友人として育ってきた。しかし、山の麓にある村の住民たちをたくさん食い殺したことで、賢娥の父親である村長が、退治した者は賢娥を妻にできると発表した。

山神 (さんしん)

エピソード「山に住む神」に登場する。山に住んでいる神で、頭頂部は禿げ上がっているが、長い白髪と長い髭を生やした老齢男性の姿をしている。カプトリが賢娥に「もう死んでいる」とウソをついていることに気づいているが、真実を知った賢娥がどんな反応をするのかも覚悟のうえで欺くのなら仕方がないと放任している。またアジョシに対しても、人を食いすぎるとアジョシ自身の身が危ないと忠告しているが、聞き入れてもらえていない。

エルフリック

エピソード「略奪された娘」に登場する。タルボット卿という貧乏貴族に仕えている騎士の男性で、ウエーブがかった長い金髪をしている。何事に対しても刺々しい物言いをし、非常に態度が大きい。しかし、石弓(クロスボウ)の腕は折り紙付きで、名手として評判になっている。かつては貴族だったが、父親が罪を犯したためにすべてを失って苦労したとされている。

エストリダ

エピソード「略奪された娘」に登場する。タルボット卿に嫁ぐ少女で、リチャードのいとこ。ウエーブがかった長い黒髪をしている。土地から離れて不安に駆られている際に出会ったマルグレーンに心を開いている。持参金として莫大な土地をタルボット卿に提供する約束をしている。

リチャード

エピソード「略奪された娘」に登場する。騎士の男性で、エストリダのいとこ。長い黒髪をしている。野心家といわれており、貧乏貴族といわれているタルボット卿とエストリダの結婚に反対していた。つねに傲慢で刺々しい言い方をするエルフリックを嫌っている。

玉伶 (ゆーりん)

エピソード「桃花扇」に登場する。中国人の女郎で、暗殺者の女性。幼い頃洋人と役人によって目の前で、無実の罪を着せられた父親を処刑され、特に洋人に恨みを抱いている。身寄りをなくしてから師父によって暗殺術を仕込まれた。洋人連続殺人事件の犯人であり、一人殺害するたびに父親の形見の扇に桃の花を描き足している。

師父 (しふ)

エピソード「桃花扇」に登場する。中国人の牧師の男性で、黒い長髪をうなじでまとめている。中国人としてのプライドが高く、かつて洋人を何人も殺した、洋人排斥組織の刺客を務めていた。洋人に恨みを持つ玉伶を暗殺者として育て上げた。

雪衣 (しゅえいー)

エピソード「青楼女人国」に登場する。遊郭「聚芳堂」の女郎で、長い髪を両側頭部で二つのお団子にまとめている。もともとは金持ちのお嬢様だったが、悪い男に騙されて女郎として売り飛ばされた。プライドが高く、客をより好みするため、売れないのに傲慢な女郎といわれて女将や雪香にいじめられている。汀浪からよく助けてもらっているが、汀浪をよく思っていない。

雪香 (しゅえしゃん)

エピソード「青楼女人国」に登場する。遊郭「聚芳堂」の女郎。長い髪を後頭部でシニヨンにまとめ、前髪をヘアバンドで上げている。何かと雪衣を目の敵にしており、声を荒らげて罵倒する様子も散見されるため、汀浪からよく仲裁に入られている。

姚蘭生 (やおらんしょん)

エピソード「青楼女人国」に登場する。汀浪のなじみ客の男性で、金持ちの若旦那。汀浪を女房にするつもりで身請けし、3日とあけずに遊郭に通い詰めている。汀浪から雪衣の話を聞き、いいなじみ客ができれば雪衣も汀浪に心を開くのではないかと、知り合いの男を客として紹介した。

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