千年人機とアラカネの勾玉
千年人機とは、「アラカネの勾玉(まがたま)」に取り憑かれた人間が生み出した古代兵器。このアラカネの勾玉は、溶岩さえ溶けないほどの強度を誇る一方で、大きく脈打つ心臓の音には非常に弱く、心臓が近くにあると脆くなってしまう。どのような千年人機になるかは、アラカネの勾玉の種類によって異なるものの、いずれの場合も肺や神経、心臓など人体の一部を勾玉に捧げることが不可欠であることがわかっている。一方、千年鉄騎(ダーリン)を生み出す際にも心臓を捧げることが必須だが、アラカネの勾玉の特性上、二つの身体と一つの心臓が必要となる。現在、一平の胸には銀色の心臓が、銀色の胸にはアラカネの勾玉が埋め込まれている。
アラカネの勾玉をバラ撒くネイロンの狙い
一平の敵であるネイロンは、一見すると古代日本人の髪型である美豆良(みずら)を結ったピエロのような男だが、その身体は機械で構成されている。ネイロンは「アラカネの勾玉」をさまざまな人間に寄生させ、千年人機を次々と生み出している。彼の最終目的は、地上の全人類を材料にして作り上げる要塞型千年人機「万物一機」を完成させることだとされている。
少女、はにが波乱を告げる
一平たちが5体の千年人機を破壊した頃、銀色の前に「はに」と名乗る少女が現れる。彼女は自らを「遺伝子を司る千年粘土(ハニー)」だと名乗り、かつて宇宙からやってきた流体金属生命体であることを告白する。そして、すべてのアラカネの勾玉ははに自身であり、銀色たちがアラカネの勾玉を破壊し、はにの肉体と意識を解放すれば、銀色の分子を材料に一平の肉体を再生すると約束する。この約束をきっかけに、一平と銀色の出会いの秘密、銀色の過去、そして銀色が一平に執着する理由が次々と明らかになる。
登場人物・キャラクター
束ノ間 一平 (つかのま いっぺい)
万瓦商店街に住む不良の男子高校生。筋肉質な体格で、鼻の頭には白い絆創膏を貼っている。幼い頃、炭鉱で起きた大規模な火災により家族を失い、その後は町内会の有志たちに育てられた。学校では誰もが一目置く番格として知られているが、自分を育ててくれた町内会の年長者や友人たちを心から大切に思い、彼らが危険にさらされた際には身を挺して守ろうとする。そんなある日、千年鉄蛄(せんねんグラップル)の暴走に巻き込まれ、頭部以外の全身を失い死亡するが、銀色によって古代のサイボーグ「千年鉄騎」として蘇る。その身体には、体内の油圧システムを肛門で制御するという非常に特殊なシステムが組み込まれており、浣腸されると自らの意思とは無関係に全身の力が抜け、脱力してしまう。
仮初 銀色 (かりそめ ぎんいろ)
万瓦商店街にある時計店「仮初時計堂」を営む少年。中性的な美貌の持ち主で、センター分けにした長めの前髪と引かれた口紅が特徴。学生服の胸元には、いつも一輪の薔薇を飾っている。ある日、身体を粉砕されて命を落とした一平を自宅に連れ帰り、一平の胸に「アラカネの勾玉」を埋め込む代償として、自らの心臓を移植。一平を古代のサイボーグ「千年鉄騎」として蘇らせた。もともとは別の高校に通っていたが、一平と過ごす時間を増やすため、彼と同じ高校へ転校してきた。その特異な容姿と行動は、すぐにクラスメイトたちの注目を集める。一平に対しては、友情の枠を超えた感情を見せることがある。
書誌情報
千年ダーリン 5巻 リイド社〈トーチコミックス〉
第1巻
(2021-04-24発行、978-4845860876)
第2巻
(2022-04-27発行、978-4845861200)
第3巻
(2023-01-26発行、978-4845861491)
第4巻
(2024-02-16発行、978-4845866120)
第5巻
(2025-04-21発行、978-4845867905)







