概要・あらすじ
急性肝炎で若葉病院に入院中の高校生、戎崎裕一は、重病人が入院する東病棟の窓際でたそがれていた長髪の少女、秋庭里香を偶然見かけ、それから彼女のことが気になってしまう。担当看護師の谷崎亜希子から、里香の話し相手になってほしいと頼まれたことで、裕一は里香の病室に訪れるように。病室の窓から見える砲台山の話題で話が弾んだことで、ふたりの交流が始まる。
わがままで無茶な要求ばかりしてくる里香の頼みを裕一は逐一聞き届け、ふたりは少しずつ心を通わせていくのだった。ある日、里香は難しいとされる自分の手術を決断するため、父親との最後の思い出の場所である砲台山へ行きたいといい出す。裕一の友人、世古口司の協力を得て、無茶を承知で病院を抜け出したふたりは、砲台山の頂上に到着。
ふたりの関係はより親密になっていく。
登場人物・キャラクター
戎崎 裕一 (えざき ゆういち)
急性肝炎で私立若葉病院に入院している高校二年生の少年。入院生活にも慣れて暇をもてあまし、夜になると病院を抜け出しているが、そのたびに検査で数値を悪化させて担当看護師の谷崎亜希子に怒られている。谷崎亜希子に頼まれ、重病患者が入院する東病棟に新たに入った秋庭里香の話し相手になった。 彼女のわがままな要求に振り回されながらも交流を続け、お互いのことを知り合いながら、少しずつ距離を縮めていく。
秋庭 里香 (あきば りか)
遺伝性の心臓の病に蝕まれた少女。別の病院から転院する形で、私立若葉病院の重病患者が入院する東病棟に入った。常にパジャマ姿で、美容院にもあまり行けないため、入院期間が長いことを意味する長髪が特徴。薄幸そうな雰囲気を漂わせているが、とても気むずかしくワガママで、手術するのを恐れている。 だが、ふとしたときに見せる微笑みは可憐な少女そのもの。病室の窓から見える砲台山をきっかけに戎崎裕一と交流するようになり、彼を奴隷のようにこき使う。
谷崎 亜希子 (たにざき あきこ)
戎崎裕一の担当看護師。元ヤンキーで怒らせると怖い。深夜に病室から逃げ出す戎崎裕一を問いつめ、暴力を交えて説教する。看護師らしく何かと世話焼きで、戎崎裕一にひとりで寂しそうな秋庭里香の話し相手になって欲しいと頼むなど、怖いだけでなく優しい部分もある。
夏目 吾郎 (なつめ ごろう)
長期休暇明けから戻ってきた秋庭里香の主治医。二枚目で優しい好青年のように見えるが、戎崎裕一と秋庭里香の仲を引き裂くような行動ばかりしている。実は何かを失った辛い過去を引きずっており、それを断片的に戎崎裕一に吐露した。
多田 吉蔵 (ただ よしぞう)
戎崎裕一の隣の病室に入院している。病院内の誰もが知るエロジジイで、通り抜けざまに谷崎亜希子のお尻を触っては大激怒されている。多田コレクションと呼ばれる大量のレアなエロ本を所蔵。入院中に死去し、コレクションは戎崎裕一に託された。
世古口 司 (せこぐち つかさ)
戎崎裕一の親友。高校生離れした巨体を持つ少年で、趣味はお菓子作り。男気に溢れており、戎崎裕一の無理な頼みにも応じてくれる。秋庭里香とともに病院を抜け出すなど大事の実行時には、なぜかプロレスラーのマスクを被って登場。
山西 保 (やまにし たもつ)
戎崎裕一の悪友。多田吉蔵から戎崎裕一に託されたエロ本目当てにお見舞いに現れるが、それによりエロ本の存在が秋庭里香に発覚してしまう。
与謝野 美沙子 (よさの みさこ)
谷崎亜希子の昔の友人で、東京からやってきた。戎崎裕一に気のあるそぶりを見せる。
場所
砲台山 (ほうだいやま)
『半分の月がのぼる空』に登場する山。三重県伊勢市に実在する虎尾山をモデルとしている。幼き日の秋庭里香が父親とともに登った思い出の山。
クレジット
- 原作
- キャラクターデザイン
-
山本 ケイジ
書誌情報
半分の月がのぼる空 2巻 KADOKAWA〈電撃コミックス〉
第1巻
(2006-02-27発行、 978-4840233712)
第2巻
(2006-12-16発行、 978-4840237048)