概要・あらすじ
転校した広島の中学校で不良がかった同級生、小川凌二と親しくなった3年生の藤代芹香は、彼から恋人の山下春美を紹介され、まばゆいばかりのカップルぶりに目を奪われる。だがすれ違い続ける小川凌二と山下春美の関係は山下春美が一人だけ高校に進学しなかったことから破綻し、さらなる悲劇が彼女を襲う。
登場人物・キャラクター
藤代 芹香 (ふじしろ せりか)
両親の離婚により、母親と共に広島に転居してきた少女。転入した市立波中学校の3年3組でクラスメートの小川凌二と親しくなるが、学校中の女子が憧れる彼との関係にとまどうことになる。その後、小川凌二から付き合っている同級生の山下春美を紹介され、まぶしいばかりのカップルぶりに見とれてしまう。 小川凌二を好きなことは秘密にしたまま、二人を見つめ続けた藤代芹香は波高校(江波高校)に進学。しかし小川凌二との関係を後ろめたく思う山下春美が一人進学しないまま、やがて交通事故したことを知ってショックを受け、みずからも小川凌二から距離を置こうと他校の生徒と付き合い始める。だが山下春美を失った悲しみが癒えぬまま、暴走しようとする小川凌二に対して、改めて彼と向き合って生きていく道を選ぶのだった。
小川 凌二 (おがわ りょうじ)
市立波中学校3年3組の中学生ヤンキー。5月11日生まれのB型で、身長178センチ。サッカー部に所属している。2年生の時は悪友の黒瀬彰と共に何度も警察を呼ばれていたトラブルメーカーだが、学校中の女子の憧れの的でもある一方、同学年の山下春美を深く愛している。転校してきた藤代芹香と黒瀬彰共々親しくなった後、山下春美を紹介し、以後四人でつるむようになった。 しかし相互依存の関係にあった山下春美が一人高校に進学しなかったことから、その就職先を世話しようとした矢先、バイク事故で彼女が死んだことを知らされて愕然とする。山下春美をバイクに乗せていたヤンキーの先輩、井東拓也を憎むことで、自分を保とうとする。
山下 春美 (やました はるみ)
「ミス波中」と呼ばれる市立波中学校3年5組の女生徒。長いスカートをはき、髪を金色に染めて自由奔放に生きている。小川凌二と付き合っており、彼を「凌」と呼んでいる。だが小川凌二を愛する一方、自分の性格から彼を苦しめていることに後ろめたさも感じていた。その後、小川凌二から紹介された藤代芹香に信頼を寄せ、黒瀬彰も含めて四人でつるむようになるが、教師の無理解もあって高校進学を断念。 小川凌二と藤代芹香からも二人のためを思って身を引こうとし、かつて関係のあったヤンキーの井東拓也とよりを戻そうとするが、そのバイクに二人乗りしていた時に事故にあって死亡。直前に藤代芹香に小川凌二を譲る決心をしていたことを、井東拓也に伝えていた。
黒瀬 彰 (くろせ あきら)
市立波中学校3年5組の小川凌二のクラスメートにして、同じヤンキーの友人。お調子者で山下春美に密かに憧れ、藤代芹香にも恋しているが、その気持ちを表に出さずに四人でつるむことを大事にしている。後に小川凌二、藤代芹香と同じ高校に進学した。
井東 拓也 (いとう たくや)
少年院入り寸前の極めつけの悪と噂された、元「基町ドールズ」特攻隊長のヤンキー。小川凌二の中学の一年先輩で、サッカー部で彼を痛めつけた後、今はOBとなって就職もせずにバイクを乗り回している。中学時代に山下春美と付き合っていたが、ふられた過去を持つ。そんな先輩でも小川凌二から慕われていたが、彼の元に戻ってきた山下春美をバイクに乗せて走っていた時、一時停止を無視した車にぶつけられて彼女を死なせてしまう。 そのため小川凌二から激しく憎まれていることを知って彼の元に出向き、誰かに殴られたいと本音を打ち明けたうえで、恋人の由美とも別れて大阪に転居。その前に「凌を芹香にあげる」という山下春美の残した言葉を、小川凌二に伝えていった。
野村 (のむら)
藤代芹香のクラスメートで、最初に親しくなった女友達。後に共に同じ高校に進学した。藤代芹香からは「むっちゃん」と呼ばれている。
由美 (ゆみ)
井東拓也の恋人。相思相愛というより一方的に井東拓也を愛していて、不器用な生き方によって傷つく彼を心配している。