概要・あらすじ
叔母の家から高校に通うつもりだった岸本かすみだが、そこは下宿屋になっていた。今さら家には戻れず、そのまま下宿生活をすることになる。風呂でかすみと初対面をした下宿人のひとり高杉勇作は、頑張る人の応援のために駆け回っていく。そんな勇作のことをかすみは気にし始める。
登場人物・キャラクター
岸本 かすみ
ショートカットの活発な女の子。はっきりと物を言う、かすまない性格の持ち主。スポーツが得意で成績もよい。下宿屋ひだまりの下宿人ではないが、食事の手伝いをしている。明条高校ではテニス部に所属している。ただ下宿仲間の高杉勇作の頼みで、夏まで野球部のマネージャーをしていた。 初対面が風呂場で、お互いに全裸を見た仲の勇作を警戒していたが、そのまっすぐな性格を認める。水沢千草に紹介された村木克彦という渡米中のボーイフレンドと文通をしている。次第に克彦への思いよりも勇作が気になる気持ちのほうが強くなっていく。
高杉 勇作 (たかすぎ ゆうさく)
ごく普通の高校生男子。お調子者だが一生懸命のヤツを応援したくなる性格。下宿屋ひだまりの3号室に、猫の退助と住む。運動神経抜群で成績もよい。部屋には多数のスポーツ用品が転がっていて、サンドバッグも吊るされている。空手道場に通っているが、明条高校では応援団に入った。 応援の一環として人材不足の野球部のために、キャッチャーやマネージャーの確保にも走る。最終的には駿足強肩を見込まれて、自ら外野手として予選大会に出場することになった。岸本かすみが気になっている。
有山 高志 (ありやま たかし)
太めの大食漢。柔和な笑顔の心優しい男。下宿屋ひだまりの2号室の住人。サッカー部のキーパーだが、左右の俊敏な動きと強肩を見込まれ、高杉勇作の頼みで夏まで野球部のキャッチャーをした。女の子ならみんな好きと言っていたが、関圭子には本気になりつつある。
美樹本 伸
長髪美男でスポーツ万能。下宿屋ひだまりの4号室の住人。ねっからのスケベで、のぞきの常習犯。部屋にはのぞき用の天体望遠鏡がある。ややナルシスト気味で、自分のかっこよさのアピールに余念がない。テニス部に入ったが、岸本かすみと関圭子の後を追うように、野球部へ移った。 売り込んだ通りの4番サードを実力で確保。関圭子への気持ちはかなり真剣。
相戸 誠 (あいと まこと)
小柄で眼鏡の少年。下宿屋ひだまりの1号室の住人。口数が少なく、存在感も薄い。下宿に誰もいないと思われたときには、誠がいたのに気付かれなかったことが多い。エピソードが少ない謎の人物。
水沢 千草 (ありやま たかし)
岸本かすみの叔母で、幼いころからかすみをかわいがっていた。夫の平吉(へいきち)を2年前に亡くした未亡人。明るく笑顔を絶やさない。広い家がもったいないと下宿屋を始める。かわいい男の子がいい、と面接をして選んだ4人を下宿させている。かすみに甥の村木克彦を紹介した。
村木 克彦 (ありやま たかし)
岸本かすみのボーイフレンドで、父の仕事の関係で3年前からアメリカに住んでいる。さわやかな好青年。アメリカから帰国したときはヒゲとサングラスがあった。かすみへのプロポーズを考えているが、かすみの勇作への気持ちに気付き、様子を見ている。
関 圭子 (せき けいこ)
おとなしくて優しい女の子。兄は明条高校野球部のエースでキャプテンの関真人。明条高校入学式を前に美樹本伸と知り合った友人に連れられて、高杉勇作らと出合う。勇作とはクラスメイトだった。テニス部に入ったが、勇作に頼まれて夏まで野球部のマネージャーをする。 勇作が好きだったが、かすみとの気の合った関係に諦める。一方有山の優しさに惹かれつつある。
関 真人 (せき まさと)
明条高校の弱小野球部を率いるエースでキャプテン。キャッチャーに恵まれなかったが、高杉勇作から有山高志を紹介されて全力投球が可能になる。さらにサードに美樹本伸、センターに高杉勇作を得て、野球部は地区予選の決勝まで進んだ。
退助 (たいすけ)
高杉勇作が拾ってきた捨て猫。「大安売り」の札が立っていたため、勇作は全財産の百円を置いてきた。払ったのは硬貨だったが、百円札の肖像画にちなんで退助と命名。首にリボンを結んでいる、片手に納まるサイズの子猫。岸本かすみが大切にしていた、ボーイフレンドの村井克彦から14歳の誕生日プレゼントにもらったぬいぐるみをボロボロにするなど、イタズラをすることがある。
坂本 (さかもと)
明条高校の応援団長。強面の巨体で、何度も退学になりかけた札付きのワルと噂される。幼なじみの高木美知子の小学生時代の髪飾りを返そうとするなど、純粋な面も。周辺の学校でも評判の強さで、多くの学校の番長が勝負を挑んでくる。自身のケンカが野球部の大会参加辞退になることを嫌い、自主退学を決意。
集団・組織
明条高校 (みょうじょうこうこう)
1学年8クラスある、大型の県立校。実績はともかくクラブ活動は盛ん。
場所
下宿屋ひだまり (げしゅくやひだまり)
未亡人となった水沢千草が広い家がもったいないからと始めた下宿屋。一戸建ての水沢家をそのまま使用している。下宿屋としての名前が決まったのは、高杉勇作たちの入居後、年が明けてからのことだった。千草のモットーとして女性の入居には消極的。