友達の姉ちゃんに恋した話

中学2年生の遥翔は、遊びに行った親友・三澄尚の家で、彼の姉の莉緒と出会って一目惚(ぼ)れする。年齢が離れた遥翔と莉緒のもどかしくも切ない恋愛模様と日常が、ラブコメディやヒューマンドラマを交えて展開される。あずさきなの『姉ちゃんの友達がうざい話』と世界観や登場人物を共有しており、どちらも年上女性との恋愛という共通のテーマがある。ただし時系列や主人公は異なり、本作は『姉ちゃんの友達がうざい話』の数年前の時系列で描かれる。

主人公の遥翔は、親友の尚の姉で大学1年生の莉緒に恋をする。遥翔は清楚(せいそ)で綺麗な莉緒に一目惚れするが、これまで恋をしたことがなかった遥翔は、莉緒に対する気持ちが年上女性への一時的なあこがれなのか、恋心なのか、考えがまとまらず思い悩んでいた。遥翔よりも五つ年上の莉緒は幼少期から弟の尚の面倒を見ている、優しく上品な女性。莉緒は不器用な尚になかなか友人ができなかったことを知っているため、遥翔が友人になってくれたことを自分のことのように喜んでいる。

莉緒への思いが年上の女性への一時のあこがれではなく、本気の恋心だと自覚した遥翔は、会う機会すら限られた莉緒にどうやって接近するのか思いを巡らしていた。そんな中、莉緒から学園祭の手伝いを頼まれた遥翔は、彼女に少しでも意識してもらえるチャンスだと考え、快くバイトを引き受ける。学園祭での出来事を通して莉緒への思いがあふれ出し、やがて受験シーズンが訪れてもその思いが変わることはなかった。交流を深めるたびに莉緒のことばかり考えてしまう遥翔の恋の行方や、当初は彼に「弟の友人」として接していた莉緒の心の変化も、見どころとなっている。