脇役と悪役が主人公の青春恋愛劇
本作は陰キャで脇役のまもりと、学校一の嫌われ者で悪役の奏志がプールの水を抜くところから物語が始まる。他人から雑に扱われることに慣れているまもりは、初めて自分と正面から向き合ってくれる奏志に好意を寄せるようになる。ただし恋愛感情に疎く、他人から指摘されてようやく奏志に対して片思いを自覚する。また奏志も、とあるきっかけからまもりを意識するようになり、二人は両片思いの関係に進展していく。他人とのコミュニケーションが苦手な二人の、初々しい恋愛模様が魅力的に描かれる。
二人の出会いは「悪いこと」から始まった
ヒロインのまもりは、他人から都合よく利用される脇役さながらの人生を送っていた。しかしそんなまもりの前に、奏志は「気に食わないことには怒れ、嫌いなことならするな」と叱責し、自分が嫌いだからという理由だけでプールの水を抜くようにまもりに指示する。そして、まもりは奏志に命じられるままプールの水を抜き、心ならずも彼の「悪いこと」の共犯者になってしまう。だが奏志の影響もあり、自分に素直に生きることの楽しさを知ったまもりは、彼の自由奔放な性格に魅(ひ)かれて行動を共にするようになる。
恋愛の障壁は学校一の人気者である奏志の弟
二人の恋愛の最大の障壁となるのは、奏志の異母弟である晃一。高校1年生で生徒会長に就任し、文武両道で眉目秀麗な好青年の晃一は、他人にも優しく接するため校内で「王子」とあだ名されるほどのヒーロー的存在。しかし、奏志に対しては他者には見せない腹黒い一面を見せており、綿谷まもりと奏志の関係に横槍を入れてくる。晃一の妨害を乗り越えながら、どうやって二人が関係を進展させていくのかが見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
綿谷 まもり (わたや まもり)
とある高校に通う1年生の女子。年齢は16歳。高身長に加えてスタイル抜群で、ピンクカラーのロングヘアにしている。しかし何事にも自信が持てず、ふだんは身体のラインや前髪で顔を隠して地味な生活を送っている。幼い時からどんなに嫌われても信念を曲げない悪役にあこがれていた。他人から嫌われることを恐れるあまり、さまざまな面倒ごとをクラスメイトから押し付けられ、まもり自身も誰かの人生における脇役だと自認している。だが、問題児の奏志とプールの水を抜いて以来、自分に素直に生きる楽しさを知り、悪役さながらに自分を貫く強さを持った奏志に好意を寄せるようになる。
藤 奏志 (ふじ そうし)
まもりのクラスメイトの男子。身体が弱く病気がちだったため留年している。年齢は19歳。低身長に加えて小柄な体型で、つねに杖をついて歩いている。巨大企業「藤グループ」の御曹司(おんぞうし)だったが、跡取りの立場を弟の晃一に奪われてしまう。異母弟の晃一に敵対心を持っており、彼の生徒会長就任を妨害したり、まもりを特訓して晃一を学年1位の座から転落させようと画策している。嫌なことはしない、気に食わないことには怒るなど、自分の感情に素直に行動している。恋愛感情には疎いが、ふとしたことからまもりを異性として意識するようになる。
書誌情報
君と悪いことがしたい 7巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2023-01-18発行、 978-4098515301)
第2巻
(2023-04-18発行、 978-4098520336)
第3巻
(2023-07-18発行、 978-4098526161)
第4巻
(2023-10-18発行、 978-4098528585)
第5巻
(2024-02-16発行、 978-4098531165)
第6巻
(2024-04-17発行、 978-4098532896)
第7巻
(2024-05-17発行、 978-4098532964)