あらすじ
もえみと涼平の同居生活がスタート
転勤族の父親を持つ桜庭もえみは、幼い頃から引っ越しを繰り返してきた。そんな中、再び桜庭家に引っ越しの話が持ち上がるが、親しい友達もできて高校生活を謳歌(おうか)していたもえみは、断固拒否する。すると、もえみの父親の桜庭健太郎は同じ会社で海外赴任が決まっている上司の娘も引っ越しを拒否していることを知り、彼女との二人暮らしをすることを条件に許可する。こうしてもえみの部屋で上司の娘との二人暮らしが決まり、もえみは新たな生活に期待を寄せていた。だが迎えた引っ越し当日、同居する相手は上司の娘ではなく、上司の息子の柊涼平だということが発覚し、図らずも彼との同居生活がスタートすることとなった。突然の展開に戸惑うもえみだったが、優しい涼平と次第に打ち解けていく。そしてもえみは、涼平といっしょに食事をしたり、買い物に行ったりとさまざまな出来事を通して、涼平に恋心を抱くようになる。
ライバルの出現と父の襲来
同居生活を通して、桜庭もえみと柊涼平の距離は少しずつ縮まっていく。そんな中、涼平の元彼女で復縁を望んでいる澪が現れ、もえみの前で強引なアプローチを繰り返すようになる。心を乱されたもえみは衝動的に涼平に告白し、返事を聞く前に勝手に彼と距離を取ってしまう。こうしてもえみと涼平のあいだに気まずい空気が流れる中、もえみの父親の桜庭健太郎が様子を見にやって来る。上司の娘と住んでいると思い込んでいた健太郎は大いに動揺し、もえみにすぐに家に戻って来るように命じる。そんな健太郎を説得するべく、もえみと涼平は奔走する。
登場人物・キャラクター
桜庭 もえみ (さくらば もえみ)
とある高校に通う1年生の女子。これまで父親の桜庭健太郎の転勤により、各地を転々としていた。そのため親友と呼べる友達もできず、恋愛経験もない。高校に入学して気の合う友達、片桐恵麻と出会い、引っ越しをしたくないとの思いから、現在の家に住み続けることを選択する。その際に健太郎から一人暮らしに反対されるが、彼の上司の娘と二人で暮らすことを条件に許された。だが、実際の同居相手は上司の娘ではなく息子であり、学校でもイケメンとして知られる柊涼平との二人暮らしを開始することとなった。明るく素直な性格ながら、ガサツな一面もある。涼平といっしょに暮らしていくうちに、彼を一人の男性として意識するようになる。
柊 涼平 (ひいらぎ りょうへい)
桜庭もえみと同じ高校に通う2年生の男子。父親が海外赴任となり、海外に住みたくないと抗議したことで、もえみと同居することとなる。当初、もえみに対してはガサツな一面を面白がっていたが、いっしょに住むうちに、一人の女性として意識するようになっていく。整った容姿のイケメンで学校にもファンが多く、千景のような取り巻きの女子も存在する。その一方で、女子からチヤホヤされることを快く思っておらず、女子を苦手としている。そのため、女子に対してクールに振る舞うが、本来は優しく思いやりのある性格の持ち主。恋愛には一途(いちず)なところがあり、中学時代に交際していた澪に裏切られ、傷付いた過去を持つ。
橘 成美 (たちばな なるみ)
桜庭もえみと同じ高校に通う2年生の男子。柊涼平の親友。姉と二人で暮らしている。姉が長期不在の際に高熱を出し、涼平に介抱を依頼したことで桜庭もえみと知り合った。もえみからは「成美」という名前から、顔を合わせる前は女性だとカンちがいされていた。整った顔立ちのイケメンで、涼平ほどではないが学校には多くのファンがいる。また、橘成美自身も女好きなため、まんざらでもない日々を送っている。涼平とは中学時代からの付き合いで、元彼女の澪とも顔見知り。涼平が澪との恋愛で深く傷ついたことを知っているため、もえみとの共同生活をひそかに心配している。
片桐 恵麻 (かたぎり えま)
桜庭もえみと同じ高校に通うクラスメイトの女子。もえみの親友。つねにもえみと行動を共にしており、周囲からはイチャイチャしすぎだと、あきれられている。もえみと柊涼平が同居していることも知っており、何かと心配している一方で、面白がっている節もある。明るくポジティブな性格で、もえみが悩んでいる時も前向きなアドバイスを送り、涼平からも信頼されている。
千景 (ちかげ)
桜庭もえみと同じ高校に通う2年生の女子。柊涼平と親しくしている。学校内でもえみが涼平に声をかけている場面を目撃したことで、もえみとも知り合いになる。涼平のファンで、取り巻きの女子の一人。中学時代に涼平に振られたが、今も顔だけは好きという理由でそばにいる。また、涼平が澪と別れて落ち込んでいた時に励ましたことがあり、次の恋愛は幸せになって欲しいと願っている。大人びた容姿で、何もしなくても周囲に威圧感を与えてしまうため、涼平からはファンの女子が近づいてこなくていいと重宝がられている。もえみに対しても最初は露骨に嫌悪感を見せていたが、信頼できると認識してからは打ち解けている。もえみからは「過激派先輩」と呼ばれている。
澪 (みお)
高校2年生の女子。桜庭もえみとは別の高校に通っている。柊涼平の元彼女で、その縁でもえみとも知り合いとなる。中学時代に涼平と交際していたが、彼が海外に引っ越したことを機に別の男性との交際をスタートさせた。涼平を裏切ったことになるが、澪自身はまったく気にしていない。最近彼氏と別れたことで、再び涼平にアプローチを開始する。涼平と交際していた中学時代は無邪気で明るい性格だったが、彼が帰国して再会した時は、わがままで計算高い性格に変わっていた。腹黒い性格ながら、外見は儚(はかな)い雰囲気を漂わせた美少女。涼太との復縁を叶(かな)えるためには、もえみの存在が邪魔だと感じている。
大地 (だいち)
桜庭もえみのいとこの男性。もえみの自宅の近所に住んでおり、父親の桜庭健太郎からは娘の力になって欲しいと頼まれている。本来であればもえみと自分が住むのが一番いいと考えているものの、新婚であることから叶わずにいる。明るい社交的な性格で、もえみを通じて柊涼平とも親しくしている。妻の真央(まお)ともえみの関係も良好。もえみからは「大ちゃん」と呼ばれ、兄のように慕われている。
桜庭 健太郎 (さくらば けんたろう)
桜庭もえみの父親。転勤の多い会社に勤務している。これまでは転勤のたびに家族といっしょに引っ越しをしていたが、高校生活を謳歌していたもえみが拒否したことで、仕方なく現在住んでいる家で上司の娘との同居生活を許可した。あくまで上司の娘と暮らしていると思い込んでいたため、もえみが上司の息子の柊涼平と暮らしていると知った際には、大いに困惑する。考えていることがすぐに顔に出てしまう素直な性格で、すぐにパニックになってしまう。涼平に対しては警戒している一方で、息子が欲しかったこともあり、釣りに誘うなど自分から積極的にコミュニケーションを取っている。
書誌情報
柊先輩とおふたりさま 3巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第2巻
(2022-08-25発行、 978-4088446912)
第3巻
(2022-12-23発行、 978-4088447049)