あらすじ
第1巻
岐阜県の田舎町に暮らす女子高校生の宮水三葉は、町長選挙に出馬する父親の選挙活動や、家系の神社の古い慣習に振り回され「生まれ変わったら、今の自分とは正反対の、都会の男子高校生になりたい」と夢見ていた。そんなある日、目を覚ました三葉は、自分が願い通りの東京都の男子高校生、立花瀧になっていることに気づく。三葉は夢だと思い込み、深く考えずに1日を過ごすが、翌日にはこれが夢ではなく、お互いの身体が入れ替わっていたことが発覚する。以来、不定期に入れ替わるようになってしまった三葉と瀧の奇妙な生活が始まり、二人はお互いの生活を壊さないように、協力して日々を過ごすようになる。しかし、瀧と奥寺ミキがデートした日を境に、二人の入れ替わりは前触れもなく終わってしまうのだった。
第2巻
宮水三葉と立花瀧の入れ替わり現象が突如なくなり、連絡も取れなくなってしばらくが経過した。三葉を案じた瀧は、彼女の住む岐阜県飛彈まで会いに行く決意をし、瀧の友人の司と奥寺ミキも同行することになる。三人はやがて、三葉が住んでいるのは糸守という土地であり、そこでは3年前に彗星の衝突事故が起き、500人もの人が亡くなったことを知る。さらにその被害者の中には、三葉の名前もあった。瀧は3年前に亡くなったはずの三葉となぜ入れ替わりができたのかわからず、混乱するが、三葉との思い出を夢や妄想と片付けることはできずにいた。最終的に、三葉の作った口嚙み酒を飲めば、時間が巻き戻るのではないかと考えた瀧は、どうにか糸守湖までたどり着き、口嚙み酒を飲み干す。すると瀧の考え通り、時間は3年前に巻き戻るのだった。こうして三葉と入れ替わった瀧は、彗星から糸守の人々を守るため、勅使河原克彦やサヤと協力し、町全体の避難計画を立て始める。
第3巻
立花瀧が勅使河原克彦とサヤと立てた避難計画とは、爆薬を使って小規模の爆発を起こして、それを変電所の事故と偽り、町民たちを彗星落下地点から遠い糸守高校まで避難させるというものだった。そのためにも瀧は、役場にいる宮水三葉の父親の協力が必要と考えるが、三葉の父親は取り合わず、計画は難航する。しかしその時なぜか三葉の気配を感じた瀧は糸守湖へ向かい、時を超えて三葉と再会する。そこで瀧はこれから起こる事を三葉に伝えてバトンタッチし、二人は事件解決後にもう一度会う約束をする。その後、本来の身体に戻った三葉は見事避難計画を成功させるが、それと同時に、自分にとって最も重要なはずの、瀧の名前を忘れてしまうのだった。それから8年後。社会人となった三葉は、東京都に引っ越し、充実した生活を送っていた。しかし、自分には大切な人がいたという漠然とした記憶だけが残っており、心のどこかでその人を探し続けていた。そんなある日、電車で見かけた見ず知らずの男性に懐かしいものを感じた三葉は、思わず彼を追いかける。そして、同じように三葉を探していたらしい彼に、その名前を尋ねるのだった。
登場人物・キャラクター
宮水 三葉 (みやみず みつは)
田舎町に暮らす女子高校生。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸のあたりまで伸ばした黒髪ストレートロングヘアをポニーテールにしている。実家は神社の家系で、自身も参加する儀式を控え、さらに父親は町長選挙に出馬中という心中穏やかでない状況にあり、現在の生活を窮屈に感じていた。生まれ変わったら都会に住む容姿の優れた男性になりたい、せめて夢の中だけでも男性になりたいと思っていたところ、実際に立花瀧と不定期に身体が入れ替わるようになり、思わぬ形で夢が実現してしまう。 瀧と入れ替わるようになってからは、女性のような可愛らしい雰囲気になった瀧として周囲を戸惑わせたり、逆に奥寺ミキと距離が縮まったりと、瀧の人間関係を変化させていく。
立花 瀧 (たちばな たき)
東京都の実家で父親と2人暮らしをしている男子高校生。前髪を目の上で切り、サイドの髪を長めに伸ばした黒髪ショートヘアをしている。明るくスポーツが得意な元気な性格で、宮水三葉と身体が入れ替わるようになってしまった事態に衝撃を受けつつも、三葉と協力してお互いの生活に支障が出ないよう努力することになる。腕っぷしはあまり強くないが、やや喧嘩っ早い一面がある。 イタリアンレストランでアルバイトをしており、先輩の奥寺ミキに密かに憧れている。瀧が三葉と入れ替わるようになってから、三葉は印象が変わったと女性から人気を集めるようになった。
奥寺 ミキ (おくでら みき)
立花瀧のアルバイト先の先輩の若い女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にして両サイドに垂らし、ふんわりとしたロングヘアをポニーテールにしている。美しい容姿と優雅な雰囲気から、男性アルバイトたちから非常に人気が高い。瀧にとっても憧れの女性だったが、瀧と宮水三葉が入れ替わっている際、三葉がミキの破れた服を直したのがきっかけで急接近する。
サヤ
宮水三葉と勅使河原克彦の友人で、同じ高校に通う女子生徒。前髪を眉上で短く切ったラウンド前髪に三つ編みヘアで、左目の下にほくろがある。三葉と立花瀧が入れ替わるようになったことを知らず、時折男性のような行動をするようになってしまった三葉に驚いている。
宮水 四葉 (みやみず よつは)
宮水三葉の妹。前髪を右側は上げて額を見せ、左側は目の高さで切ったツインテールヘアにしている。三葉とは姉妹仲が良い。三葉と立花瀧が入れ替わるようになってしまったことを知らず、急に通学路がわからなくなったり、祖母のことを忘れてしまったり、自分の胸を触って驚いている三葉を不審に思いつつ一緒に過ごす。
勅使河原 克彦 (てしがわら かつひこ)
宮水三葉とサヤの友人で、同じ高校に通う男子生徒。坊主頭と太い眉が特徴。オカルト趣味があり、立花瀧と入れ替わって様子のおかしくなった三葉のことを、「狐憑き」や「前世の記憶」が関係しているのではないかと考えている。実家は勅使河原工務店で、高校卒業後も自分は地元で生きていくのだろうと考えている。
司 (つかさ)
立花瀧の友人で、同じ高校に通う男子生徒。前髪を左寄りの位置で分けた刈り上げヘアで、眼鏡をかけている。穏やかで面倒見がいい。瀧と宮水三葉が入れ替わるようになってしまったことには気づいていないが、三葉と入れ替わっている状態の瀧が普段よりも可愛らしいことが気にかかっている。
その他キーワード
口噛み酒 (くちかみざけ)
日本最古のお酒のこと。人が噛んで吐き出した米を自然発酵させて作り、神様に捧げる。女性が噛んだ米を用いて作るため、家系が神社で、女性である宮水三葉も口噛み酒の儀式に参加している。しかし三葉自身は、口噛み酒を作る過程で米を噛んで吐き出す姿を知り合いに見られるのを憂鬱に感じている。
クレジット
- 原作
書誌情報
君の名は。 全3巻 KADOKAWA〈MFコミックス アライブシリーズ〉
第1巻
(2016-08-23発行、 978-4040685090)
第2巻
(2016-12-23発行、 978-4040685915)
第3巻
(2017-04-22発行、 978-4040691701)