概要・あらすじ
高校三年生の中原紡はどこにでもいる平凡な女子高生。周りの友達のように将来なりたい職業もないのに進学してもと、志望校を決めかねていた。紡は何をしてもそれなりで、昔からかわいくて、勉強も運動も料理も得意な妹の真帆をうらやましく思っていた。紡は伸びた髪を切ろうと美容院を訪れたが、もっさりとした残念な仕上がりに。直しを依頼するとその美容師に「これ以上すくとお客さんの頭、片側絶壁なのでペタンコになるよ」と言われ、直してもらうのをあきらめる紡。店を出ると、周りにはたくさんの美容院があった。肩を落として美容院を見上げていると、かっこいい男性美容師の加賀谷悠が声を掛けてきた。紡が切り直したいけどお金がないと話すと、悠は「カット代はいらないので自分に切らせてくれないか」と言ってきた。カットモデルをすることにした紡は、悠の手触りが心地よく、おまかせでと伝えたあと、うとうとしてしまう。目を覚ますと鏡に映る自分は先ほどとは別人で、女性らしくすっきりした髪型になっていた。期待以上の仕上がりにビックリし、髪型で顔色も明るくなってこんなにも気分が上がるんだと紡は感動する。悠を魔法使いのようだと思い、自分も魔法をかける側になってみたいと紡は自分の進路を決めた。帰りがけにその美容院の名を確かめると「HAIR SALON 紡」という看板が。店の名前が自分の名前と同じだったことに紡は運命を感じた。その3年後、紡は「HAIR SALON 紡」に入社。五人の同期と共に見習いとして、働くことになる。そこには予約の取れないトップスタイリスト、悠の姿もあった。あこがれの先輩でもあり、美容師になるきっかけをくれた悠に、紡は熱い視線を送ってしまうが、店長から「店内恋愛は禁止。発覚したらどちらかに辞めてもらうから」と釘を刺されてしまう。紡は早く一人前になりたいと、人一倍練習していたが、シャンプーもマッサージも同期のみんなから遅れをとっていた。寝る間も惜しんで練習に励む紡だが、お客さんのシャンプー中に一瞬居眠りしてしまい、お客さんの服を濡らしてしまう。先輩からはキツく叱られ、落ち込む紡。その日も一人、夜までシャンプーの自主練をしていると悠が忘れ物を取りに来た。悠は「あれから短いままなんだね」と紡の髪をくしゃっとなでた。紡は3年も前に一度だけ髪を切った自分のことを覚えていてくれたと感激し、なんだか力が湧いてきた。この気持ちは恋心ではないと否定しながら「悠さんのような美容師になりたい」と本人に伝える紡。こうして紡は不器用ながらもひたむきに技術を磨いていく。悠はそんな紡を励まし、ほかの人には見せない笑顔を紡に向ける。そんな中、悠の元カノの迎花純が「HAIR SALON紡」に来店。花純は「あなたを3年前から知っている。悠にとって特別な女の子」と意味深なことを紡に言うのだった。
登場人物・キャラクター
中原 紡 (なかはら つむぐ)
「HAIR SALON 紡」に入社したばかりの新米美容師。高校三年生の時、加賀谷悠に髪を切ってもらったことをきっかけに美容師を目指す。突出した才能のないふつうの女の子で、何をやってもそれなりで美容師としては少し不器用。懸命に努力をするものの、なんでもできる妹の真帆や同期の美容師と自分を比べ、ひがんだり落ち込んだりすることも多い。髪型は前髪をななめに流したショートカット。
加賀谷 悠 (かがや はるか)
「HAIR SALON 紡」のトップスタイリスト。カットがうまく、彼の予約は3か月待ちで雑誌にも取り上げられる人気の美容師。中原紡が美容師を志すきっかけになった人物。背が高く、甘いマスクのイケメン。客商売なのに人の顔が覚えられないという弱点を持つ。似顔絵と細かく特徴を記したメモを持ち歩いて前日から復習することで、弱点をカバーしている。甘いものが好き。
迎 花純 (むかい かすみ)
加賀谷悠の元カノ。デザイン事務所に勤務しているデザイナーで、黒髪の美人。バーベキューで会った時も「HAIR SALON 紡」に来店した時も、中原紡に悠がやんちゃだった時の思い出話をし「あなたは悠にとって特別な女の子」と意味深なことを言い、紡の気持ちを乱す。
書誌情報
君の手が紡ぐ 5巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2020-04-10発行、 978-4098710140)
第2巻
(2020-12-10発行、 978-4098711956)
第3巻
(2021-08-10発行、 978-4098714292)
第4巻
(2022-04-08発行、 978-4098716470)
第5巻
(2023-04-10発行、 978-4098721092)