概要・あらすじ
主人公の円間大雄は、ある日突然事故で死んでしまう。息子の死を悼む両親は、大雄を生き返らせるべく、とある乞食の提案した闇の儀式で息子を復活させる。しかし、復活した大雄はほとんど腐乱死体同然の姿で、人を襲って生き血をすする化け物と成り果てていた。人間としての理性と、血を求める本能の間でせめぎ合いながらも、大雄は夜な夜な殺りくを繰り返す。
登場人物・キャラクター
円間 大雄 (えんま だいお)
両親と共に幸せな生活を送っていたが、ある日交通事故で死亡してしまう。彼の死を悼む両親が、謎の乞食から教わった儀式を用いて彼を蘇生させるも、その姿は腐乱死体同然の化け物になってしまっていた。血を飲むと一定時間、元の人間の姿に戻れるが、夜になると本人の意志とは無関係に変身し、人間を襲って死肉を貪る。
円間 羅雪 (えんま らせつ)
円間大雄の父親。職業は医師で、細胞遺伝学の世界的権威。天才的な頭脳を持ち、勤務する字吾久大学病院でも絶大な権力を有している。大雄のことを非常に可愛がっており、事故で死んだ彼を蘇らせるため、地獄小僧となった彼の生命を繋ぐために、数々の殺人を犯す。
母 (はは)
円間大雄の母親。色白の美人。息子の死を非常に悲しみ、息子を蘇らせる術を教えた乞食の提案を強く支持したが、腐乱死体同然の姿で現れた息子を見て、ショックのあまり発狂してしまう。
乞食 (こじき)
交通事故で死んだ円間大雄の葬儀に現れ、両親に彼を生き返らせる方法を教える。儀式を決行した円間羅雪をゆすろうとしたが、背後から地獄小僧に噛みつかれて死亡する。
花水 (はなみず)
警視庁捜査一課に勤める刑事。地獄小僧による連続殺人事件の担当で、円間羅雪が何かの秘密を握っていると考え、執拗な調査を続ける。アレルギー性の鼻炎持ちで、いつも鼻をぐずつかせている。
人狼 (ひとおおかみ)
円間家に伝わる歴史書に記述がある化け物。普段は普通の百姓だが、気持ちが昂ると、するどい牙と爪を持つ化けものに変身して人間を食らう。円間大雄の先祖がこの人狼に咬まれたことから人狼になってしまい、以後四代目ごとに、円間家には人狼になる人間が現れるようになった。この記録を読んだ円間羅雪は、大雄の化け物化が先天的なものであることを知る。
武者の悪霊 (むしゃのあくりょう)
落ち武者姿の幽霊で、夜の四辻に出現して出会った人の首を斬る悪霊。かつて偉い高僧に封印されたが、道路工事によって封印が解かれたために蘇った。旅の修行僧と地獄小僧によって退治される。
旅の修行僧 (たびのしゅぎょうそう)
武者の悪霊による被害が起きた町に居合わせた旅の修行僧。初めは悪霊の退治は不可能だと考えていたが、たまたま居合わせた地獄小僧の実力を見抜き、彼を悪霊にけしかけることで退治に成功した。
新一 (しんいち)
巨大な団地の最上階の一角に住んでいる少年。いわゆる鍵っ子で、仕事で忙しい両親とコミュニケーションが取れず、動物を虐待するなどしていつも孤独に過ごしていた。自分が殺した動物の血を舐めていた地獄小僧にシンパシーを感じて友達になるも、秘蔵の目玉コレクションを勝手に食べられて逆上、地獄小僧に襲い掛かるも、返り討ちに遭って死亡する。
雪少女 (ゆきしょうじょ)
雪深い地で凍死しかけていた地獄小僧を助けた少女。古い家屋に一人で住み、白骨化した祖父の死体と共に、出稼ぎに行って帰らない両親の帰りを待っている。周囲の村では恐れられる妖怪であり、寝ている人の枕元に立ってその人を凍死させてしまう。
エンマ大王 (えんまだいおう)
地獄の支配者。地獄を脱出しようとした地獄小僧が無限地獄の亡者たちを逃がしてしまったので、彼の脱出を許す条件として、逃げた亡者たちを退治して地獄に送り返す使命を与えた。
地獄犬 (じごくけん)
白い体をした三つ目の犬で、人間の言葉をしゃべる。亡者たちを地獄に送り返すというエンマ大王の使命を受けて地上に戻った地獄小僧を、監視するために派遣された。
場所
字吾久 城 (じごく じょう)
円間羅雪の祖父が明治時代に建てた城。字吾久病院の近くの高台に建っており、広大な敷地と大勢の使用人を有している。地下には地獄小僧を幽閉していた座敷牢があり、天守閣には円間羅雪の実験室がある。